ライギョ(雷魚)完全図鑑|ヘビーカバーの覇者「カムルチー」の生態フロッグゲームの釣り方/タックル・リリースの作法まで魚太郎が徹底解説

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ライギョとは?|水草に潜む淡水の猛魚「雷魚」

夏の盛り、ヒシやハスがびっしりと水面を覆った野池。一見すると魚など出てきそうにないその緑のじゅうたんに、カエルの形をしたルアーをそっと乗せて引いてくる。すると突然、ボフッという爆発音とともに水草を割って巨大な口が飛び出し、ルアーを丸ごと水中へ引きずり込む——これがライギョ釣り、いわゆる雷魚釣りの醍醐味だ。淡水のフィールドでこれほど派手で迫力のある瞬間を味わえる魚は、そう多くない。

「ライギョ(雷魚)」とは、スズキ目タイワンドジョウ科に属する細長い肉食魚の総称だ。日本でライギョと呼ばれる魚は主に3種いるが、私たちがふだん「雷魚」として釣り、目にしているのは、そのほとんどがカムルチーという種である。蛇のように細長い体に、まるで蛇の鱗を思わせる斑紋。英語ではそのものずばり「スネークヘッド(蛇頭)」と呼ばれる風貌の持ち主だ。

そしてもう一つ、ライギョを語るうえで外せない事実がある。日本の池や川にすむライギョは、じつは大昔から日本にいた在来の魚ではなく、近代に大陸から持ち込まれた移入種(外来種)だということだ。空気呼吸ができ、水がなくても長く生き、たくましく繁殖する。その強い生命力ゆえに各地へ広がった魚でもある。この記事では、ライギョ(カムルチー)の生態から、よく似た3種の見分け方、ヘビーカバーを撃つフロッグゲームのタックルと釣り方、そして魚体を傷めずに帰すリリースの作法まで、魚太郎が一つひとつ丁寧に解説していこう。

ライギョの基本データ|分類・大きさ・名前の由来

項目内容
和名(標準)カムルチー(雷魚として最も一般的な種)
学名Channa argus(カントール、1842)
英名Northern Snakehead(ノーザン・スネークヘッド)
別名・通称ライギョ(雷魚)、スネークヘッド
分類スズキ目 タイワンドジョウ科 タイワンドジョウ属
全長成魚で30〜80cmほど。大型個体は1mに達することもある
分布東アジア原産。日本へは移入され、ほぼ全国の止水域に定着
生息環境池・湖沼・流れのゆるい川の中下流など、水草の多い止水域
旬・シーズン釣りの本番は夏(高水温期に活性が上がる)
外見の特徴細長い体に円形の黒っぽい斑紋が2列。空気呼吸用の上鰓器官をもつ

「雷魚(らいぎょ)」という名の由来には諸説あり、はっきりとは定まっていない。雷が鳴るような天候に動きが活発になる、あるいは雷雨のときに陸を移動するといった言い伝えに結びつける説などが語られるが、確たる定説とは言いがたい。いっぽう種名の「カムルチー」は、朝鮮半島での呼び名に由来するとされる。学名の Channa argus は、東アジアに広く分布するこの魚の素性をよく表している。

ライギョの生態|空気呼吸する「水草の王者」

生息域とくらし

ライギョ(カムルチー)が好むのは、水草が豊かに茂った止水域だ。流れのある清流よりも、池や湖沼、用水路、川の流れのゆるい中下流域など、ヒシ・ハス・アシ・マコモといった水生植物が密集した、いわゆる「ヘビーカバー」を住みかとする。こうした濃いカバーの中や物陰に身を潜め、頭上を通る獲物をじっと待ち伏せるのが、ライギョの基本的な暮らし方だ。

水草に覆われた水面は、釣り人から見れば攻めにくい難所だが、ライギョにとっては身を隠す絶好の隠れ家であり、エサ場でもある。だからこそ雷魚釣りは「カバーを撃つ」釣りになる。のっぺりした開けた水面より、緑が濃く絡んだ場所にこそ本命がひそんでいる、と覚えておきたい。

強烈な肉食性

ライギョは見た目どおりの貪欲なフィッシュイーター(肉食魚)だ。小魚や甲殻類、昆虫はもちろん、カエルなどの両生類まで、水面に落ちて動くものなら幅広く獲物にする。大きな口と鋭い歯で、自分の頭ほどもある獲物に襲いかかることもある。雷魚釣りでカエルを模した「フロッグ」というルアーが主役になるのは、まさにこの食性を突いているからにほかならない。

空気呼吸する魚——上鰓器官のひみつ

ライギョ最大の生態的特徴が空気呼吸だ。ライギョは鰓のそばの頭部に「上鰓器官(じょうさいきかん)」と呼ばれる、血管の発達した特殊な器官をもっている。ときおり水面に口を出して直接空気を吸い込み、この器官から酸素を取り込むことができるのだ。

このしくみのおかげで、ライギョは酸素の乏しい濁った水や淀んだ池でも平気で生きていける。それどころか、エラを湿らせておければ水から離れても長時間生き延びる、きわめてタフな魚だ。輸送や渇水にも強く、たくましい生命力で各地に広がっていった背景には、この空気呼吸能力が大きく関わっている。なお、空気呼吸に頼る一面があるぶん、水中の酸素だけに依存しないという点も、ライギョという魚を理解するうえで欠かせないポイントだ。

夏に産卵し、親が卵と稚魚を守る

ライギョの繁殖は、釣り人がぜひ知っておくべき生態だ。産卵期はおおむね初夏から夏(5〜8月ごろ)。この時期、雌雄が協力して水草などを集め、水面に直径1mほどのドーナツ状の「浮き巣」を作り、その中に水に浮く卵を産む。卵はオレンジがかった黄色で、数日のうちに孵化する。

特筆すべきは、産卵後も親魚が巣の下に留まり、卵と生まれた稚魚を外敵から守り続けるという強い保護行動(子守)だ。孵化した稚魚はしばらく黒い群れ(仔魚群)をつくって水面近くをかたまって泳ぎ、その下を親が付き添って警護する。守りに入った親は気が荒く、巣に近づくものには果敢に向かっていく。この健気で勇ましい子守の習性こそ、後述する「産卵期の親魚は狙わない」というリリース文化の根っこにある。

冬は泥にもぐって冬眠

暖かい季節に活発なライギョも、水温が下がると一転して動かなくなる。水温がおおよそ15℃を下回ると捕食をやめ、泥の中などに潜って冬眠状態に入る。そして春、水がぬるみ始めると再び動き出す。雷魚釣りが「夏の釣り」と呼ばれるのは、この生態と表裏一体だ。高水温期にこそ活性が上がり、水面まで果敢にエサを追うようになる。

日本にすむライギョ3種|カムルチー・タイワンドジョウ・コウタイ

「ライギョ」は一種の魚を指す名前ではなく、タイワンドジョウ科の魚の総称だ。日本には現在カムルチー・タイワンドジョウ・コウタイの3種が定着しているが、いずれも日本在来の魚ではなく、近代以降に大陸や台湾から持ち込まれた移入種である。釣り人が出会うライギョの大多数はカムルチーだが、地域によっては他の2種も見られる。それぞれの違いを整理しておこう。

種名学名大きさ体側の斑紋日本での主な分布・移入
カムルチーChanna argus30〜80cm(最大1m級)円形の黒斑が2列ほぼ全国。1923〜1924年ごろ朝鮮半島から奈良県へ
タイワンドジョウChanna maculata40〜60cm程度細かい暗斑がほぼ3列沖縄・香川・兵庫・和歌山など。1906年に台湾から大阪府へ
コウタイChanna asiatica30cmほど(最小)くの字の縞8〜9本+銀色の斑点大阪・沖縄本島・石垣島などごく局所的

カムルチー(最も一般的な雷魚)

日本のライギョといえば、まずこのカムルチーを指すと考えてよい。3種の中で最も大きくなり、大型は1mに達する。体側に並ぶ円形の黒っぽい斑紋が2列なのが特徴で、背ビレの軟条数はおよそ45〜54本、尻ビレは31〜35本とされる。1923〜1924年ごろに朝鮮半島から奈良県へ持ち込まれて以降、全国へ広がった。雷魚釣りの主役は、ほぼこのカムルチーだ。

タイワンドジョウ(ライヒー)

「ライヒー」とも呼ばれるタイワンドジョウは、1906年に台湾から大阪府へ移入された種だ。カムルチーよりやや小ぶりで、最大でも60cm程度。見分けの最大のポイントは斑紋で、カムルチーが2列なのに対し、タイワンドジョウは細かい斑紋がほぼ3列に並ぶ。背ビレの軟条数も40〜44本、尻ビレ26〜29本とカムルチーより少なめだ。現在の分布は沖縄や香川、兵庫、和歌山など、西日本の一部に限られる。

コウタイ(七星魚)

コウタイは3種の中で最も小さく、全長30cmほどにしかならない、温帯にすむタイワンドジョウ科では最小の種だ。腹びれを欠き、体側にくの字型の縞が8〜9本、その上に銀色の斑点が散るのが大きな特徴で、中国語の「七星魚(しちせいぎょ)」という呼び名はこの星のような模様に由来する。日本では大阪府や沖縄本島、石垣島などごく限られた水域に定着しているのみで、個体数は少なく、釣りで出会う機会はまれだ。

ライギョと外来種問題|「在来種ではない」という前提

ライギョの釣りを語るうえで、絶対に押さえておきたいのが外来種としての位置づけだ。前述のとおり、日本にすむライギョ3種はいずれも日本古来の在来魚ではなく、20世紀前半に大陸や台湾から人の手で持ち込まれた移入種である。カムルチーが1923〜1924年ごろ、タイワンドジョウが1906年と、いずれも100年ほど前に日本へ入ってきた。

長い年月をかけて各地の水辺に定着し、今ではすっかり日本の淡水フィールドの一員のように扱われているが、その出自はあくまで外来の魚だという事実は変わらない。強い肉食性と高い繁殖力、空気呼吸によるたくましさを併せもつだけに、生態系へ与える影響も無視できない。実際、移植(持ち運んで別の水域へ放すこと)を条例などで禁じている自治体もある。

釣り人として大切なのは、釣ったライギョをほかの水域へ運んで放したり、安易に持ち出したりしないことだ。良かれと思っての放流が、新たな水域への外来種拡散につながりかねない。釣りを楽しませてくれる相手だからこそ、その魚が置かれた立場を正しく理解し、節度をもって向き合いたい。なお外来種だからといって乱暴に扱ってよいわけではなく、後述するように、釣った一尾には敬意をもって接するのが雷魚釣りの文化だ。

ライギョ釣りのシーズン|夏が本番

雷魚釣りは、はっきりと夏が本番のシーズナルな釣りだ。ライギョは高水温期に活性が上がり、水面までエサを追うようになる。一般に、水温が20℃を超え始める春の終わりごろから秋(おおむね4月後半〜10月ごろ)までが狙える期間で、その中でも盛夏がハイシーズンとされる。

時期状況おすすめ度
1月〜3月泥にもぐって冬眠中。ほぼ釣れない★☆☆☆☆
4月後半〜5月水温上昇とともに動き出す。シーズンイン。産卵前の個体も★★★☆☆
6月〜8月盛夏のハイシーズン。水面への反応が最も良い本番★★★★★
9月〜10月水温が高いうちは好調が続く。終盤戦★★★★☆
11月〜12月水温低下とともに渋くなり、やがて冬眠へ★★☆☆☆

ひとつ注意したいのは、夏が本番とはいえ、水温が上がりすぎる真夏の日中や夕方は、かえって食いが鈍ることがあるという点だ。猛暑日の昼間はライギョも物陰でじっとしがちで、比較的水温の落ち着いた朝の時間帯のほうが反応が良いことも多い。また6〜7月は産卵・子育てのシーズンと重なる。後述するように、巣を守る親魚や稚魚の群れには手を出さないのがマナーだ。シーズンの釣りを楽しみつつ、繁殖期の個体への配慮も忘れないようにしたい。

フロッグゲームのタックル|ヘビーカバーを撃つ専用装備

雷魚釣りは、濃い水草の上を、カエル型ルアーで撃っていくトップウォーターのフロッグゲームが王道だ。相手は水草に潜む強烈な引きの大物。そして掛けた魚はカバーから力ずくで引きずり出さなければならない。そのため、タックルは他のルアー釣りとはまるで毛色の違う、頑強な専用装備が基本になる。ここでは雷魚釣りの代表的なタックルを紹介する。

① ロッド(ヘビー〜ウルトラヘビー)

雷魚ロッドは、ルアーロッドの基準でいえばヘビー(H)からウルトラヘビー(XH)の強靭なパワーを備えたものが用いられる。水草ごと魚を引き抜くだけのバットパワーが必要だからだ。長さは取り回しと操作性のバランスから7フィートクラスが扱いやすいとされる。最初の一本には、汎用性の高いミディアムヘビー前後のパワーを選ぶ人も多い。いずれにせよ、繊細さよりも強さが優先される、特殊なロッドだ。

② リール・ライン(PE直結が基本)

リールはパワーのあるベイトリールを合わせる。ラインは雷魚釣り独特で、太いPEライン(6〜10号クラス)をルアーに直結するのがスタンダードだ。一般のルアー釣りではショックリーダーを結ぶのが普通だが、雷魚釣りではリーダーを介するとフッキングのパワーが逃げてしまうため、太いPEを直結して一気に掛けるのが定石とされる。リールはこの太糸を十分に巻ける大きさのものを選ぶ。

③ ルアー(中空フロッグが主役)

主役のルアーは、カエルを模した中空(ちゅうくう)の「フロッグ」だ。内部が空洞のソフトな素材ででき、フックが上向きにセットされているため、水草の上を滑らせても引っかかりにくい「スナッグレス(根掛かり回避)性能」が高い。ほかのルアーでは攻められない濃いカバーの上を、平気で引いてこられるのがフロッグ最大の強みだ。形状にはただ巻きやドッグウォークに向くタイプ、水を押すポッパー型などがある。なお、フックは魚体保護の観点からバーブレス(カエシのないハリ)を推奨する声も根強い。

④ ランディング用具・必携の小物

大型のライギョを安全に取り込み、傷めずに帰すために、いくつかの道具が欠かせない。口を開けさせるマウスオープナー、深く咥えたフロッグを外すプライヤーや鉗子(かんし)、そして厚手のグローブ。ライギョは歯が鋭く、口の中も荒い。素手でハリを外そうとすると思わぬケガをするので、これらは必ず用意したい。安全のためにも、魚のためにも必須の装備だ。

ライギョの釣り方|カバーを撃ち、一呼吸置いて掛ける

1. ヘビーカバーと「切れ目」を撃つ

釣り方の基本は、ライギョが潜むカバーへフロッグを送り込むこと。水草の濃い場所はもちろん、ヒシやハスの「切れ目」、カバーのエッジ(際)、オープンウォーターとの境目などが一級のバイトポイントになる。こうした場所はライギョが頭上の獲物を待ち伏せやすく、フロッグを一瞬で咥えやすい。やみくもに広い水面を引くより、変化のある場所を狙い撃つのが近道だ。

2. ゆっくり誘い、要所でアクションを入れる

ライギョは泳ぎがそれほど速い魚ではない。リトリーブ(巻き)は1秒に1回転ほどのゆっくりめを意識し、速く巻きすぎないのがコツだ。そしてカバーの切れ目やエッジといった「ここぞ」というポイントにフロッグが差しかかったら、その場で軽くシェイク(小刻みに揺する)したり、首を振らせるドッグウォークを入れたりして、ライギョに食う間を与えてやる。誘いのメリハリが、バイトを引き出す鍵になる。

3. バイトしても「一呼吸」置いてからアワセる

雷魚釣りで最も大切なテクニックが、アワセのタイミングだ。ライギョは派手な捕食音とともに襲ってくるが、じつは捕食があまり上手ではなく、フロッグをしっかり咥えきれていないショートバイトも多い。ここで音や水しぶきに驚いて即アワセしてしまうと、すっぽ抜けてしまう。バイトがあっても、ぐっとこらえて一呼吸置き、確実に重みが乗ってから、強いロッドで力強く掛ける。この「間(ま)」を覚えることが、雷魚釣り上達の最大のポイントだ。

4. 掛けたら主導権を渡さず一気に

フッキングが決まったら、相手がカバーに潜り込む前に、強靭なロッドとパワーで一気に水草から引き離す。ライギョは掛かった瞬間、水草の奥へ突っ込もうとするので、主導権を渡さず力でねじ伏せるイメージだ。ここで太いPE直結のタックルが本領を発揮する。やり取りは短時間で、力強く——これが大物を確実に獲るコツだ。

ライギョのリリースと魚体保護|雷魚釣りの「作法」

雷魚釣りには、長年の愛好家たちが大切に守ってきた独自のリリース文化がある。ライギョは基本的に食用として持ち帰る魚ではなく、釣ったら丁寧に水へ帰すのが大前提。だからこそ、魚体を傷めない扱いが何より重んじられる。最後に、その作法をまとめておこう。

  • 掛けた魚は最後まで責任をもって取り込む:ラインブレイクなどでライギョの口にフロッグを残してしまうのは、最も避けるべき事態だ。だからこそ確実に獲れる強いタックルを使う。掛けた一尾は、責任をもって取り込むのが基本姿勢とされる。
  • 魚を乾いた硬い地面に置かない:アスファルトやコンクリート、鉄板、乾いた土の上に直接置くと、魚体の粘膜や表皮を傷めてしまう。ハリを外すときや写真を撮るときは、必ず濡れた草の上やマットの上に寝かせ、地面に直接触れさせない。
  • 道具を使って丁寧にフックを外す:鋭い歯と荒い口に素手で触れるのは危険。マウスオープナーで口を開け、プライヤーや鉗子でフロッグをつまんで外す。グローブも着用し、自分の手も魚も守る。
  • 濡れた手でやさしく持ち、水になじませて帰す:リリースは丁寧に。濡らした手で支え、水に浸けて魚が落ち着くのを待ち、自分から泳ぎ出すのを見届けてから放す。投げ入れるような乱暴な戻し方はしない。
  • 産卵巣・親魚・稚魚の群れは狙わない:6〜7月の繁殖期、水面でペアになって寄り添う個体や、巣を守る親魚、黒くかたまって泳ぐ稚魚の群れには、ルアーを投げない。子守の最中の親を釣ってしまうと、残された卵や稚魚が外敵に食われ全滅しかねない。次の世代を守るための、雷魚釣り最大の不文律だ。

外来種でありながら、これほど釣り人に「魚体を大切に、節度をもって」と語り継がれている魚も珍しい。ライギョという力強い相手と真剣に向き合ってきた先人たちが育んだ文化を、これから始める人も大切に受け継いでほしい。

まとめ|水草を割って現れる、夏の淡水の覇者

ライギョ——その正体は、100年ほど前に大陸から日本へ渡ってきた移入種カムルチーをはじめとする、タイワンドジョウ科の魚たちだ。上鰓器官で空気呼吸し、水草の濃いヘビーカバーに潜んで獲物を待ち伏せ、夏には親が浮き巣で卵と稚魚を守る。蛇のような風貌と、爆発的なバイト、そしてカバーから引きずり出す強烈なファイト。淡水のフィールドで、これほど野性味あふれる釣りを味わわせてくれる相手はそう多くない。

カエル型のフロッグで濃いカバーを撃ち、バイトに一呼吸置いて力強く掛け、太いPE直結のタックルで一気に勝負する。釣れた一尾は乾いた地面に置かず、濡れた草の上で丁寧にハリを外し、やさしく水へ帰す。そして繁殖期の親魚や稚魚には決して手を出さない——この一連の作法こそが、ライギョという魚への敬意であり、雷魚釣りという文化そのものだ。次の夏、水草に覆われた野池の前に立ったら、その緑のじゅうたんの下に潜む覇者のことを思い浮かべてみてほしい。

※雷魚釣りのフィールドは水草の茂った野池や用水路など、足場が悪く滑りやすい場所が多くあります。水辺では無理に踏み込まず、足元と落水に十分注意してください。フロッグのフックや魚の歯・荒い口は鋭く、ケガのもとになります。ハリを外す際は必ずグローブとプライヤー・マウスオープナーを使いましょう。盛夏の釣りは熱中症の危険が高いため、こまめな水分補給と暑さ対策を徹底してください。また、釣った魚は他の水域へ運ばず、産卵巣や子育て中の親魚・稚魚の群れは狙わないなど、資源と次の世代に配慮し、魚体を傷めない丁寧なリリースを心がけてください。

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