アニサキス「あれだけ生はダメっていったのに…」

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近頃は”アニサキス”の話題をよく耳にする。

「こわいねー。もうお魚買えないねー」などと口にする、お◯カな消費者の声が高いのが嘆かわしい。

まあ学校で教えてはくれないことなので、致し方ないのかもしれない。

というわけで、「無知な消費者のせいで寿司や魚が売れなくなったの!」と苦悩する水産業界を代弁したいと思う。

間違って伝わっているアニサキスの予防法

アニサキスの被害は年々急増している。

「そうなっている原因は何か?」。それは「新鮮だから大丈夫!」思い込んでいるせいといえる。

魚は生で刺身が一番ウマイと思い込んでいるし、粋な時代から続いている文化。

しかしながら、予防なしに生食で寄生虫のリスクをゼロにするのはほぼ不可能であることを、知る人は多くない。

生が一番ウマイと”慣れてしまっている”世論に、「それを止めろ」といっても、簡単に止められるものじゃない。

まずは本当に正しい予防法を知っていただきたい。

アニサキスの予防は加熱・冷凍すること。成虫は目視で除去すること。

アニサキス症急増、有名人も食中毒に 予防は加熱・冷凍、目視で除去|産経ニュース

記事タイトルにあることの詳細をいうと、アニサキスは70度以上の熱なら即死、マイナス20度以下24時間経過で死滅させることができる

魚類に宿る寄生虫は、これらの方法でほぼ全て予防することが可能。

だが、もっとも確実な予防法「生で食べないこと」である。

生食が浸透している日本では、予防方法の認知がされていて”当たり前”──と思われている。

親から子へ、そして学び舎から”常識の範疇”として、誰もが知っていると刷り込まれている。

ただそれでも年々被害が増えているのは、食べる側の知識が乏しいためだと感じている。

「魚が活きているほうがウマイに決まってんじゃん!」の意見が尊重され、活けでの輸送技術が発達し、全国どこでも新鮮な魚を手に入れることが難しくなくなった。

アニサキス被害が多くなったことは、妙な視点から察するに、「新鮮な魚を食べることができる願望は叶えたぞ?」と受け取れる。

一方で「鮮度=アタることはない」と思い込む◯カな消費者も炙り出された。

メディア報のいけすかない所は、飲食店が原因なら糾弾するが、消費者が悪い場合はやんわり告げるところ。

アニサキス被害が一般で増えている背景に、インターネット通販の普及があるのではないかと感じている。

鮮魚が気軽に手に入るわけだが、”魚を正しく捌く方法””魚の衛生管理”については、義務教育過程で多少は学ぶものの、家庭の躾か自ら学ばねば全てを把握することは不可能。

まあようするに、「無知は罪」で済む問題になる。

そして間違った知識を正しいと誤って実行している人も少なからずいるかと思う。

間違ったアニサキスの予防法

間違った予防法として知られているのが、「よく噛む」ことと、「薬味」を使うこと。

どちらもそれを”正しい”と思い込んでいるとお◯カ確定。

ちょうどこれらの事例を実験から論破している記事があったので紹介する。

【注意1】よく噛んでも噛み切れません

実際にアニサキスを食べることは学者もあまり試していないのか、「おすすめしません」とされているのが噛み切ること。

包丁なら切れるが、咀嚼する過程で噛み切るのが不可能なため、「よく噛めば大丈夫」なのは間違った知識。

【注意2】薬味で死滅できれば苦労していません

「ワサビと酢を使えば当たることはないし無敵」と思われているのが刺身。

それらの抗菌・消毒作用は確かにあるのだが、寄生虫を倒すのか? となればそういうわけでもない。

「チョンと漬ければイチコロよ」であれば、胃酸で溶けると思いませんか。

鯖は千年前から保存と輸送に工夫が重ねられ、しめ鯖が”保存食”として完成の域に達した。

塩漬けも酢漬けも、鮮度を保持するための方法であって、アニサキスなど寄生虫を完全に予防することは不可能。たとえそれが死滅しても、腐ることには変わりがない。

記事中では、塩による浸透圧攻撃が効果があるとされているので、興味深い結果である。

アニサキスが寄生しない魚類のほうが少ない

アニサキスの卵は海中を漂っており、それを小型のエビなど甲殻類がたまたま食べ、またそれを食べる小魚がいて、またまたそれを食べる大型魚がいて……と、海洋生物で寄生がサイクル活動をしていることになる。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%8B%E3%82%B5%E3%82%AD%E3%82%B9

海洋生物だけでなく、海水を飲んだだけでも、アニサキスに寄生されるリスクがゼロにはならないことがわかると思う。

これを予防するのが「加熱」と「冷凍」。成虫であれば目視での「除去」となる。

サーモンのルイベ、イカの短冊など、これらは基本として薄造りとなるが、アニサキスを切るために薄くするわけじゃない。

発見しやすいように薄く切るのが正しいので、「薄切りすればOK」なのも間違った対処法になる。

捌く側と食べる側が目視することで、ようやく予防として機能するわけである。

【まとめ】生魚でアニサキスのリスクを回避したいなら値段を上げるべき

アニサキスは魚が活きているうちは共存しており、宿主が死ぬと筋肉に移動していく。

予防のひとつとして、水揚げしたらすぐ内臓を取り出すのが善しとされているのだが、それを1匹1匹するのは非常に時間がかかる。

そのコストを消費者に捻出してもらえれば、より安全な鮮魚を頂ける可能性はあるのだが……。

為替の変動で物価が上下するだけでキレる状況では、そういう投資もあるのだと知られる機会も少ないだろう。

アニサキスは魚を捌いて半身にしたり、刺身にする過程で目視することは可能。

けれど、煮付け・塩焼き用で丸々1匹だと、内臓を取るだけで身は外観から調べることができない。幸いに寄生虫はレントゲンに映るので、1匹ずつ確認することも可能だが……”異物”を認識するのは誰だろうか。

人工知能が役目を変わってくれる可能性はある。けれど、誰がそこに投資をし、リターンがあるのかが課題となる。

「そこまでして生魚を食べたいか?」と諦めれば、ここで話は終わる。

”ここまでして安全な生魚を食べることができる技術”を確立すれば、それは世界へ誇れる技術となり、日本食の文化を地球規模に伝えることが可能となり、最終的には潤うかもしれない。

その技術を考えれるのは、おそらく日本だけだと思う。そして発展途上の国で役立つことだろう。

かつて工業の発達で汚染された海は過去となり、今は日本のどこでもキレイな魚を手に入れることがたやすくなっている。生食で被るリスクはその時代より軽減されているが、それでも完璧とはほど遠い。

日本の食品がやけに高いのは、”リスクなしでどうしても生食したいワガママな意見”を取り入れた結果。

簡単に、美味しく、安全な──を実現したのが日本の食品。

生鮮食品を無菌で提供するのは現在でも難しい。それは生産側と消費者側、どちらも間違った処置をする人的要因もあるし、環境もあるから。

衛生管理を消費者側に委ねれば魚は安くはなる。しかし被害がでれば生産者が悪いとされてしまう。

それで不買活動をするのは勝手だが、問題に目を瞑っただけで、同じことを繰り返すだけになる。

こちらから知ろうと歩み寄らないと、決して知れないのが食品衛生の知識。

この食品衛生については、国内に明確な法はなく、厚生労働省の指導と、資格や免許による備わった知識が頼りになっている。

EUや米では魚の生食を避けるよう、法整備がなされている。

もともと生食する文化もないのだが、”いけないこと”としてルールが定められることで、抑止力に繋がる。そして結果的に安全な魚が輸出され、こちらも消費しているわけである。

日本では生産者と消費者それぞれが知識を共有してようやく、最善最短の解決法が見つかることになるだろう。

「アニサキス怖い! もう買わない!」では解決にならないし、議論を挟む余地もない。

生にはリスクがつきものである(意味深)

それが当然と受け入れるか、互いに解決に乗り出すか……。

予防としてルールを決めるのは、失敗を経験してからはじまると思う。

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