館山寺・内浦湾エリアが釣り人を惹きつける理由
「館山寺」と聞くと、多くの人が思い浮かべるのはロープウェイ、温泉旅館、パルパルといった観光地のイメージだろう。しかし浜名湖に通い込んだアングラーたちにとって、この一帯は知る人ぞ知る好釣り場として密かに名を馳せているエリアだ。
館山寺の南側に大きく入り込む内浦湾は、浜名湖本湖の荒い潮流から守られた穏やかなワンドでありながら、潮の干満で湾奥まで十分な水の入れ替わりがある。この「流れすぎず、止まりすぎない」絶妙な環境が、クロダイ・キビレ・ハゼ・シーバス・メバルといった多彩な魚種を育んでいる。
さらに観光地ゆえに駐車場・トイレ・コンビニが充実しており、ファミリーや釣り初心者でもアクセスしやすいのが大きな魅力だ。本記事では、館山寺・内浦湾エリアの主要釣りポイントを5か所に分けて、季節別ターゲット・仕掛け・攻略法まで余さず紹介する。
エリア概要とアクセス
所在地・地理
館山寺エリアは浜松市中央区舘山寺町に位置し、浜名湖の東岸中央部にあたる。内浦湾は館山寺温泉街の南側から西に向かって入り込む形状で、湾口は約300m、奥行き約1.5kmの細長い入り江だ。湾の北岸が温泉街、南岸がフラワーパーク側となる。
車でのアクセス
- 東名高速:舘山寺スマートICから約5分。浜松西ICからは県道48号経由で約15分
- 浜松市街地:JR浜松駅から県道48号(舘山寺街道)を北西に約30分
- 国道1号方面:浜松バイパス坪井ICから北上して約20分
駐車場情報
| 駐車場名 | 収容台数 | 料金 | 最寄りポイント | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| 館山寺温泉 市営駐車場 | 約200台 | 無料(時期により有料) | 館山寺護岸・サンビーチ前 | GW・夏季は有料の場合あり |
| 浜名湖パルパル駐車場 | 約1,000台 | 有料(施設利用者向け) | 内浦湾南岸 | 営業時間外は利用不可 |
| フラワーパーク駐車場 | 約600台 | 有料(200円〜) | 内浦湾南岸護岸 | 開園時間のみ |
| 舘山寺港周辺 路肩スペース | 5〜10台 | 無料 | 舘山寺港堤防 | 路上駐車に注意、マナー厳守 |
| 志都呂方面コインパーキング | 各20〜50台 | 有料 | 内浦湾東端 | イオンモール浜松志都呂付近 |
周辺施設
- トイレ:市営駐車場横の公衆トイレ、サンビーチ横トイレ(24時間利用可)。フラワーパーク内にもあるが営業時間内のみ
- コンビニ:ファミリーマート舘山寺街道店(車で約3分)。セブンイレブン浜松舘山寺町店も近い
- 釣具店:フィッシング遊浜松店(車で約15分)、上州屋浜松入野店(車で約12分)。エリア内には釣具店がないため、エサ・仕掛けは事前に用意すること
- 温泉:釣り帰りに日帰り入浴できる施設が複数(華咲の湯、サゴーロイヤルホテルなど)
ポイント1:舘山寺港堤防〜船着場周辺
ポイントの特徴
館山寺ロープウェイ乗り場のすぐ西側にある小さな漁港。堤防の全長は約80mとコンパクトだが、水深が足元から3〜4mと深く、潮通しも良好。堤防の先端付近は浜名湖本湖に面しており、特に潮が動く時間帯は良型のクロダイ・キビレが回遊してくる。
狙える魚種と時期
| 魚種 | ベストシーズン | おすすめ釣法 |
|---|---|---|
| クロダイ | 4月〜11月 | ウキフカセ、ダンゴ釣り、前打ち |
| キビレ | 5月〜10月 | チニング(ボトムゲーム)、ぶっ込み |
| シーバス | 通年(秋が最盛期) | ルアー(ミノー・バイブレーション) |
| メバル | 12月〜3月 | メバリング、エビ撒き |
| カサゴ | 通年 | ブラクリ、穴釣り |
攻略のコツ
堤防の外側(本湖側)はテトラが入っており、このテトラの際を丁寧に探るのがクロダイ攻略の定石だ。ウキフカセならハリス1.5〜2号、針はチヌ2〜3号。付けエサはオキアミが基本だが、夏場はサナギやコーンの方が本命のアタリを引き出しやすい。
チニングで攻めるなら、5〜7gのフリーリグにクレイジーフラッパー3.5inchやボトルシュリンプ2.4inchをセット。テトラ際から沖のカケアガリに向かってキャストし、ボトムをゆっくりズル引きする。潮止まり前後1時間が勝負で、潮が効いている時間帯は手前のテトラ際、止まり際は少し沖目を探るとバイトが出やすい。
夜釣りではメバリングが面白い。堤防の常夜灯周りに1〜1.5gのジグヘッド+ワーム(アジアダー、メバル職人ストレートなど)を通すと、20cm前後のメバルが連発することもある。冬場の北西風が強い日でも、内浦湾向きにキャストすれば風裏になり釣りやすい。
ポイント2:内浦湾北岸護岸(温泉街側)
ポイントの特徴
館山寺温泉の旅館が並ぶ湖岸沿いの護岸帯。サンビーチ(浜名湖の淡水浴場)の西から内浦湾の奥に向かって約500mにわたって護岸が続く。足場がフラットで柵もある箇所が多く、子連れやビギナーに最も適したポイントだ。
水深は護岸際で1.5〜2.5m。底質は砂泥で、所々に牡蠣殻やゴロタ石が沈んでおり、ハゼやカニ類の好む環境が形成されている。
狙える魚種と時期
| 魚種 | ベストシーズン | おすすめ釣法 |
|---|---|---|
| マハゼ | 7月〜12月 | ちょい投げ、ミャク釣り |
| テナガエビ | 5月〜9月 | ウキ釣り(玉ウキ仕掛け) |
| キビレ | 5月〜10月 | ぶっ込み、チニング |
| セイゴ(小型シーバス) | 通年 | ワーム、小型ミノー |
| クロダイ | 4月〜11月 | ダンゴ釣り、前打ち |
攻略のコツ
夏〜秋のハゼ釣りがこのポイントの真骨頂。7月下旬〜8月はデキハゼ(7〜10cm)が護岸際にびっしり付いており、のべ竿2.4〜3.6mにハゼ天秤もしくは玉ウキ仕掛けでアオイソメの小さい切り身を付ければ、初心者でも2時間で30匹以上は堅い。
9月以降はハゼが15cm前後に成長し、少しずつ沖に移動する。この時期はちょい投げ仕掛け(ナス型オモリ5〜8号、ハゼ針7号2本針)で10〜20m先を探ると良型が出る。底をゆっくりサビいて、コツコツとしたアタリがあったら竿先を送り込んでから合わせるのがコツだ。
テナガエビは護岸のスリット部分や沈み石の隙間がポイント。玉ウキ仕掛けに赤虫を付け、ウキがジワジワと沈んでから10秒ほど待って合わせると針掛かりが良くなる。夕方〜夜にかけてが最も活性が高い。
キビレ・クロダイは夕マズメ〜夜がチャンス。ぶっ込み仕掛けにボケジャコやカニを付けて護岸から20m先に投入し、鈴を付けてアタリを待つスタイルが地元では定番。9〜10月の落ちダイシーズンには40cmオーバーも上がる。
ポイント3:内浦湾南岸(フラワーパーク側)護岸〜石積み
ポイントの特徴
内浦湾を挟んで温泉街の対岸にあたるエリア。はままつフラワーパークの湖畔側に沿って護岸と石積みが続く。北岸に比べてアングラーが少なく、プレッシャーの低い穴場的存在だ。
護岸の手前は水深1〜1.5mと浅いが、10mほど沖に出るとカケアガリがあり2〜3mに落ち込む。このブレイクライン沿いにクロダイやキビレが付くパターンが成立する。底質は砂に牡蠣殻が混じり、ところどころ海藻も生える。
狙える魚種と時期
- クロダイ・キビレ(4月〜11月):フカセ・チニング・前打ち。特に春の乗っ込み期はこのエリアで40cm超の実績多数
- シーバス(通年・秋〜冬が好期):ナイトゲームでミノー、ワームのスローリトリーブ
- マハゼ(7月〜12月):ちょい投げ。北岸より型が良い傾向
- ウナギ(5月〜10月):ぶっ込み。夜釣り限定だが太い個体が狙える
攻略のコツ
春(3月下旬〜5月)の乗っ込みクロダイは、このポイントの最大の魅力。産卵を控えた大型個体が内浦湾の奥に入り込んでくるタイミングを狙う。大潮〜中潮の満潮前後2時間がゴールデンタイムだ。
フカセ釣りなら、マキエはオキアミ3kg+チヌパワー日本海1袋+押し麦1袋のブレンドが鉄板。ウキ下は2ヒロ前後から始め、アタリがなければ50cmずつ深くしていく。食いが渋い時は付けエサをサナギに変えてマキエの中に同調させると一気にスイッチが入ることがある。
シーバスのナイトゲームでは、湾口方向から入ってくる潮の流れに乗せてミノーをドリフトさせるのが効果的。ルアーはサスケ120裂波やアイマコモモ110あたりのシャローランナーで、岸際のゴロタ石周りを通す。秋のイナッコパターン時は50〜60cmクラスが連発することもある。
ポイント4:内浦湾奥(志都呂水門周辺)
ポイントの特徴
内浦湾の最奥部にあたるエリアで、志都呂方面からの小水路が合流する水門がある。淡水の流入で塩分濃度が下がるため、ハゼ・テナガエビ・ウナギ・ボラといった汽水域を好む魚種が特に豊富だ。
水深は浅く、干潮時には底が見えるほど(50cm〜1m程度)。満潮時でも2m前後と浅場が広がる。一見すると釣れなさそうに思えるが、潮が入ってくるタイミングで魚も一気に差してくるのが汽水域の面白さだ。
狙える魚種と時期
| 魚種 | ベストシーズン | おすすめ釣法 |
|---|---|---|
| マハゼ | 6月〜12月 | ミャク釣り、ちょい投げ |
| テナガエビ | 5月〜9月 | 玉ウキ仕掛け |
| ウナギ | 5月〜10月 | ぶっ込み(夜釣り) |
| キビレ | 6月〜10月 | チニング、ぶっ込み |
| ボラ | 通年 | ウキフカセ、引っ掛け |
攻略のコツ
このポイント最大の武器は潮回りの読みだ。干潮時は魚が湾口方向に下がってしまい、護岸周りにはほぼ魚がいない。狙い目は上げ潮の3〜7分で、潮が差し込んでくるとともにハゼやキビレが水門周りに集まってくる。
ハゼ釣りは水門の流れ込み周辺が一級ポイント。のべ竿3.6mにハゼ針6号、ガン玉B〜2Bを打ったミャク釣り仕掛けで、流れ込みのヨレ(流れの境目)に仕掛けを入れると連続ヒットする。エサはアオイソメを1cmほどに短くカットすると食い込みが早い。
ウナギ狙いは、水門からの流れ出しの脇にぶっ込み仕掛け(中通しオモリ15号、ウナギ針13号、ハリス4号30cm)を3本ほど並べる。エサはドバミミズの房掛けが最強で、日没後30分〜2時間が最もアタリが集中する。満月の夜よりも闇夜の方が食いが良いのはウナギ釣りの定説通りだ。
キビレのチニングは超シャローゲームになるので、3〜5gの軽量ジグヘッドにワームをセットして底を這わせる。水深が浅い分バイトが丸見えで、水面がモワッと盛り上がるようなバイトが出ることも。スリリングなサイトフィッシングが楽しめる。
ポイント5:大草山西側護岸〜遊歩道沿い
ポイントの特徴
館山寺ロープウェイが架かる大草山の西側、浜名湖本湖に面した護岸帯。内浦湾とは対照的に潮通しが良く、流れも速い。その分、回遊魚との遭遇率が高いポイントだ。
足元の水深は3〜5mと深く、底質は砂礫〜岩盤。護岸沿いに遊歩道があるため足場は良いが、一部区間は柵がなく、特に子連れの場合はライフジャケット着用を強く推奨する。
狙える魚種と時期
- クロダイ(3月〜12月):浜名湖本湖からの回遊個体。落とし込み、前打ちが有効
- シーバス(通年):ルアー。特に秋の回遊時期は60cmオーバーの実績あり
- メバル(11月〜3月):メバリング。護岸際のゴロタ石周りに居着き個体あり
- カサゴ(通年):ブラクリ、テキサスリグ
- アジ(6月〜10月):サビキ、アジング。回遊のタイミング次第
攻略のコツ
ここは落とし込み・前打ちの聖地と言っても過言ではない。護岸際にびっしり付いた牡蠣殻やイガイ(カラス貝)の層にクロダイが付いており、イガイやカニをエサにヘチ沿いに落としていくと「コツッ」という明確なアタリが出る。竿はヘチ竿2.4〜2.7m、リールはヘチリール(タイコリール)、ハリス1.5〜2号、チヌ針2号の軽量仕掛けで護岸を歩きながら探る。
5月〜6月のイガイシーズンは特に熱い。護岸に付いたイガイを採取してそのまま付けエサにすれば、マキエなしでクロダイが連発する。イガイは1.5〜2cmの中粒サイズを選び、針先だけ出す形で掛ける。落とし込む際はラインにテンションを掛けず、できるだけ自然にフォールさせるのがコツだ。
ルアーでシーバスを狙う場合、潮の流れが速いので重めのバイブレーション(14〜20g)やシンキングミノーが使いやすい。レンジバイブ70ES、コアマンVJ-16あたりがこのポイントの定番。アップクロスにキャストして潮に乗せながらリトリーブし、護岸際のヨレでバイトを誘う。
季節別カレンダーとおすすめプラン
春(3月〜5月)
乗っ込みクロダイの最盛期。内浦湾南岸(ポイント3)でフカセ釣り、大草山西側(ポイント5)で落とし込みがメインゲーム。4月の桜の時期に温泉+花見+釣りの三点セットで訪れるのが館山寺エリアならではの楽しみ方だ。水温が15℃を超える頃から本格化する。
夏(6月〜8月)
ハゼ・テナガエビの最盛期で、ファミリーフィッシングに最適なシーズン。北岸護岸(ポイント2)が最もおすすめ。朝6時〜9時の涼しい時間帯に集中して釣り、その後は温泉で汗を流すというプランが快適だ。チニングも最高のシーズンを迎え、トップウォーターへの反応も出始める。
秋(9月〜11月)
全魚種が高活性になるベストシーズン。特にシーバスの回遊が本格化し、大草山西側(ポイント5)の朝夕マズメは要チェック。10月のハゼは型が揃い、天ぷらサイズの15〜18cmが主体になる。湾奥(ポイント4)では落ちハゼの深場パターンに移行し、やや沖目を攻めるのが正解。
冬(12月〜2月)
表層の釣りは厳しくなるが、メバリング・カサゴ・ガシラのライトゲームが楽しい。舘山寺港堤防(ポイント1)の常夜灯周りがメインフィールド。北西の季節風が強い日は内浦湾内に逃げ込めば風裏で、ここが風の強い浜名湖エリアでは大きなアドバンテージになる。水温10℃を下回ると厳しくなるが、暖かい日の日中に日向の護岸で落ちハゼ(20cm級)を狙う「のんびり冬ハゼ釣り」も趣がある。
安全情報と注意事項
足場と安全対策
- ライフジャケット:大草山西側護岸は柵のない区間があるため必ず着用。内浦湾北岸は柵ありで比較的安全だが、小さな子供連れなら着用推奨
- テトラ帯:舘山寺港堤防外側のテトラは濡れると滑りやすい。スパイクシューズまたはフェルトスパイクを着用し、単独釣行の場合は特に慎重に
- 潮位変動:内浦湾奥は干満差が大きく、満潮時に護岸ギリギリまで水が来ることがある。荷物は高い位置に置くこと
- 日射・熱中症:護岸沿いは日陰が少ない。夏場は帽子・日焼け止め・水分を必ず持参
ルール・マナー
- 観光客への配慮:館山寺は観光地でもあるため、仕掛けの投入時は背後の歩行者に十分注意する。特にサンビーチ付近は夏場の遊泳客と重なるため、海水浴シーズン(7月中旬〜8月下旬)はサンビーチ前での投げ釣りは控えること
- ゴミ持ち帰り:コマセ(マキエ)の汁、仕掛けのパッケージ、ライン切れ端など全て持ち帰る。護岸を汚したまま帰ると釣り禁止区域が増える原因になる
- 駐車マナー:路上駐車は地域住民の迷惑になる。必ず指定の駐車場を利用すること
- 漁業権:浜名湖にはうなぎ・あさり等の漁業権が設定されている。釣り竿で釣る分には問題ないが、網やカゴでの採捕は禁止されている場合があるので注意
混雑状況の目安
- 平日:ほぼ貸切状態。どのポイントもゆったり釣りができる
- 休日:舘山寺港堤防は朝イチで5〜6組程度。内浦湾護岸は広いので混雑感はない
- GW・夏休み:観光客の増加に伴い駐車場が混む。釣り場自体の混雑より駐車場確保がネックになる。朝5時台の到着が確実
まとめ:館山寺エリアは「釣り+α」が楽しめる浜名湖の万能フィールド
館山寺・内浦湾エリアの最大の魅力は、釣りだけで終わらない一日が過ごせる点にある。朝マズメにクロダイやシーバスを狙い、日中はフラワーパークや遊覧船を楽しみ、夕方からハゼを釣って、締めに温泉で疲れを癒す。これほど釣り人にもその家族にも優しいフィールドは浜名湖でもなかなかない。
釣果面でも、内浦湾の穏やかなワンドから大草山西側の本湖向きポイントまで変化に富んでおり、初心者のハゼ・テナガエビ釣りからベテランのヘチ釣り・チニングまで幅広いレベルに対応できる。
次のアクションとして、まずは以下を準備してほしい:
- 潮見表アプリ(「潮汐なび」等)で大潮〜中潮の日を確認する
- エサ・仕掛けは浜松市内の釣具店(フィッシング遊、上州屋など)で事前購入
- ライフジャケットを必ず車に積んでおく
- 釣り帰りの温泉も候補を決めておくと一日の満足度が段違い
浜名湖の釣りスポットとして見落とされがちな館山寺エリアだが、一度足を運べばそのポテンシャルに驚くはずだ。観光地の賑わいの裏で、静かに竿を出す贅沢を味わってみてほしい。



