日生諸島(ひなせしょとう)の頭島(かしらじま)は、2015年に「備前日生大橋」(正式名称にハートマークを含むことで知られる橋)が開通して以来、岡山県備前市の本土から車でそのまま渡れるようになった瀬戸内の釣り場です。結論から言えば、駐車場から数十歩で竿を出せる頭島漁港の3本の波止を軸に、チヌ(クロダイ)・メバル・カワハギ・イイダコ・アオリイカが季節ごとに狙え、カキ養殖の筏(いかだ)が点在する穏やかな内海は、ファミリーから本格フカセ師まで幅広く楽しめる懐の深さがあります。本記事は「日生諸島 釣り」「頭島 釣り ポイント」「日生 メバル アオリイカ」と調べる人に向けて、波止ごとの狙い方・季節カレンダー・橋と駐車場・渡船・トイレ、そして名物カキオコまでを、2026年7月時点の公開情報と各地の釣果報告をもとに一本にまとめたものです。浜松からは新東名・名神・山陽道を乗り継いで直線距離のうえでおよそ350km、車でおおむね4時間半から5時間ほどの道のりになります。
日生諸島エリアの釣り場概要|橋でつながるカキ養殖の豊穣な瀬戸内
日生諸島は、岡山県の東端・備前市日生町の沖に浮かぶ大小十数の島々の総称です。備前観光協会などの公開情報によれば、鴻島(こうじま)・大多府島(おおたぶじま)・頭島・鹿久居島(かくいじま)・鶴島(つるしま)といった島々からなり、豊かな自然のなかで海水浴・釣り・キャンプ・みかん狩りが楽しめる観光エリアとして知られています。なかでも頭島は諸島でもっとも人口が多く、島全体が生活の場でありながら、漁港・砂浜・岩場と変化に富んだ釣り場が集中しているのが特徴です。
この海域の最大の個性は、なんといってもカキ(牡蠣)養殖です。日生は瀬戸内でも屈指のカキの名産地で、湾内には養殖筏がびっしりと浮かびます。筏の下にはカキの殻から落ちる有機物やそれに集まる小魚・エビが豊富で、チヌやメバルにとって格好の餌場になります。潮通しがよく、外洋の荒れが届きにくい内海という条件も相まって、瀬戸内らしい「魚影が濃く、しかも波が穏やか」という釣り場が成立しているわけです。エリア全体を俯瞰したい人は、瀬戸内海の釣りスポット完全ガイド|広島・岡山・香川・愛媛の絶好ポイント20選もあわせて読むと、日生の位置づけがつかみやすくなります。
本土側の玄関口である日生港のまわりには、冬に賑わう魚市場「五味の市」や、名物のカキオコ(カキ入りお好み焼き)の店が並びます。つまり日生諸島は、釣りだけで完結せず「釣って・買って・食べて」までを半日から一日で味わえる、瀬戸内観光の縮図のような釣り場だと言えます。
頭島漁港(3本の波止)|チヌ・メバル・カワハギ・イイダコの本命
頭島の釣りの中心は、なんといっても頭島漁港です。複数の釣り場情報サイトによれば、港内には大きく3本の波止があり、それぞれ「西波止」「中波止」「東波止」と呼び分けられています。足場が比較的よく、駐車場やトイレが近い点が、ファミリーにも本格派にも支持される理由です。港内には係留船が多く、漁業者の作業スペースでもあるため、竿を出せる場所と関係者エリアの線引きを現地表示で必ず確認してください。
西波止|常夜灯があり初心者・家族向けの一番手
西波止は、有料駐車場からもっとも近い波止で、常夜灯があるため夜釣りにも向きます。釣り場ガイドでは初心者・家族向きと紹介されることが多く、日中はサビキでアジ・イワシ・サッパ(ママカリ)・サヨリ、朝夕はメバルやカサゴといった構成で楽しめます。防波堤の一番西側(右側)は駐車場からのアクセスがよく、フカセ釣りでチヌを狙う常連に人気のポイントとして知られています。チヌのウキフカセの基本を固めたい人は、フカセ釣り(ウキフカセ)入門〜中級完全マスター2026|チヌ・グレを浜名湖で釣るタックル・コマセ・タナ設定までのタナ設定・コマセ配合がそのまま応用できます。
中波止|二又に分岐、赤灯台側の先端は立入禁止
中波止は、定期船待合所の前の道を進んだ先にあり、途中で二又に分岐しています。釣り場情報によれば、赤灯台のある側の先端は立入禁止となっているため、そこへは絶対に立ち入らないこと。潮通しがよく外海方向を狙える人気ポイントで、サビキでアジ・イワシ・サバ・サヨリ、フカセや探り釣りでチヌ・カワハギ・メバルなどが報告されています。足元には捨て石が入っていて根掛かりしやすいので、手前を避けて少し沖の砂泥底を丁寧に探るのがコツです。カキ加工場前へ軽く投げるとイイダコが数釣りできることもあり、秋のイイダコシーズンにはテンヤやラッキョウ型の擬似餌で、初心者でも数を伸ばしやすい場所です。カワハギは餌取りが上手な難敵なので、繊細なアタリを取る集中力と、こまめに餌をチェックする丁寧さが数を分けます。
東波止|2022年以降、入口に進入禁止の看板が立ったとの報告あり
東波止は港の左端から伸びる波止で、海底に岩礁帯が混じるため、かつてはチヌやグレ狙いに向くとされてきました。しかし複数の釣り場ブログの報告によれば、2022年11月末ごろ、東波止の入口に『車だけでなく関係者以外は進入禁止』とする看板が設置されたとされ、現在は先端だけでなく波止本体を含めて立ち入りができない可能性が高い状況です。そのため本記事では、東波止での釣行は積極的には勧めません。立入禁止・進入禁止の判断は、つねに現地の看板・表示が絶対の最優先です。可否が読み取れない・不明な場合は、入らないでください。
頭島漁港全体で狙える魚をまとめると、サッパ(ママカリ)・サヨリ・アジ・カワハギ・メバル・カサゴ・チヌ・イイダコ・コウイカなどが挙げられます。地元の釣果報告では、初夏から秋にかけてはサバやツバス・ハマチといった青物が回遊で入ることもあり、ライトショアジギングやサビキの延長で思わぬ良型に当たることもあります。ただしこうした青物は年により回遊の当たり外れが大きいので、過度な期待はせず「入れば儲けもの」と考えておくのが現実的です。
鹿久居島・外輪海水浴場・鶴島周辺|島と砂浜のファミリーフィッシング
頭島の手前に横たわる鹿久居島は、観光情報によれば周囲およそ28kmを誇る岡山県最大の島で、野生の鹿が生息する手つかずの自然が残ります。橋でつながっているため車で通過できますが、島の大半は自然のままで、釣り場は地磯・ゴロタ・護岸に点在します。釣り場情報では、鹿久居島まわりの磯はエサ取りが比較的少なく、チヌの数釣りや40cmを超える良型の実績があるとされ、地磯やゴロタではカサゴ・アイナメといったロックフィッシュも狙えます。ただし地磯は足場が不安定で、干潮時にしか渡れない場所や私有地・立入制限がある区画も多いため、無理な立ち入りは避け、安全に竿を出せる護岸まわりを中心にするのが無難です。
頭島の南西側にある外輪(そとわ)海水浴場は、夏の海水浴シーズン以外であれば砂浜からの投げ釣りが楽しめる、ファミリー向けの穏やかなポイントです。釣り場ガイドによると、砂浜からはキス・カレイ・ハゼ・チヌ・ハネ(セイゴ)・ベラなどが狙え、秋にはここでもイイダコが顔を出します。ちょい投げでのキス釣りは、軽い仕掛けをゆっくり引くだけでアタリが出やすく、子ども連れの入門にうってつけです。水温が高い時期はエイやフグが多くなるので、仕掛けや針は多めに用意しておくと安心です。砂浜は海水浴客も使う場所なので、切れた仕掛けや針を絶対に放置しないという最低限のマナーは徹底してください。
なお、日生諸島のうち鶴島は橋がつながっていない無人島で、明治初期までキリシタンの流刑地だった歴史を持ち、桟橋そばの広場がキャンプ場として開放されています。鶴島やそのほかの離島へ渡るには、本土の日生港から出る渡船・定期船を利用することになります。橋でつながった頭島・鹿久居島とは扱いが異なる点に注意してください。
ナイトエギングのアオリイカとカキ筏まわりのメバリング
日没後の頭島は、昼とはまったく別の顔になります。ひとつはアオリイカのナイトエギングです。頭島港の防波堤ではアジ・サヨリ・チヌとともにアオリイカが釣れると報告されており、秋(おおむね9月から11月)には親イカが産んだ新子(子イカ)が育ち、数釣りのチャンスが訪れます。常夜灯まわりや潮通しのよい波止先端で、エギをキャストしてはシャクリとフォールを繰り返すのが基本。墨跡が新しく残っている足場は直近で釣れた証拠なので、優先的に狙う価値があります。エギの号数選びやシャクリのリズムに不安があれば、エギング(アオリイカ)入門〜中級完全マスター2026|浜名湖・遠州灘のイカ釣りタックル・エギ選び・釣り方ガイドで一通りの流れをつかんでおくとよいでしょう。春にはキロを超える大型の親イカも期待でき、シリヤケイカやコウイカといった胴長の甲イカ類も同じフィールドで狙えます。
もうひとつの夜の主役がメバルです。日生の湾内はカキ養殖筏が多く、筏の陰やロープまわりはメバルの一級のストラクチャーになります。陸っぱりからは、筏に近い波止際や常夜灯の明暗をジグヘッド+ワームのメバリングで丁寧に探るのが定番。メバルは12月から5月がハイシーズンとされ、寒い時期ほど良型が浅場に差してきます。メバルの生態やメバリングの組み立てはメバル完全図鑑2026|浜名湖・遠州灘でのメバリング・エサ釣り・生態・料理に詳しくまとめてあります。ここで重要なのは、カキ筏そのものは漁業者の私有施設だということです。筏に乗る・ロープを引っ張る・筏際に仕掛けを絡ませて放置するといった行為は厳禁で、あくまで陸や公共の波止から届く範囲で狙うのが大前提になります。
季節別ターゲットカレンダー|春メバル・夏キス・秋イカ・冬カキ落ちチヌ
頭島・日生諸島は、瀬戸内らしく一年を通じて何かしらの魚が狙える息の長いフィールドです。各種の釣り場情報と釣果報告をもとに、主なターゲットの目安を月別に整理しました。あくまで一般的な傾向で、その年の水温や潮によって前後します。実際の入釣前には、最新の釣果と現地の掲示を必ず確認してください。
| ターゲット | 春(3-5月) | 夏(6-8月) | 秋(9-11月) | 冬(12-2月) |
|---|---|---|---|---|
| チヌ(クロダイ) | ◎ 乗っ込み好機 | ○ 数釣り | ◎ 荒喰い | ○ カキ落ちの大型 |
| メバル | ◎ ハイシーズン | △ 低調 | ○ 回復期 | ◎ 良型狙い |
| アオリイカ | ○ 大型親イカ | △ 端境期 | ◎ 新子の数釣り | △ 甲イカ類 |
| キス | ○ 走りだし | ◎ 最盛期 | ○ 落ちギス | △ 深場 |
| カワハギ | ○ 春の荒食い | ○ 数釣り | ◎ 肝パン期 | ○ 良型残る |
| イイダコ | △ | ○ 走り | ◎ 秋の数釣り | ○ 続く |
| カサゴ・根魚 | ○ | ○ | ○ | ◎ 通年安定 |
ベストシーズンをひとことで言えば、諸島全体としては水温が安定する5月と、荒喰いに入る10月・11月が「迷ったらこの時期」という当たり月です。冬は魚種こそ絞られますが、カキの身入りとともに湾内へ差す「カキ落ちチヌ」や、脂の乗ったメバル・カサゴといった、この時期ならではの良型が楽しめます。年間を通じて何かが釣れるからこそ、季節に合わせた一本を持って通う価値のあるフィールドです。
アクセス・駐車場・渡船・トイレ情報(2026年7月時点の公開情報)
頭島の最大の魅力は、離島でありながら車でそのまま渡れるアクセスの良さです。備前市などの公開情報によれば、2015年(平成27年)4月に本土の日生町と鹿久居島を結ぶ「備前日生大橋」(全長およそ765m・通行料無料)と「梅灘橋」が開通し、市道日生頭島線が全線開通しました。鹿久居島と頭島の間は、2004年開通の「頭島大橋」(およそ300m)でつながっています。本土から鹿久居島を経て頭島まで、車でおよそ10分という近さです。
駐車場は、釣り場情報によると西波止の近くに有料駐車場があります(料金は時間制・日額制など出典によって記載が分かれるため、現地の表示で確認してください)。中波止・東波止の手前のスペースは漁業関係者用で駐車禁止となっているため、必ず有料駐車場を利用してください。島内には島民の生活道路や私有地に見えるスペースもありますが、地元の迷惑になるため、案内のある有料駐車場に停めるのが鉄則です。トイレは定期船の待合所横にあり、自動販売機も設置されていると案内されています。ただし料金・営業時間・設備の有無は変わることがあるため、これらはいずれも2026年7月時点で公開されている情報である点を前提にしてください。
渡船・定期船については、本土の日生港および日生駅前埠頭から大生汽船(たいせいきせん)が鴻島・大多府島などへ運航しています。運航会社・大生汽船の公式サイトによれば、大人片道は日生から鴻島までおよそ620円、日生から大多府島までおよそ770円で、便数は上り・下りとも1日6〜7便程度とされています。なお2015年の橋の開通後、頭島が本土と陸続きになったことに伴い、鹿久居島への寄港は廃止されています。橋のかかっていない鴻島・大多府島・鶴島などの離島で竿を出したい場合に、渡船が選択肢になると理解しておくとよいでしょう。時刻表・運賃は改定されることがあるため、利用前に運航会社の最新情報を確認してください。
安全・規制・マナー|漁業エリアと立入禁止表示を最優先に
頭島・日生諸島は、2026年時点で釣りが継続して楽しめる釣り場ですが、それは地元の漁業と観光に配慮したうえで成り立っています。以下の点を必ず守ってください。
- 漁港内は漁業関係者のエリア。頭島漁港には係留船が多く、港内は漁業者の作業場です。船の出入り口・ロープ・網・漁具のまわりでは竿を出さず、通路をふさがないこと。中波止・東波止の手前は関係者用駐車場で、一般車は停められません。
- カキ筏の周辺は立入・接触注意。湾内のカキ養殖筏は漁業者の私有施設です。筏に乗る、ロープを触る・引く、筏際に仕掛けを絡ませて放置するといった行為は厳禁です。メバルやチヌを狙う際も、陸や公共の波止から届く範囲にとどめてください。
- 立入禁止・進入禁止の表示を最優先に。中波止の赤灯台側の先端や、2022年以降に入口へ関係者以外進入禁止の看板が立ったとされる東波止など、現地で立入禁止・進入禁止が示されている区画には絶対に入らないこと。立入禁止・釣り禁止の判断は、現地の看板・表示と、自治体や漁協が出す最新の公式情報がつねに最優先です。本記事の情報が現地表示と食い違う場合は、必ず現地表示に従ってください。
- ゴミ・仕掛けの放置は絶対にしない。外輪海水浴場のような砂浜は海水浴客も利用します。切れた糸や針を放置せず、出したゴミはすべて持ち帰ること。この一点が守られないと、釣り場そのものが閉鎖されかねません。
- 夜間・早朝は静かに。頭島は生活の島で、漁港や砂浜のまわりには民家が多くあります。夜釣り・早朝の釣行では、話し声・車のドア・ライトの扱いに気を配り、住民の生活を妨げないよう配慮してください。
- 安全装備を忘れない。波止や地磯では、ライフジャケットの着用、滑りにくい靴、単独釣行を避ける、荒天・高波の日は無理をしないといった基本を徹底しましょう。地磯は干潮時しか渡れない場所もあり、潮の満ち引きを事前に確認することが命を守ります。
岡山県は千葉県沿岸のような広域の釣り規制や、都市部・被災地特有の制約が比較的少ない地域とされますが、それは「何をしてもよい」という意味ではありません。豊かなカキの海と穏やかな内海は、漁業者の営みがあってこそ守られています。一人ひとりのマナーが、この釣り場を次の世代へ残せるかどうかを決めます。
日生名物カキオコと釣った魚の楽しみ方
日生に来たら外せないのが、ご当地グルメの「カキオコ」です。カキオコは、たっぷりのカキを入れて焼くお好み焼きのこと。地元の観光情報によれば、日生のカキは身が厚く濃厚で、新鮮なため焼いても縮みにくく、ぷりっとした食感が残るのが自慢とされています。カキの旬は例年11月から3月頃で、とくに12月から2月が身入りのピーク。冬にはカキ小屋が次々と開き、炭火で焼く牡蠣の香りが港を包みます。魚市場「五味の市」や、冬のかき祭りでは、カキオコ・焼き牡蠣・カキ飯・カキフライなどを味わえます。釣りの前後に立ち寄れば、一日が「釣って・食べる」瀬戸内の休日として完成します。
もちろん、自分で釣った魚を持ち帰って味わうのもこのフィールドの醍醐味です。フカセで仕留めたチヌは、鮮度がよければ刺身や塩焼き、アラは潮汁やアラ炊きに。臭みが気になる個体は、皮目を炙る・昆布締めにするといったひと手間で驚くほど食べやすくなります。メバルやカサゴは煮付け・唐揚げが鉄板、カワハギは肝を添えた薄造り、キスは天ぷら、イイダコは煮付けや酢の物と、頭島で釣れる魚はどれも食卓で主役を張れる好敵手ばかりです。持ち帰る分だけを大切に締めて、瀬戸内の恵みを余さず味わってください。
まとめると、頭島は「橋で気軽に渡れて、波止で家族と遊べて、夜はエギングとメバリングで一人の時間も満喫でき、帰りにカキオコまで味わえる」という、瀬戸内の楽しみが凝縮された釣り場です。2026年7月時点の情報をもとに計画を立てつつ、現地では最新の表示とマナーを最優先に、日生の豊かな海を存分に楽しんでください。



