鹿児島県の釣りスポット完全ガイド|薩摩・錦江湾・屋久島の名所を徹底解説
鹿児島県は日本の釣り師にとって「夢の地」と呼べるほど多彩な釣り場を擁しています。南北約600kmにわたる海岸線には、薩摩半島・大隅半島の磯、錦江湾の穏やかな内湾、そして亜熱帯の魚が泳ぐ屋久島・奄美大島まで、全く異なる顔の釣りを楽しめます。大型のクロ(グレ)が磯に溢れる冬シーズン、錦江湾に入り込む大型マダイ、屋久島で釣れるカンパチ・ヒラスなど、九州随一の釣り天国・鹿児島の全てをこの記事でご案内します。
| エリア | 特徴 | 主なターゲット | アクセス |
|---|---|---|---|
| 薩摩半島(南さつま市周辺) | 荒磯・潮通し抜群 | クロ・ヒラスズキ・青物 | 鹿児島市内から車60〜90分 |
| 錦江湾(鹿児島湾) | 内湾・穏やか・漁港多数 | マダイ・チヌ・アジ・カワハギ | 鹿児島市内から車10〜60分 |
| 大隅半島(肝付・大崎周辺) | 遠浅の砂浜・磯混在 | ヒラメ・キス・クロ | 鹿児島市内から車60〜120分 |
| 屋久島 | 亜熱帯魚・外洋性青物 | カンパチ・ヒラス・クロ | 鹿児島港からフェリー3〜4時間 |
| 種子島 | サーフと磯が混在 | ヒラスズキ・青物・マダイ | 鹿児島港からフェリー3〜4時間 |
| 甑島(こしきしま) | 絶壁磯・超一級ポイント | 尾長グレ・ヒラマサ | 串木野港から高速船70分 |
鹿児島の海の地形・環境
錦江湾(鹿児島湾)の特徴
錦江湾は桜島を中心に鹿児島市と霧島・薩摩半島に囲まれた細長い内湾で、南北約80km・幅最大15kmという大型の閉鎖性水域です。湾口が比較的狭いため外洋の波の影響が少なく、穏やかな海面が続きます。水深は湾の中央部で最大240mに達し、深海域では黒潮の影響を受けた暖水が維持されます。
特筆すべきは「桜島の火山活動による栄養塩」です。桜島から流れ込むミネラル豊富な地下水と河川水が湾内の植物プランクトンを豊富にし、それを基盤とした食物連鎖が発達しています。このため錦江湾はアジ・サバ・マダイ・カンパチなど多くの魚が集まる豊かな海となっています。
薩摩半島西岸の磯
薩摩半島の西岸(南さつま市・坊津エリア)は、東シナ海に面した荒々しい磯が連続します。黒潮の影響を直接受けるこのエリアの磯は、水温が年間を通じて高めで推移し、九州随一のクロ(口太・尾長グレ)の聖地として全国の磯師が訪れます。潮通しが抜群で、ハリスを切るような大型のクロが磯際に着きます。
屋久島・種子島の亜熱帯環境
屋久島(北緯30度)は日本列島の中では南端に位置し、黒潮の本流が島の周囲を流れます。水温は冬でも18〜20℃と高く、カンパチ・ヒラス(ヒラマサの一種)・ロウニンアジなど大型の回遊魚が周年釣れます。島の海底地形は急深で、岸から数十メートルですでに水深50mに達する場所も多く、ショアジギングでも大型青物が狙えます。
釣れる魚種と年間カレンダー
| 魚種 | 最盛期 | ベストサイズ | 主な釣り場 | 難易度 |
|---|---|---|---|---|
| クロ(口太グレ) | 11〜3月 | 30〜48cm | 甑島・坊津・屋久島 | ★★★★☆ |
| 尾長グレ | 12〜2月 | 40〜60cm超 | 甑島・屋久島 | ★★★★★ |
| カンパチ | 6〜11月 | 50〜100cm | 屋久島・種子島・甑島 | ★★★☆☆ |
| マダイ | 3〜5月・10〜12月 | 40〜70cm | 錦江湾・串木野沖 | ★★★☆☆ |
| ヒラスズキ | 10〜3月 | 50〜80cm | 薩摩半島西岸磯 | ★★★★☆ |
| チヌ(クロダイ) | 通年(最盛は4〜6月) | 30〜55cm | 錦江湾各漁港 | ★★★☆☆ |
| アジ・サバ | 通年 | 25〜40cm | 鹿児島市内各港・錦江湾 | ★☆☆☆☆ |
| キス | 5〜9月 | 20〜28cm | 大隅半島サーフ・種子島 | ★★☆☆☆ |
エリア別おすすめ釣りポイント詳細
甑島(こしきしま)列島|九州屈指の磯釣り聖地
甑島列島は薩摩半島の西約50kmの沖合に浮かぶ離島群で、上甑島・中甑島・下甑島の3島からなります。東シナ海に向かって突き出た急峻な断崖絶壁の磯が連続し、潮通しの良さは九州随一と言われます。
冬季(12〜3月)は尾長グレ・口太グレが最盛期で、60cmを超える尾長グレが磯際のサラシに着きます。特に下甑島の瀬戸エリアや長目の浜周辺の磯は、地元民が「尾長の巣」と呼ぶほど大型が多く潜みます。全国から足を運ぶ磯師が後を絶たない聖地で、通常は渡船を使って離島の磯に乗ります。
アクセス: 串木野新港から鹿児島本土側を結ぶ「フェリーニューこしき」(70分) または高速船(40分)。渡船の手配は現地の渡船店に問い合わせが必要。
坊津(南さつま市)|本土最南端クラスの磯
南さつま市の坊津エリアは、古くから遣唐使の寄港地として知られる歴史ある港ですが、釣り師には薩摩半島最南端の磯エリアとして人気です。坊岬・黒之瀬戸・双剣石周辺の磯は、東シナ海の潮が直接当たり、クロ・ヒラスズキ・青物が揃います。
- 坊岬先端部: ヒラスズキの一級ポイント。荒波が入るサラシでミノーをドリフトさせると50〜80cmが出る
- 黒之瀬戸周辺: 薩摩半島と仮屋島の間の水道で潮が速く、フカセ釣りで大型クロが出る
- 坊津漁港: 足場が良く、チヌ・アジ・メバルが釣れる。トイレ・駐車場完備
アクセス: 指宿スカイライン・谷山ICから国道226号経由で約60分。鹿児島市内から日帰り可能。
鹿児島港・谷山港|市内から最も近いフィールド
鹿児島市内から最も手軽にアクセスできる釣り場が鹿児島港周辺と谷山港です。桜島を正面に見渡す錦江湾での釣りは、観光と組み合わせた「釣り旅」にも最適です。
鹿児島港南埠頭は一般釣り人に開放されているエリアがあり、サビキでのアジ・サバ、チヌのフカセ、タチウオのウキ釣りなどが楽しめます。夜釣りでのタチウオ(太刀魚)は秋〜冬の定番で、110cm超の良型が上がることも。
谷山港(鹿児島市南部)は工業港ですが、開放されているフェリー周辺の堤防でチヌ・アジ・メバルが狙えます。駐車スペースが比較的確保しやすいのも利点です。
錦江湾奥部(霧島・鹿屋エリア)
錦江湾の北部・奥部は穏やかな海況が続き、乗合船・仕立て船が多く運航しています。春と秋のマダイシーズンは特に盛んで、タイラバや船フカセで50cm超のマダイが出ます。鹿屋市の志布志湾に注ぎ込む川の河口付近ではシーバス(スズキ)も人気です。
内之浦漁港(肝付町)は大隅半島東岸の漁港で、アジ・カワハギ・チヌが周年狙えます。特に秋のカワハギ(皮剥)は型が揃い、肝パンのシーズンが楽しめます。漁港内に釣具店があり情報収集もできます。
屋久島|離島の大型青物パラダイス
屋久島は「一ヶ月に三十五日雨が降る」と言われるほど雨の多い島ですが、その雨が豊かな森を育て、豊富な栄養塩が海に流れ込みます。これが島の周りの豊かな漁場を生み出しており、ショアから狙える青物の大きさと数は日本最高水準です。
- 一湊漁港・一湊磯: 北部の代表的なポイント。カンパチ・ヒラスのショアジギングで有名。漁港の灯台下からキャストできる
- 小島(こしま)磯: 屋久島北西部の岬先端。ヒラスズキとショアジギングで60〜80cmのカンパチが出る
- 永田浜周辺: 北西部のサーフエリア。ヒラメ・キスも狙えるが青物の回遊も多い
- 尾之間温泉前磯: 南部の磯。グレ・チヌのフカセで安定した釣果
釣り方・タックル詳細
磯クロ(グレ)釣りのタックル
| アイテム | 推奨スペック | 備考 |
|---|---|---|
| 竿 | 磯竿 1〜1.5号 5.0〜5.3m | 尾長狙いなら1.5号以上 |
| リール | レバーブレーキ 2500番 | シマノBB-XまたはダイワISO |
| 道糸 | ナイロン2〜3号 | フロートライン推奨 |
| ハリス | 1.5〜2.5号 2〜3m | 尾長対応で2.5号以上も視野 |
| ウキ | 0〜2B | 潮の速さで随時変更 |
| 針 | グレ4〜6号 | 尾長は伊勢尼8号も効果的 |
ショアジギング(屋久島・甑島)のタックル
屋久島や甑島でカンパチ・ヒラスを狙うショアジギングには、重いジグを遠投できるパワーロッドが必要です。推奨はシマノ コルトスナイパーXR S100H または ダイワ ショアスパルタン 1004MH、リールはシマノ ツインパワーXD 5000HG(PE2〜3号150m)、ジグは60〜150gを複数用意します。
季節別攻略法
| 季節 | 狙い目 | 釣り方 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 春(3〜5月) | マダイ・チヌ・アオリイカ | タイラバ・フカセ・エギング | 錦江湾の乗合船・磯の払い出し |
| 夏(6〜8月) | カンパチ・ヒラス・キス | ショアジギング・投げ釣り | 屋久島・甑島の磯・大隅サーフ |
| 秋(9〜11月) | 青物・マダイ・アジ大型 | ジギング・フカセ・サビキ | 甑島・錦江湾沖・各漁港 |
| 冬(12〜2月) | クロ(尾長・口太)・ヒラスズキ | フカセ・磯のルアー | 甑島・坊津・屋久島 |
初めて鹿児島へ釣りに行く人へのアドバイス
渡船の利用方法
甑島や屋久島の離島磯に乗るには渡船を利用します。初めての場合は必ず事前に渡船店に電話で問い合わせ、「初心者でも乗れる磯はありますか」と確認しましょう。磯釣り初心者には船長が足場が良い磯を選んでくれることが多いです。
予約は釣りの2週間前から可能なことが多く、週末・好シーズンは早期満船になります。渡船費用は片道2,000〜4,000円程度(離島磯の場合はさらに高い場合あり)。コマセや道具のレンタルが可能な渡船店もあります。
持参すべき装備
- 磯釣り必須装備: ライフジャケット(必須)、スパイクシューズまたは磯靴、磯バッグ
- 気候対応: 鹿児島は夏は非常に蒸し暑い。薄手の速乾ウェアと日焼け止め必須。冬は防風ジャケット
- コマセ準備: 現地の釣具店で調達可能。鹿児島市内に大型釣具店(上州屋・キャスティング)あり
- 緊急連絡先: 天候急変時の対応として渡船店の連絡先・海上保安庁(118)を控えておく
注意事項・マナー
鹿児島の磯では以下の点に特に注意してください。
- 波高計の確認: 薩摩半島西岸や甑島は波が急に高くなる。気象庁の波高予報を必ず確認し、2m超なら中止を検討する
- 磯でのゴミ: コマセのビニール袋・空き缶は必ず持ち帰る。鹿児島の磯は地元釣り師が守ってきたフィールド
- 火気厳禁エリア: 屋久島の一部は世界遺産エリアに隣接。タバコのポイ捨て・焚き火は厳禁
- 海水浴シーズン: 夏(7〜8月)の一部海水浴場周辺は釣り禁止区域がある場合あり
周辺情報
鹿児島市内の釣具店
- 上州屋 鹿児島店(鹿児島市田上): 大型チェーン。餌・消耗品が豊富
- キャスティング 鹿児島店: ルアー・ショアジギング専門品が充実
- 釣具のポイント 鹿児島中央店: 磯釣り・フカセ用品が充実
食事・温泉
釣り後の楽しみは鹿児島グルメです。黒豚しゃぶしゃぶ・鶏刺し・さつま揚げが名物。釣った魚を持ち込んで調理してくれる食事処もあります。疲れた体には指宿温泉の砂蒸し風呂(南薩摩)または霧島温泉(錦江湾北部)がおすすめです。
種子島・大隅半島のサーフ釣り
種子島のヒラスズキ・青物
種子島(西之表市・中種子町・南種子町)は周囲を外洋に囲まれた離島で、北は北東貿易風を受ける荒磯、南は温暖な砂浜が広がります。種子島宇宙センターに近い島の南部は砂浜と磯が交互に出現し、ヒラスズキ・ロウニンアジ・ガーラ(カスミアジ)など外洋性の魚が狙えます。
種子島での釣りのハイライトは「馬立港(まだてこう)周辺の磯」と「宝満海岸のサーフ」です。馬立港の先端部は岩礁が複雑に入り組み、ショアジギングで60〜90cmのカンパチが実績があります。宝満海岸のサーフは白砂が美しく、夏のキスとヒラメが楽しめる人気スポットです。
大隅半島の投げ釣り(キス・カレイ)
大隅半島の東海岸(鹿屋市・東串良・肝付町)には長大な砂浜海岸が続き、夏から秋にかけてのキス釣りが盛んです。東串良のサーフは遠浅で波が穏やかな日が多く、投げ釣りで25〜28cmのジャンボキスが出ることで知られています。秋(9〜11月)はヒラメの回遊も多く、サーフのルアー釣りも楽しめます。
キス釣りのシーズン(5〜9月)には地元の投げ師が早朝から数十匹の釣果を上げることも珍しくありません。仕掛けはキス専用2本針の胴突き仕掛け(または天秤)、餌はアオイソメが定番です。
鹿児島の釣りにまつわる豆知識
桜島フィッシュとは
地元では「錦江湾で釣れた魚は桜島のミネラルを食べて育った」として「桜島フィッシュ」と呼ぶことがあります。実際、桜島の火山灰に含まれるミネラル(マグネシウム・カルシウム等)が川や地下水を通じて錦江湾に流れ込み、植物プランクトンの繁殖を促しています。この栄養豊富な湾内で育ったアジ・マダイ・チヌは身が締まり、旨味が強いと評判です。
鹿児島のカンパチ文化
鹿児島県は全国でも有数のカンパチの養殖・天然漁獲地です。錦江湾での養殖カンパチはブランド化されており(指宿カンパチ・鹿児島カンパチなど)、天然物は屋久島・甑島・大隅半島沖で大型が釣れます。釣り師にとってカンパチは「鹿児島の釣りの象徴」であり、初めて60cm超のカンパチを釣り上げたときの興奮は格別です。
釣行に最適な時期(総まとめ)
| 時期 | おすすめ釣り | 気候・服装 |
|---|---|---|
| 3〜5月(春) | マダイ(タイラバ)・チヌ・アオリイカ | 温暖。軽いジャケット程度 |
| 6〜8月(夏) | カンパチ・ヒラス・キス・サバ | 酷暑。日焼け止め・帽子必須 |
| 9〜11月(秋) | 青物・ヒラメ・マダイ | 最も釣りやすい季節 |
| 12〜2月(冬) | クロ(最盛期)・ヒラスズキ | 磯は寒い。防風ジャケット必須 |
釣りスポット別FAQ・まとめ
Q1. 鹿児島で釣り初心者が最も入りやすい釣り場は?
鹿児島市内から近い「鹿児島港南埠頭」または「谷山港周辺の開放岸壁」がおすすめです。サビキ釣りでアジ・サバが手軽に釣れ、足場も良好です。
Q2. 甑島への渡船はどこで手配できますか?
串木野新港(いちき串木野市)の渡船店に直接電話で問い合わせてください。「こしき渡船」「高浜渡船」などが運行しています。シーズン中は早めの予約が必要です。
Q3. 屋久島は釣りだけでなく観光もできますか?
もちろんです。縄文杉・白谷雲水峡などの観光スポットと釣りを組み合わせた2〜3泊の旅行が人気です。釣りは早朝・夕方に行い、昼間はトレッキングという組み合わせが定番です。
Q4. 鹿児島で釣れる魚の中で特においしいものは?
錦江湾のカワハギ(秋〜冬の肝パン)、薩摩の磯で釣れるクロ(グレ)の刺身、屋久島のカンパチが特においしいと評判です。
鹿児島は「釣りの多様性」において日本でも指折りの釣り天国です。本土磯から離島まで、フカセ・ジギング・投げ釣りと多彩な釣り方が楽しめます。まずは錦江湾の漁港からスタートし、ステップアップしながら甑島・屋久島へ。鹿児島の釣りは、一度訪れると必ずリピートしたくなる魅力があります。ぜひ計画を立てて、南九州の海を存分に楽しんでください。



