静岡県の海釣りは、日本の中でも特別な魅力を持つ。その理由は地理的条件にある。静岡の沿岸部は東から「遠州灘(浜松〜御前崎)」「駿河湾(御前崎〜伊豆)」という2つの海域に分かれ、それぞれ異なる海洋環境を持つ。
遠州灘は黒潮の影響を受ける外洋性の海で、春〜秋にかけてカツオ・ソウダガツオ・シイラ・ブリといった回遊魚が大挙して押し寄せる。砂地が多い底質はヒラメ・マゴチの好漁場でもある。御前崎はこの遠州灘と駿河湾の境目に位置し、両方の恩恵を受ける好ポイントだ。
駿河湾は日本で最も深い湾で、最深部は2,500mを超える。この急激な深さが独特の潮流を生み出し、深場の魚(アカムツ・キンメダイ)が沖釣りで狙える。さらに湾の地形が魚を集める「寄り場」を形成し、アジ・サバ・メアジなどの回遊魚が年間を通じて焼津港・清水港に回遊する。
黒潮(日本海流)は静岡沖を流れる暖流で、南方系の魚種(イシダイ・タカベ・メジナ等)を運んでくる。この黒潮の影響が強まる夏〜秋には、御前崎・清水港周辺で南方系の大型回遊魚が狙えるチャンスが増える。
各エリアの基本情報まとめ
| エリア | 海域 | 主なターゲット | 特徴 | アクセス(主要IC) |
|---|---|---|---|---|
| 御前崎 | 遠州灘/駿河湾境界 | カツオ・ソウダガツオ・メバル・カサゴ・アオリイカ | 岬の突端・磯・港が一体。外洋性回遊魚が豊富 | 相良牧之原ICから約15分 |
| 焼津港・大井川港 | 駿河湾 | アジ・サバ・カマス・ヒラメ・タチウオ | 遠洋漁業の基地。大型港湾でポイント多彩 | 焼津ICから約10分 |
| 清水港・三保 | 駿河湾 | アジ・メバル・シーバス・アオリイカ・ヒラメ | 三保の松原の防波堤が有名。水深が深く魚影濃い | 清水ICから約10分 |
御前崎の釣りスポット完全ガイド|灯台下・御前崎港・地磯を攻略する
御前崎灯台下の地磯|カツオ・メジナ・アオリイカの名ポイント
御前崎の最大の魅力は、日本最大の岬の突端から外洋を狙える地磯の存在だ。御前崎灯台(静岡県御前崎市御前崎1587)の下には荒々しい地磯が広がり、カツオ・ソウダガツオ・メジナ・アオリイカを狙える一級ポイントとなっている。
灯台下の地磯へのアクセスは、灯台駐車場(無料・約30台)から徒歩で15分ほどの磯歩きが必要だ。磯シューズ(スパイクフェルト付き)が必須で、荒天時・高波時は絶対に近づいてはいけない。特に冬の季節風が強い日は波が高く危険なため、気象情報を必ず事前確認すること。
夏(6〜9月)のカツオシーズンは、早朝から大型のカツオが回遊することがある。40〜60cmのカツオが岸近くまで回遊してくる日は、40〜60gのメタルジグ(ダイワ TGベイト・シマノ コルトスナイパー)を遠投するだけで食ってくる。カツオが釣れるような状況ではソウダガツオも混じり、豪快な引きが楽しめる。
秋(10〜12月)はアオリイカのエギングがおすすめだ。御前崎周辺の磯場にはアオリイカが集まりやすく、200〜400gの良型が狙える。エギ王Kシャロー(ヤマシタ)・クリンチフラッシュブースト(シマノ)の2.5〜3.5号を使ったエギングが効果的。
御前崎港の釣り場情報
御前崎港(静岡県御前崎市御前崎地先)は漁港と観光港を兼ねた港で、駐車場が複数あり初心者でも入りやすい釣り場だ。港内は比較的穏やかで、家族連れにも安全。港内の主なポイントは以下の通りだ。
- 外堤防(東堤防):外洋に面した長い堤防。アジ・サバのサビキ釣り、カサゴ・メバルの根魚釣りが楽しめる。テトラが積まれているのでスパイク系の靴を推奨。足場はやや悪い。
- 内堤防(港内側):足場が良く家族向け。春〜秋のアジのサビキ釣りで数釣りが楽しめる。夜間は電気浮き釣りでタチウオが狙える(9〜11月)。
- 港内スロープ周辺:ハゼ・キス・シロギスのちょい投げ釣りが楽しめる。夏(7〜9月)のキス釣りは家族釣りに最適。
| 場所 | 狙える魚 | ベストシーズン | 難易度 | 駐車場 |
|---|---|---|---|---|
| 外堤防(東堤防) | アジ・サバ・カサゴ・アオリイカ | 春〜秋(4〜11月) | 中級者向け | 港駐車場(無料) |
| 内堤防 | アジ・サバ・キス・タチウオ | 春〜秋(4〜11月) | 初心者〜中級者 | 港駐車場(無料) |
| 地磯(灯台下) | カツオ・メジナ・アオリイカ・カサゴ | 夏〜秋(6〜12月) | 上級者向け | 灯台駐車場(無料・30台) |
焼津港・大井川港の釣りスポット解説
焼津港|カツオの街の大型漁港で多彩な魚種を狙う
焼津港は遠洋漁業の基地として全国に知られる大型漁港だが、釣りスポットとしても魅力が大きい。焼津市の焼津港南部に位置する「大浜海岸・焼津漁港外堤防」エリアが主な釣りポイントだ。静岡県道416号線で港に入り、港湾管理者の指定エリアでの釣りが可能。
焼津港周辺で年間を通じて最も安定して釣れるのがアジだ。20〜30cmのマアジが港内に常に回遊しており、サビキ釣りで数釣りが楽しめる。特に夕方〜夜間の電気浮きサビキが最も効率が良く、1時間で50〜100匹釣れる日もある。
秋(9〜11月)はタチウオが焼津港の最大の目玉だ。指4〜5本サイズ(胴体の幅が指4〜5本分の大型)が港内まで入り込み、ワインド(ジグヘッド+ワーム)や電気浮き釣りで狙える。特に夜間の照明がある場所(港内の明かり周り)に集中する傾向がある。タチウオのワインドには「タチウオテンヤ」も有効で、秋の週末は大勢の釣り人で賑わう。
大井川港|キス・ヒラメ・マゴチの好ポイント
大井川港(焼津市大井川地区)は焼津港から南に7kmほどの小型漁港だ。港内は穏やかで足場が良く、初心者向けの釣り場として人気が高い。特に夏(6〜9月)のキス(シロギス)釣りが有名で、港前の砂浜から投げ釣りをすると20〜25cmの良型が揃う。
また、大井川河口周辺はヒラメ・マゴチのルアーゲームで知られる場所だ。河川流入による地形変化(ブレイク・砂紋)がヒラメの好ポイントを形成しており、10〜11月のヒラメシーズンには40〜60cmの良型が期待できる。14〜28gのジグヘッド+5〜7インチのワーム(エコギア パワーシャッド等)をゆっくり引くのが基本。
清水港・三保の松原エリアの釣り場ガイド
三保の松原の防波堤|静岡最大の釣り場の一つ
三保の松原(静岡市清水区三保)は世界文化遺産(富士山の構成資産)として有名だが、釣り場としても静岡を代表する人気スポットだ。三保半島の先端にある「三保堤防(三保突堤)」は全長約1.5kmに及ぶ長大な堤防で、魚影が非常に濃い。
三保堤防の駐車場は「みほしるべ(三保の松原観光交流センター)」駐車場(300台以上・無料)を利用する。堤防への入口は徒歩で10〜15分歩く必要がある。トイレは駐車場隣の観光センターで利用可能。
三保堤防の最大の特徴は水深の深さだ。堤防先端は水深15〜20mに達し、深場を好む魚が集まりやすい。特に冬〜春(12〜4月)のメバルが有名で、夜間に表層〜中層を1〜2gのジグヘッドで引く「メバリング」で25〜30cmの良型が狙える。
アオリイカの実績も高く、秋(9〜11月)と春(3〜5月)に数釣りができる。エギ3号前後を基準に、底〜中層を丁寧に探る。カラーはオレンジ・ピンク・パープルが三保では実績が高い。
清水港周辺の釣りポイント
清水港は駿河湾に面した大型国際貿易港だが、一部エリアが釣り場として開放されている。「清水魚市場(河岸の市)」周辺の護岸やマリンパーク前は市民に親しまれた釣りスポットで、アジ・サバのサビキ釣りが年間を通じて楽しめる。
清水駅から徒歩圏内にある「日の出埠頭」周辺は、夜間のシーバス(スズキ)ゲームで知られる場所だ。港の明かりに集まるベイトフィッシュを追ってシーバスが接岸し、10〜28gのメタルジグやシンキングミノーでの釣果が高い。60〜80cmの良型が期待できる秋(10〜11月)がピークシーズンだ。
静岡の季節別ターゲット魚種カレンダー
| 季節 | 主なターゲット | おすすめスポット | 釣り方 | サイズ感 |
|---|---|---|---|---|
| 春(3〜5月) | アオリイカ・メバル・シロギス・カレイ | 三保突堤・御前崎地磯・大井川港 | エギング・メバリング・投げ釣り | アオリイカ300〜500g・メバル20〜25cm |
| 夏(6〜9月) | カツオ・アジ・シロギス・マゴチ・シイラ | 御前崎磯・焼津港・大井川河口 | ジギング・サビキ・投げ釣り・ルアー | カツオ40〜60cm・アジ20〜30cm |
| 秋(10〜12月) | タチウオ・アオリイカ・ヒラメ・ブリ | 焼津港・三保突堤・御前崎 | ワインド・エギング・ルアー・ジギング | タチウオ指4〜5本・ヒラメ40〜60cm |
| 冬(1〜2月) | カレイ・アイナメ・メバル・マダイ(沖) | 大井川港・焼津港・三保突堤 | 投げ釣り・根魚狙い・メバリング | カレイ25〜35cm・メバル20〜28cm |
駿河湾の遊漁船(沖釣り)情報
駿河湾の沖釣りで狙える特別な魚種
陸っぱりでは狙えない魚を求めるなら、駿河湾の遊漁船に乗ることをおすすめする。駿河湾は日本最深の湾であるため、沖に出ればアカムツ(のどぐろ)・キンメダイ・タチウオ・マダイなど、深海〜中層の魚が狙える。
焼津港・大井川港を基地とする遊漁船の中でも特に人気が高いのが「マダイの泳がせ・コマセ釣り」だ。駿河湾の50〜80m水深の根まわりに大型マダイが集まり、1〜3kgの良型が期待できる。時には5kgを超える大鯛も上がる。料金は1人8,000〜12,000円程度(半日〜1日)が相場だ。
清水港周辺の遊漁船では「ドラゴンタチウオジギング」が人気だ。水深100〜200mの駿河湾深部に大型タチウオが生息し、150〜250gのメタルジグで水深を細かく探る。指6〜8本クラスの超大型タチウオが釣れることがある。
釣り禁止区域とマナー|静岡の釣り場を守るために
立入禁止・釣り禁止エリアの確認方法
静岡県の主要港湾は港湾法の管理下にあり、漁業関係者の作業エリア・危険区域は立入禁止となっている。焼津港・清水港の大型バース(船着き場)周辺はほぼ全域で立入禁止だ。釣り可能エリアは「釣り場案内板」または港湾管理者のウェブサイトで確認できる。
御前崎の地磯は基本的に釣り可能だが、「御前崎海岸の一部エリア」は季節によってアカウミガメの産卵保護のため立入制限がかかることがある(5〜9月)。事前に御前崎市観光協会のウェブサイトで確認が必要だ。
三保の松原の「天女の羽衣の松」周辺は神聖な文化遺産エリアで、松の根元への立入・ゴミ捨て・タープ設営などは厳禁だ。また、松林内での釣りは禁止されており、必ず堤防・護岸での釣りに限定すること。
静岡の釣り場周辺情報|釣具店・食事処・温泉
静岡の主要釣り場周辺の便利情報をまとめる。釣具店は釣行前に必ず立ち寄り、最新の釣況・エサの在庫を確認することをおすすめする。
- 上州屋焼津店(焼津市焼津4丁目):焼津港・大井川エリアの地元密着型釣具量販店。タチウオ・アジのシーズン情報が充実
- オークス釣具御前崎店(御前崎市御前崎地区):御前崎エリアの情報拠点。磯釣り・カツオ用品が豊富
- かねこ釣具(静岡市清水区):三保・清水港エリアの老舗釣具店。メバリング・エギング用品が充実
釣り後の食事では、焼津港近くの「さかなや道場 焼津店」でカツオのタタキ・マグロ丼が楽しめる。御前崎では「御前崎マリンパーク」内の食堂で地魚定食が食べられる。清水港周辺の「清水魚市場・河岸の市」は新鮮な海鮮が食べられる人気スポットで、釣行の締めに最適だ。
FAQ|静岡・御前崎・焼津・清水港の釣りQ&A
Q: 御前崎の地磯釣りは初心者でも行けますか?
A: 御前崎の地磯は上級者向けです。磯へのアプローチで岩を越えていく必要があり、磯シューズとライフジャケット着用が必須です。初心者は御前崎港の堤防から始め、慣れてきたら地磯に挑戦する順番をおすすめします。必ず複数人で行動し、単独での磯釣りは避けてください。
Q: 焼津港のタチウオはいつ頃から釣れますか?
A: 例年9月下旬〜11月中旬が最盛期です。水温が22℃前後まで下がり始める9月後半から港内に入り込んできます。夜間の釣りが最も効果的で、港内の照明周辺に集まります。ワインド(テンヤ+フラッシュJ等)または電気浮き釣りで狙います。12月に入ると水温低下とともに数が減り始めます。
Q: 三保の松原の駐車場から堤防まで遠いですか?
A: みほしるべ(三保の松原観光交流センター)の駐車場から三保突堤の先端まで、徒歩で20〜30分かかります。荷物が多い釣りの場合はキャリーカートを活用することをおすすめします。堤防入口に近い「三保海水浴場駐車場(有料・夏季のみ)」を利用すると歩行距離を短縮できます。
Q: 清水港でシーバスを狙う場合のおすすめタックルは?
A: 9〜10ft、M〜MHパワーのシーバスロッドに、3000〜4000番のスピニングリール。PEライン1号+フロロリーダー16〜20lbが基本システムです。ルアーは港の明かりに合わせた10〜14cmのシンキングペンシル(ima ニーサン・DUO ビーチウォーカー)またはバイブレーション(シマノ エクスセンス)が清水港では実績が高いです。
Q: 静岡で一年中釣れる「外れなし」のターゲットはありますか?
A: 焼津港・大井川港・清水港でのアジのサビキ釣りは、年間を通じて最も安定した釣果が期待できます。特に夕方〜夜間は数釣りができ、初心者でも1〜2時間で10〜30匹釣ることは珍しくありません。アジは釣って美味しく(刺身・たたき・アジフライ)、ファミリー釣りの定番として静岡でも大人気です。
Q: 駿河湾の遊漁船に初めて乗る場合の注意点は?
A: 遊漁船への乗船前日までに「乗船名簿(氏名・住所・緊急連絡先)」を提出し、ライフジャケット着用が義務(水産庁規則)です。酔い止め薬(センパア・アネロン)は乗船1時間前に服用することが推奨されます。船長からの指示には必ず従い、安全第一で楽しんでください。釣り竿・リールは船宿で貸し出しをしているところが多いので、初心者は手ぶらでも参加できます(要事前確認)。
静岡県の釣り場は御前崎・焼津・清水それぞれに異なる魅力があり、季節ごとに最適なスポットを選ぶことで一年を通じて釣りを楽しめる。遠州灘の豪快なカツオ・シイラ釣りから、駿河湾の繊細なアジ・メバル釣り、三保突堤のアオリイカまで、静岡の海は無限の可能性を秘めている。ぜひ季節の魚を求めて、この豊かな海に通い詰めてほしい。



