浜名湖といえば「ウナギ」——浜松・浜名湖は日本のウナギ養殖発祥の地として知られ、明治22年(1889年)に服部倉治郎が世界で初めてウナギの人工養殖に成功した場所です。130年以上の歴史を持つ浜名湖産ウナギは、豊富な水と独自の飼育技術で育てられた日本最高峰の食材です。このページでは、浜名湖産ウナギを最高においしく食べるための調理法を完全解説します。蒲焼きの正しい作り方・白焼き・うな重・ひつまぶし・柳川鍋まで、家庭でできる本格ウナギ料理のすべてをお伝えします。
浜名湖ウナギの歴史と特徴
浜名湖ウナギの歴史(世界初の養殖発祥)
1889年(明治22年)、東京から浜名湖に移り住んだ服部倉治郎は、浜名湖の温暖な気候と豊かな水を利用してウナギの養殖に着手。試行錯誤を繰り返した末に養殖に成功し、これが日本(そして世界)初のウナギ養殖として歴史に刻まれました。
その後、浜名湖周辺(浜松市浜北区・湖西市・磐田市等)にウナギ養殖場が広がり、昭和40〜50年代には「浜名湖産=日本一のウナギ」として全国に名を轟かせました。現在は輸入ウナギの台頭で養殖量は最盛期より減りましたが、浜名湖産ウナギは今も高品質ブランドとして評価されています。
浜名湖産ウナギの特徴
- 身の厚さ:良質な飼料と豊かな水で育てられた浜名湖産は、身が特に厚くふっくらしている
- 脂の乗り:適度な脂乗りで上品な旨み。脂が多すぎず少なすぎない「ちょうど良い」バランス
- 臭みの少なさ:清潔な水での養殖のため、泥臭さが少ない
- 皮の薄さ:浜名湖産ウナギは皮が薄く、蒸してから焼く「関東風蒲焼き」に適している
浜松・浜名湖のウナギ文化
浜松には老舗のウナギ料理店が数多く存在し、「うな重」と「ひつまぶし」の両スタイルが楽しめます。浜松で最も古い老舗(創業100年超)もあり、独自の秘伝タレが代々受け継がれています。
浜松のウナギの食べ方の特徴:
- 「蒸してから焼く」関東風と「そのまま焼く」関西風が混在
- タレは醤油・みりん・砂糖を煮詰めた甘辛のもの。浜名湖の海の塩分がわずかに感じられる独特の風味
- 「ひつまぶし」(ウナギを細かく切って混ぜるスタイル)は名古屋から伝わったが、浜松でも人気
ウナギのさばき方(自分で釣った場合・生きているウナギの処理)
注意:浜名湖でウナギを釣る際は漁業権に注意。浜名湖内の一部区域ではウナギの採捕に遊漁券が必要です。浜名湖漁業協同組合(TEL:053-592-0156)に事前確認してください。
ウナギのさばき方(目打ち・背開き)
- 目打ちで固定:まな板に目打ち(またはアイスピック)でウナギの頭を固定する(ウナギは非常に動くため必須)
- 骨の場所を確認:ウナギの体の中心部より少し腹側に脊骨が通っている
- 背開きにする(関東流):背中から包丁を入れ、頭から尾に向けて脊骨に沿って開く。内臓を取り除く
- または腹開き(関西流):腹から包丁を入れて開く。関東と逆のスタイル
- 脊骨を取り除く:脊骨の下に包丁を滑らせて骨をはがす
- 白焼きの準備:さばいたらすぐに塩水(または水)で洗い、水分を拭き取る
ウナギのぬめり取り:塩をまぶしてよくこすると、ぬめりが白く固まって取りやすくなる。流水で洗い流す。
レシピ①ウナギの蒲焼き(関東風・自宅で本格派)
関東風の蒲焼きは「蒸してから焼く」スタイルで、ふっくらした柔らかい食感が特徴です。
材料(2人分)
- ウナギ(背開きにしたもの):2尾分(または市販の白焼き2本)
- タレ:醤油100ml、みりん100ml、砂糖大さじ3、酒50ml
- 山椒の粉:お好みで
作り方
- タレを作る:醤油・みりん・砂糖・酒を鍋に入れて中火で煮立て、5〜7分煮詰める。とろみが出たら完成。冷ましておく
- 素焼き(白焼き):魚焼きグリルまたはフライパンで、串を打ったウナギを皮側から素焼きにする。4〜5分焼いて表面が白っぽくなったら裏返して2〜3分
- 蒸す:素焼きにしたウナギを蒸し器(またはフライパンに水を入れてアルミ蒸し器代用)で8〜10分蒸す。これでふっくら感が出る
- タレを塗って焼く:蒸し上がったウナギにタレを塗り、グリルで2〜3分。さらにタレを塗って1〜2分を2〜3回繰り返す
- 仕上げ:山椒をかけて完成
ポイント:タレは「塗って焼く」を3〜4回繰り返すと、表面に美しいテリが出ます。一度に全部のタレを塗らず、少量ずつ重ね塗りするのが蒲焼きの真髄です。
レシピ②ウナギの白焼き(素材の旨みを最大限に)
白焼きは塩だけで焼くシンプルな料理法で、ウナギ本来の脂の甘みと旨みを最大限に引き出します。浜名湖の老舗ウナギ店では、白焼きを「ウナギの最高の食べ方」と表現することもあります。
作り方
- 開いたウナギに薄く塩を振り、15〜20分置く(浸透圧で余分な水分が出てくる)
- 表面の水分をペーパーで拭き取る
- 皮側から焼く(グリルで4〜5分)。皮がパリッとするまで
- 裏返して身側を3〜4分
- わさびと醤油(または山椒と塩)で食べる
白焼きは蒲焼きより脂の甘みが直接感じられます。日本酒(特に浜松の「鄙願(ひがん)」等の地酒)との組み合わせは最高です。
レシピ③うな重・ウナギ丼(家庭でできる本格うな重)
材料(2人分)
- ウナギの蒲焼き(市販の蒲焼き使用も可):2本
- ご飯:2合分(少し固めに炊く)
- タレ:市販のウナギのタレまたは自家製(醤油:みりん:砂糖=1:1:0.3)
- きゅうりや山椒の葉(飾り用)
作り方
- 市販の蒲焼きを使う場合は、タレをかけてアルミホイルで包み、トースター(または魚焼きグリル)で5〜7分温め直す
- 重箱(または丼)にご飯をよそい、タレをかけて染み込ませる(少量で良い)
- ウナギを食べやすい大きさに切って盛る
- タレを少量かけて完成。山椒を添える
うな重の「松竹梅」の違い:料亭・ウナギ屋では「松(最高級)・竹(普通)・梅(手頃)」と等級があることが多いですが、違いはウナギの量と質。自宅では好きなだけのせられるのが手作りの醍醐味です。
レシピ④ひつまぶし(名古屋・浜松スタイル)
ひつまぶしは蒲焼きを細かく切ってご飯に混ぜ、3種類の食べ方で楽しむ料理です。
3種類の食べ方
- そのまま:ひつ(おひつ=木の桶)から直接茶碗によそって食べる
- 薬味を加えて:ネギ・刻みのり・わさびをのせて食べる
- お茶漬け:だし汁(またはほうじ茶)をかけてお茶漬け風に食べる
この3種類を楽しむのがひつまぶしの醍醐味。浜松のウナギ屋でも提供しているお店があります。
レシピ⑤柳川鍋(江戸時代から続く伝統料理)
柳川鍋はウナギとゴボウを醤油・砂糖で煮て卵でとじる伝統料理です。蒲焼きの端材(切り落とし)や頭の周辺の身を使うと無駄なく作れます。
材料(2人分)
- ウナギの蒲焼き(または白焼き):1〜2本分の切り落とし
- ゴボウ:1/2本(ささがきにして水にさらす)
- 卵:2〜3個
- だし汁:200ml
- 醤油:大さじ2
- みりん:大さじ2
- 砂糖:大さじ1
作り方
- 浅めの鍋(または親子鍋)にだし汁・醤油・みりん・砂糖を合わせて煮立てる
- ゴボウを入れて柔らかくなるまで煮る(5〜8分)
- ウナギの蒲焼きを入れて2〜3分温める
- 溶き卵を回しかけ、半熟になったら火を止める
- 三つ葉・山椒をのせて完成。ご飯にかけて食べる
浜名湖産ウナギを手に入れる方法
- 浜名湖ウナギの直売所・市場:浜松市・湖西市のウナギ養殖場直売所では、生きたウナギ・白焼き・蒲焼きを購入できる。新鮮さが市場品と全く異なる
- 浜松の老舗ウナギ料理店(持ち帰りあり):「八百徳」「浜名湖うなぎ」等、持ち帰り蒲焼きを購入できる老舗多数
- 浜名湖SA・道の駅:東名高速浜名湖SAや周辺の道の駅でも浜名湖産ウナギの加工品を販売
ウナギの保存と再加熱方法
- 蒲焼きの冷蔵保存:ラップに包んで冷蔵庫で2〜3日
- 蒲焼きの冷凍保存:1枚ずつラップで包んでジップロックに入れ冷凍→1〜2ヶ月保存可
- 再加熱方法:アルミホイルで包んでトースターまたはグリルで5〜8分。電子レンジより断然美味しい
まとめ:浜名湖産ウナギで作る最高の一品
浜名湖産ウナギは130年以上の養殖の歴史と技術が生んだ、日本最高品質のウナギです。蒲焼きのテリと香ばしさ、白焼きの脂の甘み、柳川鍋の温かさ——いずれも浜名湖の恵みを最大限に引き出した料理です。
土用の丑の日はもちろん、年中いつでもウナギ料理で浜松・浜名湖の豊かな食文化を楽しんでください。自分で釣った(漁業権確認後)ウナギで作る蒲焼きの味は、人生最高の一品になるはずです。



