【訂正とお詫び】2026年7月27日
本記事は、以前に当サイトで公開していた漁港の有料化に関する記事を、確認できた情報だけで全面的に書き直したものである。漁港を釣りに開放するための制度上の受け皿が実在することは事実だが、旧記事がその説明のために挙げた具体例の多くは事実と異なっていた。三崎港の岸壁有料化と徴収額、江の島湘南港の土日祝有料化、本牧海づり施設の予約制導入、焼津港・小川港の繁忙期の時間帯別利用制限、そして明石で「遊漁承認証」が必要なエリアが拡大したという記載は、いずれも裏づけを確認できなかった。誤った情報をもとに釣行の計画を立てられた読者の方には、深くお詫びする。
訂正の内容|旧記事の記載と確認できた事実
旧記事の主な誤りを整理する。左の列が旧記事に書かれていた内容、右の列が今回あらためて確認した結果である。
| 旧記事の記載 | 確認できた事実 |
| 三崎港が一部岸壁を有料化し、料金を徴収して管理人が常駐している、という趣旨の記載 | そのような有料化・徴収・管理人の常駐は確認できなかった。 |
| 江の島湘南港が土日祝のみ有料化された、という趣旨の記載 | 確認できなかった。 |
| 本牧海づり施設が予約制を導入 | 本牧海づり施設は予約制ではない。大人900円・中学生450円・小学生300円の有料施設で、定員は650人。混雑時には入場や釣り方の制限がある。 |
| 焼津港・小川港に繁忙期の時間帯別利用制限が設けられた | 確認できなかった。ただしこれは、同港で自由に釣りができるという意味ではない。漁港で釣りができるのは管理者が認めた範囲に限られ、立入禁止の表示がある場所には入らないという原則は変わらない。 |
| 明石で「遊漁承認証」が必要なエリアが拡大した | 「遊漁承認証」という制度も、エリアの拡大も確認できなかった。実在するのは、共同漁業権に基づく規制と、平成28年から漁業者・行政・釣り業界が策定している「タコ釣りルール」への賛同という枠組みである。 |
2023年の法改正で、漁港を釣りの開放に活用するための制度上の受け皿ができたことは事実である。ただし、それが全国的な有料化の波として広がっているかどうかは、今回の確認では裏づけられなかった。旧記事は、受け皿が実在することを「波が広がっている」と読み替え、確認していない具体例で補強してしまった。以下は、確認できた情報だけで組み直した本編である。
漁港の釣り開放を支える枠組み|2023年の法改正で創設された「漁港施設等活用事業」
まず、なぜ「漁港の有料開放」という話題が出てくるのかという土台を押さえておきたい。2023年の漁港漁場整備法の改正で、「漁港施設等活用事業」、いわゆる海業が創設された。漁港の遊休施設を釣りの開放や観光に活用するための法的な受け皿である。
この改正が意味するのは、「これで漁港のどこでも釣れるようになった」ということではない。使われなくなった漁港の施設を地域が活用しようとするときに、その根拠となる制度ができた、という話である。
漁港は本来、漁業の作業場である。船を係留し、水揚げし、網を干し、資材を置く場所であって、釣り人のための施設ではない。釣りができるのは管理者が認めた範囲に限られ、立入禁止の表示がある場所には入らない。この原則は、法改正があっても変わっていない。
水産庁は釣り利用の調整ガイドラインを示している
水産庁は「漁港における釣り利用・調整ガイドライン」を示している。漁港の釣り利用がどう扱われているのかを知りたいときは、伝聞を追う前に一度目を通しておくとよい。中身は記事末尾の情報源一覧のURLから直接確認できる。
海業の取り組みが進んでいる地域の例としては、神奈川県三浦市の二町谷地区の海業振興プロジェクトがある。旧記事が三崎港について書いた有料化の話は確認できなかった。三浦市で二町谷地区の海業振興プロジェクトが進んでいること自体は事実だが、これを三崎港が有料化された裏づけと読むことはできない。海業の取り組みが各地で進んでいることと、特定の港で釣り場が有料化されたこととは別の話である。
港湾の側では、条例で立入禁止区域が指定されることがある
漁港のほかに、港湾でも立入禁止区域が指定されることがある。大阪市は、港湾施設条例第10条第1項第4号に基づいて立入禁止区域を指定している。地元の遠州灘・浜名湖周辺から見れば遠い話だが、「岸壁に柵がないから入っていい」「誰もいないから釣っていい」という判断が通らない仕組みが実在することの一例として挙げておく。
静岡県内の状況|釣り文化振興促進モデル港に指定されているのは御前崎港・熱海港・清水港
静岡県内で確認できた話に移る。「釣り文化振興促進モデル港」に、県内では御前崎港・熱海港・清水港が指定されている。
注意したいのは、モデル港に指定された港なら全域で釣りができる、という意味ではない点だ。御前崎港の中身を見ると、それがはっきりする。
御前崎港は釣りができるエリアが限定されている
国土交通省の「釣り文化振興促進モデル港」には、静岡県内では御前崎港(2020年8月3日指定)、熱海港・清水港(2019年3月29日指定)が指定されている。このうち御前崎港で対象施設とされているのは、「東ふ頭」と「西ふ頭官庁船溜まり」の2カ所である。ここが通常時に釣りができるエリアにあたる。一方で、西ふ頭3〜4号岸壁は普段は立入も釣りもできず、釣り開放イベントの開催日に限って特別に開放される。外側の防波堤等は立入禁止である。対象施設や開放範囲は港湾管理者の公表内容によるため、出発前に管理者の最新の案内を確認してほしい。
| 御前崎港のエリア | 釣り利用の扱い |
| 東ふ頭 | モデル港の対象施設。通常時に釣りができるエリア |
| 西ふ頭官庁船溜まり | モデル港の対象施設。通常時に釣りができるエリア |
| 西ふ頭3〜4号岸壁 | 普段は立入・釣りができない。釣り開放イベントの開催日に限って特別に開放される |
| 外側の防波堤等 | 立入禁止 |
浜松方面から出かける読者もいるだろうが、この区分を知らずに「モデル港だから自由に釣れる」と思い込んで行くと、いちばん釣りたかった場所が立入禁止だった、ということになりかねない。西ふ頭3〜4号岸壁で竿を出せるのは釣り開放イベントの日に限られる、という点だけは覚えておきたい。
熱海港海釣り施設は大人500円・小中学生300円
静岡県熱海市には、熱海港海釣り施設がある。入場料は大人500円、小中学生300円。釣りをせずに見学だけする場合は大人300円・小中学生200円で、小学生未満は無料である。
家族で行くとき、この「見学料」の設定はありがたい。竿を持たない付き添いの家族がいても、料金の見通しが立つからだ。見学については小学生未満が無料とされている点も、小さな子ども連れなら覚えておきたい。
浜名湖周辺の現状|大規模な釣り場有料化は確認できない
地元の話に戻る。浜名湖周辺で大規模な釣り場有料化が行われている事実は確認できない。旧記事を読んで「そろそろ地元も有料化されるのか」と身構えた方がいるかもしれないが、少なくとも現時点でそのような動きを裏づける情報は見つからなかった。
ただし、有料化されていないことと、どこで釣ってもよいことは別である。前述のとおり漁港は漁業の作業場であり、釣りができるのは管理者が認めた範囲に限られる。立入禁止の表示があれば、料金の有無にかかわらず入らない。これは有料化の話とは無関係に、常に守るべき線引きだ。
新居弁天は整備・管理運営の方針が検討されている段階
浜名湖周辺で今後の動きを追うとすれば、新居弁天(湖西市)が一つの注目点になる。湖西市は「新居弁天公園整備・管理運営事業」として、施設の老朽化と魅力低下を課題に挙げ、整備・管理運営の方針を検討している。
ここで断っておくと、これは有料化が決まったという話ではない。市が課題を挙げて方針を検討している、という段階の情報である。今後どうなるかを知りたい場合は、噂や個人のSNS投稿ではなく、湖西市の該当ページを定期的に確認するのが確実だ。URLは記事末尾の情報源一覧に載せた。
有料の海づり施設の料金を比べる|熱海・本牧・市原
「有料の釣り場」と聞くと身構えるかもしれないが、実際の金額を並べてみると、判断の材料になる。今回確認できた3施設の料金は次のとおりである。
| 施設名 | 所在 | 料金 |
| 熱海港海釣り施設 | 静岡県熱海市 | 入場料は大人500円、小中学生300円。見学は大人300円・小中学生200円、小学生未満は無料 |
| 本牧海づり施設 | 横浜市 | 大人900円、中学生450円、小学生300円 |
| 市原市海づり施設(現名称:オリジナルメーカー海づり公園) | 市原市 | 釣り料は一般920円、高齢者460円、見学220円、中学生以下は無料 |
大人1人あたり500円から900円台という水準である。子ども料金は大人より安く設定され、施設によっては中学生以下が無料になる。一般に、有料の海づり施設は柵・救命具・管理人がある分だけ安全性が高く、家族連れには結果的に安上がりなことも多い。無料の岸壁で子どもから片時も目を離せない緊張を続けるより、数百円を払って柵や救命具の備わった施設で竿を出すほうが、一日を通して満足度が高い。そういう判断は十分に成り立つ。
本牧海づり施設は予約制ではないが、混雑時には制限がかかる
旧記事が誤って「予約制を導入」と書いた本牧海づり施設について、正確な情報を記しておく。同施設は予約制ではない。料金は大人900円、中学生450円、小学生300円で、定員は650人。混雑時には入場や釣り方の制限がある。
つまり、予約は要らないが、混んでいる日は入場や釣り方の制限を受けることがある、というのが実態である。予約制と混雑時の制限は似ているようで、釣り人の側の動き方がまるで違う。予約制なら事前に押さえておけば済むが、混雑時の制限に備えるなら、早めに現地へ着くつもりで予定を組むことになる。
明石のタコ釣り|実在するのは共同漁業権に基づく規制と「タコ釣りルール」
旧記事は、明石で「遊漁承認証」が必要なエリアが拡大したと書いていたが、そのような制度もエリア拡大も確認できなかった。実在するのは、共同漁業権に基づく規制と、平成28年から漁業者・行政・釣り業界が策定している「タコ釣りルール」への賛同という枠組みである。そして令和8年からは、採捕期間・時間を短縮する方向で変更されている。
浜松からは遠い海域の話だが、教訓としては近い。「新しい許可証が要るらしい」といった伝聞は形を変えて広まりやすく、実際には既存の漁業権とルールへの賛同という枠組みが動いているだけ、ということがある。遠征前には、制度名を検索するのではなく、その地域の規制がどこに書かれているかを確かめるほうが確実だ。
結局どうすればいいか|釣行前に踏むべき手順
ここまでの内容を、出発前の行動に落とし込む。
- 行き先が「漁港」か「有料の海づり施設」かを最初に分ける。この二つは前提がまったく違う。漁港は漁業の作業場であり、釣りができるのは管理者が認めた範囲に限られる。有料施設は釣りのための場所である。
- 漁港では、立入禁止の表示がある場所に入らない。柵の有無や人のいる・いないは判断材料にならない。港湾でも、条例に基づいて立入禁止区域が指定されることがある(大阪市の例)。
- 御前崎港へ行くなら、釣れるエリアは「東ふ頭」と「西ふ頭官庁船溜まり」の2カ所と理解しておく。西ふ頭3〜4号岸壁は釣り開放イベントの開催日に限って開放され、外側の防波堤等は立入禁止である。
- 料金・営業時間・休業日は変わる。出発前に各施設の公式サイトで必ず確認する。この記事に載せた料金も、確認時点のものである。家族の人数で総額が変わる以上、当日の受付で計算が狂うと予定そのものが崩れる。
- 家族連れ・子ども連れなら、有料施設を第一候補にしてよい。柵・救命具・管理人がある分だけ安全性が高く、結果的に安上がりなことも多い。ただし、本牧海づり施設は予約制ではなく、混雑時には入場や釣り方の制限がある。混みそうな日は早めに着く前提で予定を組む。
- 浜名湖周辺については、大規模な有料化が行われている事実は確認できない。今後の動きを追うなら、新居弁天については湖西市の該当ページを定期的に見るのが確実である。
- 「有料化されたらしい」「許可証が要るらしい」という伝聞を、そのまま計画の前提にしない。今回の訂正は、まさにその失敗の記録である。管理する自治体や施設の公式ページで確かめてから動く。
最後にもう一度お詫びする。旧記事は、確認していない具体例を確認したかのように書いた。読者が釣行という現実の行動を組み立てるための記事で、これは最も避けなければならない誤りだった。今後は、裏づけを取れた情報だけを載せ、取れなかったものは「確認できなかった」と書く。
参考にした情報源
- 水産庁「漁港における釣り利用・調整ガイドライン」 https://www.jfa.maff.go.jp/j/keikaku/attach/pdf/230718-22.pdf
- 三浦市 二町谷地区の海業振興プロジェクトに関するページ https://www.city.miura.kanagawa.jp/soshiki/shichoshitsu/umigyoushinkou/855.html
- 大阪市 港湾施設条例に基づく立入禁止区域に関するページ https://www.city.osaka.lg.jp/port/page/0000062374.html
- 熱海市 熱海港海釣り施設のページ https://www.city.atami.lg.jp/shisetsu/bunka/1002029/1002032.html
- 横浜市 本牧海づり施設のページ https://www.city.yokohama.lg.jp/kanko-bunka/minato/taikan/asobu/spot/umizuri.html
- オリジナルメーカー海づり公園 利用案内ページ https://ichihara-umizuri.com/guide/
- 湖西市 新居弁天公園整備・管理運営事業に関するページ https://www.city.kosai.shizuoka.jp/soshikiichiran/kanko/araibentenrikatuyou/index.html
- 明石のタコ釣りルールに関する記事(tsurigu-np.jp。業界紙の報道であり、一次情報ではない) https://tsurigu-np.jp/news/27223/



