儲かる漁業の秘密は競争をなくすこと

IQを導入した結果、以前より稼げるようになった佐渡のエビ漁

地球の資源管理は世界の課題。全産業は何かしら自然を切り抜き、そのおかげで利益を得ています。もし資源が枯渇すれば、GDPうんぬんの話でもなくなりますよね。

日本で儲かる漁業が成立しにくい理由は、やり方に問題があるだけです。

スポンサーリンク

なぜ漁業は儲からないのか?

正確には儲からないわけじゃないです。”儲からないようにした“が正解。

一時期は羽振りがよく操業者も多かった。となれば、儲かる話につられて参入者が増えます。ゴールドラッシュのように……すると、1隻あたりの漁獲量が目減りし、売上が落ちますよね?

となれば経営を続けるため、対策が必要になる。

多く獲るため操業時間を長くしたり(サビ残)、漁具の効率化やコスト減を追求(経費削減)……などの施策をして、なかば無理やり儲かるようにした結果──、それがブラック企業が増えた理由でもあります。

「売上が落ちる→その分働けばいいよね?」という短絡的な経営のおかげで、日本の生産性は先進国でもぶっちぎりでワーストになりました。

漁業の失敗それもありますが、資産運用が下手だった要素もあります。

楽して稼ぐのも楽じゃない(哲学)

楽して稼げる(と思われている)代表の株式投資は、お金をもらう方法が2通りあります。

ひとつは株の購入と売却の差額で稼ぐトレーダータイプ。もうひとつは配当金(利回り)狙いで、安く買って長期ホルダーする投資家タイプ。前者は資金に余裕がなくてもできますが、後者は資産があるほど有利です。

──で、これらの何が違うかっていうと、向き合う時間と使い方が違います

トレーダーは値動きの監視が重要なので、市場が開いている時間=労働時間になります。一方投資家は企業の決算を見るだけでも済むから、読書してても風呂に入ってても酒を飲んでいても、お金が増えていく可能性があります。

どちらがより生産的なのかは、言わずともわかるかと。

スポンサーリンク

IQは資産運用で楽して獲る漁業を考える強壮剤

儲かる漁業で注目されるIQとは、「Individual catch Quota(個別漁獲割当)」のこと。貿易用語のIQは「Import Quota(特定品目)」です。

この制度は、地域の漁協・漁港もしくは操業する船ごとに、1年で水揚げできる総漁獲量が割り当てられます。メリットは主にふたつ。

  1. 獲りすぎを抑制できる
  2. 決められた漁獲量内でより利益を獲得しようとする

(1)に関してはいわずもがな。

IQ制度が特に優れるのは、(2)の動きが活発になるところ。その理由は事項で。

キロ単価取引はデカイほうが高値になる

ブリを例として、以下の選別から”単価”を考えてみましょう。

  1. 1匹当たり2kgを5匹
  2. 1匹当たり5kgを2匹
  3. 10kgを1匹

このうちどれが1番高値で取引されるでしょうか?

……(3)ですよね。ちなみに1本10kgの寒ブリだと10万円以上で取引されることも。

豊洲市場でのブリ取引額平均はキロ1000円前後。内訳は1匹5kg以上のワラサからブリまでが該当します。対して1匹2kg以下は脂が少なく味が劣るため安くなり、キロ単価は250円まで下がります。(参考:豊洲市場のイナダの市況

魚釣りでもデカイほどレアモンスターになるように、生鮮取引でも大型になるほど価値は上がる傾向が強い。

小さいほうが高価な魚もいますが、単純に”1番うまい状態”が好まれるだけです。

魚の資源管理は経済の「市場規模」で考える

経済ニュースでよく「市場規模で◯億円」と聞くことが多いと思います。これは単一のジャンルで期待される総売上の話

例えば釣具の市場規模が2000億円と仮定します。それは(札束の山)砂山を想像してください。

ここから各企業が”取り分”を持っていくわけですが──、ガッツリ1000億円分を取る企業があれば、1000万円しか取れない企業も存在することになりますよね?

漁業のやり方も同じ考えで説明できます。

今までは解禁と同時に砂山が用意され、それを一斉に奪い合うのが在り方でした。おまけにそれだけじゃ足りないから他所にも手をだし、地球全体の魚が減少したのがつい30年ほど前の話。

「これじゃアカン!」と気づき、仲良く分け合おうと資源管理を徹底し、成功した例がノルウェーの漁業。

それは単純に、木から落ちた果実を拾うだけの考え。

魚は産卵によって毎年増えます。そのため資源量が多いほど回復する見込み量も増えます。

あとは増える見込み分だけの成魚を捕まえれば、安定した漁獲量は見込めるし単価も高めになる。すると1回の操業で稼げる金額も増えます。

自然を活用する産業は、毎年回復する量を分けてもらうことでしか、続かないんですよ。

それをオーバーすると、山なら丸裸で土砂崩れが頻発するし、生物なら絶滅して2度と見れなくなったりします。

自然とうまく共存するには、株で配当金をもらう程度に抑えたほうがいいわけ。

そのために創られたのがIQ制度。資源と環境を管理して、ありのままの自然を維持する取り組みになります。

アウトドアメーカーが取り組む自然保護の話は、パタゴニアの創業者が書いたこの本に詳しく書かれています。近年の重要事項はリサイクルらしい。

スポンサーリンク

IQ制度で復活した佐渡のエビ漁の話

この記事を書く参考と、原動力にさせていただきました。

たくさん獲るのをやめたら、儲かって休みも増えた。佐渡のエビ漁に見えた希望 | Gyoppy!(ギョッピー) - 海から、魚から、ハッピーをつくるメディア
Gyoppy! (ギョッピー)は、ひとりでも多くの人に、海と海にまつわる人、もの、ことに興味を持ってもらうこと、海の課題に関心を持ち、解決へのアクションを起こしてもらうことで、海の豊かさを次世代へつなぐことを目指します。
個別漁獲割当制度(IQ)を導入した佐渡のエビカゴ漁にいってきた - 私的標本:捕まえて食べる
※『地球のココロ』というクローズしたサイトで、2014年6月25日に掲載した記事の転載です。 2011年に日本で初めて個別漁獲割当制度(IQ)を本格導入した新潟県佐渡市のホッコクアカエビ漁の船に乗り、その漁がどんなものなのかを見てくるとともに、IQを導入した感想を漁師さんから聞いてきた。 IQ制度を実施している佐渡市赤...
水産庁、個別漁獲割当を試験導入へ マサバなど資源回復狙う: 日本経済新聞
水産庁は12日、都内で「資源管理のあり方検討会」を開き、資源が低水準にあるマサバやスケソウダラを対象に漁船や漁協ごとに漁獲上限を割り当てる方針を示した。今秋に一部で試験的に導入する。資源の回復と漁業者の経営改善を狙う。

ようはIQにより予め捕れる数を決めて、競争をなくし生産量を安定させれば、おのずと取引金額も一定になります。この行き着く先が、漁業組合の企業化だと思います。

漁港が法人化すれば、全体の水揚げ管理も帳簿で知ることができる。農水省は資源管理をしやすくなるし、漁師は従業員となり定収入を得られるし、福利厚生も十分に受けれることになるかもしれません。

──経営側が”まとも”な思考ならね。

今の漁業でどこが最もチカラを持ち、継続する地盤があるかを考えれば、おのずと答えは出ると思うし、地方はどうすればいいかがわかるかと思います。

ここまで読んでいただきありがとうございました!(了)

特集記事
スポンサーリンク

にほんブログ村 釣りブログへにほんブログ村 釣りブログ 東海釣行記へ

記事が気に入ったらシェアをお願いします!

気に入ったら
「いいね」お願いします!

最新情報をお届けします。
とある浜松アングラーの一生
タイトルとURLをコピーしました