【訂正とお詫び】2026年7月27日
当ページに掲載していた「2026年・国土交通省が『釣り可能港湾』全国リストを初公開」と題した記事について、編集部で改めて事実確認を行った結果、記事の根幹をなす内容が事実ではないことが判明した。国土交通省が全国の港湾の釣り可能エリアを示したリストやGISマップを公開した事実はなく、港をグリーン・イエロー・レッドに色分けする区分制度も存在しない。根拠として挙げた有識者検討会も実在しないものだった。さらに静岡県内の港について管理者や位置づけを誤って記載し、現存しない港を実在するかのように扱い、立入禁止の岸壁が近く釣り可能になるかのように書いていた。立入禁止区域への進入を招きかねない危険な誤りであり、読者の皆様および関係機関の皆様に深くお詫び申し上げる。
旧記事は全面的に削除し、本ページを訂正記事に差し替えた。以下は、国土交通省・静岡県・水産庁が公表している資料で確認できた内容だけで構成し直したものである。
訂正の内容|旧記事の記載と確認できた事実
旧記事の主な記載と、一次情報で確認した事実を対照する。
| 旧記事の記載(誤り) | 確認できた事実(2026年7月時点) |
|---|---|
| 2026年4月、国土交通省が全国の港湾の釣り可能エリアを示したリストとGISマップを初公開した | そのようなリスト・GISマップの公開は確認できない。国土交通省港湾局の取り組みとして実在するのは「釣り文化振興促進モデル港」である。全国の状況をまとめた資料としては「港湾における釣り施設一覧(令和7年3月時点)」がある |
| 各港湾の岸壁・防波堤がグリーン・イエロー・レッドの3区分に色分けされる | そのような色分けの区分制度は存在しない |
| 国交省の有識者検討会が2025年に中間報告を出し、公開の方針を提言した | 旧記事が挙げた検討会は実在しない。提言・調査の経緯も裏付けが取れない |
| 静岡県は重要港湾3港・地方港湾11港を抱える | 静岡県内の港湾は、国際拠点港湾が清水港の1港、重要港湾が田子の浦港・御前崎港の2港、地方港湾が12港である |
| 浜名港の管理者は湖西市、掛塚港の管理者は磐田市 | 浜名港の管理者は静岡県(浜松土木事務所)。掛塚港は現存する港湾ではなく、江戸期に栄えた廻船の湊の跡で、現在は碑が残るのみである |
| 舞阪港・福田港を県管理の港湾として分類した | 舞阪・福田は港湾法上の港湾ではなく漁港である。国土交通省港湾局の枠組みではなく、漁港側の制度が適用される |
| 舞阪港の一部岸壁や御前崎港の一部が、まもなく釣り可能エリアに格上げされる見込み | そうした見通しを示す公表資料は確認できない。立入禁止の場所は立入禁止であり、開放の予定として読める記載は誤りだった |
| 立入禁止エリアへの立入に金額を伴う罰金が科され、一部港湾では釣り場利用料の徴収が始まっている | 区分制度自体が存在しないため、これに基づく罰則・利用料の記載も成り立たない。ただし、罰則の有無にかかわらず立入禁止区域に入ってよいということではない。旧記事が挙げた金額はいずれも裏付けが取れない |
国が実際に進めているのは「釣り文化振興促進モデル港」
港湾は本来、船舶の係留や荷役、漁業の作業のための場所であり、釣りのためにつくられた施設ではない。その前提のうえで、既存の防波堤等を活用し、安全対策を講じたうえで釣りへの開放を進める取り組みが、国土交通省港湾局の「釣り文化振興促進モデル港」である。旧記事が書いたような全国一斉の可否判定ではなく、応募を受けて個別に指定していく仕組みだ。
指定はこれまで段階的に行われてきた。2019年に13港、2020年に3港、2024年に5港が指定されている。さらに2025年5月30日からは応募期限を設けない通年募集となり、指定結果は随時公表される形に変わった。つまり「毎年4月に一斉更新」といった性質のものではない。
「全国リスト」に最も近い実在の資料
全国の状況を一覧できる公表資料としては、国土交通省の「港湾における釣り施設一覧(令和7年3月時点)」がある。旧記事が言う「全国リスト」に最も近いのはこの資料だ。ただしこれは色分けされた地図でもなければ、全国すべての港湾について釣りの可否を判定したものでもない。港湾ごとに管理者が分かれ、釣りができるかどうかは個々の管理者の判断によるため、全国を一律に区分するような仕組みは公表資料の中には見当たらない。
静岡県内のモデル港は熱海・清水・御前崎
| 港名 | 指定日 |
|---|---|
| 熱海港 | 2019年3月29日 |
| 清水港 | 2019年3月29日 |
| 御前崎港 | 2020年8月3日 |
浜松・浜名湖周辺のアングラーが現実的に足を運べるのは御前崎港だろう。ただし「モデル港に指定された=港全体で自由に釣りができる」ではない。対象となる施設は港の中の一部に限定されている。ここを取り違えると、そのまま立入禁止区域への進入につながる。
御前崎港で釣りができるのはどこか
| 場所 | 扱い |
|---|---|
| 御前崎港東ふ頭 | モデル港の対象施設。通常時に釣りができるエリア |
| 御前崎港西ふ頭官庁船溜まり | モデル港の対象施設。通常時に釣りができるエリア |
| 御前崎港西ふ頭3〜4号岸壁 | 普段は立入・釣りができない。日本釣振興会や地元釣具店が主催する釣り開放イベントの開催日に限り、特別に開放される |
| 外側の防波堤等 | 従来どおり立入禁止 |
通常時に竿を出せるのは東ふ頭と西ふ頭官庁船溜まりの2カ所である。西ふ頭3〜4号岸壁はイベント開催日だけの特別開放であり、開催日以外に立ち入れば、モデル港かどうかとは無関係に単なる立入禁止区域への進入になる。イベントの有無や参加方法は主催者の告知で確認すること。外側の防波堤は開放されていない。旧記事は、この「イベント時のみ開放」という性質を「まもなく釣り可能になる」と読み違えていた。
浜名湖・遠州灘側は「港湾」と「漁港」が混在する|舞阪・福田は漁港
地元の釣り場を考えるうえで、まず押さえておきたいのが港湾と漁港の違いである。両者は根拠となる法律も、制度も、問い合わせ先も別だ。
- 浜名港を管理しているのは静岡県で、窓口は浜松土木事務所である。旧記事は市の管理と書いていたが誤りだった。
- 舞阪・福田は港湾法上の港湾ではなく漁港である。したがって国土交通省港湾局の「モデル港」の枠組みではなく、漁港側の制度が適用される。「モデル港に入っているか」を調べても、この2カ所については答えが出ない。
- 掛塚港は現存する港湾ではない。江戸期に栄えた廻船の湊の跡であり、現在は碑が残るのみである。旧記事はこれを現役の港として扱っていた。
漁港側の枠組み|海業と釣り利用ガイドライン
漁港にも、釣りの受け入れに関わる制度がある。2023年の漁港漁場整備法の改正で「漁港施設等活用事業」(いわゆる海業)が創設され、漁港の遊休施設を釣りへの開放などに活用する道が開かれた。また水産庁は「漁港における釣り利用・調整ガイドライン」を示している。
ただし、これらは全国の漁港で一律に釣りを解禁するものではない。実際にどこで釣りができるかは、個々の漁港で管理者や漁業者の調整を経て決まる。結局のところ、その漁港ごとの運用を確認するしかないという点は、港湾の場合と変わらない。
モデル港に入っていない港はどうなのか
誤解しやすいのが、モデル港に指定されていない港の扱いである。指定がないことは「釣り禁止が決まっている」という意味ではないし、逆に「自由に釣ってよい」という意味でもない。モデル港は、既存施設を活かして釣りへの開放を進める取り組みであって、全国の港を可否で仕分ける制度ではないからだ。指定の有無にかかわらず、その港のどこで釣りができるかは、管理者の判断と現地の掲示によって決まる。旧記事の最大の問題は、この個別判断の世界を、存在しない全国一律の色分けに置き換えて説明してしまった点にある。
結局どうすればいいか|釣り場の可否を確認する手順
1.その場所が港湾か漁港かを確かめる
名前に「港」とついていても、港湾法上の港湾なのか漁港なのかで制度も窓口も変わる。静岡県が公表している港湾の一覧に名前があるかどうかが、最初の手がかりになる。舞阪や福田のように、慣れ親しんだ呼び名が港湾を指していない例もある。
2.管理者を特定する
港湾なら県の土木事務所や市町、漁港なら市町や漁協が関わる。浜名港であれば静岡県浜松土木事務所が窓口になる。所在がはっきりしない場合は、まず市町の担当課に尋ねるのが早い。
3.場所を特定して問い合わせる
「この港で釣りをしていいか」という漠然とした聞き方ではなく、「どの岸壁・どの物揚場で釣りをしてよいか」と場所を特定して確認する。港湾も漁港も、釣りができるのは管理者が認めた区域に限られるからだ。
4.現地の掲示を最終的な判断基準にする
工事や荷役、事故を受けて、運用は変わる。事前に得た情報と現地の掲示が食い違っていたら、現地の掲示・柵・ロープが優先される。看板がなくても、柵やロープで区切られていればそこから先には入らない。
安全面で最低限押さえておきたいこと
- 立入禁止の表示・柵・ロープがある場所には絶対に入らない。他の釣り人がいることは、その場所が開放されている証拠にはならない。
- 老朽化した防波堤や外洋に面した堤防は、落水すると助からないことが多い。這い上がれる場所がなく、波と流れが強いためだ。
- 足場の高い岸壁では、ライフジャケットと滑りにくい靴を前提に考える。単独釣行を避けるだけでも生存率は変わる。
- 開放されている釣り場の閉鎖につながりやすいのは、ゴミ、迷惑駐車、漁業作業の妨げである。開放を続けてもらうための行動は、結局は自分たちの釣り場を守る行動になる。
まとめ
- 国が全国の港湾を色分けした「釣り可能リスト」は存在しない。実在するのは応募制の「釣り文化振興促進モデル港」である。
- 静岡県内のモデル港は熱海港・清水港・御前崎港の3港。御前崎港で通常時に釣りができるのは東ふ頭と西ふ頭官庁船溜まりの2カ所に限られる。
- 西ふ頭3〜4号岸壁は釣り開放イベントの開催日のみ、外側の防波堤は立入禁止のまま。
- 舞阪・福田は漁港であり、港湾とは別の制度で扱われる。浜名港の管理者は静岡県(浜松土木事務所)。掛塚港は現存しない。
- 釣りの可否は管理者に確認し、現地の掲示に従う。これ以外に確実な方法はない。
再発防止について
本件を受け、制度・規制を扱う記事については、制度名・指定日・管理者を官公庁の公式サイトなど一次情報と照合したうえで公開する体制に改める。特に立入の可否に関わる記載は、読者の安全に直結するため、確認できない事項は書かないことを徹底する。
参考にした一次情報
- 国土交通省 港湾局「釣り文化振興促進モデル港」 https://www.mlit.go.jp/kowan/kowan_tk6_000032.html
- 国土交通省 港湾局「港湾における釣り施設一覧(令和7年3月時点)」
- 静岡県「港湾の概要」 https://www.pref.shizuoka.jp/machizukuri/kowan/1003578/1029594.html
- 水産庁「漁港における釣り利用・調整ガイドライン」 https://www.jfa.maff.go.jp/j/keikaku/attach/pdf/230718-22.pdf
訂正履歴:2026年7月27日 旧記事を全面的に削除し、本訂正記事に差し替えた。



