カゴ釣りの仕掛けを組もうとして、いちばん最初に止まるのが「このカゴに合うウキは何号なのか」という一点です。カゴには10号や15号と書いてある。ウキにも10号や15号と書いてある。ところが売り場で並べてみると、同じ10号のはずのウキが片方は手のひらサイズで軽く、もう片方はずっしり重い。しかも実際に投げてみると、表記どおり合わせたはずのウキがじわじわ沈んでいく。ここで多くの人が「ネットで見たとおり1号か2号上げればいいのだろう」と判断して、余計なウキを買い足していきます。
この記事の結論(3行)
1. ダイワの現行遠投カゴ「ジェットライナーカゴ遠投」の公式スペック表は、6号から18号まで全号数で適合ウキ=カゴと同じ号数を示しています。まずは同号が基準です。
2. 「10号カゴ=37.5g」ではありません。公式の総重量はS-10号で約62g。この差はオモリ部ではなくカゴ本体の重量で、しかもコマセを詰める前の空カゴの数値です。
3. ウキが沈む・寝るの原因は号数不足とは限りません。コマセ・仕掛け小物・水中ウキ・道糸の抵抗の4つを切り分けてから、最後に号数を動かします。
この記事では、メーカー公式ページのスペック表を一次資料として、カゴの号数とウキの号数の対応を1枚の表に落とし込みます。あわせて、ウキの号数が指しているものが重さではなく浮力であること、その結果として同じ10号のウキでも自重が4倍以上違う実例、そして竿の錘負荷から逆算して組み合わせを決める手順までを扱います。秋のアジ・サバ・イサキ・マダイを狙う9月から11月の準備に、そのまま使える形にしました。
結論|ダイワ公式は「カゴと同じ号数のウキ」が基準。全号数の適合早見表
ダイワの遠投カゴの現行モデルは「ジェットライナーカゴ遠投」です。公式製品ページのスペック表には、「適合ウキ(号)」という列がそのまま載っています。つまり、メーカー自身がカゴごとに合わせるべきウキの号数を明示しているということです。そして、その値は全号数でカゴの号数と同じ数字でした。
まず、天秤なしの本体11アイテムを一覧にします。総重量と適合ウキはダイワ公式の記載値です。右の2列は、その数字が何を意味しているかを見えるようにするために当サイトで計算を加えたものです(オモリの号数は1号=3.75gが基準で、これは尺貫法の1匁に由来する換算です)。
| アイテム(ダイワ公式) | 総重量(公式) | 適合ウキ(公式・号) | 号数を3.75g換算した重量 | 差=カゴ本体側の重量 |
|---|---|---|---|---|
| ジェットライナーカゴ遠投 S-6号 | 約48g | 6号 | 22.5g | 約25.5g |
| ジェットライナーカゴ遠投 S-8号 | 約55g | 8号 | 30.0g | 約25.0g |
| ジェットライナーカゴ遠投 S-10号 | 約62g | 10号 | 37.5g | 約24.5g |
| ジェットライナーカゴ遠投 S-12号 | 約70g | 12号 | 45.0g | 約25.0g |
| ジェットライナーカゴ遠投 S-15号 | 約80g | 15号 | 56.25g | 約23.8g |
| ジェットライナーカゴ遠投 M-6号 | 約52g | 6号 | 22.5g | 約29.5g |
| ジェットライナーカゴ遠投 M-8号 | 約59g | 8号 | 30.0g | 約29.0g |
| ジェットライナーカゴ遠投 M-10号 | 約67g | 10号 | 37.5g | 約29.5g |
| ジェットライナーカゴ遠投 M-12号 | 約75g | 12号 | 45.0g | 約30.0g |
| ジェットライナーカゴ遠投 M-15号 | 約84g | 15号 | 56.25g | 約27.8g |
| ジェットライナーカゴ遠投 M-18号 | 約92g | 18号 | 67.5g | 約24.5g |
この表から読み取れることは3つあります。
ひとつめは、適合ウキの号数はカゴの号数と完全に一致しているということです。6号カゴには6号ウキ、18号カゴには18号ウキ。例外はありません。ネット上には「メーカー表記より号数を上げろ」という話が流通していますが、ダイワの現行ジェットライナーの公式ページにその記載はありません。まずは同号から始めるのが、メーカーが想定した使い方です。
ふたつめは、SサイズとMサイズで号数展開が違うという点です。Sは6・8・10・12・15号の5種類で、18号がありません。Mは6・8・10・12・15・18号の6種類です。18号を使いたい場合はMサイズ一択になります。SとMはマキエ容量の違いで、同じ号数ならMのほうが総重量が4gから5g重くなります。
みっつめは、差の列がおおむね24gから30gの帯に収まることです。表の実数ではSサイズが約23.8gから25.5g、Mサイズが約24.5gから30.0g。これがカゴ本体(樹脂ボディとスリット構造)の重量にあたります。号数が変わってもカゴ本体そのものは共通なので、増えているのは基本的にオモリ部だけ、という構造が見えます。帯の中で数グラムのばらつきが出るのは、公式の総重量が1g単位に丸めた表記であることと、オモリ部が厳密に3.75g×号数ちょうどとは限らないためです。
天秤付きモデルは全号数でちょうど2g増える
ジェットライナーカゴ遠投には天秤付きのラインナップもあります。公式スペック表を並べると、こちらも法則がきれいに出ます。
| 号数 | S 天秤なし | S 天秤付き | M 天秤なし | M 天秤付き |
|---|---|---|---|---|
| 6号 | 約48g | 約50g | 約52g | 約54g |
| 8号 | 約55g | 約57g | 約59g | 約61g |
| 10号 | 約62g | 約64g | 約67g | 約69g |
| 12号 | 約70g | 約72g | 約75g | 約77g |
| 15号 | 約80g | 約82g | 約84g | 約86g |
| 18号 | 設定なし | 設定なし | 約92g | 約94g |
天秤付きは全号数で総重量がちょうど2g増えます。そして重要なのは、天秤が付いても適合ウキの号数は変わらないという点です。公式表では天秤付きの各アイテムも、天秤なしと同じ号数の適合ウキが指定されています。2g程度の差はウキの余浮力の範囲に収まる、という設計思想が読み取れます。
なお、ダイワの公式ページは天秤の先端にハリス絡み防止のためクッションゴムを必ず接続するよう明記しています。クッションゴムは別売りです。仕掛け全体の組み方やアタリの取り方については遠投カゴ釣り入門完全ガイドで扱っていますので、タックル一式から揃える方はあわせてご覧ください。
「10号カゴ=37.5g」ではない|総重量62gのギャップはどこから来るのか
ここが、この記事でいちばん誤解が多いところです。
オモリの号数は1号=3.75gで換算します。だから10号なら37.5g。ここまでは正しい。ところがダイワの公式表では、S-10号の総重量は約62gです。37.5gのはずのものが62g。差は24.5gあります。
この24.5gは、オモリが重くなっているのではありません。カゴ本体、つまり樹脂のボディとスリット構造とメインシャフトの重量です。カゴの号数が指しているのはあくまでオモリ部だけであって、製品全体の重さではない。上の表で差の列がどの号数でもほぼ一定になっていたのは、そのためです。
公式の総重量はコマセを入れる前の数値
もうひとつ、必ず押さえてほしい点があります。公式スペック表の総重量は、コマセを詰める前の空カゴの重量です。実釣では、ここにコマセの重量がさらに加算されます。
ではコマセが何グラム乗るのか。これは詰め方と使うコマセの種類で大きく変わるため、メーカーも公表していません。数値を知りたい場合は、自分が使うカゴに普段どおりコマセを詰めた状態でキッチンスケールに乗せて量ってください。空カゴの公式値との差が、自分の詰め方でのコマセ重量になります。ネットで見かける「コマセ込みで約何グラム」という数字は、その人の詰め方の話であって、あなたのカゴの数字ではありません。コマセの配合と詰め方そのものについてはカゴ釣り完全攻略にまとめています。
それでも「同号のウキ」で成立する理由
ここで当然の疑問が出ます。空中で62gもあるカゴを、37.5g相当の浮力しかない10号ウキで支えられるのか、という疑問です。
答えは、ウキの浮力は空中の重さではなく水中の重さと釣り合っているから、です。水の中では、物体は押しのけた水の重さぶんだけ軽くなります。鉛は水のおよそ11倍の比重があるため、水中に入ってもほとんど軽くなりません。一方、カゴ本体の樹脂は水に近い比重なので、水中では空中の重さの多くが相殺されます。だから空中で62gあっても、水中でウキが支える力はオモリ10号ぶんに近い値まで落ちる。メーカーが「適合ウキ=同号」と書けるのは、この水中でのバランスを見ているからです。
ただし、相殺されるのは全部ではありません。樹脂部分の水中重量はゼロにはならないので、そのぶんはウキの余浮力を少しずつ食っています。だから仕掛け小物を足しすぎると、ある地点で余浮力が尽きてトップが沈む。この「余浮力の残り具合」こそが、次の章で扱う沈む・寝るの正体です。
ウキの号数は浮力の表記であって重さではない|同じ10号で自重が4倍違う
もうひとつの誤解が、ウキの号数を重さだと思い込むパターンです。ウキの号数は浮力の表記であって、そのウキ自体が何グラムかとは別の話です。これは理屈ではなく、メーカーのカタログを見れば一目でわかります。
ウキ専業メーカーである釣研の公式製品ページでは、カゴ釣り用の大型ウキのスペック表の1列目が「浮力」という見出しになっていて、号数はそこに入ります。そして自重は「重量(g)」という別の列に載っています。つまりメーカー自身が、号数と重さは別物であることを表の構造で示しているわけです。
実際の数字を並べると、この分離がどれほど大きいかがわかります。以下はすべて釣研の公式スペック表の記載値です。
| 製品(釣研) | 浮力6号 | 浮力8号 | 浮力10号 | 浮力12号 | 浮力15号 | 浮力20号 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 遠投カゴどんぐり | 設定なし | 8.5g | 9.5g | 10.0g | 10.5g | 12.0g |
| 遠投カゴサビキ | 9.0g | 10.0g | 11.0g | 12.0g | 13.0g | 14.0g |
| 遠投レッドウイング | 14.0g | 15.0g | 16.0g | 16.0g | 17.0g | 設定なし |
| 遠投カゴSP | 設定なし | 18.0g | 18.0g | 22.0g | 25.0g | 29.0g |
| 遠投ブラックウイング | 設定なし | 47.0g | 39.0g | 31.0g | 設定なし | 設定なし |
同じ「浮力10号」のウキが、遠投カゴどんぐりでは9.5g、遠投ブラックウイングでは39.0gです。4倍以上の開きがあります。もし号数が重さを表しているのなら、こんなことは起きません。
さらに決定的なのが、遠投ブラックウイングの並びです。8号が47.0g、10号が39.0g、12号が31.0g。号数が上がるほど自重は軽くなっています。浮力を大きくするには体積を増やせばよく、そのぶん内部の重りを減らして飛行姿勢と着水を整えている、という設計の結果です。この一列を見れば、号数が重さではないことに議論の余地がなくなります。
釣研の公式説明を読むと、それぞれの自重が何を狙ったものかもわかります。遠投ブラックウイングはウキ自体に適度な重量を持たせることで、体積が小さく軽いカゴやナイロン製・ワイヤー製のカゴと組み合わせやすくしたモデルとされています。遠投レッドウイングは3号と4号に限ってオモリを本体に内蔵し、自重を30g超にすることで飛距離と操作性を確保したと説明されています。遠投カゴサビキは逆で、コンパクトロッドでもフルキャストできるよう、オモリ付きカゴの重量を見込んで軽めの重量設定にしたモデルです。
つまりウキ選びは、浮力(号数)で合わせたうえで、自重で投げ味と姿勢を選ぶという二段構えになります。号数だけ見て選ぶと、浮力は合っているのに飛ばない、あるいは着水衝撃が強すぎて仕掛けが絡む、という結果になります。
フカセの円錐ウキとは別の物差し
ここで混乱しやすいのが、同じ「ウキの浮力表記」でも、フカセ釣りの円錐ウキはB・2B・3B・0・00といった別の体系を使っている点です。カゴ釣りの号数表記とは物差しが違うので、変換して考えても意味がありません。両者の違いは円錐ウキとは何かで整理していますので、フカセから入った方はそちらを先に読むと頭が整理されます。
号数が存在しない落とし穴|18号カゴに18号ウキは見つからない
実務上いちばん効いてくる注意点がこれです。ダイワの公式表はM-18号カゴに対して適合ウキ18号を指定しています。ところが、釣研の遠投カゴ用大型ウキ5モデルのラインナップに18号は存在しません。上の表のとおり、15号の次は20号に飛びます。
同様に、6号カゴに合わせる6号ウキも、遠投レッドウイングと遠投カゴサビキにはありますが、遠投カゴSPと遠投カゴどんぐりにはありません。つまり、カゴ側とウキ側の号数展開は一致していないのです。
ここが「メーカー公式の適合表どおりに買えばいい」で終わらない理由です。18号カゴを選んだ時点で、ウキは15号か20号のどちらかで妥協するか、18号を持つ別メーカーを探すかの判断が発生します。15号側に寄せれば余浮力が足りずに沈みやすくなり、20号側に寄せればトップが出すぎてアタリが出にくくなります。カゴ側は18号が上限で「カゴの号数を上げて釣り合わせる」調整ができないため、20号ウキに寄せる場合はトップが出やすい前提で、ハリス・サルカン・クッションゴムなど仕掛け小物の重量で余った浮力を食わせるのが基本になります。後述の3列対応表で18号カゴに20号ウキを勧めているのも、この調整を前提にした選択です。この判断ごと避けたいなら、最初から15号までのカゴで組むのがいちばん確実です。
ウキが沈む4原因の診断表|号数を上げる前に確認する順番
「ウキが沈む」は、カゴ釣りで最も相談の多い症状です。ここで反射的にウキの号数を上げると、次は沈まないけれど寝る、という別の問題に移るだけになります。沈み方のパターンから原因を切り分けてください。
| 沈み方の症状 | まず疑う原因 | 確認方法 | 対処(この順番で) |
|---|---|---|---|
| 投入直後に沈み、数十秒から1分ほどでトップが戻る | 正常な過渡状態。カゴの沈下と道糸が張るまでの一時的なもの | 時間を計ってトップが戻るか見る | 号数は合っています。変更不要 |
| 投入直後から沈み、いつまでも戻らない | コマセの詰めすぎ、または仕掛け小物の合計重量 | コマセを詰めず、ハリス側も外して同じウキとカゴだけで水面に置く | 詰める量を8分目にする。それでも沈むなら小物を見直し、最後にウキを1号上げる |
| 一度も立たずに、着水と同時に消える | ウキとカゴの号数が合っていない、または表記の読み違い | カゴの号数とウキの浮力表記を並べて突き合わせる | 同号に戻す。ウキの号数は自重(g)ではなく浮力の列を見る |
| じわじわ沈む。数分かけて消えていく | ハリス・サルカン・クッションゴム・ウキ止め・シモリ玉・ハリ・サシエの合計が余浮力を超えている | 小物を全部外して確認し、1点ずつ戻す | クッションゴムとサルカンを軽い番手へ。それでも沈むなら1号上げる |
| 潮が動いているときだけ沈む | 道糸の水抵抗、二枚潮、水中ウキの併用 | 潮止まりのタイミングで同じ仕掛けを入れて比較する | 水中ウキを外す。道糸を細くする。それでも出るならウキを1号から2号上げる |
この表でいちばん重要なのは、いちばん上の行です。投入直後に沈んで、そのあと戻ってくるのは正常です。ここで焦って号数を上げてしまうと、本来ちょうど良かった組み合わせを壊すことになります。まずは沈んだあと戻るかどうかを見てください。
そして「コマセの重さでウキが沈むから、ウキは1号か2号上げるべき」という説明をよく見かけますが、これは空中重量と水中重量を混ぜてしまった説明です。前章のとおり、コマセや樹脂ボディは水中では空中ほどの重さとして効きません。上げるべき場面は確かにありますが、それは切り分けの最後に来る手であって、最初の手ではありません。
ウキが寝る・立たない・馴染まない|浮力過多とオモリ不足の見分け方
沈むの反対、つまりウキが横になったまま起きてこない状態です。これも原因は一つではありません。
横に寝たまま起きない
ウキが水面に横たわったまま立たない場合、ほとんどはウキが立つために必要な下向きの力がかかっていない状態です。原因は主に3つあります。
1つめは、単純にウキの浮力がカゴに対して過剰なケース。12号カゴに15号ウキを合わせた、というような組み合わせです。この場合はウキの号数を下げる、またはカゴの号数を上げます。ただしジェットライナーカゴ遠投は18号が上限なので、カゴ側を上げて釣り合わせる手が使えるのは、上限に届いていない組み合わせに限られます。
2つめは、カゴが底や障害物に乗ってしまい、仕掛けが張らないケース。ウキ下を取りすぎているとこうなります。ウキ止めを浅い側にずらして試してください。
3つめは、糸フケです。キャスト後に道糸が水面に大きく残っていると、カゴが沈もうとしても道糸が余っているため仕掛けが張らず、ウキが起きません。着水後に穂先を下げて余分な糸を巻き取り、道糸を張る動作を入れると解決することが多い症状です。
立つけれどトップが出すぎる
ウキは立っているのに、トップが必要以上に水面から出ている状態です。これは余浮力が余っているということなので、アタリが出にくくなります。魚がサシエをくわえて引き込んでも、余った浮力が抵抗になって違和感を与えるためです。この場合はウキの号数を1つ下げるか、同じ号数でも自重の軽いモデルに替えて、余浮力を削ります。
飛ばない・姿勢が乱れる
浮力は合っているのに飛距離が伸びない、あるいは飛行中に仕掛けが回転して絡むケースです。これは浮力ではなくウキの自重と形状の問題です。前章の釣研の表を思い出してください。同じ10号でも9.5gと39.0gがあります。軽いウキは風に負けやすく、カゴだけが先に飛んで仕掛けが伸びきってしまう。逆に重すぎるウキは飛びますが着水衝撃が強く、軽いカゴと組むとバランスが崩れます。
釣研は遠投カゴSPについて、着水までウキとカゴが離れないように必要以上の糸滑りを抑える設計だと説明しています。ウキとカゴが空中で分離すると飛距離も姿勢も落ちるという前提が、製品説明の側からも読み取れるわけです。飛ばない症状が出たときは、号数ではなくウキのモデルそのものを見直すのが近道です。
竿の錘負荷から逆算する|ダイワ公式スペックで組める号数の範囲
ここまでカゴとウキの話をしてきましたが、実際にはもう1つ制約があります。竿の錘負荷です。竿が背負える範囲を超えたカゴは、飛ばないだけでなく破損の原因になります。
そして、ここに大きな落とし穴があります。「磯竿3号なら何号、4号なら何号」という一般化が、実際には成立しないのです。ダイワの現行遠投カゴ竿2機種の公式スペック表を並べると、それがはっきりします。
| 機種(ダイワ公式) | 全長 | 標準自重 | 錘負荷(号) | 適合ハリス ナイロン(号) |
|---|---|---|---|---|
| インプレッサ 3-57B遠投・Y | 5.7m | 380g | 5〜12号 | 3〜8号 |
| インプレッサ 4-53B遠投・Y | 5.3m | 380g | 10〜15号 | 4〜10号 |
| インプレッサ 4-57B遠投・Y | 5.7m | 415g | 10〜15号 | 4〜10号 |
| 剛弓カゴ 4号-53B遠投・J | 5.30m | 367g | 8-20号 | 4-12号 |
| 剛弓カゴ 4号-57B遠投・J | 5.70m | 393g | 8-20号 | 4-12号 |
| 剛弓カゴ 4号-60B遠投・J | 6.00m | 422g | 8-20号 | 4-12号 |
| 剛弓カゴ 5号-57B遠投・J | 5.70m | 436g | 10-25号 | 5-14号 |
注目してほしいのは、同じ「4号」表記なのに、インプレッサB遠投は10〜15号、剛弓カゴ遠投Bは8-20号という点です。下限で2号、上限で5号も違います。「4号竿だから12号から15号のカゴ」といった号数だけの一般化は、この時点で崩れます。必ず自分の竿の機種名でスペック表の錘負荷を確認してください。なお表内で「5〜12号」と「8-20号」のように波ダッシュとハイフンが混在しているのは、各機種の公式表記をそのまま引いているためです。
竿・カゴ・ウキの3列対応表
上の公式スペックに、ジェットライナーカゴ遠投の号数展開と釣研のウキのラインナップを重ねると、実際に組める組み合わせが決まります。
| 竿(公式の錘負荷) | 範囲に収まるカゴ号数 | 公式の適合ウキ号数 | ウキ側の実在状況 |
|---|---|---|---|
| インプレッサ 3-57B遠投(5〜12号) | 6・8・10・12号 | 6・8・10・12号 | 8から12号は全モデルにあり。6号は遠投レッドウイングと遠投カゴサビキのみ |
| インプレッサ 4-53B/4-57B遠投(10〜15号) | 10・12・15号 | 10・12・15号 | 遠投カゴSP・遠投カゴどんぐり・遠投レッドウイングで揃う |
| 剛弓カゴ 4号-53B/57B/60B遠投(8-20号) | 8・10・12・15・18号 | 8・10・12・15・18号 | 18号は釣研の遠投ウキに設定なし。15号か20号での判断が必要 |
| 剛弓カゴ 5号-57B遠投(10-25号) | 10・12・15・18号 | 10・12・15・18号 | 同上。18号カゴを使うなら20号ウキ側に寄せ、余った浮力は仕掛け小物の重量で調整する |
この表の「範囲に収まるカゴ号数」は、公式の錘負荷レンジにジェットライナーカゴ遠投の号数が入るかどうかを機械的に当てはめたものです。錘負荷はカゴの総重量ではなく号数で読みます。62gという総重量の数字を錘負荷と比べてはいけません。
他社の竿を使っている場合も手順は同じです。メーカー公式ページで自分の機種の「錘負荷(号)」を確認し、その範囲に入るカゴ号数を洗い出してから、同じ号数のウキを探す。この順番なら間違えません。入門クラスの磯竿でどの号数を選ぶかで迷っている方はホリデー磯とリバティクラブ磯風どっち?で号数と長さの考え方を比較しています。
秋の魚と水深で決める号数|9月から11月の実戦セットと買い足し
号数の上限と下限が決まったら、あとはその範囲のどこを使うかです。秋のカゴ釣りは対象魚の幅が広く、狙うタナによって最適解が動きます。
アジ・サバ・ソウダガツオなど、表層から中層の回遊魚
秋に堤防や地磯で数が期待できるのがこの層です。ウキ下を浅く取れるぶん、カゴが深く沈む必要がありません。したがって沈下速度より飛距離を優先できます。竿の錘負荷の下限側、たとえば錘負荷5〜12号の竿なら8号や10号を選び、ウキも同号にします。カゴを軽くすると仕掛け全体が軽くなり、投げやすさと手返しが上がります。数を釣る釣りではこの差が効きます。
ウキは自重の軽いモデル、たとえば遠投カゴどんぐりのような系統が扱いやすくなります。ただし風が強い日は軽いウキが押し流されるので、同じ号数で自重のあるモデルに替えるという選択肢を持っておくと安心です。
マダイ・イサキなど、深いタナを狙う釣り
タナが深くなると、カゴを狙った層まで確実に落とす必要が出てきます。ここでは沈下速度が正義です。竿の錘負荷の上限側に寄せ、12号から15号を使います。深いタナを取ると、ウキ下が長いぶん道糸と仕掛けの水抵抗も増えるので、余浮力に余裕を持たせておくと立ち上がりが安定します。
ダイワの剛弓カゴ遠投Bの公式アイテム紹介は、モデルごとに想定を書き分けています。5号-57Bは20号クラスのカゴを使い、沖目のポイントや沖の潮目を狙いたいときに最適とされ、大型の真鯛・青物にも負けないバットパワーを持つと説明されています。4号-57Bと4号-60Bはイサキ・真鯛・グレに加えて小型から中型の青物狙いに最適、4号-53Bは取り回しの良さを重視したショートレングス設定でイサキ・真鯛・グレなどに最適、という記載です。自分の狙いがどれに近いかで、竿の号数と長さから先に決めるのが結果的に早道です。
最初に買う3セットと、買い足しの優先順位
最初から号数を揃えすぎると、使わないカゴとウキが箱の中で眠ります。次の順番で足していくのが無駄がありません。
最初の1セットは、竿の錘負荷の中央付近を1つだけ。錘負荷10〜15号の竿なら12号のカゴと12号のウキです。ここが基準になります。
2セット目は、そこから軽い側へ1段。12号が基準なら10号です。風がなく食いが渋い日、そして飛距離を伸ばしたい日に効きます。
3セット目は、重い側へ1段。12号が基準なら15号です。向かい風の日、二枚潮の日、深いタナを取る日に必要になります。
この3つが揃った時点で、ほとんどの状況に対応できます。買い足すなら次はウキの号数ではなく、同じ号数で自重の違うウキです。号数を増やすより、同じ浮力で投げ味の違う選択肢を持つほうが、実釣での引き出しは増えます。
逆に無駄になりやすい買い方が3つあります。ひとつめは、竿の錘負荷を確認せずに号数を揃えること。上限を超えた号数は結局使えません。ふたつめは、18号のカゴを先に買ってしまうこと。前述のとおり適合ウキ18号が主要な遠投ウキに存在せず、組み合わせで悩む時間が増えます。みっつめは、ウキを自重で選んでしまうこと。重いウキを高浮力だと思って買うと、浮力は足りないのに投げにくいという最悪の組み合わせになります。
価格の目安として、ジェットライナーカゴ遠投のメーカー希望本体価格は税抜1,420円から1,530円、天秤付きは税抜1,470円から1,580円です。釣研の遠投ウキは参考上代で遠投カゴどんぐりが1,050円、遠投カゴSPが1,300円、遠投レッドウイングと遠投ブラックウイングが1,500円、遠投カゴサビキが800円です。3セット揃えても大きな出費にはなりません。
安全装備は号数より先に揃える
カゴ釣りは、空カゴの状態で約50g前後から90g超という重量物を頭上で振り回す釣りです。キャスト前の後方確認は必ず行ってください。堤防でも磯でも、ライフジャケットは着用してください。落水時に重い仕掛けを持ったまま自力で上がるのは困難です。朝マヅメと夕マヅメが好機になる釣りなので、暗い時間帯の移動に備えてヘッドライトも必携です。両手が空くヘッドライトは、暗がりでの仕掛け交換にも必要になります。
まとめ|同号から始めて、沈んだら切り分けてから動かす
カゴ釣りのウキの号数は、ダイワの現行遠投カゴ「ジェットライナーカゴ遠投」の公式スペック表を見れば、6号から18号までカゴと同じ号数が基準だとわかります。ここが出発点です。
そのうえで、実際の釣り場で調整が必要になる理由は3つありました。第一に、公式の総重量はコマセを入れる前の空カゴの値であること。第二に、ウキの号数は浮力の表記であって自重ではなく、同じ10号でも自重が4倍以上違うモデルが存在すること。第三に、カゴ側とウキ側で号数展開が一致しておらず、18号のように公式が指定していても対応するウキが見つからない号数があることです。
ウキが沈んだときは、まず沈んだあとに戻るかどうかを見てください。戻るなら正常です。戻らないなら、コマセの量、仕掛け小物の合計、水中ウキ、道糸の抵抗の順に切り分けて、号数を動かすのは最後です。ウキが寝るときは、浮力過多だけでなく糸フケとウキ下の取りすぎを疑ってください。
そして号数の上限と下限は、竿の錘負荷が決めます。同じ4号表記でも機種によって8-20号と10〜15号のように大きく違いますので、必ず自分の竿の機種名で公式スペックを確認してから号数を決めてください。この順番で組めば、秋の本番に余計なウキを買い足さずに済みます。



