穴釣りは「最も魚に近い釣り」——テトラの隙間に潜むロックフィッシュを引きずり出す
キャストの飛距離も、高価なタックルも、高度なルアーアクションも必要ない。穴釣りはテトラポッドや石積みの隙間に仕掛けを落とし込み、その暗闇に潜む根魚をダイレクトに誘い出す、最もシンプルかつ最も「魚との距離が近い」釣りだ。
浜名湖や遠州灘の堤防には、カサゴ・メバル・タケノコメバル・ムラソイといったロックフィッシュが高密度に生息するテトラ帯が点在している。しかし、ただ穴に落とせば釣れるほど甘くはない。穴の選び方、仕掛けの落とし方、根掛かりとの戦い方——知っているかどうかで釣果は3倍変わる。
この記事では、浜名湖・遠州灘エリアで穴釣りを楽しむための全技術を、タックル選びから安全対策まで徹底的に解説する。テトラに足を踏み入れたことがない初心者も、もっと数を伸ばしたい経験者も、ぜひ最後まで読んでほしい。
穴釣りの基本——なぜテトラの中に魚がいるのか
根魚の生態と穴釣りの原理
カサゴやメバルなどの根魚は、岩陰やテトラポッドの隙間に身を潜めて生活する「居着き型」の魚だ。彼らがテトラに居着く理由は明確で、以下の3つの条件がすべて揃うからだ。
- 身を隠せる暗がり:外敵から身を守る安全な住処
- 流れが当たる場所:潮流がテトラの隙間を通過する際にエサ(小魚・エビ・カニ)が運ばれてくる
- 適度な水温:テトラ内部は外海より水温変化が緩やかで、魚にとって快適な環境が維持される
つまりテトラポッドは根魚にとって「食堂付きマンション」のようなもの。穴釣りはその玄関先にエサを届けてやる釣りだ。居着きの魚を狙うため回遊待ちのストレスがなく、穴さえ見つければほぼ確実に反応が得られる。
浜名湖・遠州灘で穴釣りが有効なシーズン
| 時期 | 水温目安 | メインターゲット | 活性 |
|---|---|---|---|
| 1月〜2月 | 10〜13℃ | カサゴ(抱卵個体) | 低〜中(日中の暖かい時間帯に集中) |
| 3月〜4月 | 13〜16℃ | カサゴ・メバル・タケノコメバル | 中〜高(春の活性上昇期) |
| 5月〜6月 | 18〜22℃ | カサゴ・タケノコメバル・ムラソイ | 高(年間ベストシーズン) |
| 7月〜9月 | 24〜28℃ | カサゴ・ギンポ・ハゼ類 | 中(高水温で奥に引っ込む) |
| 10月〜11月 | 18〜22℃ | カサゴ・メバル・タケノコメバル | 高(秋の荒食い) |
| 12月 | 14〜17℃ | カサゴ・メバル | 中(水温低下で食いが渋くなり始める) |
注目すべきは穴釣りには「完全なオフシーズン」がほぼないこと。真夏は日中を避けて朝夕に、真冬は日中の暖かい時間帯に狙えば、年間を通じてカサゴの顔を見ることができる。特に浜名湖は外海と比べて水温が安定しやすく、冬場でもテトラ内部の水温が12℃を下回りにくいため、遠州灘側のサーフが厳しい時期でも穴釣りなら釣果が出る。
タックル・仕掛けの選び方——短竿とブラクリが基本装備
ロッドの選び方
穴釣りのロッド選びで最も重要なのは「短さ」だ。テトラの上を移動しながらピンポイントに仕掛けを落とすため、長い竿は取り回しが悪く、むしろ邪魔になる。
| 項目 | 推奨スペック | 備考 |
|---|---|---|
| 長さ | 1.0m〜1.5m(3〜5フィート) | テトラの隙間に差し込みやすい長さ |
| 硬さ | ミディアム〜ミディアムヘビー | 根に潜られる前に強引に引き抜く必要がある |
| 穂先 | やや柔らかめ | カサゴの「コツコツ」というアタリを弾かない |
| ガイド数 | 少なめ(3〜5個) | 糸絡みリスク低減 |
おすすめロッド:
- プロマリン テトラ大物EX 110M:実売2,000円台。テトラ穴釣りの定番で、110cmの取り回しの良さと、20cm超のカサゴを抜き上げるバットパワーを両立
- ダイワ 穴釣り専科 M-110:実売3,000円台。ダイワのエントリーモデルながら感度が良く、小さなアタリも明確に手元に伝わる
- シマノ ホリデーパック 10-180T:振り出し式で仕舞寸法44.5cm。テトラ歩きの移動時にコンパクトに収まり、1.8mの長さは少し深い穴にも対応できる
上級者にはダイワ MC750(75cm)のような超短竿もある。ボートロッドやワカサギ竿を流用する人もいるが、バットパワー不足で根に潜られやすいので注意。
リールの選び方
穴釣りのリールは小型の両軸リール(ベイトリール)が圧倒的に使いやすい。理由は3つ。
- フリーフォールが自在:クラッチを切るだけで仕掛けが真下に落ちる
- 巻き上げ力が強い:根に突っ込む魚を強引に引き剥がせる
- 糸ヨレしにくい:スピニングのようにラインがクルクルしない
おすすめリール:
- プロマリン バトルフィールド BF100:実売1,500円前後。穴釣り入門の大定番。安価だが穴釣りには十分な性能
- ダイワ コロネット2 II:実売2,500円台。軽量コンパクトで、ドラグ性能もエントリーモデルとしては申し分ない
- アブガルシア ブルーマックス船3:実売4,000円前後。本来は船小物用だが、穴釣りには最適。カウンター付きモデルを選べば落とした深さも把握できる
スピニングリールでも穴釣りは可能だが、その場合は2000番以下の小型を選び、ラインはフロロカーボン3号以上を直結で使うのがベター。
仕掛けの種類と使い分け
穴釣りの仕掛けは大きく分けて3タイプ。
①ブラクリ仕掛け(最も基本)
赤い丸型オモリに針が直結された穴釣り専用仕掛け。オモリと針の距離が近いため根掛かりしにくく、テトラの隙間をスルスルと通り抜ける。
- 号数:3号〜5号が浜名湖の標準。潮流が速い今切口周辺では8号まで上げることも
- おすすめ:ささめ針「ブラクリ」シリーズ、がまかつ「お墨付きブラクリ」
- 針サイズ:カサゴ狙いなら針3〜5号。大物狙いなら6〜8号
②ジグヘッド+ワーム
ブラクリの代わりにジグヘッドにワームを装着する方法。メリットはエサ切れがないことと、カラーローテーションができること。
- ジグヘッド:3g〜7g。根掛かり対策でフック部分がガードされたタイプが理想
- ワーム:2〜3インチのグラブ系・シャッドテール系。カラーは赤金・オレンジ・チャートがテトラの暗がりで実績が高い
- おすすめ:エコギア「グラスミノーS」、バークレイ「ガルプ! ソルトウォーターパルスワーム 3.8インチ」(ガルプの集魚力は餌並み)
③胴付き仕掛け(大物狙い・深い穴向け)
幹糸の下にオモリ、途中にエダスを出して針を付ける仕掛け。テトラの隙間が広く深い場所で、中層に浮いているメバルやタケノコメバルを狙うときに効果的。
- オモリ:ナス型3号〜5号
- エダス:フロロ2号×10cm、1〜2本
- 向く場面:テトラ基部の大きな空洞、石積み護岸の広い隙間
ラインの選び方
穴釣りのラインはフロロカーボン3号〜4号が鉄板。テトラやカキ殻に擦れても切れにくい耐摩耗性が最大の武器だ。PEラインは感度こそ高いが、テトラに擦れた瞬間にスパッと切れるため穴釣りには不向き。ナイロンでも可だが、伸びが大きいぶん合わせが遅れやすい。
リールに巻く量は50mもあれば十分。穴釣りで10m以上ラインを出すことはまずない。
エサの選び方——「匂い」と「動き」で穴の奥から引き寄せる
定番エサ一覧と使い分け
| エサ | 集魚力 | 持ち(エサ取り耐性) | 入手性 | 適した場面 |
|---|---|---|---|---|
| オキアミ | ★★★★★ | ★★☆☆☆ | ★★★★★ | 万能。迷ったらまずこれ |
| サバの切り身 | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★★★ | エサ取り多い夏場。長持ちNo.1 |
| アオイソメ | ★★★★☆ | ★★★☆☆ | ★★★★★ | 動きで誘える。カサゴ・ギンポに特効 |
| イカの短冊 | ★★★☆☆ | ★★★★★ | ★★★★★ | 安価で長持ち。スーパーの刺身用でOK |
| カニ(小型のイソガニ) | ★★★★★ | ★★★★☆ | ★★☆☆☆ | 大型カサゴ・タケノコメバル狙い |
| ガルプ!ワーム | ★★★★☆ | ★★★★★ | ★★★☆☆ | エサ切れなし。ワーム液の匂いが強力 |
浜名湖穴釣りのエサ使い分けテクニック
基本ローテーションとして、最初の1時間はオキアミで広くテトラ帯を探り、アタリが多い穴を見つけたらサバの切り身に切り替えて効率よく数を重ねる。大型を狙いたい穴には小型のイソガニを投入する——この流れが浜名湖では安定する。
意外と効くのがスーパーで買える鶏のささみ。安価でエサ持ちがよく、白い色がテトラの暗がりで目立つ。釣具店が閉まっている早朝に24時間スーパーで調達できるのも利点だ。
エサの付け方のコツは「針先を必ず出す」こと。穴釣りはカサゴの硬い口にしっかり針を貫通させる必要があるため、エサで針先を隠すと掛かりが悪くなる。オキアミなら尻尾を取って1匹掛け、サバの切り身なら1cm×3cm程度の短冊にして針先を露出させる。
穴の選び方と探り方——すべてのテトラに魚がいるわけではない
魚がいる穴の見極め方
テトラ帯のすべての穴に魚がいるわけではない。効率よく釣果を伸ばすには、以下のポイントで穴を選別する。
①潮通しの良い穴を最優先
テトラ帯の中でも先端部・角・潮が当たる面にある穴は、エサが流れ込みやすいため魚のストック量が多い。逆に港の奥まった場所のテトラは潮が淀みやすく、魚密度が薄い傾向がある。
②暗くて深い穴を選ぶ
覗き込んで底が見えない暗い穴ほど魚が居着きやすい。光が差し込む浅い穴は日中に魚が嫌がるため、特に晴天時は影になっている面の穴を重点的に攻める。
③水面との距離を確認
穴の入り口から水面までの距離が近い(水没している、または水面ギリギリ)穴が理想。テトラの上のほうにある乾いた穴は、よほど大きな空洞でない限り魚はいない。潮位に応じて攻める段が変わることを意識しよう。満潮時は上段の穴も水没して有効になり、干潮時は下段まで降りて攻める。
④カキ殻やフジツボの付着を見る
テトラ表面にカキ殻やフジツボが密集している場所は、潮通しが良く栄養豊富な証拠。こうしたテトラの穴は根魚のエサとなるエビやカニも多い。
仕掛けの落とし方——「静」と「動」の使い分け
- 穴にブラクリを投入:穴の入り口にそっと仕掛けを入れ、クラッチを切ってフリーフォールさせる。ラインのたるみ具合で底に着いたかどうか判断する
- 底に着いたら5秒待つ:着底の振動と匂いで魚が気づく「間」を作る。これが重要
- 小さくリフト→フォール:10〜20cmほど持ち上げてからゆっくり落とす。この上下動を3〜5回繰り返す
- 反応がなければ10秒ステイ:穴の奥に魚がいる場合、匂いが届くまで少し時間がかかる
- 30秒〜1分で判断:一つの穴に粘りすぎない。反応がなければ次の穴へ。穴釣りは「数撃ちゃ当たる」ではなく「良い穴を効率よく回る」釣り
アタリの出方は大きく2パターン。カサゴは「コツッ、コツッ」と明確に叩くようなアタリで、一呼吸待ってからグッと竿先が入ったら合わせる。メバルは「モゾモゾ」と穂先が押さえ込まれるような出方で、違和感を感じたら即合わせが基本だ。
根掛かりとの戦い方
穴釣り最大の敵は根掛かり。しかし、以下のテクニックで大幅に軽減できる。
- オモリを着底させたまま放置しない:常に軽くテンションをかけ、少し浮かせた状態を維持する
- 根掛かりしたら即座に竿先を振る:固まる前にプルプルと小刻みに揺すると外れやすい。引っ張ると余計に食い込む
- 太めのラインを使う:フロロ3号以上なら多少の擦れにも耐える。細糸は感度が良くてもロスト頻度が跳ね上がる
- ブラクリは多めに持参:1回の釣行で5〜10個はロストする前提で用意する。100均のブラクリでも十分釣れる
浜名湖・遠州灘の穴釣りポイントガイド
浜名湖エリア
舞阪漁港・南側テトラ帯
今切口に近く潮通し抜群。カサゴの魚影が特に濃く、20cmオーバーも珍しくない。テトラの隙間が大きいため初心者でも仕掛けを落としやすいが、潮流が速い時間帯は足元注意。干潮前後の潮止まりから始めるのが安全。駐車場は舞阪表浜駐車場を利用。
新居海釣公園・西側テトラ
釣り公園として整備されているため足場が比較的良い。テトラ帯はカサゴ・メバルの好ポイントで、秋にはタケノコメバルも混じる。トイレ・駐車場完備でファミリーにもおすすめ。
村櫛海岸・浜名湖内側テトラ
浜名湖の奥部にあたるが、テトラ周辺にカサゴとギンポが居着いている穴場。人が少なく魚がスレていないため、一穴で2〜3匹連続ヒットすることも。水深が浅めなので満潮前後がゴールデンタイム。
遠州灘エリア
浜松篠原海岸・ヘッドランド周辺
サーフに設置されたヘッドランド(T字型突堤)の根元にある石積み・テトラ帯が穴釣りの好ポイント。外海に面しているため波が高い日は危険だが、凪の日は良型カサゴの連発が期待できる。ウネリがある日は絶対に入らないこと。
福田漁港(磐田市)テトラ帯
港の外側に広がるテトラ帯はカサゴ・ムラソイの好漁場。テトラが比較的新しく隙間が整っているため仕掛けを落としやすい。秋〜冬にかけてはメバルも回ってくる。
御前崎港・白灯台周辺テトラ
少し足を延ばすが、外海の潮を受ける御前崎のテトラ帯はロックフィッシュの宝庫。カサゴのサイズが一回り大きく、25cmクラスも射程圏内。テトラが大型で穴が深いため、オモリは5号以上を推奨。
時間帯・潮回り・天候別の攻略パターン
時間帯別の攻め方
| 時間帯 | 特徴 | 攻め方のコツ |
|---|---|---|
| 朝マズメ(5:00〜7:00) | 魚が穴から出て活発に捕食 | 穴の入り口付近・テトラ際で反応が出やすい。フォール中にひったくるアタリが多い |
| 日中(9:00〜15:00) | 穴の奥に引っ込む | 暗く深い穴を重点的に。ステイ時間を長めにとって匂いで誘い出す |
| 夕マズメ(16:00〜18:00) | 再び活性が上がる | メバルが穴から浮き始める時間帯。胴付き仕掛けで中層を攻めるのも有効 |
| 夜間 | メバルの活性がピーク | 穴釣りよりメバリングのほうが効率的な場合も多い。テトラ上は危険なので非推奨 |
潮回りとの関係
穴釣りに最も適しているのは大潮・中潮の下げ3分〜7分。潮が引いてテトラの穴が露出し始め、かつまだ水位がある段階が、穴を見つけやすく魚も活発なベストタイミングだ。
逆に潮止まり(満潮・干潮のピーク)は食いが落ちる。特に干潮のドン底は水位が下がりすぎて穴の中が干上がってしまうこともある。浜名湖の潮汐表(気象庁の舞阪検潮所データ)を事前にチェックして釣行時間を決めよう。
天候・風の影響
- 曇りや小雨:穴釣りのベスト条件。光量が少なく魚が穴の入り口近くまで出てくるため、アタリが早い
- 強風時:竿が短いため風の影響は受けにくい。ただしテトラの上が濡れて滑りやすくなるので注意
- 台風・大ウネリの後:テトラ帯にゴミや海藻が詰まっていることが多い。穴が塞がれていると釣りにならないため、台風後3〜4日は間を空けたほうがよい
- 冬の北西風(遠州のからっ風):遠州灘側のテトラは直撃を受けるが、浜名湖南岸のテトラは北西風を背にできるため比較的快適に釣りができる
よくある失敗と対策——穴釣りで釣果が伸びない原因
失敗①:同じ穴に粘りすぎる
原因:「もう少し待てば食うかも」と期待してしまう。
対策:穴釣りの鉄則は「30秒反応なしなら次の穴」。カサゴは基本的にエサが目の前に来たら即反応する魚。30秒待って無反応なら、その穴に魚がいないか、よほど活性が低い。同じ時間を使うなら新しい穴を10個探ったほうが確実に釣果は伸びる。
失敗②:合わせが早すぎる
原因:アタリが出た瞬間に反射的に竿を引く。
対策:カサゴの場合、最初の「コツッ」はエサを咥えた段階。このとき合わせても針掛かりしない。「コツッ…グーッ」と竿先が持っていかれるまで待つ。感覚的には「1、2」と心の中で数えてから竿を立てるくらいがちょうどいい。メバルは逆に即合わせが正解なので、ターゲットによって使い分けよう。
失敗③:テトラの上段ばかり攻めている
原因:降りるのが怖くて足場の良い高い位置からしか仕掛けを入れない。
対策:魚は水中にいる。テトラの上段の穴は干潮時に干上がることが多く、魚のストックが薄い。安全に降りられる範囲で、できるだけ水面に近い段の穴を攻める。とはいえ無理は禁物。安全に攻められるギリギリの段を見極めよう。
失敗④:ラインが細すぎて根に切られる
原因:「感度重視で1号を使おう」というメバリングの発想を持ち込んでしまう。
対策:穴釣りの主戦場はテトラの中。カキ殻とフジツボの刃物に囲まれた環境では、フロロ3号でも切られることがある。感度は竿の柔らかさで確保し、ラインは太さで安心を買うというのが穴釣りの正解。
失敗⑤:魚を掛けた後にラインを出してしまう
原因:他の釣りの感覚でドラグを緩めに設定している。
対策:穴釣りでラインを出したら、魚は即座にテトラの奥に突っ込んで根に巻かれる。ドラグはフルロックが基本。合わせたらゴリ巻きで一気に穴から引きずり出す。20cmのカサゴ相手でも、テトラの中で主導権を渡したら回収不能になる。
安全対策——テトラの上は「磯」と同じ危険地帯
穴釣りの最大のリスクはテトラからの転落だ。毎年、全国でテトラからの落水事故が発生しており、テトラの隙間に落ちると自力で這い上がることが極めて困難になる。楽しい釣りのために、以下の安全対策は絶対に守ってほしい。
必須装備チェックリスト
- フィッシングシューズ(スパイクソール):スニーカーは論外。フェルトソールかスパイクソールの靴が必須。浜名湖のテトラはカキ殻で覆われていて、濡れると恐ろしく滑る
- ライフジャケット(自動膨張式でも可):テトラの上では「まさか」の落水がありえる。固型式がベストだが、最低でもウエストタイプの自動膨張式を装着する
- グローブ:テトラを掴む手を保護する。カキ殻で手を切ると地味に釣りどころではなくなる
- 偏光サングラス:水中の穴を確認するために必要。また、転倒時の目の保護にもなる
- ヘッドライト(夕方〜の場合):日没前でもテトラの隙間は薄暗い。足元確認のために予備含め持参
テトラ上の行動ルール
- 「三点支持」を意識する:両手両足のうち常に3点がテトラに接している状態を維持。荷物は両手が空くリュック型かショルダーバッグで
- 飛び移らない:テトラ間の移動は一歩ずつ。焦って飛び移ると苔やフジツボで滑って転倒する
- 単独釣行は避ける:万が一の落水時に救助を呼べる人が必要。やむを得ず単独の場合は、家族や友人に釣り場所と帰宅予定時刻を伝えておく
- 波が被るテトラには絶対に乗らない:遠州灘側で波高1.5m以上の予報が出ているときは、テトラ上の穴釣りは中止
- 子どもにはテトラの穴釣りをさせない:テトラの隙間に落ちるリスクが大人よりはるかに高い。子どもと穴釣りを楽しむなら、石積み護岸や堤防の足元を選ぶ
上級テクニック——穴釣りの釣果をさらに伸ばすワザ
①ランガンマッピングで「当たり穴」を記録する
穴釣りの上級者は、釣れた穴の場所をスマートフォンの地図アプリにピン留めしている。根魚は居着き型のため、一度釣れた穴は2〜3週間で新しい個体が入ってくる。つまり、良い穴の場所を蓄積すればするほど、次の釣行での「外さない穴」が増えていく。
マッピングの際は、穴の場所だけでなく「潮位」「時間帯」「釣れた魚種とサイズ」をメモしておくと、パターンが見えてくる。浜名湖の場合、同じテトラでも満潮時と干潮時で反応する穴がまったく違うことが多い。
②「二度漬け」テクニック
一度仕掛けを入れて反応がなかった穴でも、5分後にもう一度入れると釣れることがある。これは最初の投入時にオキアミやサバの切り身の匂いが穴の中に拡散し、奥に潜んでいた魚が入り口近くまで出てきているため。特に日中の低活性時に効果的なテクニックだ。
やり方は、テトラ帯を片道ランガンした後、折り返しで同じ穴をもう一度攻める。単純だが、これだけで釣果が1.5倍になることがある。
③シーズナルパターンを意識した釣り分け
浜名湖の穴釣りでは、季節によってテトラ内の魚種構成が入れ替わる。
- 春(3〜5月):カサゴに加えてタケノコメバルが穴に入ってくる。タケノコは穴の中層に浮いていることが多いため、着底後に30cmほどリフトした状態でステイすると反応が出やすい
- 夏(6〜8月):小型のカサゴが中心。代わりにギンポやアナハゼなど「外道」が増えるが、ギンポは天ぷらにすると絶品なので持ち帰って損はない
- 秋(9〜11月):カサゴの活性が最も高く、サイズも出やすい。この時期はサバの切り身をメインエサにして、匂いの強さで大型を引き寄せるのが効果的
- 冬(12〜2月):メバルが穴に入ってくるシーズン。メバルは上を向いて捕食する習性があるため、仕掛けを底から20〜30cm浮かせた状態でアタリを待つと良い
④穴釣りタックルでの「テトラ前打ち」
穴に落とすだけが穴釣りではない。テトラの壁面に沿って仕掛けをゆっくり落としていく「テトラ前打ち」は、穴の奥にいる魚だけでなく、テトラの壁面に張り付いているカニを食べに来ているクロダイ(チヌ)もターゲットに入る。ブラクリの代わりにジグヘッド1.5g+イソガニでテトラの壁面を這わせるように落とすと、思わぬ大物が掛かることがある。
まとめ——穴釣りを始めるための5つのステップ
穴釣りは、高額なタックルも特殊なスキルも必要としない。必要なのは、短い竿とブラクリとエサ、そして安全装備だけ。しかし「テトラの穴」という最も魚に近い距離で駆け引きを楽しめる、実は奥が深い釣りでもある。
最後に、穴釣りデビューまでのステップをまとめておこう。
- タックルを揃える:穴釣り専用短竿+小型両軸リール+フロロ3号。予算5,000円以下で十分に戦える
- ブラクリ+エサを用意する:ブラクリ3〜5号を5個以上、エサはオキアミとサバの切り身のダブル持参がおすすめ
- 安全装備を整える:スパイクシューズ・ライフジャケット・グローブは穴釣りの「三種の神器」
- 潮汐を確認してポイントへ向かう:大潮〜中潮の下げ潮を狙い、まずは新居海釣公園や舞阪漁港など足場が比較的良い場所からスタート
- 30秒ルールでランガン:反応がなければ次の穴、反応があれば集中。釣れた穴はスマホにマッピングして自分だけの「宝の地図」を作っていこう
テトラの暗闘に潜む根魚たちは、きっとあなたの仕掛けを待っている。安全装備を整えて、浜名湖・遠州灘のテトラ帯へ出かけてみよう。



