佐久間ダム湖とは?浜松市最奥部に眠る巨大リザーバーの全貌
浜松市天竜区佐久間町——浜松駅から車で約90分、国道152号(秋葉街道)をひたすら北上した先に、天竜川本流を堰き止めた全長約22kmの巨大リザーバー「佐久間ダム湖」が広がっている。1956年(昭和31年)に完成した佐久間ダムは堤高155.5m、当時東洋一を誇った重力式コンクリートダムで、その巨大な貯水池は現在も釣り人を引きつけてやまない。
秋葉ダム湖が天竜区の「中流リザーバー」なら、佐久間ダム湖は「奥座敷のリザーバー」だ。アクセスの遠さゆえにハイシーズンでも釣り人の姿はまばらで、プレッシャーの低さは遠州エリア随一。ブラックバス・ワカサギ・ヘラブナ・コイ・ニジマスといった淡水ターゲットが揃い、特にワカサギは県内屈指の穴場として知る人ぞ知る存在だ。
この記事では、佐久間ダム湖の主要釣りポイントをエリア別に徹底解説する。駐車場・トイレ・コンビニなどの周辺施設情報、季節ごとの狙い目、安全対策まで、初めて行く人がこの記事だけで釣行計画を立てられるレベルの情報を詰め込んだ。片道90分の価値があるかどうか——読めばきっと「行ってみたい」に変わるはずだ。
アクセス・駐車場・周辺施設情報
車でのアクセス(推奨)
佐久間ダム湖へのアクセスは車が基本。公共交通機関では現実的に釣行が難しいエリアだ。
| 出発地 | ルート | 所要時間 | 距離 |
|---|---|---|---|
| 浜松駅 | 国道152号(秋葉街道)北上→秋葉ダム経由 | 約90分 | 約75km |
| 浜松いなさIC | 国道257号→県道285号→国道473号→国道152号 | 約70分 | 約55km |
| 鳳来峡IC(三遠南信道) | 国道151号→県道1号→佐久間方面 | 約40分 | 約30km |
三遠南信自動車道の鳳来峡ICからアプローチするルートが実は最短。新東名の浜松いなさJCTから三遠南信道に入れば、浜松市街地からでも約80分で到着できる。国道152号は秋葉ダム〜佐久間間でカーブが連続する山道なので、運転に自信がない場合は三遠南信道ルートが断然おすすめだ。
主要駐車場
- 佐久間ダムサイト駐車場:ダム堤体のすぐ上、無料・約20台。トイレあり。ダム直下〜堤体周辺を攻めるならここ
- 佐久間B&G海洋センター駐車場:佐久間町中心部、無料・約30台。大千瀬川合流点へのアクセス良好
- 飯田線中部天竜駅周辺:駅前に数台分の駐車スペースあり。天竜川本流の佐久間ダム下流側を攻める場合に利用
- 夏焼集落付近の路肩:ダム湖上流部(大入川合流点方面)にアクセスする際のエントリーポイント。駐車スペースは限られるので通行の妨げにならないよう注意
周辺施設
- コンビニ:佐久間町中心部にはコンビニがない。最寄りは水窪方面のヤマザキショップ、もしくは三遠南信道・鳳来峡IC付近のファミリーマート。出発前に食料・飲料を必ず確保してから向かうこと
- トイレ:佐久間ダムサイト公園、佐久間B&G海洋センター、飯田線の各駅にあり
- ガソリンスタンド:佐久間町中心部に1軒(営業時間注意)。満タンで出発が鉄則
- 温泉:「佐久間温泉(休業中の場合あり、要事前確認)」。帰路に秋葉ダム方面なら「やすらぎの湯」が利用可能
- 携帯電話の電波:ダム湖畔の一部エリアでは電波が不安定。特にau・ソフトバンクは圏外になる場所があるため、ドコモ回線のモバイル端末があると安心
佐久間ダム湖で釣れる魚種と季節別カレンダー
| 魚種 | 1〜3月 | 4〜5月 | 6〜8月 | 9〜10月 | 11〜12月 |
|---|---|---|---|---|---|
| ブラックバス | △(深場でスロー) | ◎(スポーニング) | ○(サマーパターン) | ◎(秋の荒食い) | △(ディープ) |
| ワカサギ | ◎(最盛期) | △(産卵後) | × | △(回復期) | ◎(シーズンイン) |
| ヘラブナ | △ | ◎(乗っ込み) | ○ | ○ | △ |
| コイ | △ | ◎(産卵前の荒食い) | ○ | ○ | △ |
| ニジマス | ○(放流後) | ○ | △(水温上昇) | △ | ○(放流次第) |
| ウグイ・オイカワ | △ | ○ | ◎ | ○ | △ |
特筆すべきはワカサギ。佐久間ダム湖は水深が深く(最深部50m以上)、冬場でも水温が安定しているため、11月〜2月にかけて良型のワカサギが釣れる。ボートがなくても岸からの延べ竿で狙えるポイントがあるのが佐久間ダム湖の強みだ。
ブラックバスは40cmアップの実績もあり、リザーバー特有のストラクチャーパターンが効く。秋葉ダム湖と比べてフィッシングプレッシャーが圧倒的に低いため、教科書通りのアプローチが素直に効くのが嬉しい。
エリア別・釣りポイント徹底攻略
①佐久間ダム堤体直下エリア
ダム堤体の直下は放水による流れが生まれ、酸素量が豊富なエリア。ニジマスやウグイが年間を通じて居着いており、冬場の放流時期にはルアー・フライ・エサ釣りでニジマスが狙える。
- おすすめの釣り方:スプーン3〜5g(ダイワ・チヌークS、スミス・ピュア)のキャスト&リトリーブ、またはブドウ虫のウキ釣り
- 足場:コンクリート護岸で比較的安定。ただし放水時は水位が急変するため、水際に立ちすぎないこと
- 駐車場:ダムサイト駐車場から徒歩5分
- 注意:放水サイレンが鳴ったら即座に水際から離れること。ダム放水時の水位上昇は驚くほど速い
②佐久間ダム湖・ダムサイト〜中部天竜エリア(ダム湖下流部)
ダム堤体のすぐ上流からダム湖が始まる。このエリアは水深が最も深く、冬場のワカサギポイントとして実績が高い。湖岸沿いにわずかに足場のあるスポットが点在する。
- 狙える魚種:ワカサギ(11〜2月)、ブラックバス(通年)、ヘラブナ(4〜10月)
- ワカサギのコツ:水深15〜25mのボトム付近に群れていることが多い。延べ竿(5.4m前後)に袖針1〜1.5号の5本針仕掛け、エサはアカムシまたはサシ。魚群探知機があればベストだが、なくてもアタリが途切れたらこまめに棚を探り直す
- バスのコツ:ダム堤体のコンクリート壁際はシェードとストラクチャーを兼ねる一級ポイント。ダウンショットリグ(3.5〜5gシンカー)でボトムをネチネチ攻めるのが定石。ワームはゲーリーヤマモト・カットテール4インチのグリーンパンプキンが鉄板
- 足場:切り立った岩盤が多く、エントリーできるポイントは限られる。無理な斜面降りは絶対に禁止
③大千瀬川合流点エリア
佐久間町の中心部で天竜川本流(ダム湖)に大千瀬川が合流する。この合流点は流れ込みによるベイトの供給があり、佐久間ダム湖で最も魚種が豊富なエリアと言っていい。
- 狙える魚種:ブラックバス、コイ、ヘラブナ、ウグイ、オイカワ、ニジマス(放流時)
- バスの実績:春のスポーニング期(4月中旬〜5月)に大千瀬川の流れ込みのフラットにバスが差してくる。スピナーベイト(1/4oz、ホワイトチャート)のスローロールが効果的
- ヘラブナ:合流点のワンド状の溜まりに4月〜5月の乗っ込み期に集まる。竿は15〜18尺、底釣り・両グルテンが基本
- 駐車場:佐久間B&G海洋センター駐車場を利用。合流点まで徒歩10分
- 足場:河川敷に降りられるポイントがあり、足場は比較的良好。ただし増水時は河原が水没するため、前日の降雨状況を必ず確認
④大入川合流点エリア(ダム湖上流部)
ダム湖の中〜上流部、愛知県境に近い大入川(おおにゅうがわ)の合流点。秘境感が強く、釣り人に出会うことは稀。その分、スレていない魚が相手になる贅沢なエリアだ。
- 狙える魚種:ブラックバス、コイ、ウグイ
- バスの攻め方:流れ込みの両岸にある倒木・岩盤のエグレがメインターゲット。ノーシンカーワッキーリグ(OSP・ドライブクローラー4.5インチ)を倒木の際にフォールさせるのが効果的。プレッシャーが低いのでトップウォーターへの反応も良い——朝マヅメにポッパー(メガバス・ポップX)を流れ込みのヨレに投げれば、水面爆発のバイトが期待できる
- アクセス:県道288号から夏焼集落方面へ。道幅が狭いため対向車に注意。駐車は路肩の広くなった部分を利用(2〜3台分)
- 注意:このエリアは完全に山中。クマ・イノシシの出没地帯でもあるため、熊鈴の携行を強く推奨。単独釣行は避け、携帯の電波が通じるか事前に確認しておくこと
⑤天竜川本流・ダム湖上流端(水窪川合流〜バックウォーター)
ダム湖の最上流端、天竜川本流がダム湖に流れ込むバックウォーターエリア。水窪方面から国道152号沿いにアクセスできる。流れが残っているため、止水のダム湖本体とは異なる釣りが楽しめる。
- 狙える魚種:ウグイ、オイカワ(夏季)、コイ、ニジマス(放流があれば)
- おすすめの釣り方:延べ竿(3.6〜4.5m)にミャク釣り仕掛け、エサはアカムシ・川虫。流れの中のウグイ・オイカワは引きが強く、ライトタックルで楽しい
- ロケーション:水窪川合流点の水窪ダム記念碑付近に駐車スペースあり。バックウォーター特有の澄んだ水と山深い渓谷美は、釣り以外にも価値がある
- 足場:河原に降りられるが、石が大きく足場は不安定。ウェーダーまでは不要だが、フェルトソールのシューズは必須
佐久間ダム湖の釣りに必要な遊漁券・ルール
遊漁券情報
佐久間ダム湖での釣りは、対象魚種によって遊漁券の要否が変わる。
| 対象魚種 | 遊漁券 | 管轄漁協 | 日券料金(目安) |
|---|---|---|---|
| アユ・アマゴ・ニジマス | 必要 | 天竜川漁業協同組合 | 日券2,000円前後 |
| ブラックバス・コイ・フナ | 不要(特定外来生物法に基づくリリース制限に注意) | — | — |
| ワカサギ | 確認推奨 | 天竜川漁業協同組合 | 要問い合わせ |
遊漁券は天竜川漁協の公式サイト、または佐久間町内の取扱店で購入可能。現地での購入が難しい場合もあるため、事前にオンラインまたは電話で確認・購入しておくのが無難だ。なお、ブラックバスについては静岡県の条例により、釣ったバスの生きたままの移動(リリースではなく他水域への持ち出し)は禁止されている。
ローカルルール・マナー
- ダム湖畔の道路は地域住民の生活道路でもある。路上駐車で通行を妨げない
- ゴミの持ち帰りは絶対。山間部のため清掃が行き届かず、一度散らかると回復に時間がかかる
- 漁船・養殖施設の近くでの釣りは控える
- ダムの管理用通路・立入禁止区域には絶対に入らない。安全柵を乗り越える行為は違法
- 夜間のダム湖畔は街灯がほぼなく、転落のリスクが極めて高い。日没前に撤収を徹底すること
季節別おすすめ攻略パターン
春(3月下旬〜5月):スポーニングバス&乗っ込みヘラブナ
佐久間ダム湖の春は街中より2〜3週間遅い。桜が咲く4月中旬頃から水温が10℃を超え始め、バスがシャローに差してくる。大千瀬川合流点のフラットエリアにスポーニングベッドが形成されるのが4月下旬〜5月上旬。サイトフィッシングで50cmクラスのメスバスが狙えるポテンシャルがある。
ヘラブナも同時期に浅場に乗っ込んでくる。ワンド奥の水深1.5〜2mにあるハードボトムが狙い目。底釣り両グルテンで、エサの硬さを「やや硬め・小さめ」にして待つのがこのダム湖のヘラ攻略のコツ。水が澄んでいるため大きなエサは警戒される。
夏(6月〜8月):サマーパターンのバス&小物釣り
夏場はバスがディープに落ちる。水深8〜12mの岩盤沿いにサスペンドするパターンが多く、メタルバイブ(7〜10g)のリフト&フォールやヘビーダウンショットが有効。朝夕のマヅメ時のみシャローカバーに差してくるので、トップウォーター(バズベイト、ペンシルベイト)の出番もある。
大千瀬川やバックウォーターでは、オイカワ・ウグイの延べ竿釣りが家族連れでも楽しめる。川虫(ヒラタ・キンパク)を現地で採取してのミャク釣りは、子どもの釣り入門に最適だ。
秋(9月〜11月):バスの荒食い&ワカサギ開幕
秋は佐久間ダム湖のベストシーズンと言い切っていい。9月後半から水温が下がり始めると、バスがベイトフィッシュ(主にワカサギの稚魚・オイカワ)を追って中層〜シャローを回遊する。巻き物(クランクベイト・スピナーベイト)への反応が最も良い季節で、数もサイズも期待できる。
11月に入るとワカサギ釣りが本格スタート。ダム湖下流部の水深15〜25mラインで、多い日には束釣り(100匹超え)の実績もある。佐久間ダム湖のワカサギは平均サイズが8〜10cmと良型揃い。天ぷらにすると最高だ。
冬(12月〜2月):ワカサギ最盛期&忍耐のバスフィッシング
冬の主役は完全にワカサギ。水温が8℃を下回る厳寒期でもダム湖の深場は水温が安定しており、ワカサギの活性は維持される。防寒対策を万全にして、ダムサイト周辺の深場ポイントで粘れば、2〜3時間で50〜80匹の釣果も十分に可能だ。
バスフィッシングは上級者向け。水深10m以上のディープで、メタルジグ(5〜7g)のリフト&フォールやジグヘッドワッキーの超スローフォールで1本を絞り出す修行の釣りになる。ただし、釣れればコンディション抜群の越冬バスが相手——寒さに耐えた分の価値はある。
安全対策・注意事項(必読)
佐久間ダム湖は街中の釣り場とは根本的にリスクのレベルが違う。以下の注意事項は「推奨」ではなく「必須」として守ってほしい。
ダム特有のリスク
- 急な水位変動:発電用の放水により、予告なく水位が数メートル変動することがある。水際に荷物を置かない、足元の水位変化に常に注意を払う
- 放水サイレン:サイレンが鳴ったら即座に高台へ退避。放水開始から水位上昇まで数分しかない場合がある
- 急深地形:ダム湖の岸は急斜面が多く、足を滑らせると深みに落ちる。ライフジャケットの着用を強く推奨
山間部特有のリスク
- 野生動物:ツキノワグマ・イノシシ・ニホンザルの生息域。熊鈴・ホイッスルを携行し、薄暗い時間帯の山中行動は避ける
- 携帯電話の電波:ダム湖畔の多くのポイントで圏外になる。万が一の際に連絡が取れないリスクを認識し、同行者を確保するか、少なくとも釣行先と帰宅予定時刻を家族に伝えておく
- 天候急変:山間部は天候の変化が激しい。雷雲が近づいたら即撤退。雨天時はダム湖への流入量が増え、水位上昇が加速するため、特に注意が必要
- 道路事情:アクセス道路は落石・路肩崩壊のリスクがある。大雨の後は通行止めになることも多いため、出発前に静岡県の道路情報を確認すること
持ち物チェックリスト
- ライフジャケット(自動膨張式またはフローティングベスト)
- フェルトソールシューズ(スニーカー不可)
- 熊鈴・ホイッスル
- ヘッドライト(予備電池も)
- 食料・飲料水(現地調達不可のため多めに)
- 携帯バッテリー・モバイルバッテリー
- 救急セット(絆創膏・消毒液・虫よけ・ポイズンリムーバー)
- 防寒着(夏でも朝夕はダム湖畔は冷える)
- ゴミ袋(必ず持ち帰り)
混雑状況とベストタイミング
佐久間ダム湖の最大の魅力は「人がいない」こと。浜名湖や遠州灘サーフのような混雑とは無縁だ。
| 時期 | 混雑度 | 備考 |
|---|---|---|
| 平日通年 | ★☆☆☆☆ | 貸切状態がほとんど |
| 土日(春・秋) | ★★☆☆☆ | バスアングラーが数組いる程度 |
| GW・紅葉シーズン | ★★★☆☆ | 観光客が増えるが釣り場への影響は軽微 |
| ワカサギ最盛期(12〜1月の土日) | ★★☆☆☆ | 常連の地元釣り師が数名 |
正直、「混雑」と呼べる状況にはまずならない。平日なら高確率で誰にも会わない。逆に言えば、トラブル時に助けを求められる人が周囲にいない可能性も高い。繰り返しになるが、単独釣行は極力避けること。
ベストタイミングは10月中旬〜11月上旬。気温は日中15〜20℃で快適、バスの活性は秋の最高潮、ワカサギも釣れ始め、紅葉のロケーションまで楽しめる。片道90分のドライブも紅葉狩りを兼ねれば苦にならない。
まとめ:佐久間ダム湖は「遠さ」が最大の武器
佐久間ダム湖は、正直に言えば「気軽に行ける釣り場」ではない。浜松市街地から90分、コンビニもない山奥、携帯の電波も怪しい。浜名湖や遠州灘サーフと比べれば、アクセスのハードルは段違いに高い。
しかし、その「遠さ」こそが佐久間ダム湖の最大の武器だ。フィッシングプレッシャーの低さは遠州エリアで他に類を見ない。素直にルアーに反応するバス、県内屈指の穴場ワカサギ、山奥の渓谷に囲まれた圧倒的なロケーション——都市型の釣りでは味わえない「釣り本来の楽しさ」がここにはある。
次の休日、いつもの浜名湖とは趣向を変えて、佐久間ダム湖まで足を延ばしてみてはどうだろう。釣果以上に、「こんな場所が浜松市内にあったのか」という驚きが待っているはずだ。
釣行前の最終チェック
- 天気予報・道路情報を確認(国道152号の通行規制に注意)
- 遊漁券の要否を天竜川漁協に確認
- 食料・飲料を多めに購入(現地調達不可)
- ガソリン満タン
- 同行者の確保、または家族への行き先連絡
- ライフジャケット・熊鈴・ヘッドライトを忘れずに



