ナマズ(鯰)完全図鑑|夜の用水路の主「マナマズ」の生態・ライギョとの違い・トップルアーの釣り方・蒲焼きレシピまで魚太郎が徹底解説

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Contents

ナマズとは?|夜の水辺をのっそり泳ぐ、在来の「ヒゲの主」

日が暮れた田んぼわきの用水路。街灯の明かりがわずかに水面を照らすなか、ぬるりと長い影がのっそりと浮き上がってくる。長い口ヒゲをゆらしながら、エサを探して水面近くまで上がってきたその主こそ——ナマズ(鯰)だ。昼間は岩陰や水草の物陰に身をひそめ、夜になると貪欲に動き出す。この「夜の水辺の主」という存在感が、ナマズという魚の魅力のすべてを物語っている。

ナマズはナマズ科ナマズ属に分類される純淡水魚で、流れのゆるやかな河川の中流から下流、用水路、池、湖沼など、身近な水辺に広く暮らしている。古くから日本人になじみ深く、地震を予知するという言い伝えや、蒲焼きの食文化など、暮らしのなかにすっかり溶け込んできた魚でもある。釣りの世界では、梅雨どきの濁り水で水面をバシャッと割る豪快なトップウォーターゲームの好敵手として、近年ますます人気が高まっている。

この記事では、ナマズ(標準和名としてはマナマズと呼び分けられることも多い)の基本的な生態データから、全身を味覚センサーにした4本のヒゲの秘密、同じく細長い肉食魚としてよく混同されるライギョとの明確な見分け方、専用トップウォータールアーやエサ釣りの具体的な仕掛けと釣り方のコツ、そして「なぜ生で食べてはいけないのか」という安全上の大原則から蒲焼き・天ぷらなどの絶品レシピまで、この1記事で「ナマズのすべて」が分かるように魚太郎がまとめた。身近な水辺に潜む奥深い好敵手を、ぜひ見直してほしい。

ナマズ(マナマズ)の基本データ|分類・大きさ・名前

項目内容
和名ナマズ(鯰)/マナマズ
学名Silurus asotus(リンネ、1758)
別名・呼称マナマズ、ヘラナマズ、ゴミナマズなど(地方や個体型による呼び分けあり)
分類ナマズ目 ナマズ科 ナマズ属
全長一般に40〜60cmほど。大型は70cm以上にまで成長する。一般に雌の方がやや大きい
分布南西諸島などの離島を除く日本各地の淡水・汽水域。東アジアに広く自然分布する
生息環境流れのゆるやかな河川の中下流、用水路、池、湖沼など
旬・本番釣りの本番は梅雨〜初夏。繁殖期は日本ではおおむね5〜6月が中心
外見の特徴うろこのないぬめった体、平たく大きな頭、4本の口ヒゲ。背びれは小さく、しりびれは非常に長く尾びれへ続く

標準和名としては単に「ナマズ」だが、後述するビワコオオナマズやイワトコナマズなど近縁種と区別するために、釣り人や図鑑では「マナマズ」と呼び分けることが多い。本記事でも、いちばん身近なこの種を中心に扱う。うろこを持たないぬるぬるした体表、上から押しつぶしたように平たい頭、そしてトレードマークの長いヒゲ。一度見れば忘れられない、強い個性を持った魚だ。

ナマズの生態|夜行性・在来種・全身が味覚という不思議

生息場所と分布

ナマズが好むのは流れのゆるやかな河川の中流から下流、用水路、池、湖沼といった、おだやかで濁りの入りやすい水辺だ。清流の激流よりも、泥や砂泥の底が広がり、岩陰や水草、テトラやごみだまりなど身を隠せる物陰が点在する環境を好む。田園地帯の用水路や、堰の下、流れ込みのまわりなどは、まさにナマズの生活圏のど真ん中である。

分布はきわめて広く、南西諸島などの離島を除く日本各地の淡水・汽水域に生息する。もともとは東アジアに自然分布する魚で、外来種ではない。ただし日本国内での本来の分布は西日本が中心だったとされ、東日本のものは過去に人の手で移し入れられた経緯があると考えられている。いずれにせよ、外国から持ち込まれた外来魚ではなく、古くから日本の自然に根づいてきた在来の淡水魚である、という点は押さえておきたい。

夜行性のハンター

ナマズは基本的に夜行性だ。昼間は岩陰や水草の物陰、テトラの隙間などに潜んでじっとしており、日が暮れると活発に動き出す。夜になると浅い岸辺へと寄ってきて、小魚やカエル、エビなどの甲殻類、水生昆虫といった小動物を貪欲に追い回す。視覚に頼りにくい暗い水中でも、ヒゲや体の感覚を使って獲物を捉えるため、夜の濁った水こそナマズの独壇場になる。

この夜行性こそ、ナマズ釣りが「夜釣り」や「夕まずめ以降」を本命とする最大の理由だ。日が落ちて岸辺に出てきたナマズを狙うのが、もっとも理にかなった攻め方になる。

4本のヒゲと「全身が味覚」のひみつ

ナマズ最大のトレードマークが、長い口ヒゲだ。成魚のヒゲは上あごと下あごに1対ずつ、合わせて計4本。このヒゲは飾りではなく、エサを探すための高性能な感覚器として働いている。暗闇や濁り水のなかでも、ヒゲで底や物陰をさぐりながら獲物の存在を感じ取る、いわばナマズのセンサーだ。

さらに驚くべきことに、ナマズは全身に味を感じる味蕾(みらい)を備えている。その数はおよそ20万にもおよぶといわれ、ヒゲだけでなく体表全体で水中の味やにおいを感じ取ることができる。視界のきかない夜の濁り水でも的確にエサにたどり着けるのは、この「全身が味覚」ともいえる驚異の感覚があってこそ。ヌメリに覆われた地味な見た目とは裏腹に、ナマズは非常に洗練されたハンターなのだ。

繁殖と季節

日本でのナマズの繁殖期は、おおむね5〜6月が中心とされる。ちょうど田植えや梅雨の時季と重なり、増水した水路や水田まわりの浅場へ乗り込んで産卵する。この時期はナマズの活性が一年で最も高まり、後述するように釣りの本番シーズンとも重なる。気温・水温が上がる初夏から夏にかけてが、ナマズがもっとも元気に動き回る季節だと覚えておこう。

ナマズとライギョの違い|「ヒゲ」と「背びれ」で一発判別

細長い体つきの大型肉食淡水魚というと、ナマズと並んでよく名前が挙がるのがライギョ(カムルチーなど)だ。どちらも夜の水辺で水面のエサに襲いかかる迫力のターゲットで、トップウォーターで狙う点も似ているため、釣り場で混同されることがある。だが両者はまったく別の魚で、見分けは決して難しくない。ポイントを整理しよう。

もっとも分かりやすいのはヒゲの有無だ。ナマズには長い口ヒゲが4本あるが、ライギョにはこうした長いヒゲがない。次にひれの形。ナマズは背びれがごく小さく、代わりにしりびれが非常に長く伸びて尾びれへと続くのが特徴だ。一方ライギョは、背びれもしりびれもともに長く発達し、円筒形の細長い胴体に沿って帯のように連なる。さらにナマズはうろこがなくぬめった体表なのに対し、ライギョははっきりとしたうろこに覆われ、体側にまだら模様が出るものが多い。

見分けポイントナマズ(マナマズ)ライギョ(カムルチー等)
口ヒゲ長いヒゲが4本ある長いヒゲはない
背びれ小さい長く発達し、胴体の大部分に及ぶ
しりびれ非常に長く尾びれへ続く長く発達する
うろこ・体表うろこがなくぬめるはっきりしたうろこ・まだら模様
頭の形上下に平たく大きいヘビのように細長い円筒形
日本での位置づけ在来の淡水魚(東アジア自然分布)東アジア原産だが日本へは人為的に導入された外来種

大づかみに言えば、長いヒゲがあって背びれが小さければナマズ、ヒゲがなくて背びれが長く頭がヘビっぽければライギョと覚えておけば、まず間違えない。位置づけも対照的で、ナマズが古くからの在来魚であるのに対し、ライギョは東アジア原産ながら日本へは人の手で持ち込まれた外来魚だ。なお、ライギョについては当サイトに専用の図鑑記事があるので、詳しく知りたい方はそちらも参考にしてほしい。

ナマズの仲間たち|日本のナマズ属あれこれ

ひとくちに「ナマズ」と言っても、日本のナマズ属(ナマズ科ナマズ属)には、いちばん身近なマナマズのほかにいくつかの仲間がいる。釣り人として知っておくと面白い顔ぶれを、簡単に紹介しておこう。

種名分布・生息地特徴
マナマズ(ナマズ)離島を除く日本各地の河川中下流・用水路・湖沼もっとも身近な種。全長70cm以上にもなる
ビワコオオナマズ琵琶湖・瀬田川・宇治川・淀川水系の固有種大型化する魚食性の強い種。日本三大怪魚に数えられる
イワトコナマズ琵琶湖・余呉湖など琵琶湖水系の固有種岩礁帯(岩床)を好んで生息する
タニガワナマズ東海地方(三重・愛知・岐阜など)を中心とした河川2018年に新種として記載された比較的新しい種

ビワコオオナマズとイワトコナマズは、いずれも琵琶湖とその水系にのみ生息する固有種だ。とくにビワコオオナマズは魚食性が強く大型に育つことで知られ、釣り人の間では憧れの怪魚として名高い。また東海地方では、2018年に新種として発表されたタニガワナマズという比較的最近見つかった種も話題になった。こうした近縁種と区別する意味でも、ふだん私たちが用水路や河川で出会う身近なナマズを「マナマズ」と呼び分けるわけだ。なお、アメリカナマズ(チャネルキャットフィッシュ)のように外国から入ってきた外来のナマズ類もいるが、これらは在来のマナマズとは別系統の魚である。

ナマズ釣りのシーズンと狙い目|梅雨・濁り・増水後がアツい

時期状況狙いおすすめ度
3月〜4月水温が上がり始め、ナマズが少しずつ動き出すシーズンインの気配★★★☆☆
5月〜6月繁殖期&梅雨。カエルも活発になり、トップへの反応が最高潮本命の最盛期★★★★★
7月〜8月盛夏。高水温で活性が高く、夜釣りで数・型ともに楽しめる夜釣りの数釣り★★★★☆
9月〜10月秋口まで好調が続く。水温低下とともに徐々に渋くなる終盤の良型狙い★★★☆☆
11月〜2月低水温で動きが鈍り、岸からはぐっと難しくなる★☆☆☆☆

ナマズ釣りの本番は、なんといっても梅雨から初夏。繁殖期と重なって活性が一年で最も高く、ナマズの大好物であるカエルが活発に動き出すこの時季は、水面で食わせるトップウォーターへの反応が抜群によくなる。「梅雨はナマズ釣りがいちばん楽しい季節」と語る釣り人が多いのも納得だ。おおよそ4〜10月が狙えるシーズンで、なかでも気温・水温の上がる初夏〜夏が最盛期になる。

時間帯は夜行性に合わせ、夕まずめ以降から夜が本命。日が落ちて浅い岸辺に出てきたところを狙うのがセオリーだ。そしてもう一つの大きなカギが水況。適度な降雨による濁りや増水はナマズの活性を上げる絶好の条件で、雨後で水が茶色く濁り、流れに勢いが出たタイミングは大チャンスになる。澄んだ平水よりも、ひと雨きて少し増水した濁り水のほうが、ナマズは大胆にエサを追ってくれるのだ。

どこで釣れる?|ナマズの好フィールド

身近な用水路・小規模河川が一級ポイント

ナマズの魅力は、なんといっても身近な水辺で狙えることだ。釣り場として狙い目になるのは、小規模河川や田園地帯の用水路、堰の下、流れ込みのまわりなど。一見ただの農業用水路に見える場所にも、夜になると大きなナマズが潜んでいることは珍しくない。水草やテトラ、橋脚、ごみだまりといった物陰や障害物はナマズの居着き場所になりやすく、こうした変化のあるポイントを丁寧に探るのが近道だ。

流れのある場所では、堰下の落ち込みや流れ込みでエサが溜まるポイントにナマズが付きやすい。逆に止水の池や湖沼では、岸際のシェード(日陰)や水草まわり、流入河川の合流点などが好ポイントになる。

遠州灘・浜名湖エリアでは

当サイトの地元である浜名湖・遠州灘エリアについて触れておくと、ナマズは純淡水を好む魚なので、海そのものではなく流入河川やその中下流域、周辺の用水路や池が現実的な狙い場になる。浜名湖に注ぐ河川の淡水域や、遠州地方の田園を流れる水路などが身近なフィールドだ。海釣りが得意な当サイトとしては少し毛色の違うターゲットだが、雨で増水した夜の水路で水面を割る一発は、海のゲームに負けない興奮を味わわせてくれる。

ナマズ釣りの仕掛けとタックル|トップルアーとエサ釣り

① トップウォータールアー(王道のド派手ゲーム)

近年のナマズ釣りの花形がトップウォータールアーだ。水面でナマズがバシャッと豪快に出る瞬間は、一度味わうとやみつきになる。定番は音と振動で誘うノイジー系のトップウォータープラグで、なかでもルアーの口元に金属のカップが付いたカップ系(クローラーベイト)がよく使われる。ゆっくり一定速度で巻くと、カップが水を受けてポコポコと音と波紋を立て、夜の水面でナマズを強烈に誘い出す。

  • ロッド:ナマズ専用ロッド、または雷魚(ライギョ)ロッドの流用が定番。しっかりしたバットにしなやかなティップを組み合わせ、バイトを弾きにくいものがよい。長さは6フィート後半〜7フィートほどあると、足場が高い場所でも扱いやすい。
  • リール:ある程度パワーのあるベイトリールが扱いやすい。
  • ライン:大型に負けないよう太めが安心で、PE30〜40lbクラスが使い勝手がよい。
  • リーダー:ナマズは口の中がザラつき歯もあるため、リーダー(ショックリーダー)は必須。根ズレやエラ洗いでのライン切れを防ぐ。
  • ルアー:ノイジー系トップ(カップ系・クローラー)を中心に。日中のサーチにはスピナーベイト、障害物周りにはラバージグも有効。

② エサ釣り(ミミズの脈釣り・ポカン釣り)

ルアーが苦手な人や、確実に1匹を獲りたい場合はエサ釣りが頼りになる。エサの王様はミミズで、できるだけ太くて活きのよいドバミミズを房掛けにするのが効果的だ。これをオモリで底まで沈める脈釣りや、ウキを付けて水面〜中層を漂わせる「ポカン釣り」で、物陰のナマズを誘い出す。

  • 竿:硬めの万能竿やルアーロッドで十分。やり取りに耐えるパワーがあると安心。
  • 仕掛け:ミチイトにオモリとハリを結ぶシンプルな脈釣り、または玉ウキを使ったポカン仕掛け。
  • ハリ:ナマズの大きな口に合わせ、軸の太い大きめのハリ(伊勢尼・チヌ針の大バリなど)を。
  • エサ:ドバミミズが定番。ほかに小魚、カエル型ワーム、レバーなどでも食ってくる。

③ タックルの考え方

ナマズは大きな口でひと飲みにするうえ、掛かると首を振って暴れる力強い魚だ。そのため全体にやや強めでパワーのあるタックルを組むのがセオリーになる。ライトすぎる道具では大型にのされてしまうので、ライギョ用やバス用の強めのタックルを流用するとちょうどよい。ハリを外すときは大きな口とザラつく歯に注意し、フィッシュグリップやプライヤーを使うと安全だ。

釣り方のコツ|水面の一発を確実に獲る3つのポイント

1. 物陰と流れの変化を狙い撃つ

ナマズは水草やテトラ、橋脚、ごみだまり、堰下の落ち込みといった物陰・障害物・流れの変化に着いていることが多い。広い水路でも、こうした「何かある場所」を中心に通すと反応が出やすい。トップなら障害物のキワや明暗の境目を、エサ釣りなら物陰の際を丁寧に探るのが基本だ。アタリが出た場所には複数いることもあるので、同じスポットをしつこく攻めてみよう。

2. トップは「ゆっくり一定」に巻く

トップウォーターのカップ系ルアーは、速く巻くよりゆっくり一定の速度で巻くのがコツ。カップがしっかり水をかんでポコポコと安定した音と波紋を出し続けることで、ナマズが下から気づいて浮上してくる。焦らず、一定のリズムで誘い続けるのがバイトを引き出す近道だ。明暗の境やストラクチャーの上を通すとき、特にバイトが集中しやすい。

3. 一発で乗らなくても「即アワセしすぎない」

ナマズは捕食が意外と下手で、トップに出ても一発でハリ掛かりしないことが多い。バシャッと出た瞬間に慌てて即アワセすると、ルアーを引き抜いてしまいスッポ抜けることがある。出ても乗らなかったときは、慌てず巻き続けると何度もアタックしてくるのがナマズの面白いところ。水面が割れても一拍おき、ロッドに重みが乗ってからしっかり合わせると、フッキング率がぐっと上がる。エサ釣りでも同様で、しっかり食い込ませてから合わせるのがコツだ。

持ち帰り方と下処理|ヌメリと泥臭さ対策

ナマズはうろこのないぬめった体を持ち、生息環境によっては泥臭さが出ることがある。おいしく食べるには、この2点への下処理がカギになる。釣ったらしっかり締めて冷やし、家庭では次の手順で処理しよう。

  • ヌメリ取り:体表のヌメリが強いので、たっぷりの塩を振って手でよくこすり、出てきたヌメリを水で洗い流す。熱湯をさっと回しかけてから包丁でこそげ取る方法もある。これで格段にさばきやすくなる。
  • 内臓処理:頭を落とすか開いて内臓をていねいに取り除き、血合いまできれいに洗い流す。腹腔内をしっかり洗うことが臭み対策になる。
  • 泥臭さ対策:気になる場合は、調理前にきれいな水でしばらく泳がせて泥を抜いたり、塩水や牛乳に身をしばらく浸したりすると臭みが和らぐ。

下処理さえていねいにすれば、ナマズはクセの少ない上質な白身で、程よく脂が乗った優秀な食材になる。皮や脂のうま味も持ち味なので、ヌメリと臭みだけきちんと処理して、その実力を引き出してやろう。

【最重要】ナマズは生で食べない|加熱必須の大原則

ナマズ料理を語るうえで、レシピより先に絶対に守ってほしい安全のルールがある。それはナマズは生で食べてはいけない、必ず中心までしっかり加熱するということだ。

ナマズをはじめとする淡水魚(ライギョ、コイ、ドジョウなど)には、顎口虫(がっこうちゅう)という寄生虫の幼虫が寄生していることがある。これが生きたまま体内に入ると顎口虫症を引き起こし、幼虫が皮膚の下を移動してミミズ腫れのような痕を作る皮膚爬行症のほか、まれに目に入って視力に重い障害が出た例や、のどの腫れで呼吸困難に陥った例まで報告されている、決して侮れない寄生虫だ。確実な治療法が乏しいぶん、何より予防が重要になる。

幸い、顎口虫の幼虫は身の中心までしっかり火を通せば死滅する。だからこそナマズは「刺身でいける」などと安易に生食せず、蒲焼き・天ぷら・唐揚げなど、必ず中心まで加熱した料理で食べるのが鉄則だ。「新鮮なら生でも大丈夫」というのは通用しない。鮮度に関係なく、淡水魚の生食は避ける——これがナマズを安全においしく味わうための、何より大切な大前提である。

ナマズの絶品レシピ|加熱でこそ光る上質な白身

① ナマズの蒲焼き(ウナギに通じる王道)

ナマズ料理の代表格といえば蒲焼き。開いて中骨を外した身を、ウナギと同じように甘辛いタレで香ばしく焼き上げる。程よく脂が乗った白身がタレと絡み、ウナギにも通じるふっくらとした味わいになる。中心までしっかり火を通せば、寄生虫対策としても安心だ。ご飯にのせてナマズ丼にすれば、立派なごちそうになる。

② ナマズの天ぷら

クセのない白身を生かすなら天ぷらがうってつけ。ひと口大に切った身に衣をつけてカラッと揚げれば、外はサクッ、中はふんわり。淡白ながら脂のうま味が感じられ、塩でも天つゆでもおいしい。高温の油でしっかり中まで火を通すので、加熱という点でも理にかなった食べ方だ。

③ ナマズの唐揚げ

下味をつけた身に片栗粉をまぶしてカラリと揚げる唐揚げも鉄板。骨の処理が面倒なら、ぶつ切りや小さめに切った身を使うと食べやすい。しっかり揚げることで臭みも飛び、白身の甘みが立つ。揚げたては子どもにも食べやすく、ナマズ初挑戦の一皿にもおすすめだ。

④ ナマズのつみれ汁(しっかり加熱して)

身を細かくたたいてつみれにし、汁物や鍋に入れる食べ方もある。ふわりとした上品な口当たりが楽しめ、白身から出る出汁も味わえる。ここでも大原則は中心までしっかり火を通すこと。「たたき」という呼び名でも、ナマズの場合は半生ではなく完全に加熱する前提で調理してほしい。

まとめ|身近な水辺に潜む、奥深い在来の好敵手

ナマズは、用水路や河川の中下流など身近な水辺に暮らす、古くからの在来淡水魚だ。4本のヒゲと全身20万の味蕾を駆使して夜の濁り水を狩る洗練されたハンターでありながら、その釣りは梅雨どきの水面をバシャッと割る、誰の心も躍らせる豪快なゲーム。長いヒゲと小さな背びれを見れば、ヒゲのないライギョとも一目で見分けられる。トップウォーターでもエサのミミズでも狙え、強めのタックルさえ用意すれば、入門者にも十分手が届くターゲットだ。

そして食べておいしい魚でもある。ヌメリと臭みをていねいに処理し、必ず中心まで加熱して蒲焼きや天ぷらにすれば、ウナギにも通じる脂の乗った上質な白身が楽しめる。生食だけは顎口虫のリスクがあるため厳禁——この一点さえ守れば、ナマズは釣って楽しく食べてうまい、奥深い好敵手だ。雨上がりの夜、近所の水路で水面を割る一発を、ぜひ一度味わってみてほしい。

※夜間の水辺での釣りは危険を伴います。ライフジャケットとライト(ヘッドランプ)を必ず用意し、滑りやすい護岸や急な深み、ぬかるんだ足場に十分注意してください。とくに雨後の増水時は流れが強く水位の変化も急なため、無理な立ち込みや増水した水路への接近は避け、安全を最優先に行動しましょう。漁業権や遊漁ルールが定められた水域では必ずルールを確認し、リリースする場合はそっと水へ戻すなど、在来の魚と環境に配慮した節度ある釣りを心がけてください。

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