浜名湖のウナギ——日本一のウナギの産地として名高い浜名湖で釣れた(または地元で購入した)天然ウナギを自分で料理する体験は、釣り人・食いしん坊にとって最高の幸せです。「うな重・白焼き・ひつまぶし・う巻き」——浜名湖のウナギを余すことなく楽しむための完全レシピガイドをお届けします。
浜名湖・天竜川のウナギについて知る
なぜ浜名湖のウナギは有名なのか
浜名湖は日本のウナギ養殖の発祥地として知られており、明治期からウナギの養殖が盛んです。現在の「浜名湖産ウナギ」は養殖が中心ですが、浜名湖・天竜川には天然のニホンウナギも生息しており、夜釣りのちょい投げ(アオイソメやドジョウをエサにした底釣り)で釣ることができます。
浜名湖のウナギが特においしいとされる理由:
- 汽水域の豊かな餌:浜名湖はエビ・カニ・小魚・ゴカイなど、ウナギの好む生餌が豊富
- 温暖な気候:浜松・湖西の温暖な気候で一年中成長できる
- 水質管理:現代の養殖技術と清潔な水源(天竜川水系の伏流水)が高品質なウナギを育てる
天然ウナギを釣りたい方へ
浜名湖・天竜川の天然ウナギを釣る場合、漁業権の確認が必須です。浜名湖のウナギは浜名湖漁業協同組合が漁業権を持っており、遊漁(釣り)が禁止されている区域があります。天竜川でもアユ・ウナギについては漁業権が設定されています。釣行前に必ず地元漁協・釣具店に現在のルールを確認してから釣りを行ってください。
釣り方(確認後に実施する場合):
- 夜間のちょい投げ釣り(19時〜深夜が主な時間帯)
- エサ:アオイソメ・ミミズ・ドジョウ(大きめのエサが◎)
- 仕掛け:ちょい投げ仕掛け(丸セイゴ針12〜15号)を底近くに流す
- アタリは「ゆっくり引っ張られる感覚」。スゥっと持っていかれたら合わせを入れる
ウナギの下処理:「生きているウナギをさばく」技術
ウナギのぬめり取り
ウナギは全身がぬめり(粘液)に覆われており、このぬめりを取るのが最初のステップです。
- ウナギをまな板に置き、塩を大量にふりかけてよくこすり洗い。これでぬめりのほとんどが取れる
- 流水でぬめりを洗い流す。2〜3回繰り返すとほぼ取れる
- タオルでウナギを包んでしっかり掴めるようにする(ぬめりが残っていると滑って危険)
活け締め・神経締め
生きているウナギを料理する場合、先に締めます。
- 目打ち(または太い釘)をまな板に打ち込み、ウナギの頭を目打ちに刺して固定
- 頭の後ろ(延髄付近)にナイフを素早く差し込んで即死させる
- 包丁の背でウナギをしごいて血を絞り出す(血抜き)。ウナギの血は生で摂取すると有毒なため、血が残っていないか確認
ウナギのさばき方(背開き・腹開き)
関東式は「背開き(背中から開く)」、関西式は「腹開き(腹から開く)」です。家庭では背開きの方が一般的です。
背開き(関東式)
- 目打ちでウナギの頭を固定
- 背骨に沿って(皮を切らないように)包丁を入れ、頭から尾に向かって開く
- 中骨(背骨)を取り除く:背骨に包丁を沿わせて身を外す
- 頭を切り落とし、必要に応じて皮目に細かく切り込みを入れる(焼いた時に身が反り返るのを防ぐ)
うな重(蒲焼き)の作り方
蒲焼きダレのレシピ
うな重の命はタレです。市販品も便利ですが、自家製タレで焼いたウナギは格別の美味しさです。
材料(ウナギ2尾分)
- 醤油:100ml
- みりん:100ml
- 酒:50ml
- 砂糖:大さじ2
タレの作り方
- 鍋に全材料を入れて中火にかける
- 沸騰したら弱火にして、とろみがつくまで煮詰める(10〜15分)
- 冷めると更に濃くなるので、少しシャバシャバな状態でとめる
蒲焼きの手順(焼き方)
プロのうなぎ屋は「白焼き→蒸す→再び焼いてタレをつける」という工程を踏みますが、家庭では簡略化した方法でも十分おいしく作れます。
家庭版蒲焼き(フライパン使用)
- さばいたウナギを適当な大きさに切る(うな重用は大きめ)
- フライパンに油を薄く敷き、皮目を下にして中火で3〜4分焼く
- ひっくり返して身側も2〜3分焼く
- 一度取り出し、フライパンを軽く拭いてタレを大さじ2〜3入れる
- ウナギを戻してタレを絡めながら1〜2分焼く
- 炊きたてのご飯の上に盛り付け、残ったタレをかける
本格蒲焼き(グリル使用)
- ウナギを串に刺して(竹串3〜4本)固定。串を刺すことで均一に火が通る
- グリルで皮目から焼く(中火で7〜8分)。白焼きの状態にする
- 白焼きにしたウナギを蒸し器で10〜15分蒸す(この工程でふっくら仕上がる)
- 再びグリルで焼きながら、タレを2〜3回塗り重ねる(合計3〜4回)
- タレが乾いてカラメルのように固まったら完成
白焼き(プロが秘密にしたがるシンプル最強料理)
白焼きはタレなしでウナギを塩のみで焼く料理です。ウナギ本来の脂と旨みが最もダイレクトに感じられる食べ方で、「浜名湖産の天然ウナギの白焼き」は高級割烹でも最高の一品として供されます。
白焼きの作り方
- さばいたウナギ(皮目に細かい切り込みを入れる)に薄く塩をふる
- グリルまたは炭火で皮目から焼く。中火でじっくり10分かけてゆっくり焼く
- 皮がパリッとし、ウナギの脂がジュワッとにじみ出てきたら完成のサイン
- わさび醤油・塩・ポン酢など好みで食べる。わさびとの相性が特に抜群
ひつまぶし(名古屋スタイルで浜名湖ウナギを楽しむ)
ひつまぶしは名古屋が発祥のウナギ料理ですが、浜名湖のウナギでも絶品です。一膳目はそのまま、二膳目は薬味(わさび・ネギ)と一緒に、三膳目はお茶漬けで——三通りの食べ方が楽しめます。
材料(2人分)
- 蒲焼き:ウナギ1〜1.5尾分(細かく刻む)
- ご飯:2合(固めに炊く)
- 薬味:わさび・刻みネギ・刻み海苔・山椒
- だし汁(お茶漬け用):だし400ml+塩少々(または番茶・昆布茶)
作り方
- 蒲焼きを1cm幅に細かく刻み、タレを少し絡める
- ご飯をお重(おひつ)や深めの器によそい、刻んだウナギをたっぷりのせる
- まず1/4はそのまま食べる(ウナギ本来の味を楽しむ)
- 次の1/4はわさび・ネギ・海苔を混ぜて食べる
- 残り1/2に熱いだし汁(またはお茶)を注いでお茶漬けにして食べる
う巻き(ウナギの卵焼き)
う巻きはウナギを芯にした卵焼きで、うなぎ屋の定番サイドメニューです。甘い出し巻き卵と蒲焼きの香りが見事にマッチした一品です。
材料(2人分)
- 蒲焼き:1/2尾
- 卵:4個
- だし汁:大さじ4
- 砂糖:大さじ1
- 薄口醤油:小さじ1
- みりん:大さじ1
作り方
- 卵・だし汁・砂糖・薄口醤油・みりんを合わせてよく混ぜる(だし巻き液)
- 卵焼き器に油を熱し、だし巻き液の1/3を流し入れる。半熟になったら蒲焼きを芯に置く
- 蒲焼きを巻き込みながら奥側に転がし、残りのだし巻き液を2〜3回に分けて加えながら巻き上げる
- 巻きすで形を整え、粗熱が取れたら切り分ける
浜名湖ウナギの旬と入手方法
天然ウナギの旬
天然ニホンウナギの旬は「秋(9〜11月)」です。冬の越冬に備えて脂を蓄えた秋ウナギは、栄養価・旨みともに年間で最高水準です。「土用の丑の日(7月末〜8月初旬)」はウナギの消費のピークですが、実は旬は秋です。天然ウナギが手に入る機会があれば秋を狙うと最高品質のものが食べられます。
浜名湖産ウナギの購入先
- 浜名湖のうなぎ店:弁天島・浜名湖周辺には老舗のうなぎ屋が多数。「うな豊」「松月」「うなぎ蒲焼 たかべ」など地元に愛される名店で、地元産の浜名湖養殖ウナギが食べられる
- 浜名湖漁協直売所:新鮮な浜名湖産のウナギが直接購入できる場合がある
- 地元スーパー(地物コーナー):浜松市内のスーパーには浜名湖産ウナギが並ぶことがある
まとめ:浜名湖のウナギは日本の食文化の宝
浜名湖のウナギは日本の食文化の象徴的な存在です。釣りとウナギ料理という二重の喜びを体験できる浜名湖・天竜川エリアは、釣り人・食いしん坊にとって特別な場所です。
自分で釣ったウナギを蒲焼きにして食べる体験——それは最高の贅沢ではないでしょうか。ルールとマナーを守りながら、浜名湖の恵みに感謝して「いただきます」と言う一瞬を、ぜひ体験してください。



