投げ釣りは、日本の釣り文化の中でも特に歴史が深く、砂浜や堤防からオモリの付いた仕掛けを遠くに飛ばして底物の魚を狙う釣法です。遠州灘に面した浜松エリアは、全国的にも屈指の投げ釣りフィールドとして知られ、中田島砂丘の広大なサーフや弁天島周辺の穏やかな湾内まで、バリエーション豊かなポイントが広がっています。投げ釣りは特別な技術がなくても始められる一方、キャスティングの精度や仕掛けの工夫を突き詰めれば奥が深く、ベテランでも飽きることのない釣りジャンルです。
浜名湖・遠州灘エリアでは、夏のシロギス、秋のハゼ、冬のカレイと、一年を通じて投げ釣りのターゲットが途切れません。特に遠州灘の砂浜は、太平洋に面した開放的なサーフが何キロにもわたって続き、大遠投で沖のポイントを攻められるのが魅力です。浜名湖の内湾では波が穏やかなため、家族連れやビギナーでもストレスなく投げ釣りを楽しめます。本記事では、投げ釣りの基本から上級テクニックまで、浜松の地元アングラーが培ってきた知識を余すことなくお伝えします。
投げ釣りの歴史は古く、日本では江戸時代から砂浜での投げ網漁と並行して竿での投げ釣りが行われていたとされています。現代の投げ釣りは1950年代に競技として確立され、遠投力を競う「投げ釣り大会」が全国各地で開催されるようになりました。浜松でも遠州灘のサーフを舞台にした投げ釣り大会が定期的に行われ、地元の投げ釣り師たちが150メートル以上の大遠投を競い合っています。釣り竿を振り抜いてオモリが青空に弧を描く爽快感は、投げ釣りならではの醍醐味です。
投げ釣りのターゲット魚種
シロギス(キス):遠州灘の夏の主役
シロギスは投げ釣りの最もポピュラーなターゲットであり、遠州灘では5月のゴールデンウィーク頃から接岸が始まります。水温が18度を超える6月から9月が最盛期で、中田島砂丘や白羽海岸の砂浜から100メートル以上の遠投で数釣りが楽しめます。遠州灘のシロギスは20センチを超える良型が混じることも珍しくなく、「ピンギス」と呼ばれる10センチ前後の小型から「尺ギス」クラスまで幅広いサイズが釣れます。
シロギスは砂地の海底に生息し、ゴカイ類や小型の甲殻類を主食としています。投げ釣りでは仕掛けを投入した後、ゆっくりとリールを巻いて底を引きずる「サビキ」と呼ばれるテクニックで、広範囲を探りながらキスの居場所を見つけていきます。浜名湖の今切口周辺は潮通しが良く、7月から8月にかけて良型のシロギスが集まるポイントとして地元では定評があります。水温が25度を超える盛夏は、朝マズメと夕マズメの時間帯に活性が上がるため、早朝の釣行がおすすめです。
遠州灘のシロギスは群れで移動する習性が強く、一匹釣れたポイントには高確率で群れが固まっています。最初の一匹が釣れたら、同じ距離と方向に繰り返し投入することで連続ヒットが期待できます。地元の常連アングラーは、シーズン初期には沖目の深場から探り始め、水温の上昇とともに徐々に近場を攻めるパターンで安定した釣果を上げています。天ぷらネタとしても絶品のシロギスは、投げ釣りの楽しみと食の喜びを両方味わえる贅沢なターゲットです。
カレイ(マコガレイ・イシガレイ):冬の遠州灘サーフの定番
遠州灘のカレイ釣りは、11月下旬から翌年3月にかけてがシーズンです。水温が15度を下回る12月から2月が最盛期で、マコガレイとイシガレイの2種が主なターゲットになります。中田島砂丘から竜洋方面にかけてのサーフは、カレイが好む砂泥底が広がっており、冬になると産卵のために接岸してくるカレイを狙えます。遠州灘のカレイは30センチクラスが平均的なサイズで、40センチを超える大型も毎シーズン複数報告されています。
カレイ釣りの基本は「置き竿」スタイルです。仕掛けを投入したら三脚に竿を掛けてアタリを待つ、のんびりとした釣りが特徴です。ただし、カレイは意外と移動速度が速く、潮の動きに合わせてポイントを変えるため、30分程度でアタリがなければ投入地点を変えるのが鉄則です。遠州灘のカレイは、離岸流が発生するポイント(砂の地形変化がある場所)に集まりやすく、海面の波の崩れ方を観察して地形を読むスキルが釣果を大きく左右します。
カレイ仕掛けは、流線針の10号から13号を使い、2本針仕掛けが標準です。エサはアオイソメを房掛けにするか、マムシ(本虫)を使うのが効果的です。特にマムシは匂いが強く、カレイを遠くから誘引する力があるため、遠州灘の常連はマムシとアオイソメの「ミックス掛け」をよく使います。冬の遠州灘は「遠州のからっ風」と呼ばれる強い西風が吹くため、風に負けない重めのオモリ(30号以上)を選ぶことも重要なポイントです。
ハゼ:秋の浜名湖で誰でも楽しめる入門ターゲット
ハゼは9月から11月にかけて浜名湖内で最も手軽に釣れるターゲットです。弁天島周辺や舞阪漁港の護岸、庄内湖の各水門周りなど、波が穏やかな湾内のポイントで数釣りが楽しめます。ハゼは投げ釣り入門者にとって最適な魚であり、10メートルから30メートル程度のちょい投げで十分に届く距離で釣れるため、高価なタックルや大遠投の技術は必要ありません。
浜名湖のハゼは、夏場は5センチから10センチの小型が多いですが、秋が深まる10月から11月になると15センチを超える良型が増えてきます。この時期は「落ちハゼ」と呼ばれ、産卵のために深場に移動する前に荒食いする個体が多くなるため、サイズ・数ともに最も充実したシーズンになります。弁天島の赤鳥居周辺や、舞阪漁港の船溜まりは秋のハゼ釣りの一級ポイントとして地元では広く知られています。
ハゼ釣りの仕掛けはシンプルで、キス釣り用の2本針仕掛けをそのまま流用できます。エサはアオイソメの1本掛けが標準で、ハゼは目の前に落ちてきたエサに素早く食いつく貪欲な魚なので、アタリも明確で初心者でもフッキングしやすいです。浜名湖内は水深が浅いため、ジェット天秤の5号から10号程度の軽いオモリで十分です。ハゼの天ぷらやから揚げは絶品の味わいで、ファミリーフィッシングの食材としても最高のターゲットです。
その他のターゲット
投げ釣りではメインターゲット以外にも様々な魚が釣れます。アイナメは冬から春にかけてテトラ帯や岩礁帯の近くで狙え、浜名湖の今切口周辺で30センチクラスの実績があります。ヒイラギは浜名湖内の砂泥底に多く生息し、キス釣りの外道として掛かることが多いですが、干物にすると旨みが強い魚です。メゴチ(ネズミゴチ)はキスと同じ砂地に生息し、遠州灘のサーフで夏場によく釣れます。天ぷらネタとしてはキスに劣らない美味しさです。
| ターゲット | シーズン | 主なポイント | 平均サイズ | 難易度 |
|---|---|---|---|---|
| シロギス | 5月〜10月 | 中田島砂丘・白羽海岸・今切口 | 15〜25cm | ★★☆☆☆ |
| マコガレイ | 11月〜3月 | 遠州灘サーフ全域・中田島 | 25〜40cm | ★★★☆☆ |
| イシガレイ | 11月〜3月 | 遠州灘サーフ・天竜川河口 | 25〜35cm | ★★★☆☆ |
| ハゼ | 8月〜11月 | 弁天島・舞阪漁港・庄内湖 | 10〜18cm | ★☆☆☆☆ |
| アイナメ | 12月〜4月 | 今切口・テトラ帯・岩礁帯 | 20〜30cm | ★★★☆☆ |
| メゴチ | 6月〜9月 | 遠州灘サーフ・砂地 | 15〜20cm | ★★☆☆☆ |
| ヒイラギ | 通年 | 浜名湖内砂泥底 | 10〜15cm | ★☆☆☆☆ |
投げ釣りのタックル選び
ロッド(投げ竿)の選び方
投げ竿は一般的な磯竿やルアーロッドとは異なり、重いオモリを遠くに飛ばすために設計された専用の竿です。号数は使用するオモリの重さに対応しており、遠州灘での本格的な投げ釣りには25号から30号クラスの竿が適しています。長さは3.9メートルから4.25メートルが標準で、長い竿ほど遠投力が増しますが、取り回しが難しくなるため、初心者はまず3.9メートルの25号竿から始めるのがおすすめです。
投げ竿には「並継ぎ」と「振り出し」の2タイプがあります。並継ぎタイプは3本から4本のパーツを差し込んで組み立てる方式で、曲がりが滑らかでキャスト時のパワーロスが少ないため、遠投性能に優れています。競技志向の投げ釣り師はほぼ全員が並継ぎタイプを使用しています。一方、振り出しタイプはテレスコピック式で収納がコンパクトになるため、移動が多いサーフフィッシングや車での携帯に便利です。初心者やレジャー派には振り出しタイプが扱いやすいでしょう。
メーカーとしてはダイワの「トーナメントサーフ」シリーズやシマノの「キススペシャル」シリーズが投げ釣り専用竿の定番です。入門用としてはダイワ「プライムサーフ」やシマノ「サーフリーダー」が1万円台で購入でき、コストパフォーマンスに優れています。遠州灘のような外洋サーフでは、潮流や風の影響を受けやすいため、しなやかさよりも張りのある硬めの竿が使いやすいです。浜名湖内のハゼ釣りなら、2メートルから3メートルのコンパクトロッドでも十分対応できます。
リールの選び方
投げ釣り専用リールは、一般的なスピニングリールよりもスプール径が大きく設計されており、ラインの放出抵抗が少ないため遠投に有利です。ダイワの「トーナメントサーフ」やシマノの「スーパーエアロ」シリーズが投げ専用リールの代表格です。スプール径が45ミリ以上のモデルを選ぶと、100メートル以上の遠投が安定して行えます。
投げ釣り専用リールの価格帯は、入門モデルで5,000円から1万円、中級モデルで1万5,000円から3万円、上級モデルで4万円以上となります。初心者は入門モデルからスタートしても問題ありませんが、ドラグ性能とラインローラーの品質が高いモデルを選ぶと、大型のカレイが掛かった時にも安心してやり取りできます。浜名湖内のハゼ釣りやちょい投げ程度であれば、一般的なスピニングリール(2500番から3000番)でも十分に対応可能です。
リールに巻くラインは、ナイロンラインの3号から5号が投げ釣りの標準です。近年はPEライン(編み込みライン)の導入が進んでおり、PE0.8号から1.5号にリーダー(力糸)を結ぶシステムが遠投派の主流になりつつあります。PEラインはナイロンの約3分の1の太さで同等の強度があるため、空気抵抗が減って飛距離が大幅に伸びます。ただし、PEラインは風に煽られやすく、初心者はライントラブルを起こしやすいため、まずはナイロンラインで投げ釣りの基本を習得してからPEへの移行を検討するのが賢明です。
オモリ・天秤の選び方
投げ釣りのオモリ(シンカー)は、天秤と一体になったタイプが主流です。最もポピュラーなのが「ジェット天秤」で、流線型のオモリにL字のアームが付いた形状をしています。ジェット天秤は海底を引いた時にオモリが浮き上がりにくく、仕掛けの絡みも少ないため、キス釣りのサビキに最適です。遠州灘のサーフでは25号から30号のジェット天秤が標準的に使われています。
「L型天秤」は、オモリとアームが別体になっているタイプで、オモリだけを交換できるため状況に応じた重さの調整が容易です。カレイの置き竿釣りでは、L型天秤にナス型オモリの25号から35号を組み合わせるのが定番です。「海草天秤」は、テンビンのアーム部分に海草状の毛が付いており、根掛かりしにくい構造になっています。浜名湖の今切口周辺のように岩や牡蠣殻が多いポイントでは海草天秤が活躍します。
オモリの重さは、使用する竿の号数・潮流の強さ・風の強さに応じて選びます。遠州灘のサーフは潮流が速く「遠州のからっ風」による風も強いため、軽いオモリだと仕掛けが流されてしまいます。基本的には竿の適合号数の範囲内で最も重いオモリを使うのが、遠州灘では安定した釣りに繋がります。浜名湖内であれば潮流は比較的穏やかなので、10号から15号程度の軽いオモリでもストレスなく釣りができます。
| タックル | 初心者向け推奨 | 中級者向け推奨 | 価格目安(初心者) | 用途 |
|---|---|---|---|---|
| ロッド | 振り出し25号 3.9m | 並継ぎ27〜30号 4.05m | 8,000〜15,000円 | 遠州灘サーフ全般 |
| リール | 投げ専用入門機(スプール径40mm) | 中級投げリール(スプール径45mm以上) | 5,000〜10,000円 | 遠投・巻き取り |
| メインライン | ナイロン3〜4号 200m | PE0.8〜1.5号+力糸 | 1,000〜2,000円 | 飛距離・感度 |
| 力糸 | ナイロンテーパーライン3-12号 | PEテーパー0.8-6号 | 800〜1,500円 | キャスト切れ防止 |
| 天秤 | ジェット天秤25号 | L型天秤+遊動式 | 300〜800円 | 仕掛けの安定 |
| 仕掛け | 市販キス仕掛け2本針 | 自作3本針(競技用) | 200〜500円 | 魚種に合わせる |
投げ釣りの基本テクニック
キャスティング(投げ方)の基本
投げ釣りの醍醐味はなんといっても遠投です。基本のキャスト方法は「オーバースロー」で、竿を頭の上から振り下ろすようにして投げます。まず、竿先からオモリまでの垂らしを1メートルから1.5メートルに調整し、竿を背中の後方に構えます。左足を前に出してターゲット方向に向け、右足は後方に引いて体を半身に構えます。竿を振り始める際は、下半身の回転から始めて上半身、腕、そして竿先へとパワーを順に伝達させる「ムチの原理」を意識すると、効率よく飛距離が出ます。
「サイドスロー」は横方向から竿を振る投げ方で、後方にスペースがない堤防や、横風が強い時に有効です。遠州灘のサーフでは後方に十分なスペースがあるためオーバースローが基本ですが、弁天島の護岸や舞阪漁港のように後ろに壁やフェンスがある場所ではサイドスローを使うことになります。サイドスローはオーバースローに比べて飛距離が若干落ちますが、低い弾道で投げられるため風の影響を受けにくいメリットがあります。
飛距離を伸ばすためのコツはいくつかあります。まず「力糸」の使用は必須です。力糸とは、先端が太く手前が細いテーパー状のラインで、キャスト時の衝撃でメインラインが切れるのを防ぎつつ、飛距離を最大化します。次に、リリースポイント(指からラインを放すタイミング)は竿が45度の角度になった時が最適です。早すぎると上に飛びすぎ、遅すぎると低い弾道になって失速します。遠州灘の常連アングラーの中には、200メートル以上を投げるエキスパートもいますが、初心者はまず80メートルを安定して投げられることを目標にしましょう。
サビキ(底を探る技術)
投げ釣りにおける「サビキ」とは、サビキ仕掛け(コマセカゴ付き)のことではなく、仕掛けを着底させた後にゆっくりとリールを巻いて底を引きずりながら魚を探すテクニックのことです。特にシロギス釣りでは、このサビキの技術が釣果を大きく左右します。基本は、仕掛けが着底したらリールのハンドルを2回から3回ゆっくり巻き、5秒から10秒のポーズ(止め)を入れる、という動作の繰り返しです。
サビキのスピードとポーズの長さは、魚の活性や水温によって調整します。水温が高く魚の活性が高い夏場は、やや速めのサビキと短めのポーズで広範囲を手返しよく探ります。逆に水温が低い冬場のカレイ狙いでは、非常にゆっくりとしたサビキと長めのポーズで、動きの鈍い魚にエサを見せる時間を確保します。遠州灘のキス釣りでは、潮の流れる方向に対して斜め45度にキャストし、潮に乗せながらサビキを行うと自然な動きで魚にアピールできます。
サビキの途中でオモリが何かに引っ掛かる感触があった場合、そこは海底に地形変化がある証拠です。砂地の中の小さな溝や砂利混じりのゾーン、わずかなカケアガリ(水深が変わるポイント)には魚が集まりやすいため、その周辺を重点的に探ると釣果が上がります。仕掛けを引いている時の底質の感触を竿先とラインを通じて感じ取る「底読み」の技術は、投げ釣りの上達に欠かせないスキルです。
アタリの取り方
投げ釣りのアタリの取り方は、「手持ち」と「置き竿」の2つのスタイルに大別されます。シロギス釣りのようにサビキをしながら積極的に魚を探す場合は手持ちが基本です。竿を手に持っているため、魚がエサを咥えた瞬間の小さなアタリもダイレクトに感じ取れます。キスのアタリは「プルプル」という小刻みな振動で、竿先がピクピクと震えたら即座に竿を軽く立ててアワセを入れます。
カレイ釣りの場合は置き竿が基本スタイルです。三脚に竿を掛けて竿先に鈴やケミホタル(発光体)を付け、アタリを待ちます。カレイのアタリは「コツコツ」という小さなアタリから始まり、しばらくすると竿先がグーッと引き込まれる本アタリに変わります。ここで重要なのは、最初の小さなアタリで慌ててアワセないことです。カレイはエサを吸い込んでから飲み込むまでに時間がかかるため、竿先が大きく曲がるまで待ってからしっかりとアワセを入れるのが正解です。
遠州灘のサーフでは、風と波の影響で竿先が常に揺れているため、アタリと自然な揺れを区別するのが難しいことがあります。この対策として、竿先を風下に向けて構える、ラインにたるみを出さずにテンションを掛けた状態を維持する、といった工夫が必要です。置き竿の場合は竿を2本から3本出して確率を上げるのが一般的ですが、潮の変化やアタリに気付くために定期的にラインの状態をチェックする癖を付けましょう。
遠州灘・浜名湖のポイント別攻略
中田島砂丘エリア
中田島砂丘は浜松を代表する投げ釣りのメッカです。中田島海浜公園の駐車場から海岸にアクセスでき、東西に何キロにもわたって広大なサーフが広がっています。夏はシロギス、冬はカレイがメインターゲットで、100メートル以上の遠投が効くポイントです。砂丘の地形は毎年少しずつ変化しており、離岸流が発生するポイントが好ポイントになります。海面をよく観察し、波が崩れずに沖に流れている場所(離岸流)の両脇を狙うのが攻略の鍵です。
中田島エリアの水深は、100メートル地点で約5メートルから8メートルです。海底は基本的に砂地ですが、所々に貝殻やゴロタ石が混じるゾーンがあり、そこが魚の付くポイントになります。遠州灘の潮流は西から東へ流れることが多く、キャスト後に仕掛けが東に流される傾向があるため、潮上(西側)に投げて流しながら探ると効率的です。駐車場は中田島海浜公園の無料駐車場が利用でき、トイレもあるため長時間の釣行にも適しています。
白羽海岸エリア
白羽海岸は中田島の西側に位置するサーフで、地元の投げ釣り師に人気の穴場ポイントです。中田島に比べてアングラーの数が少なく、プレッシャーの低い環境で釣りができます。海底の地形変化が豊富で、特に白羽の砂浜から河口にかけてのゾーンはカレイの好ポイントとして知られています。アクセスは白羽海岸の駐車スペースから徒歩数分で砂浜に出られます。
弁天島・舞阪エリア
弁天島周辺は浜名湖の内湾に位置し、波が穏やかなため初心者や家族連れの投げ釣りに最適なエリアです。秋のハゼ釣りでは弁天島の赤鳥居周辺が一級ポイントで、護岸からのちょい投げで良型のハゼが連発します。舞阪漁港の岸壁からも投げ釣りが可能で、キスやハゼに加えてカワハギやメバルなどの多彩な魚種が狙えます。水深は2メートルから5メートル程度で、オモリは10号から15号で十分です。
今切口周辺
今切口は浜名湖と遠州灘を結ぶ唯一の水路で、潮通しが極めて良い一級ポイントです。投げ釣りでは、今切口の東西に広がる護岸や砂浜から狙うことができます。潮流が非常に速いため、重めのオモリ(30号以上)が必要ですが、その分ベイトフィッシュが豊富で大型のシロギスやカレイが回遊してきます。新居弁天の砂浜から今切口方面に向けて投げるのが定番のポジションです。ただし、今切口の流れは大変速く危険なため、足場の確保と安全対策は万全にしてください。
エサの種類と使い分け
投げ釣りで使用するエサは、主に環形動物(ゴカイ類)と呼ばれる細長い虫エサです。浜松周辺の釣具店で入手できる主なエサの種類と特徴を解説します。
アオイソメ(青イソメ)
アオイソメは投げ釣りで最も汎用性の高いエサです。価格が安く(500円で1パック)、どの釣具店でも入手でき、キス・カレイ・ハゼ・アイナメなどほぼ全ての投げ釣りターゲットに使えます。体が柔らかく、水中で自発的にクネクネと動くため、魚に対するアピール力が高いのが特徴です。キス釣りではアオイソメを2センチから3センチにカットして針に刺す「チョン掛け」が基本で、ハゼ釣りでは1本をそのまま通し刺しにします。
ジャリメ(砂虫)
ジャリメはアオイソメよりも細くて小さい虫エサで、シロギスの食い渋り時に効果を発揮します。アオイソメでアタリが遠い時にジャリメに替えると急に食い出すことがあり、繊細なキス釣りでは必携のエサです。価格はアオイソメよりやや高めですが、小さいため針に刺しやすく、エサ付けが苦手な初心者にも扱いやすいエサといえます。
マムシ(本虫・岩イソメ)
マムシは太くて硬い体を持つ大型の虫エサで、カレイやアイナメなどの大型魚狙いに効果的です。匂いが非常に強く、エサ取りの多い状況でも遠くから魚を誘引する集魚力があります。価格はアオイソメの3倍から4倍と高価ですが、カレイの投げ釣りでは「マムシとアオイソメのミックス掛け」が最も実績のある付け方です。浜松の釣具店「タックルベリー浜松店」や「フィッシング遊浜松店」で購入できます。
コガネムシ(金虫)
コガネムシはマムシに似た大型の虫エサで、体が硬くてエサ持ちが良いのが特徴です。カレイの置き竿釣りのように長時間仕掛けを放置する釣りでは、エサが針から外れにくいコガネムシが重宝します。遠州灘の冬のカレイ釣りでは、コガネムシの1本掛けをメインにし、針先にアオイソメを追加する「チモト掛け」が効果的な付け方として地元で知られています。
季節別攻略カレンダー
| 月 | メインターゲット | 推奨ポイント | 推奨エサ | 攻略のコツ |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | カレイ | 中田島・遠州灘サーフ | マムシ・コガネムシ | 早朝の満潮前後を狙う。風が強い日は避ける |
| 2月 | カレイ | 中田島・天竜川河口 | マムシ・アオイソメ | 水温最低期、粘りの釣り。ポイント移動が鍵 |
| 3月 | カレイ(終盤)・アイナメ | 今切口・テトラ帯 | アオイソメ・マムシ | カレイ終盤の荒食い期。根周りも要チェック |
| 4月 | キス(早期)・カワハギ | 弁天島・舞阪港 | アオイソメ・ジャリメ | 水温上昇期。浅場でキスの接岸が始まる |
| 5月 | シロギス | 遠州灘サーフ・中田島 | ジャリメ・アオイソメ | キスシーズン開幕。近投で探り、沖に移動 |
| 6月 | シロギス | 遠州灘全域 | ジャリメ・アオイソメ | 数釣りシーズン。朝マズメがベスト |
| 7月 | シロギス | 今切口・中田島 | ジャリメ | 良型が混じる。100m以上の遠投が効く |
| 8月 | シロギス・ハゼ | 遠州灘・弁天島 | アオイソメ・ジャリメ | 早朝・夕方の短時間集中。日中は高温注意 |
| 9月 | ハゼ・シロギス | 弁天島・舞阪漁港 | アオイソメ | ハゼのシーズンイン。浜名湖内が主戦場 |
| 10月 | ハゼ(落ちハゼ) | 弁天島・庄内湖水門 | アオイソメ | 良型ハゼの数釣り。深場を重点的に探る |
| 11月 | ハゼ・カレイ(開幕) | 弁天島・遠州灘 | アオイソメ・マムシ | ハゼ終盤とカレイ開幕が重なるベストシーズン |
| 12月 | カレイ | 中田島・白羽海岸 | マムシ・コガネムシ | カレイ本番。朝マズメに集中。防寒必須 |
投げ釣りの仕掛け作りと工夫
キス仕掛けの作り方
キスの投げ釣り仕掛けは、幹糸にフロロカーボン3号からナイロン4号を使い、枝スにフロロカーボン1.5号から2号を10センチから15センチの長さで結びます。針は流線針の7号から9号が標準で、2本針から3本針の仕掛けが一般的です。針の間隔は20センチから30センチ程度で、仕掛けの全長は60センチから1メートル程度に収めます。市販の完成仕掛けも多数販売されていますので、初心者はまず市販品から始めて、慣れてきたら自作にチャレンジするのが良いでしょう。
キス仕掛けの工夫として、ビーズやフラッシャー(キラキラ光る素材)を枝スに付ける方法があります。これらのアトラクターは、キスの好奇心を刺激して仕掛けに寄せる効果があります。遠州灘の常連は、赤やピンクのビーズを好んで使い、特に濁りが入った日には効果が高いとされています。また、針にエサを付ける際は、針先を必ず出すようにするのがポイントです。キスは吸い込むようにエサを食べるため、針先が隠れていると掛かりが悪くなります。
カレイ仕掛けの作り方
カレイ仕掛けは、キス仕掛けよりも太めの素材を使います。幹糸はフロロカーボン5号からナイロン6号、枝スはフロロカーボン3号から4号で20センチから30センチの長さに取ります。針は流線針の10号から13号で、2本針が標準です。カレイ仕掛けの特徴は、枝スの先に「赤い目玉」「夜光玉」「エサ止め」などのアトラクターを装着することです。カレイは視覚でエサを探す習性が強いため、目立つ装飾が食い込みを促進します。遠州灘の冬のカレイ釣りでは、夜光ビーズの緑色が最も実績があるとされています。
安全対策と持ち物チェックリスト
遠州灘のサーフで投げ釣りをする際は、安全対策が欠かせません。遠州灘は太平洋に面した外洋サーフであり、波のコンディションが急変することがあります。釣行前には必ず天気予報と波情報をチェックし、波高1.5メートルを超える予報の日は入水を避けるべきです。特に「遠州のからっ風」と呼ばれる西風が強い日は、体感温度が大幅に下がる上に波も高くなるため、無理な釣行は禁物です。
持ち物として必携なのは、ライフジャケット(膨張式でも可)、スパイクシューズまたはウェーダー(冬場)、偏光サングラス、日焼け止め(夏場)、十分な飲料水です。投げ釣りは長時間の釣行になることが多いため、折りたたみ椅子やクーラーボックス(座面としても使える大型タイプ)があると快適です。竿掛けの三脚は投げ釣りの必需品で、2本から3本の竿を安定して掛けられるしっかりした三脚を用意しましょう。
遠州灘のサーフでは離岸流(リップカレント)に注意が必要です。離岸流とは、波打ち際から沖に向かって流れる強い流れのことで、入水してしまうと岸に戻れなくなる危険があります。サーフでの投げ釣りは基本的に砂浜から投げるため入水する必要はありませんが、仕掛けの回収時に波打ち際まで行く場合は、波の状況を常に確認しながら行動してください。投げ釣りは安全に楽しめば、自然と向き合える最高のアウトドアアクティビティです。浜名湖・遠州灘の豊かなフィールドで、投げ釣りの奥深い世界をぜひ体験してみてください。



