毎年この季節になると、居ても立っても居られなくなる。そう、春のエギングシーズンの到来だ。浜名湖や遠州灘エリアに通い続けて十数年、春に釣り上げる大型アオリイカの引きはいつになっても忘れられない。今回は2026年の春シーズンに向けて、このエリアで春アオリイカを攻略するためのすべてを惜しみなく公開したい。
春アオリイカの特徴と狙い目シーズン
浜名湖・遠州灘エリアにおける春のアオリイカシーズンは、おおむね4月上旬から6月下旬にかけてがピークとなる。この時期のアオリイカは産卵のために浅場へと移動してくるため、サイズが格段に大きい。いわゆる「春イカ」と呼ばれるもので、キロアップはもちろん、2キロ・3キロ超の大型個体が狙える夢のシーズンだ。
産卵を控えた個体は体力を蓄えており、エサへの反応も積極的になる。一方で、産卵直後の個体は動きが鈍くなるケースもある。そのため、産卵床となる藻場(アマモ場・ホンダワラ群生地)の周辺を丁寧に探ることが、春エギングの基本中の基本となる。
月別の狙い目
- 4月:水温が上昇し始め、先発の大型個体が接岸し始める。遠州灘サーフ寄りのシャローエリアが先に活性化する。
- 5月:シーズン最盛期。浜名湖今切口や舞阪堤防では日中でも大型の実績が続く。最も大型が狙いやすい月。
- 6月:産卵が終盤に差し掛かり、個体数は減るが引き続き大型の残党を狙える。梅雨入り前後の荒れた後が狙い目。
浜名湖・遠州灘の厳選エギングポイント
長年通い続けた経験から、春シーズンに特に実績の高いポイントを紹介する。もちろん、当日の風・潮・水温によってベストなポイントは変わるが、以下のエリアは外せない。
浜名湖今切口(いまぎりぐち)
浜名湖と遠州灘をつなぐ水路状のポイント。外洋からのアオリイカが最初に入ってくる場所で、春イカの実績はエリア随一だ。潮の流れが速いため、エギを潮に乗せてドリフトさせる釣り方が効果的。流れが緩む潮止まり前後1時間が特にチャンスタイムとなる。足場の良い護岸から狙えるため、初心者にもアクセスしやすい。
舞阪堤防
地元アングラーなら誰もが知る名ポイント。今切口に隣接し、堤防先端付近は潮通しも良く大型の実績が多い。朝マズメに堤防先端から遠州灘方向へキャストするパターンで、毎春キロアップが連発することもある。ただし人気が高く、連休中などは場所取りが必要。夜明け前からの釣行をおすすめする。
新居海釣公園(新居弁天)周辺
有料の海釣公園として整備されており、足場・安全面での安心感は抜群。浜名湖と海の境界に位置し、汽水域を回遊するアオリイカが狙える。公園内の藻場周辺はとくに産卵個体の溜まり場になりやすく、ゆっくりとしたフォールで誘う釣り方が効く。子連れ釣行にも向いている。
遠州灘サーフ(白脇・馬込川河口周辺)
オープンなサーフエリアでのエギングは難易度が高いが、春の大型をサーフで釣るのは格別の達成感がある。離岸流や地形変化を見つけてその周辺を重点的に狙うのがコツ。波がある日は底荒れで狙いにくいが、凪の日の早朝は遠浅サーフでも大型アオリイカが驚くほど浅い場所に入ってくることがある。
湖内の藻場(細江・鷲津・気賀周辺)
湖奥部まで産卵のために入ってくるアオリイカも少なくない。特にアマモやホンダワラが繁茂するエリアは産卵床になりやすく、5月以降は湖内での実績も上がってくる。水深が浅いため、軽めのエギをスローに使うのが基本だ。
春エギングのエギ選び
春の大型アオリイカを狙うには、エギのサイズ・カラー・ウェイトの選択が非常に重要になる。
サイズ
春イカには3.5号〜4.0号の大きめのエギが基本となる。大型の個体は大きなシルエットのエサを好む傾向があり、秋の小型シーズンよりもワンサイズ上げるのが定石。状況によっては4.5号を使うこともある。ただし湖内の浅場や流れの緩いエリアでは3.0号に落とした方が自然なアクションが出ることもある。
カラー
- 朝・夕マズメ:オレンジ・ピンク系のアピールカラーが実績高め。
- 日中の澄み潮:ナチュラル系(グリーン・ブルー・クリア)が効きやすい。
- 濁り潮・曇天:金テープ・夜光(グロー)系でアピール力を高める。
- 夜釣り:グロー系(夜光)を基本に、ケイムラカラーも有効。
おすすめエギ
個人的に春の遠州エリアで実績が高いのは、YAMASHITAのエギ王K・エギ王LIVEシリーズ、デュエルのEZ-Qシリーズあたり。沈下速度が選べるのでポイントの水深や流れに合わせて使い分けやすい。スローシンカーは湖内の浅場・藻場狙いに重宝する。
春アオリイカを釣るための実践テクニック
エギのスペックと同じくらい重要なのが、アクションとアプローチの仕方だ。春イカは大きく、力強いが、その分警戒心も高い。繊細な誘いが釣果を分けることも多い。
ボトムステイ(底放置)
春の大型狙いで最も重要なテクニックのひとつがボトムステイだ。エギをボトムまで沈め、ラインを張らず緩めずのニュートラルな状態でしばらく待つ。10秒、20秒、場合によっては1分近く待つこともある。産卵を控えた大型の個体は、動かないエギに対しても「これは何だろう」とゆっくり近づいてきてジワジワと抱いてくることがある。焦って動かすのは禁物だ。
シャクリ方とフォール
春イカに有効なシャクリは、大きく激しいものより2段シャクリ〜3段シャクリのミディアムテンポが基本。エギを大きく飛ばした後、ラインスラックを取りながらゆっくりとフォールさせる。このフォール中にアタリが出ることが多い。フォール姿勢が乱れないよう、シャクった後は竿先を水面に向けてテンションフォールで入れるのがポイント。
潮と風を読む
今切口や舞阪堤防などの潮通しが良い場所では、流れの方向を把握してエギを自然にドリフトさせることが重要。向かい風の日は少し重めのエギに替えてボトムを丁寧に取り、横風や追い風の日はエギを潮に乗せて広範囲を探るスタイルに切り替える。
サイトフィッシング(視認釣り)
水が澄んでいる日は、偏光グラスを使って水中のアオリイカを目視しながら釣る「サイトフィッシング」が非常に有効だ。特に新居海釣公園や湖内の浅場では、エギに興味を示してついてくる個体を確認できることも多い。アオリイカがエギの後ろについてきたら、シャクらずにその場でステイ。しびれを切らしたイカが抱いてくる瞬間を目で確認できる、これが春エギングの醍醐味だ。
釣行時の注意点と装備
春の遠州エリアは風が強い日が多く、特に「遠州の空っ風」の名残が4月頃まで続くことがある。防風対策は必須で、フードつきのウィンドブレーカーを必ず携行したい。また、今切口や舞阪堤防は足元が滑りやすい箇所もあるため、スパイクシューズまたはグリップ力の高いシューズを着用すること。
夜釣りや早朝釣行の際はライフジャケット着用を徹底してほしい。地元の釣り場を守るためにも、ゴミは必ず持ち帰り、駐車ルールを守ることが大切だ。
まとめ
浜名湖・遠州灘エリアの春エギングは、国内でも屈指の大型アオリイカが狙える素晴らしいフィールドだ。今切口の激流でドリフトさせたエギを豪快に抱いた瞬間、あの重量感と強烈な引きは何度経験しても鳥肌が立つ。
2026年の春シーズンも、4月から6月の産卵期を中心に、舞阪堤防・今切口・新居海釣公園・遠州灘サーフをローテーションしながら、ぜひ大型の春アオリイカに挑戦してほしい。ボトムステイを意識したスローな釣り、サイトフィッシングの駆け引き、潮を読んだドリフトエギング――これらのテクニックをしっかり身につければ、今シーズンのキロアップは必ずや手の届く目標になるはずだ。
地元の海と湖を大切にしながら、最高の一杯を釣り上げよう。釣り場でお会いしましょう!



