釣具屋の息子がこの夏、何度も恋をする。「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」

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PVの1シーンに”日本で最も有名な釣具メーカー2社”の看板が登場しており、これはイチアングラーとして見てみようと思っていた。

それから時は過ぎ、すっかり忘れていた頃……。

打ち上げ花火──」の公開を知り、続けて酷評が群れとなっておしよせてきた。

観ずに叩くか? 観てから叩くか?」の選択となり、それならとカードの更新ついでにいってきました。

なお本編では「釣具屋の息子」要素は空気だった模様。

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文学作品として見れば秀作

酷評が多い本作ですが、「アレと比べてダメ」とか、そんな感想が大半。

タイムリープを扱う時点で「時をかける少女」が比較対象になるし、アニメ映画としては昨年大ヒットした「君の名は。」と動員数が比較されてしまう。アニメ界で有名な「シャフト」作であり、同社作の「魔法少女まどか☆マギカ」と比べられることも多々。

映画『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』

それらと比べれば劣るのは仕方ない。

だが批評をするにあたり、基準を設けるのは必要なことである。

打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」は、原作となった実写ドラマ・映画があり、今作はアニメ版としてのリメイク。

現代エッセンスとSF要素、それらを武器に映像作品として見どころさんを無理やり作ろうと頑張りました! が伝わってくる。企画からの無茶ブリだろうなぁと。

実写のほうがマシ」といわれるのは、作品を見ればよくわかる

ある程度の作品に触れている人であれば、「アニメである必要があったのか?」と感じることも仕方ないといえる。

もともと原作はSFテイストじゃなく、あくまで”もう1つのありえた世界(if-もしも)”の話。

時を遡るわけでもなく、主人公が考えた顛末の一部が主軸となる。

それだけじゃあ映像として淡々すぎるからってことで、アニメーションとして「人の想像する現実を超える」ことを加味したのが今作かと思える。

それが現実の人間を配役しない、最大のメリットだと思っている。

でもまあ、つまらないほどじゃない。でも特別面白いわけでもない。

とある世代にはハマる題材だろうし、タイムリープ物にはじめて触れるのであれば楽しめるかもしれない。

近年は何かと時空を越えたり、異世界へ転生したりする作品が多いので、世間も食傷気味。

でも物理法則を無視できて、伏線を張りながら収束させ、盛り上がりを作りやすいのもタイムリープ物の利点である(ゲス顔)。

まあようするに、題材としてはウケやすいってこと。

個人的には、読書感想文の題材に困っている少年少女に見たり読んだりしてもらいたいですね。

「アレが良かったからコレも気になった」の先入観だと、凡作で終わってしまう悲しい作品かと思います。

なので映画レビューサイトで酷評が多いのも仕方ないことじゃないかなと。

タイトルにあるよう、主人公は釣具屋の息子ですが、釣り人が「おっ」と思うだろうシーンは特にないです

見に行くキッカケをくれた批評

話題の『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』ヒットメーカー・川村元気が語る制作秘話「実写でリメイクしろと言われたら僕はやらなかった」

プロデューサーと総監督のチグハグなインタビューが、今作がそうなってしまった一反だろうなぁと察してしまう。

まあでも実写なら水中のシーンや花火のシーンを映像化は難しいだろうし、アニメならではの落とし所はあった。

ちょっと違う世界を演出するためならば成功していると思う。

『打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?』が『君の名は。』を超える10の理由

半ばヤケクソ気味に書いてありますけど、だいたい合ってるので笑える。

”「君の名は。」を超える名作”には苦笑せざるをえないけど、「打ち上げ花火」の作風としては海外でウケそうかな。

文学は好きだけどアニメは見たことがない」、そんなジュブナイルにはハマる作品と思う。

若干ネタバレ込みの感想

ゾクッときたのは1回目の”もしも玉”を投げるシーンくらい。「if」のフィラメントは”らしい”演出だったなと。

全体として文庫のページをめくるような展開が続き、良くも悪くも映像作品としてはダレてしまう展開。映像としては「いつものシャフトだな」という感想。

内容は特別難解ってわけでもないと思います。

大抵の人はなずなと典道が二学期を迎えてハッピーエンドを期待しているだろうので、あの終わり方は賛否があるよう。

平日朝にしてはカップル多めだったので、「あぁなんかそういう風に誘導されちゃったんやな」と生暖かく見守りました。

終わった後に「下から見るか上から見るか。じゃあ上から見るよね?」と会話が聞こえた。「じゃあ」ってなんだよ。

タイムリープのルールを設定すりゃキリがないだろうけど、その開始点として”なずなが玉を拾う”とすれば、親の離婚と転校は避けられないから、あれが落とし所だろうと思いました。

ギャルゲ脳的には、「駆け落ちエンドやな」てとこです。

ナズナ(薺)の花言葉

あなたに私の全てを捧げます」など、相手に全幅の信頼を置く花言葉です。

ラストシーンでナズナの花が写り、彼女は二学期の席に居ない。典道も点呼で呼ばれているが返事はしていない。

これらから「二人共死んでいるエンド」の解釈もあるそうで。……人の発想力は無限大で素晴らしいです。

駆け落ちエンドであれば、始業式であるラストでザワついているだろう。

”心中”という言葉も劇中ででているし、無駄にキレた友人に2人して灯台から突き落とされたりと、まあそういう示唆がないこともない。

典道が作り出した世界に2人して閉じこもっている……でも通用する終わり方じゃないかなと。

花火は丸なのか平面なのか

今作で一番面白い要素だと思ったのがコレ

打ち上げ花火自体は球体状に火薬が炸裂するので、360度どこから見ても”円形”に見えます。

それは作中でも理系ボーイが説明していますけど、登場人物誰もが明確な答えを持っていません。まずい! ここにはバカしかいないぞ!

意図的に平面になるよう火薬を配置すれば、花火は平面に見えるわけで、それが”土星の輪っか”に見える花火でもあります。

でもそれが”平面”であると証明するには、1方向からの視点では説明しようがない。咲いた花火を自分の目で見れば平面にある丸に見えるし、立体だろうけど平面にしか見えない。

目に入る情報を平面と捉えるか、立体と捉えるかの違いです。

万物万象、人それぞれに解釈はあるし、目線が違う。

個人的にはここがふしぎテイストだなと。

打ち上げ花火を球体として説明するのって、人の目だけで説明するのって、難しくないですか? 3Dモデルを用意しても「またまたそんな(笑)」と堂々巡りしそう。

声優のチョイスミスっていうより年齢設定ミスじゃないかと

原作は小学生ですが、本作では中学生の設定に改変されている。

女子は男子よりも早熟なのだが、”大人びた”設定をするにはせいぜい中学生までが限界。原作では奥菜恵(当時14歳)が「16歳に見える?」といっているが、高校生で十分通用するプロポーションだった。それが神秘的な女性にも繋がっている。

アニメ版のなずなも「16歳に見える?」といっているが、視聴側は「ハァ?」と思うだろう。JDやOLでも通用すると思うのですが。

……それはそれとして、作中での下ネタと会話が、けものフレンズとは違った方向性のIQの下がり方をしている

ようするに、小学生ならまだわかるが、中学生でアレはまたなんとも、ヤバイのではないだろうか的な。

「ちょっと男子ィー!」てレベルじゃない気もする。

大人びたなずなに引っ張られて、典道は徐々に大人の階段登る、みたいな。まあ有名実力派声優達が、普段絶対いわなそうなセリフを連発しているところも、ある意味見どころさんかもしれない。

芸能人声優の起用は、まあ普通じゃないかなと。

なずなはハマってたけど、典道は他の同性出演者が強敵揃いなため、劣って棒に聞こえるのは仕方ないと思う。

マモさん万能すぎやろ。

アニメ版を見てから実写を見るとちょうどいい

──という感想が多かったので実写版(原作)を見ましたが、結構ここからオマージュしているんだなと。

だいぶ古い作品ですけど、名作は色あせないことを教えてくれる。

2作品それぞれ良いところがあるので、酷評をものともせず、逆に怖いもの見たさで観るのもアリじゃないかな。

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アニメ版は原作になぞらえすぎて、新旧の境界が曖昧すぎる感じがする。

リメイクっていうより、SFとのマッシュアップて感じ。新旧が融合しているような時代感が、なんともいえない奇妙さを醸している。

電車で突然歌うよシーンで、なずなから松田聖子のワードが出た時点で、「この時代設定はいったいどこなのだろう」と不思議ゾーンに突入してしまった。

それも大人になった典道が、ふと昔を懐かしむよう”もしも”の世界を夢みた結果の物語であるとすれば……

そういう解釈も悪くないかもしれない。

花火はどこから見ても丸くは見えるが、それが球体であると説明するのが難しいのと同じように。

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