天草諸島が「釣り人の楽園」と呼ばれる理由

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熊本県の西に浮かぶ天草諸島は、大小120あまりの島々からなる日本有数の多島海です。東シナ海と有明海、八代海という3つの海域に囲まれたこの群島は、暖流(対馬海流)の恩恵を受けて魚種が極めて豊富。地元では古くから「天草の海には100種類以上の魚がいる」と言われるほど、釣り人にとっての楽園です。

筆者は過去5年間で天草を20回以上訪れ、上天草から下天草まで各地のポイントを釣り歩いてきました。堤防からのファミリーフィッシングから、磯でのヒラスズキ狙い、船でのタイラバやジギングまで、天草はあらゆるスタイルの釣りを受け入れてくれる懐の深いフィールドです。

この記事では、天草諸島の主要な釣りスポットを上天草エリア・天草中部エリア・下天草エリア・牛深エリアに分けて徹底解説します。各ポイントの特徴、狙えるターゲット、おすすめの時期、アクセス方法まで、天草で釣りをするために必要な情報をすべてお伝えします。

天草の海の特徴|なぜこれほど魚が多いのか

3つの海域が交わる奇跡の地形

天草諸島の魚種の豊富さは、その地理的な位置に起因しています。西側は東シナ海に面し、対馬海流(暖流)が直接あたります。東側の有明海は日本最大の干潟を持つ内湾で、栄養塩類が豊富。南東側の八代海(不知火海)は穏やかな内海で、稚魚の育成場として機能しています。

この3つの海域が天草諸島を挟んで交わることで、外洋性の回遊魚から内湾性の根魚まで、驚くほど多様な魚種が生息する環境が生まれています。

海域特徴主な魚種
東シナ海側(西海岸)外洋に面し潮通し抜群。磯場が多いヒラスズキ、グレ、イシダイ、青物
有明海側(東海岸)穏やかな内湾。干潟と砂泥底が広がるマダイ、チヌ、キス、カレイ、コウイカ
八代海側(南東海岸)不知火海の穏やかな海。養殖業も盛んマダイ、ヒラメ、アオリイカ、アジ

潮流の速さが魚を肥やす

天草諸島の各水道(海峡)は潮流が非常に速いことで知られます。特に本渡瀬戸三角ノ瀬戸は大潮時に5ノット以上の激流が発生し、この速い潮がプランクトンやベイトフィッシュを運び込み、食物連鎖の底辺から頂点まで豊かな生態系を維持しています。

速い潮流で育った天草の魚は身が締まって脂の乗りも良いため、釣り味だけでなく食味も抜群です。天草で釣ったマダイやヒラメを刺身にすると、その弾力と甘みに驚くはずです。

上天草エリア(大矢野島・松島周辺)

熊本市内からのアクセスが最も良い上天草エリアは、天草五橋(パールライン)を渡ってすぐの場所に位置します。家族連れや初心者にも優しいポイントが多く、天草釣行の入門エリアとして最適です。

大矢野漁港(おおやのぎょこう)

上天草の玄関口に位置する大矢野漁港は、足場が良く駐車場も整備された優良ポイントです。港内は水深3〜5mの砂泥底で、投げ釣りでのキスやカレイ、サビキ釣りでのアジ・サバ、エギングでのアオリイカなど、多彩な釣りが楽しめます。

季節主なターゲットおすすめの釣り方
春(3〜5月)チヌ、メバル、アオリイカ(春イカ)フカセ釣り、メバリング、エギング
夏(6〜8月)キス、アジ、小型青物投げ釣り、サビキ、ライトショアジギング
秋(9〜11月)アオリイカ(秋イカ)、アジ、タチウオエギング、アジング、ワインド
冬(12〜2月)メバル、カサゴ、カレイメバリング、穴釣り、投げ釣り

アクセス:天草五橋(1号橋)を渡り国道266号を南下。大矢野島の東岸に位置。熊本市内から車で約1時間。駐車スペースは漁港周辺に20台程度。トイレは近隣のコンビニを利用。

松島周辺(前島・永浦島)

天草五橋の2号橋〜5号橋が架かる松島エリアは、橋脚周りの激流ポイントが魅力です。橋脚の影にマダイやチヌが付き、潮の変わり目に活性が一気に上がります。

特に4号橋(前島橋)周辺は地元アングラーの間で「マダイポイント」として知られ、フカセ釣りやタイラバ(岸からのキャスティングタイラバ)で60cm超の良型マダイが実績多数。橋の下を流れる潮に仕掛けを流すスタイルが基本です。

前島の外海側は岩礁帯が広がり、根魚(カサゴ・キジハタ)の魚影が濃いのも特徴。ライトロックフィッシュゲームで20〜30cmのキジハタ(アコウ)が狙えるのは、天草ならではの贅沢です。

天草中部エリア(本渡・五和周辺)

天草の中心都市・本渡(ほんど)周辺は、本渡瀬戸という天然の魚道を擁する激アツエリアです。有明海と八代海を結ぶこの水道は幅わずか200m足らずで、大潮時には壮絶な潮流が発生します。

本渡瀬戸(ほんどせと)

本渡瀬戸は天草を代表する超一級ポイントです。狭い水道を大量の潮が行き来するため、マダイ・チヌ・グレ・シーバス・青物と、狙える魚種は枚挙にいとまがありません。

瀬戸の両岸には護岸が整備されており、足場は比較的安定しています。ただし、潮の流れは半端ではありません。大潮の満潮前後は仕掛けを流し込むのが困難なほどの激流になるため、潮止まりの前後1時間が勝負時です。

筆者が最も印象に残っているのは、秋の大潮の潮止まりに本渡瀬戸でかけた70cmオーバーのマダイです。フカセ釣りでグレを狙っていたところ、突然ウキが一気に消し込まれ、10分近いファイトの末にタモに収めたときの感動は今でも鮮明に覚えています。天草の瀬戸には、こういう予想外のドラマが待っています。

五和町(ごかまち)・鬼池港周辺

天草の北西部に位置する五和町は、イルカウォッチングで有名な通詞島の近くにある釣りエリアです。有明海に面した穏やかな海域ですが、沖合は水深が急に深くなるため、投げ釣りやちょい投げで大型のキスやカレイが狙えます。

鬼池港は長崎県の口之津港へのフェリーが発着する港で、フェリーターミナル周辺の岸壁から釣りができます。港内の船道(フェリーが通る深い溝)は水深8〜10mあり、冬場のカレイ釣りやメバリングのポイントとして実績があります。

五和町の隠れた名ポイントが二江港です。イルカウォッチング船の出港地ですが、港の外側の波止は潮通しが良く、秋のアオリイカシーズンにはエギングのアングラーで賑わいます。墨跡の多さがポイントの実力を物語っています。

下天草エリア(天草町・河浦町周辺)

天草西海岸に位置する下天草エリアは、東シナ海の外洋に直接面した本格派のフィールドです。磯場が発達し、グレ(メジナ)やイシダイ、ヒラスズキといった磯の大物を狙うアングラーが全国から集まります。

下田温泉周辺の地磯

天草下島の西海岸に位置する下田温泉周辺には、車で行ける地磯が複数あります。大江天主堂や崎津天主堂(世界文化遺産)に近いこのエリアは、観光と釣りを兼ねた遠征にも最適です。

下田温泉から南に車で15分ほど走ると、白鶴浜海水浴場の南側に広がる岩場に出ることができます。このポイントは遠浅のサラシ場で、冬から春にかけてヒラスズキが狙える人気の地磯です。北西風が吹いてウネリが入ると、サラシが広がり、ヒラスズキの活性が一気に上がります。

高浜海水浴場周辺

「日本の夕陽百選」にも選ばれた美しい高浜海水浴場ですが、その両サイドの岩場は秋磯のグレ釣りの好ポイントです。水深は足元で3〜5m、沖の沈み根周辺で8〜10mあり、30〜40cmの良型グレが狙えます。

高浜周辺の特徴は、足場が比較的フラットで安全性が高いこと。本格的な磯釣りというとハードルが高いイメージがありますが、ここなら磯釣り初挑戦のアングラーでも安心して竿を出せます。

ポイント名特徴主なターゲット難易度
白鶴浜南地磯サラシ場、北西風で好条件ヒラスズキ、ヒラメ中〜上級
高浜東磯フラットな足場、初心者向けグレ、チヌ、イシダイ初〜中級
大ケ瀬・小ケ瀬(沖磯)渡船で渡る外洋磯、超一級グレ、イシダイ、青物上級
妙見浦(国指定名勝)奇岩と透明度の高い海、景観抜群グレ、根魚、アオリイカ中級

大ケ瀬・小ケ瀬|天草最強の沖磯

天草西海岸の沖合に浮かぶ大ケ瀬(おおがせ)・小ケ瀬(こがせ)は、九州を代表する沖磯です。渡船で渡るこの孤島は、周囲を東シナ海の激流が洗い、50cmオーバーの口太グレ、3kgクラスのイシダイ、10kgを超えるヒラマサが実績として記録されています。

大ケ瀬への渡船は下田温泉の渡船業者が営業しており、渡船料は片道3,000〜4,000円程度。天候と海況によっては渡船が欠航するため、事前の確認は必須です。

大ケ瀬の釣り座は限られており、早朝の一番船で渡り、潮通しの良い先端部を確保するのが鉄則。特に南向きの釣り座は本流が目の前を通過するため、大物との遭遇率が最も高い超人気ポイントです。

牛深エリア(天草最南端)

天草諸島の最南端に位置する牛深(うしぶか)は、かつて日本有数の漁業基地として栄えた町です。現在も豊かな海の恵みは健在で、天草で最も魚種が豊富なエリアの一つです。

牛深港・ハイヤ大橋周辺

牛深港は大型の漁港で、港内には多くの波止や岸壁があり、釣り場には事欠きません。特にハイヤ大橋(牛深と下須島を結ぶアーチ橋)の橋脚周りは潮通しが良く、マダイ・チヌ・グレ・アジなどが狙えるポイントです。

牛深港で特に人気が高いのが赤灯台の波止です。港の入り口に位置するこの波止は、外海からの潮が直接差し込むため魚影が濃く、秋にはサビキ釣りで30cmクラスのアジが入れ食いになることもあります。

牛深周辺の沖磯群

牛深の真骨頂は沖磯にあります。牛深沖には大小無数の磯(瀬)が点在し、その数は100を超えると言われます。中でも有名なのが以下のポイントです。

  • 黒島:牛深港から渡船で15分。グレの魚影が非常に濃く、冬場は40cmオーバーの口太グレが連発する
  • 烏帽子瀬(えぼしぜ):外洋に突き出た一枚岩の磯。イシダイの超一級ポイント
  • 横島周辺の瀬:青物(ヒラマサ・ブリ)の回遊が多く、秋のジギングシーズンに活況

牛深の渡船業者は複数あり、経験豊富な船長が当日の海況に合わせて最適な磯に渡してくれます。渡船料は3,500〜5,000円が相場で、弁当や飲み物の注文も可能です。

砂月海水浴場(さつきかいすいよくじょう)

牛深の南東に位置する砂月海水浴場は、天草屈指の透明度を誇るビーチです。夏場は海水浴客で賑わいますが、シーズンオフの秋〜春はキス釣りやヒラメの好ポイントに変貌します。

砂月海水浴場の特徴は、遠浅の砂浜が沖合100m以上続いた後、急に深くなるブレイクラインがあること。このブレイクラインの際にキスやヒラメが付くため、投げ釣りでは80〜100mのフルキャストが必要です。

また、ビーチの両端にある岩場はアオリイカのポイントでもあり、秋のエギングでは500g〜1kgの秋イカが数釣りできます。

天草のオフショアフィッシング(船釣り)

タイラバ|天草の代名詞

天草の船釣りといえばタイラバです。天草周辺の海域はマダイの生息密度が非常に高く、年間を通じてタイラバでマダイが狙えます。特に春の乗っ込みシーズン(4〜6月)は、70cm・3kgオーバーの大鯛が期待できます。

天草のタイラバの特徴は、比較的浅い水深(20〜60m)で成立すること。潮流が速いポイントでは60〜100gのヘッドを使いますが、潮止まり前後は40〜60gの軽いヘッドでスローフォールを意識すると効果的です。

時期水深ヘッド重量ポイント
春(乗っ込み)30〜50m45〜80g本渡瀬戸沖、御所浦沖
20〜40m40〜60g松島周辺、天草五橋下
30〜60m60〜100g牛深沖、大ケ瀬周辺
40〜80m80〜120g牛深沖深場

ジギング|秋の青物フィーバー

天草周辺の海域では、秋になるとブリ(ヤズ・ハマチ)やヒラマサの回遊が活発になります。特に天草西海岸の沖合は東シナ海からの回遊ルートにあたり、10kgを超えるヒラマサが期待できるフィールドです。

ジギングのメッカとして知られるのが牛深沖と苓北(れいほく)沖。水深30〜80mの岩礁帯にジグを落とし込み、ワンピッチジャークで誘います。秋のハイシーズンには1日で5〜10本の青物をキャッチすることも珍しくありません。

天草釣行の実践ガイド

アクセス方法

天草へのアクセスは主に以下の3ルートがあります。

  • 熊本市内から車:国道57号→天草五橋(パールライン)経由。上天草まで約1時間、本渡まで約2時間、牛深まで約3時間
  • 長崎から車:口之津港→鬼池港(天草フェリー、約30分)。島原半島経由で天草北部にアクセス
  • 福岡から車:九州自動車道→松橋IC→国道266号経由。約3.5〜4時間

宿泊と温泉

天草は温泉地としても魅力的で、釣りと温泉を組み合わせた遠征スタイルがおすすめです。

温泉地エリア特徴近隣の釣りスポット
松島温泉上天草天草五橋の絶景、海を望む露天風呂大矢野漁港、4号橋周辺
下田温泉下天草700年の歴史、美人の湯として有名西海岸の地磯、大ケ瀬渡船
牛深温泉牛深釣り帰りに最適、漁港至近牛深港、砂月海水浴場

釣具店・エサの調達

天草には釣具店が点在していますが、本渡市街に集中しています。上天草エリアでは松島周辺にも釣具店があります。ただし、牛深方面は釣具店が限られるため、事前にエサやルアーは本渡で調達しておくのが安心です。

生エサ(オキアミ・アミエビ・イソメ類)は本渡の釣具店で購入できるほか、上天草エリアでは大矢野島のエサ自販機(24時間)も利用できます。

釣り船・渡船の予約

天草のタイラバ船やジギング船、磯への渡船は事前予約が基本です。特に週末や連休は早めの予約が必要です。主な遊漁船・渡船業者は以下のエリアに集中しています。

  • 上天草(松島):タイラバ船が複数。半日便(5時間)で8,000〜10,000円が相場
  • 本渡:タイラバ・ジギングの遊漁船。乗合で10,000〜13,000円程度
  • 下田温泉:磯への渡船。片道3,000〜4,000円
  • 牛深:沖磯渡船、タイラバ・ジギング船が充実。渡船3,500〜5,000円、遊漁船10,000〜15,000円

天草で釣れる旬の魚と絶品グルメ

天草で釣った魚は現地で食べるのが最高の贅沢です。天草には「釣った魚を調理してくれる民宿」も多く、自分で釣った魚を刺身や煮付けにしてもらえます。

天草の旬魚カレンダー

旬の魚おすすめの食べ方
1〜3月メバル、カサゴ、カレイ煮付け、唐揚げ
4〜6月マダイ(乗っ込み)、アオリイカ鯛めし、イカ刺し
7〜9月キス、アジ、タチウオ天ぷら、南蛮漬け、塩焼き
10〜12月グレ、ブリ(ヤズ)、ヒラメ刺身、しゃぶしゃぶ、昆布締め

天草の飲食店では「天草大王」(地鶏)「天草ちゃんぽん」などのご当地グルメも楽しめます。釣りの合間に地元の味を堪能するのも、天草遠征の醍醐味です。

天草釣行の注意点とマナー

立入禁止エリアに注意

天草の漁港や岸壁には立入禁止区域が設定されている場所があります。特に養殖筏(いかだ)の周辺や、漁業作業中のエリアには絶対に立ち入らないでください。天草の漁業者と釣り人が共存するためにも、ルールの遵守は最低限のマナーです。

ゴミの持ち帰り

天草の美しい海を守るため、ゴミは必ず持ち帰りましょう。仕掛けのパッケージ、切れたライン、使用済みのエサ袋はもちろん、コマセで汚れた釣り場は水で洗い流してから撤収するのが天草釣行のマナーです。

天候と海況の確認

天草西海岸は東シナ海に直接面しているため、風波の影響を受けやすいのが特徴です。特に冬場の北西季節風が強い日は、西海岸の磯場は危険です。必ず天気予報と波浪予報を確認し、風速7m/s以上や波高2m以上の予報が出ている場合は、有明海側や八代海側の穏やかなポイントに変更しましょう。

まとめ:天草は何度でも通いたくなる釣りの聖地

天草諸島は、堤防のファミリーフィッシングから沖磯の大物狙いまで、あらゆるレベル・あらゆるスタイルの釣り人を満足させてくれる懐の深い釣り場です。3つの海域が交わる特異な地形がもたらす魚種の豊富さ、速い潮流が育てる魚の質、温泉やグルメといった釣り以外の楽しみ。これらすべてが揃った場所は、日本広しといえどもそう多くはありません。

熊本市内から日帰りでも行ける上天草エリアから攻め始め、いずれは本渡や牛深まで足を延ばして沖磯デビュー。そんなステップアップの計画を立てながら、まずは天草の海に第一歩を踏み出してみてください。きっと、何度でも通いたくなる「もう一つのホームグラウンド」になるはずです。

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