結論を先に3行で
1. 迷ったら15号(56g)。水深と潮の速さの2軸で決められる9マス早見表を用意しました(当サイトが遊漁船の公表仕掛けとメーカー公式スペックから整理した目安です)。
2. 鉛スッテの「号」は重さの単位で、1号=3.75g。15号=56g、20号=75g、25号=94gの3点だけ覚えれば、グラム表記の製品でもその場で換算できます。
3. ただし相場は海域で違います。若狭湾方面は8〜25号、山陰方面は20〜30号あたりが、遊漁船の仕掛け案内でよく見る幅です。最終的には予約時に船宿へ確認するのが最短です。
イカメタルの道具立てで、初日にいちばん外しやすいのがスッテの号数です。ロッドもリールも借りられる船は多いのに、スッテだけは自分で買っていく前提の船宿がほとんどで、しかも売り場には10号から40号までが同じ棚に並んでいます。ここで軽すぎるものを選ぶと、指示されたタナに届く前に潮に流されて、船中で自分だけアタリが出ない夜になります。逆に重すぎると、触っているのに乗らない、抱いてすぐ離す、という一晩を過ごすことになります。
この記事は「何号を買えばいいか」だけに絞って、水深と潮の速さで一発で決められる早見表を用意しました。あわせて、号数とグラムの換算、鉛スッテとドロッパーで意味が変わる「号」の二重体系、海域ごとの号数相場、タングステンを買うべき条件までをまとめます。数値はメーカー公式ページの公表スペックと、各地の遊漁船が公開している仕掛け案内をもとに整理しています。
結論|迷ったら15号。水深×潮の9マス早見表
まず、スッテの号数を決める変数は基本的に2つだけです。水深と潮の速さです。この2つを3段階ずつに割ると9マスになり、そこに号数を当てはめれば一投目の判断は終わります。
| 水深 | 潮が緩い (ラインがほぼ真下に立つ) | 普通 (ラインがやや斜め) | 潮が速い (ラインが払って角度が戻らない) |
|---|---|---|---|
| 〜30m(浅場・接岸期) | 15号/56g | 15号/56g | 20号/75g |
| 30〜60m(標準レンジ) | 15号/56g | 20号/75g | 25号/94g |
| 60m超(深場・潮通しの良い場所) | 20号/75g | 25号/94g | 30号/約113g |
この9マスは、当サイト編集部が各地の遊漁船の公表仕掛けとメーカー公式のスッテ重量スペックを突き合わせて整理した目安であり、メーカーが公式に発表している水深別の号数基準ではありません。縦軸は「浅場/標準/深場」の3段階、横軸は潮が1段階速くなるごとにおおむね5号(約19g)上げる刻みです。ただし浅場は15号で足りる場面が多いため、表の左上2マスは同値にしてあります。船宿から号数の指定がある場合は、この表より指定を優先してください。
表の読み方と、外してはいけない前提
この9マスはあくまで初期値です。実際の海では次の3点が上書きします。
- 船宿の指定が最優先。 予約時や乗船時に「今日は25号で」と言われたら、その号数に合わせてください。理由は後述しますが、これは好みの問題ではなく、船中全員のオマツリと棚ズレに直結する物理の問題です。
- 浅場ではもっと軽い号数を使う船もある。 若狭湾方面では、釣れるレンジが10〜30mと浅い日に備えて鉛スッテ8〜15号も持参するよう案内する船があります。表の左上をさらに軽くする引き出しがある、と考えてください。
- 「潮の速さ」は釣り座と時間で変わる。 同じ船でも潮上と潮下では流され方が違い、日没直後と深夜でも変わります。9マスの上を1晩で2マスほど移動する前提で、隣接する号数を持っていくのが安全です。
最初に揃えるなら、15号・20号・25号を各2個ずつが現実的です。9マスのうち8マスはこの3種で埋まり、残る右下の「深場かつ速潮」の30号だけ、実際にその条件に当たってから買い足せば足ります。凪の浅場でさらに軽くしたい場合の8〜12号も、同じく後回しで構いません。
号数とグラムの換算早見表|1号=3.75gが唯一のルール
釣りの「号」は、尺貫法の重さの単位である1匁(もんめ)=3.75gに由来します。オモリでもスッテでも、重さを表す号数はすべてこの掛け算です。近年は「56g」のようにグラムだけを表記する製品も増えているため、換算できるかどうかで売り場での判断速度が変わります。
| 号数 | 計算値(号×3.75g) | 製品表記の例・使いどころ |
|---|---|---|
| 8号 | 30.0g | 浅場かつ凪の日の最軽量クラス。持参を案内する船宿あり |
| 10号 | 37.5g | 38gと表記されることが多い。浅場・低活性向け |
| 12号 | 45.0g | 15号では重い日の一段下 |
| 15号 | 56.25g | 56gと表記。標準の基準号数 |
| 20号 | 75.0g | 75gと表記。中深場・やや速潮の主力 |
| 25号 | 93.75g | 94gと表記。深場・速潮の主力 |
| 30号 | 112.5g | 約113g。水深80m級や速潮の日 |
| 35号 | 131.25g | 約131g。日本海の深場で使う船あり |
| 40号 | 150.0g | 市販の鉛スッテの上限クラス |
太字にした3つは、ダイワの高比重タングステン製スッテの公式スペックが、それぞれ15号=56g、20号=75g、25号=94gと公表している値です。計算値の56.25gが56g、93.75gが94gに丸められている点まで一致するので、1号=3.75gという原則がそのまま製品表記に載っていることが確認できます。
逆算も同じです。グラムしか書かれていない製品を号数に直したいときは、グラム数を3.75で割るだけです。60gなら16号相当、100gなら約27号相当、と当たりを付けられます。船宿が「20号で」と言っているのに手元の箱に75gとしか書かれていない、という場面はよくあるので、この割り算を覚えておくと迷いません。号数と重さの単位関係は船釣り全般で共通なので、船釣りのオモリは何号かを海域・釣り物別にまとめた記事でも同じ3.75gの計算で荷物の重量設計まで扱っています。
同じ「号」でも意味が違う|スッテは重さ、ドロッパーはサイズ
ここがイカメタルでいちばん事故になりやすいところです。仕掛けの上下で「号」の意味がまったく違います。
- 下に付ける鉛スッテ・メタルスッテの号=重さ。 15号なら56g、25号なら94g。前章の3.75g換算がそのまま効きます。
- 上に付けるドロッパー(浮きスッテ型・エギ型)の号=サイズ。 エギの号数表記を引き継いだ体系で、1.8号や2.5号といった数字は本体の大きさを表します。自重は別に定義されていて、3.75gの掛け算はまったく通用しません。
どのくらい違うのかを、ダイワの公式スペックで並べます。同じメーカー・同じイカメタル用ドロッパーでも、型が変われば「2.5号」の自重が変わることが分かります。
| 製品カテゴリ(ダイワ) | 号の意味 | 公表スペック |
|---|---|---|
| エメラルダス イカメタルスッテ TG(メタルスッテ) | 重さ | 15号=56g/20号=75g/25号=94g |
| エメラルダスイカメタルドロッパー TypeSQ(浮きスッテ型) | サイズ | F1.8=4g/F2.5=7g |
| エメラルダスドロッパーエギ(エギ型ドロッパー) | サイズ | 1.8号=5.0g/2.5号=8.0g(フォール8.0秒/m) |
| エメラルダスオモリグエギ(オモリグ用エギ) | サイズ | 2.5=10g(フォール6.5秒/m) |
注目してほしいのは最下段です。同じ「2.5号」でも、浮きスッテ型ドロッパーは7g、エギ型ドロッパーは8.0g、オモリグ専用エギは10gと、用途に応じて重さが振り分けられています。ネット上で「ドロッパー2.5号は約10g」と書かれているのを見かけますが、その10gはオモリグ用エギの値で、オバマリグ(メタルスッテ+ドロッパー)に付けるドロッパーエギの2.5号は8.0gです。号数だけで買うと、想定より2gも重いものを枝に付けてしまうことになります。
エギ側の号数がそもそも何を表す数字なのかは、陸っぱりのエギングと共通の体系です。号数とエギの大きさの対応関係はエギの号数2.5号・3.0号・3.5号の使い分けを早見表にした記事で対応表付きにまとめてあるので、数字の出どころを確認しておくと売り場で迷わなくなります。
船宿が示すドロッパーのサイズ幅
ダイワの現行ドロッパー製品は、浮きスッテ型のイカメタルドロッパーTypeSQがF1.8とF2.5、エギ型のドロッパーエギが1.8号と2.5号という、それぞれ2サイズ展開です。ダイワの現行ラインナップはこの2サイズで、他社製を含めれば3.0号クラスもあります。遊漁船側の案内も近い数字で、若狭湾方面は「浮きスッテまたはエギ2〜2.5号」、山陰方面は「エギ2.5〜3.0号」を挙げる船が多く見られます。山陰の方がわずかに大きめなのは、後述する号数相場の地域差と同じ方向です。
なぜ船中で号数を揃えるのか|オマツリと棚ズレの物理
「自分だけ軽くしたい」「自分だけ重くしたい」が通らない理由は、感情論ではなく物理です。
第一に沈下速度の差です。同じタイミングで投入しても、15号と30号ではタナに届くまでの時間が倍近く違います。船は潮と風で常に動いているので、沈む速度が違う仕掛けは水中で違う軌跡を描き、隣の人のラインと交差します。夜のイカ釣りは全員が船縁に並んで真下に落とす釣りなので、交差はそのままオマツリになります。ライトの下でオマツリをほどく10分は、時合いのど真ん中では致命的です。
第二に棚ズレです。イカメタルは船長が「45m」「38m」と指示ダナをアナウンスする釣りで、その指示は「標準的な号数で落としたときにそこに届く」ことを前提にしています。自分だけ軽ければ、リールのカウンターが45mを示していてもスッテは潮に押されて浅い層にあり、指示ダナを撃っていないことになります。カウンターの数字は道糸の放出量であって、スッテの深度ではありません。この差が広がると、船中で自分だけ乗らないという結果になります。
号数統一が効く仕組みは船釣り全般に共通で、沈下速度と流され方の違いがどうオマツリを生むかは船宿が号数を指定する理由をまとめた記事で物理から解説しています。イカメタルでも考え方はまったく同じです。
船宿指定「15〜20号」の読み方
指定が幅で示されているときは、次のように読むと外しません。
- 下限(15号)=凪・浅場・低活性の日の値。 ラインが真下に立ち、軽くしても棚に届く条件が揃ったときに使います。
- 上限(20号)=潮が動いた時間帯・深いポイントの値。 一晩のうちに潮が変わることを見込んで幅で案内されています。
- 幅の外を使いたいときは必ず船長に確認。 「今日は上まで浮いているので12号でもいい」と言われることもあれば、「全員25号で」と統一される日もあります。
あわせて、針数のルールも船宿ごとに決まっています。「ドロッパー1本、鉛スッテ1本の合計2本まで」と針数を制限し、2段ドロッパーを禁止している船があります。マイカのシーズン中は胴突き仕掛けを禁止し、イカメタルとオモリグのみとする船もあります。号数だけでなく、仕掛けの本数と種類も予約時の確認項目に入れてください。
海域で基準が違う|若狭・敦賀と山陰・玄界灘の相場差
同じイカメタルでも、通う海によって「標準」が5号から10号ずれます。以下は各海域の遊漁船が公開している仕掛け案内を総合して、当サイトが海域別の目安として整理したものです。船ごとに幅があるので、実際の号数は予約時に確認してください。
| 海域 | 鉛スッテの号数 | ライン・ドロッパーなど |
|---|---|---|
| 若狭湾・敦賀(福井県) | 8〜25号。20号をよく使用。レンジが10〜30mと浅い日に備えて8〜15号も持参 | PE0.4〜0.6号/リーダー3号/ドロッパーは浮きスッテまたはエギ2〜2.5号 |
| 山陰・境港(鳥取県) | 20〜30号。潮が緩ければ20号、普通で25号、速ければ30号 | PE0.6〜0.8号/フロロリーダー3〜4号(約1〜1.5m)/エギ2.5〜3.0号/枝ス5〜10cm |
| 玄界灘(福岡県) | 水深80m級のポイントではメタルスッテ30号クラス | 日没後にイカが浮いてからは水深45m前後が中心。シーズンはおおむね5〜12月 |
この差は「どちらが正しいか」ではなく、その海の水深と潮の強さがそのまま数字に出ていると読むのが正解です。若狭湾は接岸期に浅いレンジが成立しやすく軽い号数の出番があり、山陰や玄界灘は水深と潮のスケールが大きいぶん、標準が重い側に寄ります。
実務上の意味は明確です。遠征のときは、いつもの海の号数セットをそのまま持っていくと足りません。 若狭で20号を中心に組んでいる人が山陰へ行くなら30号を、山陰の25号中心の人が浅い海へ行くなら15号を、それぞれ買い足してから乗るべきです。号数は道具の好みではなく、その海の条件に対する答えです。
タングステンはいつ買うか|体積約30%減の価値と価格差の損益分岐
スッテには鉛製と、高比重のタングステン合金製(TG)があります。同じ号数ならどちらも重さは同じで、違うのは体積です。
ダイワはオモリグ用のタングステン合金製シンカーについて、鉛製比で体積が約30%減少すると公表しています。体積が3割減ると、寸法は各辺でおよそ1割小さくなる計算です。スッテはボディに布を巻いた構造なので全体が単純に1割縮むわけではありませんが、同じ重さでシルエットが確実に細くなることは、メーカー自身が「比重の高さから同じ重さならばより細く小さくすることができる」と説明しています。この差が効くのは、光に照らされてスレたイカが大きな影を嫌う場面です。
比重そのものは鉛が11.34、タングステンが19.3で、市販の合金製ルアーはその中間に位置します。同じ重さで体積がどれだけ縮むかという計算の考え方は、メタルジグのタングステンと鉛を比重と価格差で比較した記事で数字を追って説明しているので、素材選びの基準を作りたい方はそちらもどうぞ。
価格差はおよそ3倍。買うべき3条件
ダイワの現行ラインナップで比べると、鉛製のメタルスッテは15〜40号の展開でメーカー希望本体価格1,150〜1,400円(税抜)、タングステン製のイカメタルスッテTGは15〜25号の展開で3,400〜4,400円(税抜)です。号数をまたいで引き算すると差額を見誤るので、同じ号数どうしで比べて1個あたりおよそ2,250〜3,150円の差と押さえてください。内訳は15号が3,400円対1,150円で2,250円、20号が3,900円対1,200円で2,700円、25号が4,400円対1,250円で3,150円です。
イカメタルは底を叩き続ける釣りではないため、根掛かりロストの頻度は投げ釣りや根魚狙いほど高くありません。それでも高切れや不意の根掛かりはあるので、価格差3倍を回収できる場面かどうかで判断します。買う価値が出るのは次の3条件のどれかに当てはまるときです。
- 潮が速く、鉛の同号数では指示ダナに届かない。 号数を上げるとシルエットが大きくなって嫌われる、というジレンマをTGなら解けます。
- 水深60m前後までで、25号以内の号数のまま誘いと回収の抵抗を減らしたい。 体積が小さいぶん引き抵抗が減り、一晩の疲労が変わります。
- スレイカで、シルエットを落とさないと乗らない。 号数を落とせない条件でサイズだけ落とす、という選択肢はTGにしかありません。
3条件が水深60m前後までに寄っているのには理由があります。ダイワのタングステン製イカメタルスッテTGは15号・20号・25号の3サイズ展開で、30号はラインナップされていません。水深80m級で30号が標準になる海域は、そもそもTGの守備範囲外だと考えてください。売り場でTGの30号を探しても見つかりません。TGは「軽い号数のままシルエットを落とす」ための道具であって、重い号数の置き換えではない、と整理しておくと買い物を間違えません。
逆に、初めての1〜2回や、凪の浅場が中心の海域なら、鉛の号数を3種類揃えるほうが投資効率は上です。同じ予算でTG1個を買うより、鉛の15号・20号・25号を2個ずつ揃えたほうが対応できる状況が広がります。
ドロッパー側の重さとサイズ配分|4〜8gで組み立てる
スッテの号数が決まったら、上に付けるドロッパーを合わせます。前述のとおりドロッパーの号数はサイズの体系なので、重さは公表スペックを見て把握します。ダイワの公式値では、浮きスッテ型がF1.8で4g・F2.5で7g、エギ型が1.8号で5.0g・2.5号で8.0gです。スッテが56〜113gなのに対し、ドロッパーは4〜8gと1桁小さいというのが、この仕掛けの基本的な重量バランスです。
この差があるからこそ、ドロッパーはスッテに引かれて沈みながらも、フォールでは遅れて漂い、ステイでは水平に近い姿勢を保ちます。スッテの号数を上げれば仕掛け全体の沈下は速くなり、ドロッパーはより強く引かれます。逆に緩い潮で軽い号数にすれば、ドロッパーがゆっくり見せられます。
号数を上げた夜のドロッパーの考え方
あくまで組み立ての考え方ですが、次のように整理しておくと迷いが減ります。
- スッテを重くした夜は、ドロッパーを小さめ(1.8号クラス)に。 引かれ方が強くなるぶん、大きく重いドロッパーは不自然に暴れやすく、枝ス絡みも増えます。
- 凪で軽い号数の夜は、ドロッパーを2.5号クラスに。 見せる時間を長く取れる条件なので、シルエットで主張する側に振れます。
- 枝スの長さは船宿の公表値に合わせる。 山陰方面では枝ス5〜10cmを標準とする船が多く見られます。長すぎると絡み、短すぎると動きが死にます。
ドロッパーそのものを浮きスッテ型にするかエギ型にするかは、号数とは別の判断軸です。姿勢と潮への強さが違うので、イカメタルのドロッパーをエギと浮きスッテのどちらにするか潮速で選ぶ記事で、それぞれの正体と潮速による比較を扱っています。号数を決めたあとの2手目として読むと噛み合います。
号数を上げる・下げるサインと、号数で解決しない夜
9マスで決めた初期値は、一晩のうちに何度か調整することになります。判断材料は穂先とラインの角度です。
号数を上げるサイン
- 指示ダナまでの到達が明らかに遅い。カウンターの数字は進むのに、着底やタナ入りの感触が出ない。
- ラインが斜めに払ったまま、待っても角度が戻らない。
- 隣の人より自分の仕掛けだけ先に船下から出ていく。周囲より軽い証拠です。
- 誘いのたびにスッテが浮き上がってしまい、狙ったレンジに留められない。
号数を下げるサイン
- 触りは頻繁に出るのに乗らない、抱いてもすぐ離す。イカがスッテの重さに違和感を持っている可能性があります。
- 凪でラインが完全に真下へ立ちきっている。重さが余っている状態です。
- 穂先が自重で曲がりきってしまい、押さえ込みも抜けアタリも見えない。
号数を変えても解決しない夜の見分け方
号数調整で直らない不調には、原因が別のところにある場合があります。
二枚潮は代表例です。表層と底層で流れの向きや速さが違うと、スッテを重くしても道糸の途中が膨らみ、糸フケが消えません。号数を2段階上げても角度が変わらないなら、それはウエイト不足ではなく潮の構造の問題です。この場合は、船長の流し方に合わせてキャストして角度を作る、道糸を細くして潮受けを減らす、といった対処に切り替えます。イカメタルの道糸はPE0.6〜0.8号が基本で、0.4〜0.5号まで細くする場合はリーダーも2〜2.5号に落としてバランスを取ります。前述のとおり船宿の案内にも、PE0.4〜0.6号を挙げるところと0.6〜0.8号を挙げるところがあり、幅があります。細くすれば潮の影響は減りますが、強度と根ズレ耐性は落ちるので、船宿の指定がある場合はそちらを優先してください。
タナのズレとカラーも号数では解決しません。カラーは、明るい色・暗い色・中間色を軸に数色そろえておくと対応しやすくなります。船の集魚灯は種類によって水中での色の見え方が変わるため、同じ色でも船が変われば効き方が変わる、というのが当サイトの見方です。号数を触る前に、指示ダナの上下5mを丁寧に探ることと、カラーを1回転させることを先にやるほうが早い夜もあります。
夜の船釣りなので、安全装備は号数より先
イカメタルは日没前後に出船して深夜まで続く釣りです。装備の優先順位は、スッテの号数より安全装備が上です。
- ライフジャケットは桜マーク付きを。 国土交通省は平成30年2月から、小型船舶の船長に対し、原則として船室外のすべての乗船者へ国の安全基準に適合したライフジャケットを着用させる義務を課しています。違反した船長には違反点数2点が付き、再教育講習の受講が必要になります。基準適合品には型式承認試験と検定に合格した印である桜マークが付いているので、購入時はこのマークの有無で判別できます。
- ヘッドライトは必携。 仕掛けの結び替えやイカの取り込みで手元を照らします。集魚灯の下では周囲の目を潰さないよう、必要なときだけ点け、他の釣り人や船長の顔に向けないのがマナーです。
- 防寒と滑りにくい靴。 秋の夜の海上は陸より体感温度が下がります。イカ墨と海水で濡れた甲板は滑るので、靴底にも気を配ってください。
まとめ|号数は「その海の条件に対する答え」
最後にもう一度、判断の順序をまとめます。
- 船宿の指定を確認する。 指定があれば、それが最終的な答えです。針数のルールと禁止仕掛けもあわせて聞きます。
- 指定がなければ9マスで決める。 水深と潮の速さで15号・20号・25号・30号のどれかに落とし込みます。迷ったら15号(56g)から。
- グラム表記は3.75で割る。 56gなら15号、75gなら20号、94gなら25号です。
- ドロッパーは号数ではなく重さで合わせる。 4〜8gの範囲で、スッテの号数を上げた夜は小さめに振ります。
- 2段階上げても角度が戻らないなら、原因は号数ではない。 二枚潮・タナ・カラーを疑い、船長に聞きます。
号数選びは、突き詰めれば「今夜のこの海で、指示されたタナに、イカが嫌がらない大きさで届けられるか」という一点に集約されます。数字の意味と海域ごとの相場さえ押さえておけば、初めて乗る船でも一投目から戦えます。秋シーズンの一杯目を取りに行く前に、手持ちのスッテを号数順に並べ直して、足りないマスを埋めておいてください。



