チダイとはどんな魚か——「赤いのにマダイじゃない、でも美味しい鯛」
チダイ(血鯛、学名:Evynnis japonica)は、タイ科に属する海水魚で、マダイ(真鯛)と同じ赤い体色を持ちながら別種の魚だ。英名のない地味な存在だが、釣り人の間では「チダイはマダイより美味しい」という声も聞こえる個性派の鯛類だ。
外見はマダイに似ているが、体型はやや小ぶりで最大でも45cmほどに留まる。遠州灘・御前崎沖の水深30〜100mの岩礁帯・砂泥底に生息し、乗り合い船のカゴ釣り・コマセ釣りでマダイを狙っているとよく混じって釣れる。市場での評価はマダイに劣るものの、脂乗りは旬(秋〜冬)には十分で、刺身・煮付け・鯛飯で最高の味を発揮する。
基本データ
| 分類 | スズキ目タイ科 |
|---|---|
| 学名 | Evynnis japonica |
| 主な別名 | チコダイ(若魚)、ハナダイ(混同注意)、ソコダイ |
| 標準体長 | 20〜40cm(最大45cm) |
| 旬 | 9月〜2月(秋〜冬に脂が乗る) |
| 生息水深 | 20〜150m(遠州灘では30〜80mが主体) |
| 食味 | ★★★★☆(旬の個体は★★★★★) |
生態と分布
チダイは北海道南部以南の日本沿岸全般に分布する。遠州灘では御前崎沖〜天竜川河口沖の水深30〜80mの岩礁帯・砂泥底に多く、秋〜冬に深場に落ちて脂を蓄える。春〜初夏に産卵のため浅場(20〜40m)に移動し、この時期にカゴ釣りの乗り合い船でよく釣れる。食性は雑食性で、エビ・カニ・小型甲殻類・ゴカイを捕食する。
マダイとチダイの見分け方——釣り上げたら必ず確認
| 特徴 | チダイ | マダイ(真鯛) |
|---|---|---|
| 体長(成魚) | 20〜40cm(最大45cm) | 30〜80cm(最大100cm超) |
| 体色 | 全体的に鮮やかな赤(少し濃いめ) | やや淡いピンク〜赤(ひれ先が赤い) |
| 目の周り | 眼の縁が赤い(血のような赤色) | 眼の縁は青い光沢(エメラルドブルー) |
| 尾びれの特徴 | 尾びれの後縁が黒くならない | 尾びれ上下の先端が黒い縁取りあり |
| 体の縦筋 | 体側に薄い横帯が出やすい | 比較的均一な体色 |
| 生息域 | 中〜深場(30〜80m) | 浅場〜深場(10〜100m) |
最も確実な見分け方は「眼の縁の色」だ。チダイは眼の周りが赤い(「血」の字の由来)のに対し、マダイは眼の縁がエメラルドブルーで光沢がある。釣り上げた瞬間に眼を確認すれば即座に判断できる。
釣り方・仕掛け
コマセ(ビシ)釣り(最もポピュラー)
御前崎沖のマダイ乗り合い船ではビシカゴを使ったコマセ釣りが主体。チダイはマダイと同じタナ(水深)にいることが多く、同じ仕掛けで両方が釣れる。
タックル・仕掛け
- ロッド:船竿(2.1m、オモリ負荷60〜100号)
- リール:小型電動リール(200〜300番クラス)
- ライン:PE4〜5号
- 仕掛け:ビシ(60〜80号)+チヌ・マダイ用3〜4本針仕掛け(ハリス3〜4号)
- エサ:オキアミ(コマセ・刺しエサ共用)
釣り方のコツ
- 船長のアナウンスしたタナ(底から◯m)にビシを合わせる
- 2〜3回シャクってコマセを出す
- しばらく待って(15〜30秒)アタリを取る
- チダイのアタリはマダイより軽めでコツコツとした引き
- ゆっくり巻き上げる(急ぐと身が割れやすい)
カゴ釣り(堤防・磯)
御前崎港の外向き堤防からカゴ釣りで狙うことも可能。春〜初夏に浅場に上がってきた個体をカゴ釣り仕掛けで狙う。水深20〜40mにウキ下を設定して流す。
シーズンと旬
- 3〜5月(春):産卵期。浅場に移動し釣りやすい。やや脂が落ちる時期だが、産卵直前の個体は美味
- 6〜8月(夏):成長期。小型が多く混じる
- 9〜11月(秋):脂が乗り始める絶好シーズン。遠州灘の乗り合い船でよく釣れる
- 12〜2月(冬):最旬。深場に落ちた個体が脂たっぷりで、刺身が絶品
食味と料理
チダイの白身は淡泊で上品な甘みを持ち、旬の秋〜冬は脂が乗ってマダイに引けを取らない美味しさだ。市場ではマダイより安く手に入ることが多いため、料理人の間では「コスパ最高の鯛類」として評価されている。
刺身
三枚おろしにして薄造りまたは平造りで食べる。マダイより身がやや柔らかいため、少し薄めに引くと食感が良い。ポン酢または塩とレモンで食べると上品な甘みが際立つ。
鯛飯(炊き込みご飯)
丸ごとまたは頭・中骨を出汁にして炊いた鯛飯は絶品。①出汁を取る(頭・中骨を焼いてから水・酒・醤油・みりん・塩で昆布出汁と合わせる)②米3合に出汁を合わせ、三枚おろしした身を上に乗せて炊く③炊き上がったら骨を取り除いて混ぜる。自分で釣ったチダイで作る鯛飯は最高のご馳走だ。
塩焼き
内臓を取って塩を全体にまぶし、グリルで焼く。皮目がカリッと焼けたチダイの塩焼きは、マダイの塩焼きと遜色ない美味しさ。大根おろしとポン酢で食べると最高。
まとめ:チダイは「名前を知れば釣りがさらに楽しくなる魚」
乗り合い船で釣れた赤い鯛を「マダイ!」と思ったらチダイだった——釣り人ならよくある経験だ。しかし、チダイをきちんと認識して持ち帰り、旬の刺身・鯛飯で食べれば、マダイ劣らずの感動が待っている。御前崎沖の乗り合い船で次のシーズンはチダイにも注目してみよう。



