梅雨は本当に釣れないのか? 雨がもたらす5つのメリット

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毎年6月に入ると、多くの釣り人が「梅雨だから釣りはお休み」と竿を置いてしまいます。確かに、雨の中で釣りをするのは快適とは言えません。道具は濡れ、視界は悪く、足場も滑りやすくなります。

しかし、梅雨こそ大物が釣れるチャンスの宝庫だということをご存知でしょうか。筆者は10年以上にわたって「あえて梅雨に釣りに行く」スタイルを貫いてきましたが、年間の最大魚を梅雨時期にキャッチした年が何度もあります。シーバスの80cmオーバー、マダイの70cm級、そして2kgを超えるアオリイカ。いずれも梅雨の雨が降る中での釣果でした。

梅雨の雨が釣りにもたらすメリットは、大きく分けて5つあります。

メリット1:釣り人が激減し、ポイントを独占できる

これが最大のメリットと言っても過言ではありません。人気ポイントでも梅雨の雨天時は釣り人が通常の3分の1以下に減ります。普段は場所取り合戦になるような一級ポイントも、雨の日なら悠々と竿を出せます。魚へのプレッシャーも大幅に低下するため、警戒心の強い大型個体がルアーや仕掛けに反応しやすくなります。

メリット2:雨による濁りが魚の警戒心を下げる

雨が降ると河川から濁り水が海に流れ込み、海水の透明度が下がります。この適度な濁りは魚にとって「安心感」をもたらします。クリアな水では警戒して口を使わない魚も、濁りの中ではルアーやエサに大胆にアタックしてくるのです。

特にシーバスやチヌ(クロダイ)は濁りに強い魚で、雨後の濁りが入った河口域は爆釣パターンの定番です。

メリット3:水温が安定し、魚の活性が高い

梅雨時期の海水温は20〜24℃程度で、多くの魚種にとって最も活性が高くなる適水温帯です。真夏のように水温が上がりすぎることもなく、冬のように冷たすぎることもない。梅雨の海は、魚にとって最も快適な季節の一つなのです。

メリット4:ベイトフィッシュが接岸する

梅雨の時期はカタクチイワシやマイワシの群れが沿岸に接岸するタイミングと重なります。雨による河川からの栄養塩類の流入がプランクトンの増殖を促し、それを追ってベイトフィッシュが岸に寄り、さらにそれを追ってフィッシュイーターが集まるという食物連鎖の好循環が生まれます。

メリット5:気圧の低下が魚を浮かせる

梅雨前線の接近に伴い気圧が下がると、魚の浮き袋が膨張し、魚がいつもより浅いレンジに浮く傾向があります。これは特にアジやマダイなどの浮き袋を持つ魚種で顕著で、普段はボトム付近にいる魚が中層まで浮いてくるため、ルアーやサビキ仕掛けへの反応が良くなります。

梅雨に狙うべきターゲット5選

1. シーバス(スズキ)|梅雨は年間最大のチャンス

梅雨のシーバスは年間を通じて最も釣りやすい時期の一つです。産卵から回復した個体が河口域に戻り、イワシやイナッコ(ボラの幼魚)を積極的に捕食します。

特に雨が降った直後の河口域は、濁りと増水によってシーバスの捕食スイッチが入る「ゴールデンタイム」です。河川の増水で流されてくるイナッコやハゼを待ち構えるシーバスを、ミノーやバイブレーションで狙います。

シチュエーションおすすめルアーリトリーブ方法狙うポイント
河口の濁り+増水バイブレーション(70〜80mm)ミディアムリトリーブ流心の脇、橋脚のヨレ
港湾の薄濁りミノー(120〜140mm)スローリトリーブ+トゥイッチ常夜灯の明暗、排水口周り
サーフの波打ち際シンキングペンシル(100〜120mm)ドリフト+スロー離岸流、流れ込み
雨上がりのクリアウォーターワーム(4インチ)+ジグヘッドミドスト(中層スイミング)ストラクチャー際、護岸沿い

梅雨のシーバスゲームで重要なのがカラーセレクトです。濁りが入った状況では、チャート系(蛍光黄緑)やゴールド系の膨張色が圧倒的に有利です。筆者の定番はチャートバックパール。背中がチャートで腹がパールホワイトのカラーは、濁りの中でもシルエットがはっきり出るため、シーバスに見つけてもらいやすくなります。

2. チヌ(クロダイ)|乗っ込み後の荒食い期

チヌは梅雨の時期に乗っ込み(産卵行動)が終わり、体力回復のために荒食いするタイミングです。特に河口域や汽水域のチヌは雨による濁りと増水に好反応を示し、フカセ釣りやチニング(チヌのルアーフィッシング)で好釣果が期待できます。

チニングで狙う場合、フリーリグやテキサスリグにセットした甲殻類系ワーム(クロー系・ホグ系)をボトムでズル引きするのが基本です。チヌは雨で流されてきたカニやエビを岸壁沿いで拾い食いしているため、護岸のキワギリギリを丁寧にトレースすると反応が得られます。

フカセ釣りの場合は、オキアミ+集魚剤のコマセで寄せて狙います。梅雨の濁りが入った日はコマセの効きが良く、通常よりも早い段階でチヌが寄ってくる傾向があります。ウキ下は1〜2ヒロ(1.5〜3m)の浅いタナから始め、反応を見ながら調整しましょう。

3. アオリイカ|梅雨は親イカの最終盤

春から産卵のために接岸していたアオリイカの親イカは、梅雨の時期が最終シーズンです。6月中旬〜7月上旬は産卵の最盛期にあたり、藻場(アマモやホンダワラ)の周辺に大型のアオリイカが集結します。

梅雨の親イカエギングのポイントは以下の通りです。

  • 藻場が近い堤防や磯を選ぶ(産卵場所の近くに親イカがいる)
  • エギのサイズは3.5号〜4号の大きめを使用(大型個体に対応)
  • シャクリは控えめにし、フォールの時間を長く取る(産卵モードのイカはスローな動きに反応)
  • 朝マズメと夕マズメが最も反応が良い時間帯
  • 雨の日はオレンジ系・ピンク系のエギカラーが有効(濁りの中でも視認性が高い)

2kgを超えるアオリイカはファイトも強烈で、梅雨の雨を忘れさせてくれるほどのエキサイティングな体験が待っています。ただし、アオリイカの産卵床となる藻場を荒らさないように注意しましょう。イカが卵を産み付けている場所では釣りを控えるのが、持続可能な釣りのための最低限のマナーです。

4. マダイ|乗っ込み後半戦と落ち始め

マダイは梅雨の時期に乗っ込みの後半戦を迎えます。西日本では5月がピークですが、東日本(三陸や北陸)では6月がまさに乗っ込みの最盛期。また、西日本でも乗っ込みを終えたマダイが深場に落ちる前の「居着きマダイ」が沿岸の岩礁帯で良く釣れる時期です。

船釣り(タイラバ・ひとつテンヤ)で狙う場合、梅雨の低気圧通過時にマダイが普段より浅い水深に浮く現象を利用しましょう。通常は水深40〜60mで釣れるポイントでも、低気圧接近時は20〜30mの浅場で反応が出ることがあります。

岸からマダイを狙う場合は、カゴ釣りやぶっ込み釣りが有効です。梅雨の時期は岸寄りにマダイが回遊してくるため、遠投カゴ釣りで50〜80m沖を狙えば、60cm以上の良型マダイに出会えるチャンスがあります。

5. キス(シロギス)|梅雨の合間の晴れ間が本番

キスは梅雨の時期に産卵を控えて浅場に大群で接岸してきます。6月〜7月のキスは「梅雨ギス」と呼ばれ、数・型ともに年間ベストの時期です。20cmを超える良型が束(100匹)単位で釣れることもあり、投げ釣りファンにとっては待ちに待ったハイシーズンです。

時期キスの行動パターン狙い方
6月上旬群れが沿岸に接岸し始めるちょい投げ(30〜50m)で十分
6月中旬〜下旬産卵前の荒食い。数・型ともに最高投げ釣り(60〜80m)。引き釣りで広範囲を探る
7月上旬〜中旬産卵行動が始まる。大型が多い朝マズメの短時間勝負。置き竿よりも引き釣りが有利

梅雨ギスのポイント選びで重要なのは底質です。キスは砂底を好む魚で、細かい砂が堆積したサーフや砂浜に面した堤防が好ポイントです。特に河口に近い砂浜は、雨で流された有機物が砂虫類(ゴカイ・イソメ)を増やすため、キスの集まりが良くなります。

梅雨の海釣りに必須の装備

レインウェアの選び方|「釣り用」を選ぶべき理由

梅雨の釣りで最も重要な装備はレインウェアです。ここで強調したいのは、「釣り用のレインウェア」と「一般的なレインコート」はまったく別物だということです。

機能釣り用レインウェア一般的なレインコート
防水性能耐水圧20,000mm以上耐水圧5,000〜10,000mm
透湿性透湿度10,000g/m2以上透湿度3,000〜5,000g/m2
袖口二重袖口(水の侵入を防止)ゴム絞りのみ
フードつば付き+後頭部絞り(視界確保)簡易フード
動きやすさ立体裁断でキャスト動作に対応動きが制限される
パンツ裾が絞れる(長靴との隙間防止)標準的な裾

釣り用レインウェアの価格帯は5,000円〜50,000円と幅広いですが、最低でも耐水圧15,000mm・透湿度8,000g/m2以上のスペックを持つ製品を選びましょう。梅雨の長時間釣行では、安価なレインウェアでは蒸れて不快になり、集中力が維持できません。

足元の防水対策

梅雨の釣りで意外と軽視されがちなのが足元の防水です。普通のスニーカーでは30分もしないうちにビショビショになり、一日中不快な状態で釣りをすることになります。

おすすめの足元装備は以下の通りです。

  • 膝下丈の長靴:堤防や漁港での釣りに最適。ソールは滑りにくいラジアルソールを選ぶ
  • 防水フィッシングシューズ:磯場やテトラでの釣りに。ゴアテックス採用モデルが理想
  • ウェーディングブーツ:河口域でのウェーディング(水に入る釣り)に必須

タックルの雨対策

梅雨の釣りではタックル(釣り道具)の防水・防錆対策も重要です。放置すると高価なリールが錆びて使い物にならなくなります。

  • リール:釣行後は必ず真水で軽く洗い、乾燥させる。グリスアップは月1回以上
  • ロッド:ガイド部分に塩分が付着するため、真水で洗って乾燥。コルクグリップは特に念入りに
  • ルアーボックス:使用後はフタを開けて完全乾燥。フック(釣り針)の錆びに注意
  • PEライン:雨水を吸い込みやすいため、帰宅後はリールからラインを引き出して乾燥させる

梅雨の安全対策|雷・増水・高波に要注意

雷への対処法

梅雨の時期は雷雨が発生するリスクが高く、これが梅雨の釣りにおける最大の危険因子です。カーボン製の釣り竿は導電性が高く、落雷のリスクを大幅に高めます

以下の対策を必ず実行してください。

  1. 天気予報で雷注意報を確認:雷注意報が出ている日は釣行を中止するか、短時間で切り上げる計画を立てる
  2. 積乱雲の発達を監視:入道雲が急速に発達している場合は、30分以内に雷雨が来る可能性がある
  3. 雷鳴が聞こえたら即撤収:遠くでも雷鳴が聞こえた時点で釣りを中止し、車や建物に避難する
  4. 竿は寝かせるか仕舞う:撤収が間に合わない場合は、竿をたたんで地面に寝かせ、自分は低い姿勢を取る
  5. 堤防の突端や高い場所から離れる:落雷は高い場所に落ちやすい

河川の増水リスク

梅雨の大雨時、河口域で釣りをしている場合は河川の増水に十分注意が必要です。上流で大雨が降ると、数時間後に河口部の水位が急上昇することがあります。

特に危険なのが河口の中洲や砂州での釣りです。増水により帰り道が水没し、取り残されるケースが毎年報告されています。梅雨時期の河口域では、常に退路を確認し、水位の変化に注意を払いましょう。

磯場の高波

梅雨前線が活発化すると、沿岸部にうねりが入ることがあります。磯場では普段は波がかぶらない場所でも、うねりによって大波が押し寄せることがあり、非常に危険です。

波浪予報で波高1.5m以上の予報が出ている場合、磯場での釣りは控えましょう。堤防や漁港など、安全な場所に切り替えることが賢明です。

梅雨のエリア別おすすめ釣行プラン

東京湾|河口域のシーバス天国

梅雨の東京湾はシーバスのパラダイスです。荒川、多摩川、鶴見川、旧江戸川など、首都圏の主要河川の河口域が絶好のポイントになります。雨による増水と濁りが入ると、シーバスの活性が一気に上がります。

おすすめポイントとしては、荒川河口の砂町水辺公園周辺旧江戸川の舞浜大橋周辺。これらのポイントは電車でもアクセス可能で、仕事帰りのナイトゲームにも最適です。

大阪湾|チヌとタチウオの二刀流

梅雨の大阪湾では、日中のチヌ狙い→夕方からタチウオ狙いの「二刀流」釣行が楽しめます。泉南エリア(岸和田・泉佐野周辺)の堤防では、昼はチニングでチヌを狙い、日没後はワインドでタチウオを狙う。1日で2魚種を楽しめる贅沢な釣行プランです。

瀬戸内海|キスの聖地で梅雨ギスを堪能

瀬戸内海沿岸はキス釣りの聖地です。香川県の有明浜、広島県の倉橋島、愛媛県の高縄半島など、数多くのキスポイントが点在しています。梅雨の合間の晴れ間を狙って、サーフからの投げ釣りで梅雨ギスを堪能しましょう。

九州北部|玄界灘のアオリイカ最終戦

福岡県や佐賀県の玄界灘沿岸では、6月が春イカ(親アオリイカ)のラストチャンスです。呼子周辺の漁港や唐津周辺の地磯で、産卵のために接岸した大型アオリイカを狙います。雨の日は特に他のエギンガーが少なくなるため、普段は人だらけのポイントでじっくり攻められます。

梅雨の釣りを快適にする小ワザ集

タオルは3枚以上持参する

梅雨の釣りではタオルがすぐに濡れて使い物にならなくなります。最低3枚は持参し、ジップロックに入れて防水しておきましょう。1枚は手拭き用、1枚はタックル拭き用、1枚は予備です。

偏光サングラスは雨でも必須

「雨の日にサングラスは不要」と思われがちですが、偏光サングラスは水面のギラつきをカットするため、雨天でも視界が改善されます。特にイエロー系またはイーグルビュー(薄いブラウン)のレンズは、曇天・雨天時のコントラストを向上させ、水中の変化を捉えやすくなります。

エサは多めに用意する

梅雨の時期は魚の活性が高いため、エサの消費量が増えます。投げ釣りのイソメ類は通常の1.5倍、フカセ釣りのコマセは2倍の量を用意しておくと安心です。「エサが足りなくなって泣く泣く撤収」という事態を避けるためにも、多めの準備を心がけましょう。

クーラーボックスに保冷剤を多めに

梅雨の時期は気温が25〜30℃に達するため、釣った魚の鮮度管理が重要です。クーラーボックスには通常の倍の保冷剤(氷)を入れ、魚を釣ったらすぐに氷締めにしましょう。特にキスやアジは鮮度の低下が早い魚なので、こまめに氷の状態を確認することが大切です。

車の中に着替えを用意

どんなに高性能なレインウェアを着ていても、長時間の雨中釣行では多少は濡れます。帰りの車中で不快な思いをしないために、着替え一式(下着・Tシャツ・パンツ・靴下)をビニール袋に入れて車に常備しておきましょう。

梅雨明け直後が年間最大のチャンス

梅雨の釣りのもう一つの楽しみが、梅雨明け直後の爆釣パターンです。梅雨明けの強い日差しが海水温を一気に上昇させると、それまで沿岸に溜まっていたベイトフィッシュが一斉に動き出し、フィッシュイーターの捕食活動が最大限に活発化します。

特に青物(ブリ系の幼魚・ソウダガツオなど)のショアジギングは、梅雨明け直後が年間のスタートダッシュです。堤防やサーフから40〜60gのメタルジグをフルキャストし、ナブラ(水面でベイトを追い回す捕食行動)を直撃する。この興奮を味わうためにも、梅雨の期間中にポイントの下見やタックルの準備を済ませておきましょう。

まとめ:梅雨を制する者は、年間の釣果を制する

梅雨は多くの釣り人が敬遠する季節ですが、その裏返しとして、釣り場が空き、魚の警戒心が下がり、活性は高いという好条件が揃っています。シーバス、チヌ、アオリイカ、マダイ、キス。梅雨の時期に最盛期を迎えるターゲットは実に多彩です。

もちろん、雷や増水といった安全リスクへの対策は万全にする必要があります。しかし、適切な装備と安全意識さえ備えていれば、梅雨の海は「宝の山」です。

今年の梅雨は、レインウェアに身を包み、濁りの入った河口にルアーを投げてみてください。晴れた日には見せなかった、大物たちの積極的なバイトがあなたを待っているはずです。雨を味方につけた者だけが出会える、梅雨限定の釣果。その魅力を一度知ったら、もう梅雨を嫌いにはなれません。

釣りテクニック

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