都田ダム(いなさ湖)とは?浜名湖の喧騒を離れた山上の穴場フィールド
浜名湖の釣りポイントはほぼ開拓し尽くした——そう思っている浜松アングラーにこそ知ってほしいのが、都田ダム(いなさ湖)だ。浜松市北区引佐町(旧引佐郡)、都田川の上流域に位置するこの多目的ダム湖は、標高約120mの山あいに静かな水面を広げている。浜名湖中心部から車でわずか30〜40分。にもかかわらず、週末でも釣り人が少なく、自分だけのポイントでじっくり竿を出せる贅沢がある。
ダム湖としての規模は堤高55m・堤頂長174m・総貯水量730万㎥。バックウォーターから堰堤直下まで、ブラックバス・ヘラブナ・コイ・ウグイ・オイカワ、そして冬季にはニジマスの放流イベントも行われる多魚種フィールドだ。この記事では、初めて都田ダムに行く人でも迷わないよう、アクセス・駐車場・ポイント別攻略・季節パターン・安全対策まですべてを詰め込んだ。
アクセス方法と駐車場情報
車でのアクセス(推奨)
公共交通機関ではアクセスが難しいため、車が実質必須のフィールドだ。主要ルートは以下の通り。
| 出発地 | ルート | 所要時間 | 距離 |
|---|---|---|---|
| 浜松駅 | 国道257号→県道303号→都田ダム方面 | 約40分 | 約25km |
| 浜松西IC | 県道65号北上→三ヶ日方面→県道303号 | 約35分 | 約22km |
| 三ヶ日IC | 県道303号を東へ→奥山方面 | 約20分 | 約12km |
| 新東名 浜松いなさIC | 県道303号→ダム方面 | 約10分 | 約5km |
最寄りは新東名の浜松いなさICで、降りてから10分ほどでダムサイトに到着する。遠方から来る場合は新東名経由が断然早い。県道303号はカーブが多いが道幅は十分あり、普通車なら問題ない。
駐車場
- 都田ダム管理所駐車場(堰堤付近):無料・約15台・トイレあり。ダム天端の散策路にもアクセスでき、堰堤下流側や本湖を見渡せる起点になる
- いなさ湖畔広場駐車場(湖の北東側):無料・約10台・ベンチあり。ワンド奥やバックウォーターに近く、バスアングラーに人気
- 奥山高原方面の路肩スペース:県道沿いに数台分の路肩スペースが点在。ただし路上駐車は通行の妨げになるため、必ず安全な場所に停めること
いずれも無料だが、台数が限られるため、ハイシーズンの土日は早朝到着を推奨する。トイレはダム管理所のものが最も清潔で使いやすい。
周辺施設
- コンビニ:最寄りは県道303号沿いのセブンイレブン引佐町店(ダムから車で約10分)。飲食物・氷は事前に調達しておくのが無難
- 釣具店:ダム周辺にはない。浜松市街のイシグロ浜松高林店やフィッシング遊浜松店で事前購入を
- 日帰り温泉:釣行後は奥浜名湖 三ヶ日温泉や竜泉寺の湯 浜松店が帰路に便利
都田ダムで狙える魚種と季節別パターン
ターゲット一覧
| 魚種 | ベストシーズン | サイズ目安 | 主な釣り方 |
|---|---|---|---|
| ブラックバス(ラージマウス) | 4〜6月・9〜11月 | 25〜45cm(50upの実績あり) | ルアー全般 |
| ヘラブナ | 3〜5月・10〜11月 | 25〜38cm | ウキ釣り(底釣り・宙釣り) |
| コイ | 4〜10月 | 40〜70cm | ぶっこみ釣り・パン鯉 |
| ウグイ・オイカワ | 5〜9月 | 15〜25cm | ミャク釣り・フライ |
| ニジマス(放流時) | 12〜2月 | 20〜30cm | エサ釣り・スプーン |
春(3〜5月):スポーニング前後のバスとのっこみヘラ
水温が12℃を超える3月下旬から、バスがシャローに差してくる。4月中旬〜5月上旬のスポーニング期は、ワンド奥のフラットな砂泥底にネスト(産卵床)が確認できることも。ノーシンカーのストレートワーム(4〜5インチ)をネスト周辺にフォールさせる釣りが効くが、スポーニング中の個体を過度に狙うのは資源保護の観点から控えたい。プリスポーンの個体をバックウォーター流入部で巻きモノ(シャッドやスピナーベイト)で拾う釣りのほうが気持ちよく楽しめる。
ヘラブナも同時期に浅場へ寄る。ダム湖のヘラは引きが強く、尺(30cm)上も珍しくない。護岸際の水深2〜3mラインで底釣り(グルテンセット)が安定する。
夏(6〜8月):朝夕のトップウォーターと日中のディープ攻略
梅雨明けから水温が25℃を超えると、バスは朝夕にシャローでベイトを追い回す。早朝5〜7時のトップウォーターゲームが最高に楽しい季節だ。ポッパーやペンシルベイトで水面を割る1発を狙える。日中は水深8〜12mのメインチャネル沿いにサスペンドする個体をダウンショットリグやキャロライナリグで狙う。
夏場は暑さ対策が最重要課題。標高があるとはいえ、日中は30℃を超える。帽子・日焼け止め・十分な水分は必携だ。また、この時期はマムシやヤマビルが活発になるので、藪漕ぎは長靴・長袖で。
秋(9〜11月):荒食いバスと秋ヘラの好機
水温が20℃前後に下がる9月後半から、バスの荒食いが始まる。都田ダムの秋パターンはバックウォーターの流入部にベイトフィッシュ(オイカワ・ウグイの幼魚)が溜まること。そこに付くバスをシャッド系ルアー(OSPのハイカット、ラッキークラフトのビーフリーズ65SPなど)で横方向に引いてリアクションバイトを誘う。10月は年間でもっとも数釣りが期待できる時期だ。
ヘラブナも越冬前の荒食いに入る。10月中旬〜11月上旬、水深3〜4mの段差周りで両ダンゴの底釣りが安定する。
冬(12〜2月):ニジマス放流とディープバス
冬は正直にいえばバスは厳しい。水温が8℃を下回ると、堰堤直下の最深部(12〜15m)にバスが固まる。メタルバイブレーション(レイドジャパンのレベルバイブなど)のリフト&フォールで、1日数バイトを拾う忍耐の釣りになる。
ただし、冬場の目玉はニジマスの放流イベントだ。引佐町の地域イベントとして12月〜2月に不定期でニジマスが放流されることがある(浜松市や地元漁協の情報を要チェック)。放流日は20〜30cmのニジマスがエサ釣り(イクラ・ブドウ虫)やスプーン(2〜5g)で入れ食いになることも。家族連れにも最高のタイミングだ。
ポイント別攻略マップ
都田ダム(いなさ湖)は全周約3kmの比較的コンパクトなダム湖だが、ポイントごとに地形が大きく異なる。主要ポイントを5つに分けて解説する。
①堰堤直下エリア(ダムサイト)
- 特徴:水深12〜15mの最深部。コンクリート護岸で足場が良い
- 狙える魚:冬のバス(ディープ)、コイ、ヘラブナ
- おすすめ釣り方:メタルバイブのリフト&フォール、ぶっこみ釣り(コイ)
- 注意:ダム管理所の立入禁止区域には絶対に入らないこと。柵の外から竿を出す
堰堤の上(天端)からは湖全体を見渡せるので、まずここで水色やベイトの有無をチェックしてからポイントを決めるのが賢い。放水時は水流が強くなるため、下流側での釣りは中止すること。
②本湖・東岸の岩盤エリア
- 特徴:切り立った岩盤が水中まで続くバンク。水深は岸際で3〜5m、急深
- 狙える魚:バス(特に春〜秋)、ウグイ
- おすすめ釣り方:テキサスリグ(3/8ozシンカー+ホッグ系ワーム)を岩盤沿いにフォール。シャッドのジャーキングも有効
- 注意:足場が狭く、滑りやすい箇所あり。フェルトソールの靴推奨
東岸の岩盤は都田ダムで最もバスのストック量が多いエリアだ。岩盤の凹みやクラック(割れ目)にバスが身を寄せている。キャストの精度が釣果を分ける。岸際ギリギリの30cm以内にルアーを落とせるかどうかが勝負だ。春は岩盤沿いに遡上するウグイを追うプリスポーンバスが高活性で、40cmオーバーも現実的な目標になる。
③北側ワンド(いなさ湖畔広場付近)
- 特徴:なだらかなシャローフラットが広がるワンド。水深1〜3m。底質は砂泥
- 狙える魚:バス(スポーニング期)、ヘラブナ、コイ
- おすすめ釣り方:ノーシンカーワーム、ネコリグ(ストレートワーム5インチ)、ヘラウキ釣り
- 注意:減水時は水際まで泥が露出し、足を取られる。ウェーダーがあると便利
駐車場から最もアクセスしやすく、ファミリーやヘラ師に人気のエリア。4〜5月のスポーニング期はこのワンドに大型バスが集中することがある。ただし、先述の通りネスト打ちは最小限に。ワンド入口のブレイクライン(2m→4mに落ちる段差)沿いにプリスポーンの個体がクルーズしているので、そこを狙うのがスマートだ。
④バックウォーター(都田川流入部)
- 特徴:都田川本流がダム湖に注ぎ込む最上流部。流れがあり、フレッシュな水とベイトが供給される
- 狙える魚:バス、ウグイ、オイカワ、ニジマス(放流時)
- おすすめ釣り方:スピナーベイト(1/4〜3/8oz)の流れに絡めた巻き、ミノー(5〜7cm)のトゥイッチ
- 注意:増水時は水位が急変する。雨天・雨後は近づかない
秋の荒食い期に最も熱いポイント。流入部の淀み(反転流)にオイカワの群れが溜まり、それを狙うバスがボイルすることもある。ルアーはベイトフィッシュに合わせたナチュラルカラー(アユカラー・ワカサギカラー)のシャッドが実績高い。朝イチに入れれば高確率で反応がある。
都田川本流からの流れ込みが作る「デルタ」状の浅瀬は、ウグイやオイカワのミャク釣り・フライフィッシングにも絶好のポイント。のんびり小物釣りを楽しみたい人にもおすすめだ。
⑤西岸の倒木・ブッシュエリア
- 特徴:山からの倒木や冠水ブッシュが水中に沈む、いかにもバスが好むカバーエリア
- 狙える魚:バス(カバー居着き個体)
- おすすめ釣り方:テキサスリグ・ラバージグ(1/4〜3/8oz、ブラウン系)のカバー撃ち。スキッピングで奥に入れられると有利
- 注意:根掛かり多発。フック(オフセットフック #2/0〜3/0)とシンカーは多めに持参。ラインは14〜16lbのフロロカーボンを推奨
アクセスしにくいぶん、プレッシャーが低い穴場ポイント。カバーに居着くバスはコンディションが良く、30cm台でもよく引く。キャスト数よりも1投の精度で勝負するエリアだ。倒木の隙間にラバージグを落とし込んで5秒ステイ、そこからスローに持ち上げる。この「間」でバイトが出ることが多い。
おすすめタックルセッティング
バス釣り
| 用途 | ロッド | リール | ライン |
|---|---|---|---|
| カバー撃ち・テキサス | ベイト MH 6.6〜7ft | ベイトリール(ギア比7:1以上) | フロロ14〜16lb |
| 巻きモノ全般 | ベイト M 6.6〜7ft | ベイトリール(ギア比6:1前後) | フロロ12lb or ナイロン14lb |
| ライトリグ・シャッド | スピニング L〜ML 6.4〜6.8ft | 2500番スピニング | PE0.6〜0.8号+フロロリーダー5lb |
都田ダムはオカッパリ(岸釣り)オンリーなので、ベイト1本+スピニング1本の2タックル体制が基本。3本以上は移動時にかさばるだけだ。岩盤やカバーとのファイトが多いため、ラインは少し太めを選ぶのが安心。PEラインを使う場合はリーダーを1m以上取ること。
ヘラブナ釣り
- 竿:9〜12尺(護岸からの場合。15尺まで出すこともあるが、取り込みがきつい)
- ウキ:パイプトップ・ボディ8〜10cm。ダム湖は風が吹きやすいため、ある程度オモリ負荷のあるウキが安定する
- エサ:底釣りなら「グルテン四季」+「わたグル」のブレンド。宙なら「凄麩」+「GTS」でバラケ+食わせの2段セット
- ハリ:上7号・下4号(底釣りの場合)
コイ釣り
- 竿:磯竿3〜4号 4.5m、またはコイ竿
- 仕掛け:ぶっこみ仕掛け(中通しオモリ15〜20号+ハリス5号・コイバリ12号)
- エサ:練りエサ(マルキユー「鯉パワー」)、食パン(パン鯉)
- ポイント:北側ワンドのシャローフラットに60cm級が回遊。置き竿で待つスタイル
安全対策と注意事項
必ず守るべきルール
- ライフジャケットの着用:ダム湖は足を滑らせると水深が急に深くなる。特に東岸の岩盤エリアや減水時のスロープは滑落リスクが高い。自動膨張式でもよいので必ず着用を
- ダム管理区域への立入禁止:堰堤の放水口付近やゲート周辺は立入禁止。柵を越えての釣りは絶対にNG
- 増水時の退避:大雨やダム放流時は水位が急上昇する。天候が崩れたら早めに撤収。バックウォーター付近は特に注意
- ゴミの持ち帰り:ライン・ワームの切れ端・空き缶をフィールドに残さない。釣り場の存続に直結する問題だ
- 遊漁券:都田川は天竜川漁協の管轄。ダム湖でのルアー・リール釣りは遊漁券不要の場合が多いが、アユやアマゴを狙う場合は遊漁券(年券:アユ8,000円、雑魚3,000円程度)が必要。最新情報は天竜川漁業協同組合に確認を
危険生物への対策
| 危険生物 | 出現時期 | 対策 |
|---|---|---|
| マムシ | 4〜10月 | 草むらに手を入れない。長靴・厚手のパンツ着用 |
| ヤマビル | 5〜9月(雨後に活発) | ヒル下がりのジョニー等の忌避剤。靴下の中にズボンの裾を入れる |
| スズメバチ | 8〜10月 | 黒い服を避ける。香水NG。巣を見つけたら静かに離れる |
| ツキノワグマ | 通年(秋に目撃増) | 熊鈴やラジオで音を出す。単独の早朝入山は特に注意 |
都田ダム周辺は山間部のため、ツキノワグマの目撃情報が年に数件報告されている。浜松市の「クマ出没情報」を釣行前にチェックし、熊鈴を携帯するのを習慣にしたい。浜名湖の護岸とは違う、山の釣り場であることを忘れずに。
携帯電話の電波状況
ダム管理所付近やいなさ湖畔広場ではドコモ・au・ソフトバンクとも電波が入る。ただし、西岸のカバーエリアやバックウォーター奥では圏外になることがある。緊急時に備えて同行者との声が届く範囲で行動するか、最低限の位置情報を家族に伝えておこう。
都田ダム釣行のモデルプラン
バスアングラー向け:春の半日コース(4月中旬)
- 5:30 ダム管理所駐車場に到着。天端から水色・水位をチェック
- 5:45〜7:00 バックウォーター(④)でスピナーベイトの巻き。朝の活性が高い時間帯にプリスポーンのグッドサイズを狙う
- 7:00〜8:30 東岸の岩盤(②)へ移動。テキサスリグを岩盤沿いにフォールさせて居着きバスを探る
- 8:30〜10:00 北側ワンド(③)のブレイクラインでネコリグ。日が昇ってからのフォローベイト的な釣り
- 10:00〜11:00 西岸カバー(⑤)でラバージグ。最後の1本を粘る
- 11:00 撤収。帰りに三ヶ日の温泉で汗を流す
ファミリー向け:のんびり1日コース(夏休み)
- 8:00 いなさ湖畔広場の駐車場に到着
- 8:30〜10:30 北側ワンド(③)の護岸から、パン鯉やウキ釣り(小物狙い)。子どもでも竿が出しやすいフラットな足場
- 10:30〜11:30 ダム天端を散策。放水の迫力を見学(ダムカードを管理所でもらえることも)
- 11:30〜13:00 昼食休憩。近くの奥山半僧坊や竜ヶ岩洞を観光するのもあり
- 13:00〜15:00 バックウォーター付近でミャク釣り(ウグイ・オイカワ狙い)。流れのある場所での釣りは子どもも飽きにくい
- 15:00 撤収
竜ヶ岩洞(りゅうがしどう)はダムから車で5分ほどの距離にある鍾乳洞で、夏でも洞内は15℃前後と涼しい。釣りと観光をセットにすれば家族の満足度が格段に上がる。
都田ダム釣行を成功させるためのコツ5選
- 減水期を見逃すな:冬〜春にかけてダムの水位が下がることがある。普段は水没しているストラクチャー(倒木・岩・旧道路跡)が露出し、ポイントの地形を把握できる大チャンス。スマホで写真を撮っておけば、満水時にブラインドで撃てる
- 風は味方にする:山間のダム湖は風が吹き抜けるとベイトフィッシュが風下に寄る。風表(風が当たる岸)はベイトが溜まりバスも差してくる。釣りにくくても風表に立て
- ラインの存在感を消す:水質はクリア〜ステイン。特に晴天・無風のタイミングではラインが見切られやすい。フロロカーボンの細めか、PEラインにフロロリーダーをセットして対応
- ランガンよりも粘り:小規模ダム湖なので、むやみに移動するとすぐにポイントを打ち切ってしまう。1つのポイントで最低30分は粘り、アプローチの角度やルアーのサイズ・カラーを変えてバスに口を使わせる工夫をしよう
- 情報は地元の声で:ダム管理所のスタッフに挨拶がてら最近の水位や放流情報を聞くと、意外と有益な情報が返ってくる。地元の方との交流も山上湖釣りの楽しみだ
まとめ:浜名湖だけじゃない、浜松の隠れたフィールドへ
都田ダム(いなさ湖)は、浜名湖や遠州灘サーフとはまったく異なる釣りの楽しみ方を提供してくれるフィールドだ。静かな山上湖で、自分のペースでバスを追い、ヘラを待ち、小物の引きを楽しむ。週末の混雑した浜名湖に疲れたとき、ふとこのダム湖を思い出してほしい。
アクセスの基本は新東名・浜松いなさICから約10分。駐車場・トイレ完備で、ファミリーでも安心。ただし山間部ゆえの準備(熊鈴・虫対策・飲食物の事前調達)は怠りなく。
次の休日、浜名湖の喧騒を抜け出して、都田ダムの静寂の中で竿を振ってみてはいかがだろうか。きっと、浜松の釣りの奥深さを再発見できるはずだ。



