馬込川とは?浜松市街地のど真ん中を流れる「隠れた好フィールド」
浜松市の釣りスポットといえば浜名湖や遠州灘サーフが真っ先に思い浮かぶが、市街地を南北に貫く馬込川(まごめがわ)も実は侮れないフィールドだ。全長約18km、佐鳴湖を水源として浜松市中心部を縦断し、五島海岸付近で遠州灘に注ぐこの川は、潮の影響を強く受ける汽水域が長く、シーバス・クロダイ・ハゼ・ウナギなど多彩な魚種が生息している。
「わざわざ浜名湖まで行く時間がない」「仕事帰りにちょっとだけ竿を出したい」——そんな浜松在住アングラーにとって、馬込川は最高の”通勤路フィールド”だ。護岸が整備されているため足場がよく、街灯や橋の常夜灯が効くナイトゲームのポイントも豊富。この記事では、馬込川の河口部から中流域まで区間ごとに釣れる魚種・おすすめの釣り方・駐車場情報を網羅する。
ただし都市型河川ゆえの注意事項も多い。住宅密集地でのキャスト、水質、立入禁止区域など、マナーと安全の面も包み隠さずお伝えするので、初めて馬込川で竿を出す方はぜひ最後まで読んでほしい。
馬込川の基本情報|アクセス・流域・潮汐の影響
流域と区間の概要
| 区間 | 目安の範囲 | 特徴 | 主な対象魚 |
|---|---|---|---|
| 河口部 | 遠州灘合流点〜国道150号(掛塚街道) | 潮位差が大きく完全な汽水域。川幅約30〜50m | シーバス・クロダイ・キビレ・ヒラメ |
| 下流域 | 国道150号〜JR東海道線鉄橋 | 住宅街の中を流れるが水深2〜3mの淵が点在 | シーバス・ハゼ・ウナギ・ボラ |
| 中流域 | JR東海道線〜新川合流〜芳川合流付近 | 流れが緩やかで水深は浅め。護岸ブロック多い | ハゼ・テナガエビ・ナマズ・コイ |
| 上流域 | 芳川合流〜佐鳴湖放水路 | 淡水域。水路的な流れで釣りポイントは限定的 | コイ・フナ・ナマズ |
アクセス
- 車:浜松駅から国道257号を南下、約10〜15分で下流域。河口部へは国道150号(掛塚街道)経由で約20分
- 電車・バス:JR浜松駅から遠鉄バス「掛塚」方面行きで「馬込橋」「安新橋」各バス停下車すぐ。終バスが早い(20時台)ためナイトゲームは車推奨
- 自転車:浜松駅から河口まで約8km。護岸沿いのサイクリングロードが整備されている区間もあり、ラン&ガン向き
潮汐の影響範囲
馬込川は遠州灘に直接注ぐため、河口から約4km上流(おおむねJR鉄橋付近)まで潮の干満の影響を受ける。大潮の満潮時には国道150号の橋より上流でも海水の遡上が確認でき、シーバスやクロダイが差してくる。釣行前に御前崎の潮汐表をチェックし、上げ潮〜満潮前後のタイミングを狙うのが基本だ。
【河口部】シーバス・クロダイの一級ポイント|遠州灘合流〜国道150号
河口テトラ帯(五島海岸側)
馬込川が遠州灘に注ぐ河口部は、両岸にテトラポッドが積まれた典型的な河口地形。特に西岸(五島海岸側)のテトラ帯は、流芯と反転流の境目にシーバスが定位するポイントとして地元アングラーに知られている。
- ベストシーズン:4月〜11月。特に秋(9〜11月)の落ちアユパターンは80cmオーバーの実績あり
- おすすめルアー:シンキングペンシル(ラパラ・カウントダウン9cm、ダイワ・スイッチヒッター85Sなど)をダウンクロスでドリフト。テトラ際を舐めるように流すのがコツ
- 時間帯:夕マズメ〜夜間が圧倒的。日中は河口が開けているため魚がナーバスになりやすい
- 注意:テトラの上は滑りやすく、特に雨後は危険。スパイクシューズ必須。単独釣行は避けたい
河口左岸の砂浜エリア
河口の東側は砂浜が続いており、サーフからのキャスティングでヒラメ・マゴチも狙える。馬込川からの流れ出しが離岸流を形成するため、その周辺にベイトが溜まりやすい。中田島砂丘のメインエリアより人が少なく、プレッシャーが低いのが利点だ。
国道150号・馬込橋直下
馬込川下流域で最も有名なポイントがこの馬込橋周辺。橋脚が流れにストラクチャーを作り、クロダイ・キビレが橋脚の影に着く。特に上げ潮で海水が差し始めるタイミングが狙い目で、前打ちやチニング(ラバージグ5〜7g+クロー系ワーム)で実績が高い。
- 駐車場:橋の南東側に数台分の路肩スペースあり。ただし正式な駐車場ではないため長時間駐車は控えること
- トイレ:なし。最寄りは国道150号沿いのコンビニ(ファミリーマート浜松安松町店まで約800m)
【下流域】ナイトゲームの宝庫|国道150号〜JR東海道線鉄橋
常夜灯ポイントの攻略
馬込川下流域の最大の魅力は、住宅街を流れるがゆえの常夜灯の豊富さだ。護岸沿いの街灯や橋の照明がベイト(イナッコ・ハク)を集め、それを追ってシーバスが入る。特に以下のポイントは常夜灯の明暗境界が明確で、ナイトゲームに適している。
- 安新橋(やすしんばし)周辺:橋の下流側・東岸に街灯あり。明暗の境目にミノー(アイマ・サスケ95など)を通すと反応が出やすい。水深は満潮時で約2m
- 新橋(しんばし)周辺:やや川幅が狭まるため流速が上がり、シーバスの捕食ポイントになる。バイブレーション(コアマン・IP-13など)のリフト&フォールが効く
- 東若林橋周辺:護岸ブロックの際にハゼが溜まり、それを狙うシーバスやナマズが出る。夏場のハゼ釣りの好ポイントでもある
下流域のハゼ釣り
7月〜10月はハゼのシーズン。馬込川下流域の護岸からちょい投げ(2〜3号オモリ+袖針5〜6号+青イソメ)で手軽に狙える。特にJR鉄橋の下流100m付近は底が砂泥質でハゼの魚影が濃く、1時間で20〜30匹の束釣りも珍しくない。
| 時期 | ハゼのサイズ | 狙い方のコツ |
|---|---|---|
| 7〜8月 | 5〜10cm(デキハゼ) | 足元〜5m以内。ウキ釣りやミャク釣りでも可 |
| 9〜10月 | 12〜18cm(良型) | ちょい投げで10〜20m沖。カケアガリを意識 |
| 11〜12月 | 15〜20cm(落ちハゼ) | 深場に落ちるため河口寄りへ。投げ釣りで遠投 |
駐車場とアクセス
下流域は住宅密集地のため、専用駐車場がないのが最大の難点。以下の方法でアクセスするのが現実的だ。
- コインパーキング利用:JR浜松駅南側のコインパーキングから自転車で約15分。折りたたみ自転車があると機動力が上がる
- 路上駐車は厳禁:住宅街の生活道路が多く、路上駐車は近隣トラブルの原因になる。過去に釣り人の路駐が問題視され、護岸に「釣り禁止」の看板が設置された区間もある
- 自転車・バイク推奨:護岸沿いを走れるため、ランガンスタイルに最適
【中流域】ファミリーのハゼ・テナガエビ釣り|JR鉄橋〜芳川合流
テナガエビの好ポイント
馬込川中流域は流れが緩やかで水深も浅く、護岸ブロック(捨て石)の隙間にテナガエビが大量に潜んでいる。6月〜8月がハイシーズンで、のべ竿(2.1〜2.7m)にタナゴ針1号+赤虫またはカニカマの小片で狙う。
特に中島町〜東若林町付近の護岸は、捨て石が多く残っているエリアで実績が安定している。朝夕のマズメ時よりも昼間の方が釣りやすいのがテナガエビの特徴で、石の隙間に仕掛けを落として30秒〜1分じっと待つ。モゾモゾとしたアタリが出たら、一呼吸おいてからゆっくりと聞きアワセするのがコツだ。
子連れ・初心者向けのポイント選び
中流域は護岸が低くフラットな箇所が多いため、子どもでも安心して釣りができる。ただし、以下の点に注意してほしい。
- 転落防止柵がない区間が多い:水面まで1〜1.5mの垂直護岸が基本。小学生以下の子どもにはライフジャケットを着用させること
- 自転車・歩行者道との共用:護岸上はサイクリングロードや散歩道を兼ねている。竿を振る際は必ず後方確認を
- トイレ:最寄りの公衆トイレは少ない。事前にコンビニで済ませるか、近隣の公園(若林公園など)を利用
ナマズゲーム
馬込川中流域の隠れた魅力がナマズだ。5月〜9月の夜間、護岸際のシャローにナマズが出てくる。トップウォーター系ルアー(スミス・キャタピー、ティムコ・野良ガエルなど)を岸際にキャストし、「ポコポコ」とアクションさせると水面が爆発する。
ナマズは常夜灯の暗側に潜んでいることが多い。橋の下や護岸の影になる部分を重点的に攻める。タックルはバスロッド(MH〜H)にPE3号程度のヘビータックルが安心。ナマズの引きは強烈で、ライトタックルだと護岸に巻かれてラインブレイクする。
季節別・馬込川の釣りカレンダー
| 月 | 河口部 | 下流域 | 中流域 |
|---|---|---|---|
| 1〜2月 | シーバス(バチ抜けパターン開始) | 低活性で厳しい | コイの寒鯉釣り |
| 3〜4月 | シーバス(バチ抜け最盛期)・クロダイ乗っ込み | シーバス上昇気配 | ナマズ活動開始 |
| 5〜6月 | クロダイ・キビレ好調 | ハゼ・シーバス | テナガエビ最盛・ナマズ |
| 7〜8月 | クロダイ・シーバス | ハゼ最盛・ウナギ | テナガエビ・ナマズ |
| 9〜10月 | シーバス(落ちアユ)最盛 | ハゼ良型・シーバス | ハゼ・ナマズ |
| 11〜12月 | シーバス・ヒラメ | 落ちハゼ | コイ・フナ |
通年で狙えるのはシーバスとコイだが、最も魚種が豊富で釣りやすいのは5月〜10月。特に梅雨明け後の7月は、河口部のシーバス・クロダイ、下流域のハゼ、中流域のテナガエビ・ナマズと全区間が活性化する。逆に真冬(1〜2月)は河口部のバチ抜けシーバス以外は厳しく、釣果を求めるなら浜名湖や遠州灘に転進した方が賢明だ。
馬込川釣行の装備・タックルガイド
シーバス(河口〜下流域)
- ロッド:8〜9ftのシーバスロッド(ML〜M)。護岸からのキャストが主体なので、長すぎると橋下などで取り回しにくい
- リール:スピニング3000〜4000番。PE0.8〜1.2号+リーダー16〜20lb
- ルアー:シンキングペンシル(7〜9cm)、ミノー(8〜12cm)、バイブレーション(10〜18g)。河口のテトラ際はスナッグレス性の高いルアーを選ぶ
- 必携品:ヘッドライト(赤色モード付き推奨)、フィッシュグリップ、ランディングネット(柄の長さ4m以上)
ハゼ・テナガエビ(下流〜中流域)
- ハゼ:ちょい投げセット(竿2.1〜2.7m、小型スピニングリール、ナス型オモリ2〜3号、袖針5〜6号、青イソメ)。仕掛けは市販の「ハゼ天秤仕掛け」でOK
- テナガエビ:のべ竿(1.8〜2.7m)にタナゴ用極小ウキ、タナゴ針1号、ハリス0.4号。エサは赤虫がベストだが、カニカマやソーセージの小片でも食ってくる
- クーラーボックス:小型で十分(5〜8L)。ハゼは氷締めが鮮度を保つコツ
ナマズ(中流域)
- ロッド:ナマズ専用ロッドまたはバスロッド(MH〜H・6〜7ft)。短めの方が護岸際のピンポイントキャストがしやすい
- リール:ベイトリール。PE3〜5号を50m以上巻く。ナマズは根に突っ込むため太糸必須
- ルアー:トップウォーター(ノイジー系・フロッグ系)が基本。ジッターバグ、クレイジークローラーなどの定番が安定
馬込川で釣りをする際の注意事項とマナー
安全面の注意
- 増水に注意:馬込川は集水域が市街地のため、ゲリラ豪雨で急激に増水する。上流で雨が降ると30分〜1時間で水位が1m以上上がることがある。雨雲レーダーを常にチェックし、少しでも危険を感じたら即撤退
- 護岸からの転落:垂直護岸が多く、落ちたら自力で這い上がれない箇所がある。ライフジャケット着用を強く推奨。特に夜間は足元が見えにくい
- テトラポッド:河口部のテトラは大型で間隔が広く、滑落すると挟まって身動きが取れなくなる危険がある。テトラの上での釣りは経験者向き
マナーとルール
- 騒音厳禁:住宅街を流れる川であるため、夜間の大声・話し声は厳禁。車のドア閉めやエンジン音にも配慮を
- ゴミの持ち帰り:ラインの切れ端、ルアーのパッケージ、エサの残りは必ず持ち帰る。馬込川周辺では過去に釣り人のゴミが問題となり、一部区間で釣り禁止措置が取られた経緯がある
- 路上駐車禁止:近隣住民の生活道路に駐車しない。トラブルは釣り場の消滅に直結する
- 遊漁券:馬込川の下流域(汽水域)では遊漁券は不要。ただし上流の淡水域でアユを狙う場合は天竜川漁業協同組合の遊漁券が必要になる場合があるため、事前に確認を
- リリース推奨:都市河川のため水質は必ずしも良好ではない。特に中流域で釣れた魚の食用は自己判断で。河口部のシーバスやハゼは食べているアングラーも多いが、内臓の臭い等は個体差がある
水質について正直に言うと
馬込川は合流式下水道の影響を受けるため、大雨時には未処理下水が流入することがある。雨後1〜2日は水が濁り、臭いが気になることも正直ある。ただし平常時の水質は近年改善傾向にあり、特に河口部は潮の入れ替わりで比較的クリアな水質が保たれている。釣った魚を食べるなら河口部の個体を選び、内臓を早めに除去するのが鉄則だ。
地元アングラー直伝・馬込川攻略のコツ5選
- 「橋の数だけポイントがある」と心得よ:馬込川には河口から中流まで10以上の橋が架かっている。橋脚は魚が着く一級ストラクチャーであり、常夜灯の明暗も形成する。全部の橋を順番に打っていくランガンスタイルが最も効率的だ
- 上げ潮の「最初の1時間」を逃すな:干潮から潮が動き始める最初の1時間が、馬込川シーバスのゴールデンタイム。海水が差し始めるとベイトが一斉に動き出し、それに連動してシーバスのスイッチが入る。潮汐表で干潮時刻を確認し、その30分前にはポイントに入っておきたい
- 台風・大雨後の「濁り際」は大チャンス:増水が収まり水位が下がり始める時、上流から流されてきたベイトやエビを狙ってシーバスが狂ったように捕食する。ただし安全には十分注意し、完全に水が引いてから入ること
- 夏場はボラの群れを探せ:下流域でボラの群れがバシャバシャと水面を叩いていたら、その周辺にシーバスがいる確率は高い。ボラの群れの下流側(流れの下手)にルアーを通すのが定石
- 小さいルアーが正義:馬込川のベイトはハク(ボラの稚魚)・イナッコ・ハゼの稚魚など小型が中心。7〜9cmのシンキングペンシルやワーム(コアマン・VJ-16など)が圧倒的に反応がいい。遠州灘サーフのノリで12cmミノーを投げても反応が薄い
馬込川周辺の便利施設マップ
| 施設 | 名称・場所 | 備考 |
|---|---|---|
| 釣具店 | イシグロ浜松高林店(車約10分) | エサ・仕掛け・ルアー全般。朝4時から営業(時期により変動) |
| 釣具店 | フィッシング遠州(南区寺脇町) | 地元密着型。馬込川の情報を聞くならここ |
| コンビニ | 国道150号沿いに複数(ファミマ・ローソン) | 河口部へのアクセス途中で食料・飲料調達 |
| トイレ | 五島海岸駐車場の公衆トイレ | 河口部の釣り人が利用。やや距離あり |
| 救急 | 浜松医療センター(中区富塚町) | 万が一の怪我・水難事故時 |
まとめ|馬込川は「浜松市民のホームリバー」になれるポテンシャルを持つ
浜名湖や遠州灘サーフに比べると地味な存在の馬込川だが、実際に竿を出してみると「こんな街中でシーバスが釣れるのか」と驚くはずだ。河口部の本格的なシーバスゲーム、下流域のナイトウォーキング感覚のランガン、中流域のファミリー向けハゼ・テナガエビ釣り——距離と手軽さでは浜松市内ナンバーワンのフィールドと言っていい。
ただし、都市河川だからこその課題もある。騒音・路駐・ゴミ問題で釣り場が失われるリスクは常につきまとう。馬込川で釣りを楽しむ一人ひとりが「この場所を守る」意識を持つことが、未来の釣り場を残すことに直結する。
まずは仕事帰りの30分、橋の上から水面を覗いてみてほしい。ボラが跳ね、シーバスがライズする光景を目にしたら——もう竿を出さずにはいられなくなるはずだ。



