外道のほうが美味い説その2~アイゴ編~

2016720tp201

クロダイやメジナの外道オブGEDOUとして君臨する『アイゴ』。

海藻を食べる食性から磯臭さに定評があり、毒を持つ強力なヒレも後押しして、釣り人のみならず市場でも不人気である。

しかしおいしい魚であることを知る人は、思いのほか少ない。

スポンサーリンク

強力な引き味を持つので釣るだけでも楽しい

美しく弧を描く竿。月に引力があるように、曲がる竿にも引力がある。

なんだなんだ」とギャラリーが集まり、魚の姿が見えると……。「なんだアイゴか」で解散の流れは、堤防でよくあるシーンのひとつ。

ただひたすら強烈に持っていくアイゴは、どことなくアジ系の引きに似ている。

アイゴのアイちゃんは、水温がやや高めの岩礁帯に生息していて、主に海藻を食べる。そのため外皮と内臓が磯臭い。

というより”コケ臭く”、クーラーなどで密閉していると、開放するたびになんともいえないナイススメルを醸し出し、なかなか臭いが取れない。

なので「こいつ食べれるのか?」という疑問を持つ釣り人は多い。

むしろ問いたい──「本当にマズイ魚って居るんですか?」と。

そういうわけで、アイゴを美味しく頂く方法を書きます。

毒を持つヒレには触らないようにしましょう

背ビレ」「胸ビレ」「腹ビレ」に毒を持ち、見るからに”全てを貫きそう(神器感)”にみえる。

タンパク毒”なので”とにかく痛いだけ”だが、死んでも毒腺は残るので、ヒレ自体に触らないのが無難。

もしステータスが「どく」になってしまった場合には、患部をちょっと開いて毒を絞り出し、熱いと感じるくらいの熱湯(45度くらい)で温めると痛みが和らぎます。

タンパク毒は熱に弱いので、応急処置としてはこれが最善です。

釣り場で熱湯を用意するのは難しいので、刺されたらおとなしく帰って処置をするか、ワイルドに毒を吸い出してから酒を吹きかけて我慢するか、保険証もって病院へゴーするかしてください。

靴底も貫通するほど鋭いヒレなので、足で踏んで抑えつけるのも避けましょう。

なので「外道だから要らないし氏んで減って欲しい」と思い、陸に捨てるのはただの外道です。野良ぬこすら見向きしないので、ただ腐臭を出す迷惑な物になってしまいます。

アイゴの下処理(〆)をする方法

美味しく頂くには臭みの元になる血液と内臓を抜くのが手っ取り早い。これは全ての魚に通じることです。

アイゴを締める際に刃物以外で用意しておきたいのは「キッチンバサミ」。

アイゴは「ビタンビタン」と跳ねまわるほうではなく、「ビチチチチ」とマナーモードなヤツなので、まずタオルで胴を押さえつけて首の付け根である延髄と尻尾の付け根を切ります。”延髄を切る”というのは、中骨を上から切るという感覚です。

2016720tp202

赤線のところをブスリといきましょう。

頭を下にして海水を汲んだバケツに突っ込んでおくと血抜きができます。20~30分置いたあと、キッチンバサミでヒレをチョキチョキしてついでにエラを切り、延髄切りをしたところから表裏に切り込みを入れて首の骨を切ります(硬いので注意)。

これで頭が取れるので、首をパキッとしてから引き抜くと、内臓も一緒についてきます。

2016720tp203

そうするとこんな感じになります。

これで”活き締め”は完璧。

魚の構造を理解していればキッチンバサミだけでも出来ますけど、延髄切りは包丁みたいなナイフのほうが楽。腹ビレの部分は開く段階でも捨てるので、この時点で落としておくのもいいでしょう。

鮮度を保つには、クーラーBOXの保冷力がモノをいいます。

横着するというか、延髄を切って仮死った所に、ヒレと頭と内臓を取るのもアリといえばアリ。この方法では、よっぽど早く処理して水に浸けないと血が残りやすい、暴れやすく危険なのであまりオススメはしません。

アイゴのおすすめ料理

まず「皮を使うか使わないか」でレシピが決まるといっていい。

なにしろここが一番”臭う”から──。

皮を使う場合は「干物」か「焼く」

皮は入念に包丁かタワシでこすって、表面の泥っぽさを無くすこと

腹開きして一夜干しは和歌山県ではちょっとした名物。独特の磯臭さは焼くことによって芳醇な香りを出し、辛めの冷酒が特に合う風味になる。身は筋肉質のため身離れよく、箸でもホロリと取れるので食べやすい。

ただフライパンで焼く「ムニエル」のように、皮付きの片身を焼く(というより蒸す)方法は臭みを増すだけ。焼く方法を取る場合は、皮を「パリッ」と焼くことを心がけること。

皮を引く場合は「刺身」「煮る」など多彩に攻めれる

煮る場合は味をちょっと濃い目に、薬味を入れて臭みを飛ばすよう心がける。煮物はオールシーズン対応できる万能調理でもある。

もともと繊維質な白身なので味が染み込みやすく、煮汁が味の全てを決めるともいっていい。だからこそ甘く煮たアイゴはとても美味しいのである。

刺身は手当てと鮮度が物をいうが、冬場の方が向いている。

2016720tp204

昆布締めで1日置いたけど、刺身として普通に美味い部類。

何に似ているかといわれると、「旨味が弱いアジ」……かな。写真のように薬味マシマシじゃなくても臭いは気にならない。

これは手当てがよかったおかげもあるけど、もし”あやしい”場合には「なめろう」にするのがいいと思う。汎用性もあるし、暑い時期では冷し茶漬けに使えて、薬味も加えれば食欲も増すってものです。

毎年恒例のバズワード「スク水揚げ」

スク”は小さいアイゴの地方名で、それを”水揚げ”しただけのこと。

一般としてアイゴを知る機会はほぼない。しかし、”スク水”の認知度は教養の範囲内である。

スク水揚げ」のワードで「スク水をカラッと揚げるの!?どんな超級者だよ…」という反応は当然ともいえる。

たぶん変態的なおにいちゃんでも、”スク水を揚げる”発想は無いかもしれない(彼らは出汁を取る派だから)。

ちなみにアイゴは幼魚であるほど臭みがなく、毒性も弱いため市場価値としては高くなる。でも鋭いトゲは健在なので、酢に2ヶ月くらいつけて柔らかくしてから丸ごと食べるのが沖縄流。

スクのような小さいアイゴが釣れることは少ないが、夏のサビキ釣りでゲストとして来ることもある。

まだ魚を知らない人でもはじめるサビキなので、うっかり握って戦慄する前に、予備知識として毒を持つ魚は覚えておきたい。

スポンサーリンク

にほんブログ村 釣りブログ 東海釣行記へ

外道のほうが美味い説その2~アイゴ編~
この記事の他にも
「とある浜松アングラーの一生」の情報は、
いいねしてチェック!
スポンサーリンク