2026年・遠州灘沖で洋上風力発電計画が本格始動|建設予定海域の漁場・釣り場への影響と浜松アングラーが知るべき魚礁効果・航行制限の最新動向

  ※本ページにはプロモーション(広告)が含まれています。

遠州灘沖に巨大風車群が出現する日が近づいている

「遠州灘の沖合に風車が並ぶ? あの広大なサーフの景色が変わるのか?」——2026年春、浜松・御前崎エリアの釣り仲間の間で、こんな話題が急速に広がっている。

政府が推進する「洋上風力発電の促進区域」指定をめぐり、遠州灘沖が有望海域として環境影響評価(環境アセスメント)の手続きに入ったことが明らかになった。実現すれば、遠州灘の沖合数km〜十数kmの海域に、高さ200m超の大型風車が数十基並ぶことになる。

これは単なるエネルギー政策の話ではない。私たち浜松アングラーにとって、釣り場の利用制限海中環境の激変という二つの大きな影響をもたらす可能性がある。一方で、欧州の先行事例では風車基礎部分が巨大な人工魚礁となり、魚影が劇的に濃くなったという報告もある。

本記事では、2026年4月時点で判明している遠州灘沖の洋上風力発電計画の全容と、地元アングラーが知っておくべき影響・チャンス・対策を徹底解説する。

洋上風力発電とは? なぜ遠州灘が候補なのか

日本の洋上風力をめぐる政策の流れ

2019年に施行された「再エネ海域利用法」により、日本政府は洋上風力発電を再生可能エネルギーの切り札と位置づけた。2030年までに10GW、2040年までに30〜45GWの導入目標を掲げ、全国の沿岸海域で「促進区域」の指定を進めている。

2026年4月時点で、すでに秋田県沖(能代・八峰沖、男鹿・潟上沖)、千葉県銚子沖、長崎県五島沖などで事業者が選定され、建設が進んでいる。静岡県沖については「有望な区域」として調査段階にあり、遠州灘沖が具体的な検討対象として浮上している。

遠州灘が適地とされる3つの理由

要因遠州灘の条件洋上風力への適性
風況年間平均風速7〜8m/s以上(特に冬季の「遠州の空っ風」)発電効率が高く、年間稼働率が見込める
水深沖合5〜15kmで水深30〜50m着床式(モノパイル・ジャケット式)が適用可能な範囲
港湾インフラ御前崎港・清水港が利用可能大型部材の搬入・組立拠点として機能

特に冬季に吹く北西季節風「遠州の空っ風」は、私たちアングラーにとっては釣りの大敵だが、風力発電にとっては最高の資源だ。皮肉にも、私たちが「今日は風が強すぎて釣りにならない」とぼやく日ほど、風車はフル回転で電気を生み出すことになる。

想定される建設海域

現段階で具体的な区域は公式には確定していないが、環境アセスメントの計画段階環境配慮書から読み取れる情報を総合すると、以下のエリアが候補となっている。

  • 御前崎沖〜大東沖:御前崎灯台の南南西10〜20km圏内、水深30〜50m
  • 竜洋沖〜浜松沖:天竜川河口沖5〜15km圏内、水深20〜40m
  • 浜名湖今切口沖:今切口の南方5〜10km圏内(ただし航路との兼ね合いで優先度は低い)

いずれも、遠州灘サーフからの遠投や、オフショアジギングの乗合船が頻繁に行き来する海域と重なる可能性がある。

アングラーへの影響①:建設・運用中の航行制限と釣り場規制

建設工事中(3〜5年間)の影響

洋上風力発電所の建設には、一般的に3〜5年の工事期間がかかる。この間、以下のような制限が予想される。

  1. 工事区域への立入禁止:半径500m〜1km圏内が航行制限区域に指定される。遊漁船・プレジャーボートも立入不可
  2. 海底ケーブル敷設ルートの通行制限:風車から陸上変電所まで海底ケーブルが敷設される。天竜川河口付近や御前崎付近の沿岸が影響を受ける可能性
  3. 作業船の往来増加:大型クレーン船、台船、警戒船などが頻繁に行き来し、小型ボートとの接触リスクが増大
  4. 水中騒音による魚の一時的な逃避:モノパイル(単杭)打設時の水中騒音は170〜190dBに達し、魚類を広範囲から追い出す

運用開始後の恒久的な制限

風車が完成した後も、以下のルールが継続する見込みだ。

  • 風車周辺の安全区域:各風車の基礎から半径50〜500mが安全区域に設定される(国・事業者の判断による)
  • 夜間航行の注意:航空障害灯(赤色点滅灯)が設置されるが、風車間の航行には十分な注意が必要
  • アンカリング(投錨)禁止区域:海底ケーブル上ではアンカーを下ろせない。船釣りのポイント選択に影響

ただし、ここで注目すべきは「安全区域の範囲」がまだ決まっていないことだ。欧州では国によって対応が分かれており、イギリスでは安全区域が比較的狭く設定され風車間での釣りが許可されている海域もある。一方、ドイツでは風力発電所全体が広く立入禁止区域となっているケースが多い。

日本でどのような基準が採用されるかは、今後の法整備と事業者との協議次第だ。地元漁協や遊漁船業者が協議の場に積極的に参加することが極めて重要になる。

アングラーへの影響②:風車基礎の「人工魚礁効果」という希望

欧州の先行事例が示す驚きのデータ

洋上風力がアングラーにとって悪いニュースばかりかと言えば、実はそうでもない。欧州の先行事例では、風車基礎が巨大な人工魚礁として機能し、周辺の生態系が劇的に豊かになった事例が多数報告されている。

事例観察された効果
Horns Rev 1デンマーク基礎周辺でタラ・カレイ類の個体数が周辺海域の2〜5倍に増加
Thanet風力発電所イギリスロブスター・カニ類が基礎に定着、底魚の個体数増加
Belwindベルギームール貝が基礎表面を覆い、食物連鎖の起点に。タラの漁獲量増加
Block Islandアメリカ建設後2年でブラックシーバス・タウトグが蝟集。釣り人に人気スポットに

遠州灘で期待できる魚礁効果

遠州灘の沖合は、基本的に砂泥底が広がる平坦な海底地形だ。根や瀬が少ないため、ストラクチャーに依存する根魚やイカ類のポイントが限られている。ここに巨大なコンクリート・鉄鋼構造物が出現すれば、以下のような効果が期待できる。

  • 根魚の聖域化:カサゴ・メバル・キジハタ(アコウ)が基礎周辺に定着。ジャケット式基礎なら複雑な構造が根魚の隠れ家に最適
  • 付着生物の繁殖:イガイ(ムール貝)・フジツボ・カキが基礎表面に付着し、甲殻類やベイトフィッシュを呼び込む
  • 回遊魚の中継点:ブリ・カンパチ・サワラなどの青物が、基礎周辺に集まるベイトを追って回遊ルート上の「立ち寄りスポット」に
  • アオリイカの産卵場:基礎に付着した海藻がアオリイカの産卵基質になる可能性
  • タコの生息域拡大:マダコは硬い構造物を好むため、基礎が格好の住処に

つまり、もし風車周辺での釣りが許可されれば、遠州灘沖に「沖の根」に匹敵する一級ポイントが誕生する可能性がある。オフショアジギングやタイラバの新たなフィールドとして、大きなポテンシャルを秘めている。

「風車ジギング」は実現するか

イギリスやベルギーでは、実際に洋上風力発電所周辺が人気の釣りスポットになっている事例がある。風車間をボートで移動しながらジギングやタイラバを楽しむスタイルが定着し、「ウインドファームフィッシング」として新たなカテゴリーを形成しつつある。

遠州灘でこれが実現するかどうかは、以下の条件にかかっている。

  1. 安全区域の設定範囲:風車1基あたり50m圏内なら釣り可能。500m圏内なら実質的に不可能
  2. 事業者と遊漁船業者の協定締結:安全講習の受講や航行ルールの遵守を条件に、釣り利用を認める枠組み
  3. 保険・責任の整理:風車への衝突事故が発生した場合の責任関係

環境アセスメントの現状と今後のスケジュール

環境影響評価の4段階

洋上風力発電事業は、着工までに厳格な環境影響評価を受ける必要がある。現在の遠州灘沖の進捗状況は以下の通りだ。

段階内容遠州灘の状況(2026年4月時点)
①計画段階環境配慮書事業の概要と環境配慮の方針を公表実施中・公告縦覧が行われた
②方法書調査方法を決定・公表2026年後半〜2027年に予定
③準備書調査結果と環境保全措置を公表2028年頃の見込み
④評価書最終的な環境影響評価結果を公表2029年頃の見込み

着工は早くても2030年以降、運転開始は2033〜2035年頃が現実的な見通しだ。つまり、まだ時間的な余裕はある。しかし、計画段階から声を上げなければ、運用ルールが釣り人にとって不利な形で固まってしまう可能性がある。

地元から意見を出すチャンスは「今」

環境アセスメントの各段階では、一般市民からの意見提出(パブリックコメント)が認められている。特に①計画段階環境配慮書と②方法書の段階では、以下のような意見が有効だ。

  • 遊漁への影響調査の要請:漁業(商業漁業)だけでなく、遊漁船・個人ボート・岸釣りへの影響も調査対象に含めるべき
  • 風車周辺での釣り利用に関するルール整備:安全区域の範囲と遊漁利用の可否について、欧州の先例を参考にした柔軟な対応を求める
  • 海底ケーブルルートの影響評価:沿岸部のサーフ釣り・砂浜への影響(ケーブル陸揚げ地点周辺の工事)
  • 建設工事中の魚類への影響軽減策:水中騒音対策としてバブルカーテン(気泡で騒音を遮断する技術)の採用を求める

静岡県の環境アセスメント情報は、静岡県くらし・環境部環境局のウェブサイトで公開される。また、経済産業省の「洋上風力発電に係る促進区域の指定」に関する情報は、同省の再生可能エネルギー関連ページで確認できる。

地元漁協・遊漁船業界の反応と動き

漁業者との利害調整

洋上風力発電の計画が持ち上がると、最初に影響を受けるのは地元の漁業者だ。遠州灘沖は、シラス船引き網漁、カツオ・マグロの一本釣り、底引き網漁などが盛んな海域であり、漁業者の懸念は大きい。

再エネ海域利用法では、事業者選定にあたって「地元漁業者との協議」が必須条件となっている。静岡県の関係漁協(浜名漁協、舞阪漁協、御前崎漁協など)では、すでに事業者からの説明会が行われており、以下のような議論が交わされている。

  • 漁場への影響最小化:シラス漁場や好漁場と建設海域が重ならないよう配慮を求める
  • 漁業補償の枠組み:建設・運用による漁獲量減少に対する補償
  • 共存策の模索:風車基礎を活用した増殖礁の設計、養殖との複合利用

遊漁船業者はまだ蚊帳の外?

ここで問題なのは、遊漁船業者や釣り愛好家の声が十分に反映されるチャンネルがまだ確立されていないことだ。再エネ海域利用法の協議会構成員は、主に漁業協同組合・地方自治体・海運関係者であり、遊漁船業者や釣り団体が正式メンバーとして参加するケースは少ない。

しかし、遠州灘のオフショアジギング・タイラバ・キャスティングゲームは、地域経済にとって決して小さくない存在だ。御前崎港・舞阪港から出船する遊漁船は年間を通じて多くの釣り客を集めており、釣り具店・宿泊施設・飲食店への経済波及効果も大きい。

今後の協議に遊漁の視点を盛り込むためには、地元の遊漁船組合や釣りクラブが連携して、自治体や事業者に対して積極的に意見を発信していく必要がある。

浜松アングラーが今からできること

情報収集と発信

  1. パブリックコメントへの参加:環境アセスメントの各段階で公告縦覧が行われる際、意見を提出する。「釣り人も海の利用者である」ことを公式に記録に残すことが重要
  2. 地元自治体への要望:浜松市・磐田市・御前崎市の議会や首長に、遊漁への配慮を求める意見を伝える
  3. 釣りクラブ・SNSコミュニティでの情報共有:計画の進捗状況を釣り仲間と共有し、関心を高める

欧州の成功事例を学ぶ

欧州では、洋上風力と釣りの共存が実現している事例がある。これらを日本の行政や事業者に示すことで、「禁止ありき」ではなく「共存の道」を模索する議論につなげたい。

  • ベルギー・Belwind洋上風力発電所:風車間での遊漁が許可され、タラやスズキの好漁場として人気。安全講習を受けたボートオーナーに許可証を発行する制度
  • イギリス・Kentish Flats風力発電所:風車基礎周辺でのアングリング(釣り)ガイドツアーが地元経済に貢献。観光資源としてのPRにも活用
  • アメリカ・Block Island風力発電所:建設後、ブラックシーバスやストライパー(シマスズキ)が蝟集し、地元チャーターボートの新名物に

「海底地形図」の記録を残す

建設前の海底地形と生態系の記録は、将来の影響評価に不可欠なデータとなる。オフショアアングラーは、魚探データや釣果記録を整理して保存しておくことをおすすめする。

  • 魚探の等深線データ:建設予定海域付近の海底地形を記録
  • 釣果ログ:魚種・サイズ・匹数・ポイントのGPS座標を継続的に記録
  • 水温データ:季節ごとの水温変化を記録しておくと、建設後の変化を比較できる

これらのデータは、将来的に「風車ができて魚が増えた/減った」を客観的に評価するための貴重なベースラインになる。

ショアアングラーへの影響:サーフ釣りは大丈夫か

海底ケーブル陸揚げ地点の工事

洋上で発電した電力を陸上に送るためには、海底ケーブルを海岸に引き揚げて陸上の変電所に接続する必要がある。このケーブル陸揚げ工事は、サーフアングラーにとって最も身近な影響となる。

想定されるケーブル陸揚げ地点としては、既存の電力インフラに近い以下のエリアが候補に挙がる。

  • 御前崎市内の沿岸部:中部電力浜岡原子力発電所の既存送電網に接続する場合
  • 磐田市・竜洋海岸付近:天竜川河口周辺の工業地帯に変電所を設置する場合
  • 浜松市南区(中田島〜五島海岸):浜松市内の変電所に接続する場合

ケーブル陸揚げ工事中は、該当区間のサーフが数ヶ月〜1年程度立入制限になる可能性がある。ヒラメ・マゴチ・シーバスの好ポイントが一時的に使えなくなるケースも想定しておく必要がある。

完成後のサーフ釣りへの影響

工事完了後は、ケーブルは海底に埋設されるため、サーフ釣りへの直接的な影響はほぼなくなると考えられる。ただし、ケーブル埋設区間では投錨禁止が継続するため、該当海域でのボートアンカリングには注意が必要だ。

一方で、サーフからの景観は大きく変わる。晴天時には沖合に風車群のシルエットが見えることになるだろう。これを「景観の変化」と捉えるか「遠州灘の新しい風景」と受け入れるかは、アングラー一人ひとりの感覚次第だ。

まとめ:変化を恐れず、声を上げて共存の道を拓こう

遠州灘沖の洋上風力発電計画は、まだ初期段階にある。着工までには最低でも4〜5年、運転開始まではさらに数年かかる見通しだ。しかし、計画の方向性が固まってからでは、アングラーの声を反映させる余地は狭まる。

最後に、今回の要点を整理しよう。

項目ポイント
計画の現状計画段階環境配慮書の段階。着工は2030年以降の見込み
釣り場への規制建設中は広範囲の航行制限、運用後は安全区域の設定(範囲は未定)
プラスの効果風車基礎が人工魚礁化し、根魚・青物・タコ等の好ポイントに化ける可能性
ショアへの影響海底ケーブル陸揚げ工事で一部サーフが一時的に使用制限の可能性
今できることパブリックコメント参加、自治体への要望、釣果データの蓄積

洋上風力発電は、脱炭素社会の実現に向けた重要なインフラだ。その必要性自体を否定するのは現実的ではない。しかし、「海の利用者」としてのアングラーの権利と、新しいインフラとの共存の道を、今から積極的に模索していくべきだ。

欧州の事例が示すように、適切なルール設計がなされれば、洋上風力発電所は釣り人にとって「新しい沖の魚礁」になり得る。遠州灘の沖合に並ぶ風車群を眺めながら、その足元でブリやカサゴを釣る日が来るかもしれない——そんな未来を、私たち浜松アングラーの手で作っていこう。

環境アセスメントの公告縦覧やパブリックコメントの募集情報は、静岡県の環境局ウェブサイトや経済産業省の洋上風力ポータルサイトで随時公開される。定期的にチェックし、声を上げるべきタイミングを逃さないようにしたい。

🗺️ 釣りナビ

静岡の釣り場・魚種・仕掛けを一発検索

12エリア × 18魚種のインタラクティブマップで、釣り場選びから仕掛け・タックルまで丸わかり

error:Content is protected !!