フィッシングキャンプとは、その名の通り「釣り(フィッシング)」と「キャンプ」を組み合わせたアウトドアレジャーです。一般的なキャンプではサイト設営・料理・焚き火などを楽しむのに対し、フィッシングキャンプではキャンプサイトに隣接した釣り場、または管理釣り場(マス釣り場、海釣り公園など)を拠点に、「釣る→捌く→食べる→眠る」という究極の自給自足体験を一泊二日で完結させるスタイルです。
従来の「釣り専門」「キャンプ専門」という二択が解消され、1回の外出で両方を楽しめるこのスタイルは、特に2020年以降に急速に普及しました。アウトドアメディアや釣り専門誌でも「フィッシングキャンプ特集」が増加しており、2024〜2025年のキャンプシーン最大のトレンドの一つとして定着しています。
フィッシングキャンプの典型的な1日スケジュール
| 時間帯 | 活動内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 5:00〜7:00 | 早朝の釣り(ゴールデンタイム) | 朝マズメは最も魚の活性が高い |
| 7:00〜9:00 | 朝食の調理・食事 | 釣れた魚を使ったBBQまたは他の食材で |
| 9:00〜12:00 | 追加の釣り・探索・昼寝 | 活性が下がる時間はのんびりと |
| 12:00〜14:00 | 昼食・昼寝・読書 | キャンプならではのゆったりした時間 |
| 14:00〜17:00 | 午後の釣り(夕マズメ狙い) | 17時以降は再び活性が上がる |
| 17:00〜20:00 | 夕食の準備・調理・食事 | 釣った魚のメインディッシュ |
| 20:00〜 | 焚き火・星空観賞・就寝 | 釣りの疲れを癒す至福の時間 |
急増の背景|コロナ禍以降のアウトドアブームとSNSの影響
フィッシングキャンプが急増した背景には、複数の社会的・文化的要因が複合的に絡み合っています。
コロナ禍がもたらしたアウトドアブーム
2020年の新型コロナウイルス感染拡大により、室内での密集を避けるアウトドアレジャーへの需要が爆発的に増加しました。キャンプ人口は2020年から2022年にかけて急増し、日本オートキャンプ協会の調査によると、2021年のキャンプ人口は約850万人とコロナ前の2019年比で約30%増加しています。
同様に釣り人口も2020年以降に増加しており、「3密を避けながら自然を楽しめるアクティビティ」として釣りとキャンプの両方が注目を集めました。この二つのトレンドが交差したのが「フィッシングキャンプ」という融合スタイルです。
SNS・YouTubeの影響
InstagramやYouTubeにおいて、「釣り飯キャンプ」「アウトドア自給自足」「釣った魚を焚き火で食べる」系のコンテンツが急増し、高い再生数・いいね数を獲得するようになりました。フィッシングキャンプをテーマにするYouTuberが2022〜2024年にかけて急増し、チャンネル登録者数10万人を超えるクリエイターも複数登場しています。
Instagramでは「#フィッシングキャンプ」タグの投稿数が2025年時点で50万件を超えており、食事・魚・自然の美しい写真が高いエンゲージメントを得ています。SNSで映える「釣り+キャンプ飯」コンテンツが、若年層を中心に新規参入者を呼び込んでいます。
キャンプサイト付き釣り場・管理釣り場の種類と全国の主要施設
フィッシングキャンプを楽しむための施設は大きく3種類に分かれます。それぞれ特徴と対象者が異なるため、目的に合わせて選択することが重要です。
施設タイプ別の特徴
| 施設タイプ | 特徴 | 対象者 | 料金相場 |
|---|---|---|---|
| 管理釣り場付きキャンプ場 | マス・アユ等を放流。釣果が安定。初心者向け | 家族・初心者 | キャンプ3,000〜5,000円+釣り1,000〜3,000円 |
| 海釣り公園隣接キャンプ場 | 堤防から海釣り。クロダイ・アジ・サバ等 | 海釣り愛好家 | キャンプ3,000〜6,000円+釣り500〜1,000円 |
| 野営・フリーキャンプ場(自然釣り場) | 自然の川・海・湖で釣り。上級者向け・低コスト | 上級者・ソロキャンパー | 無料〜2,000円 |
全国の注目フィッシングキャンプスポット5選
1. 奥多摩フィッシングセンター(東京都西多摩郡奥多摩町)
奥多摩川の清流沿いにある老舗の管理釣り場で、キャンプサイトも併設しています。ニジマス・ヤマメ・イワナが対象魚で、1日を通じて釣りが楽しめます。東京都心から約90分のアクセスで、都市部からの日帰り・一泊キャンプに人気のスポットです。
2. 富士五湖(山梨県・静岡県)
河口湖・山中湖・本栖湖などの富士五湖エリアには、釣り可能なキャンプ場が多数点在しています。バス釣り・ワカサギ・ヘラブナなど多彩な釣り物が揃います。富士山を望む絶景の中でのキャンプは、SNS映えとしても人気です。
3. 遠州灘・浜名湖エリア(静岡県浜松市)
浜名湖では年間を通じてクロダイ・シーバス・ウナギ・ハゼなどが釣れ、近隣のキャンプ場との組み合わせが抜群です。遠州灘の海岸線ではサーフでのシロギス・マゴチ・ヒラメ釣りも楽しめます。湖と海の両方が楽しめる希少なエリアです。
4. 淡路島(兵庫県)
大阪・神戸から橋1本でアクセスできる淡路島は、キャンプ場数が関西有数で、周囲を海に囲まれた海釣りの宝庫です。アジ・サバ・タチウオ・チヌなど多彩な魚種が狙えます。道の駅での新鮮な地魚購入も可能で、釣りと食を組み合わせた旅として人気上昇中です。
5. 知床・道東エリア(北海道)
知床半島周辺の道東は、日本最高クラスの自然環境でのフィッシングキャンプが体験できます。サケ・カラフトマス(ピンクサーモン)の遡上シーズン(8〜10月)には、河川での釣りが解放されるエリアもあります(要漁業権確認)。ワイルドなサバイバル系のフィッシングキャンプを求める上級者に人気です。
必要な道具|釣り道具とキャンプ道具の両立・軽量化のコツ
フィッシングキャンプの最大の課題は荷物の多さです。釣り道具もキャンプ道具もそれぞれ単独でも大荷物になりがちですが、うまく兼用・軽量化することで快適に楽しめます。
釣り道具の厳選リスト
- ロッド:汎用万能ロッド1本(4〜5m磯竿またはショアジギ用)で複数の釣りに対応。専門性よりも汎用性を優先します。
- リール:スピニングリール1個(3000〜4000番)。予備のラインを巻いた予備スプールがあると安心です。
- 仕掛け:ルアー(メタルジグ・バイブレーション各2〜3個)と餌釣り仕掛け(サビキ・ちょい投げ)の両方を準備すると柔軟に対応できます。
- クーラーボックス:釣った魚の保管にも食材保管にも使えます。キャプテンスタッグの「シャルマン27L」は価格2,000円台で軽量・コンパクトで人気があります。
軽量化のテクニック
「釣り+キャンプ兼用ギア」を積極的に活用します。クーラーボックスを食材と魚の保管両用にする、ランタン兼ヘッドライトを1つにまとめる、キャンプ用のシングルバーナーを魚の調理にも使う、などです。全体の荷物を「リュック1個+クーラーボックス1個」に収めることを目標にすると移動が楽になります。
釣れた魚をその場で食べる「自給自足体験」の魅力
フィッシングキャンプ最大の醍醐味は、自分で釣り上げた魚をその場で調理して食べる体験です。この「完全な自給自足感」は、スーパーで買ってきた魚では絶対に得られない特別な達成感があります。
キャンプ場で作る簡単魚料理3選
- 丸焼き・塩焼き:内臓を取り除いて塩をふり、グリルまたは焚き火の上に網を置いて焼くだけ。アジ・イワシ・ニジマスなど全魚種に対応できる万能調理法です。
- ぶつ切り汁(アラ汁):頭・骨・身をぶつ切りにして水から煮出し、味噌または塩で味付け。クッカー1つで作れる最高の一品です。
- バター醤油ホイル焼き:アルミホイルに魚・玉ねぎ・バター・醤油を包んで焚き火の炭の上に10〜15分置くだけ。簡単で失敗がなく、子どもも喜ぶ味です。
対象者別プラン提案|ファミリー・カップル・ソロ
フィッシングキャンプは参加者の属性によって、最適なスタイルと施設選びが異なります。それぞれのニーズに合ったプランを紹介します。
ファミリー向けプラン
おすすめ施設タイプ:管理釣り場付きキャンプ場(釣果が安定していて子どもが確実に釣れる)
おすすめ釣りスタイル:マス釣り・ハゼ釣り・サビキ釣り(仕掛けが簡単で子どもでも操作可能)
注意点:子どもの安全のため、ライフジャケット着用を必ず徹底。釣れた魚を子どもと一緒に処理することで食育にもなります。
カップル向けプラン
おすすめ施設タイプ:設備が整ったグランピング施設(調理器具・食器が揃っていてキャンプ初心者でも安心)
おすすめ釣りスタイル:堤防釣り・ルアーフィッシング(一緒に操作しやすく会話が生まれやすい)
SNS映えポイント:夕日を背景に釣りをする写真、釣れた魚を二人で持って笑顔の写真などが高エンゲージメント。
ソロ向けプラン
おすすめ施設タイプ:野営可能な自然キャンプ場(一人でも開放感が高い)
おすすめ釣りスタイル:磯釣り・サーフフィッシング・フライフィッシング(一人でじっくり向き合える本格的な釣り)
注意点:ソロは緊急時の対応が難しいため、携帯が繋がるエリアを選ぶこと。事前に家族・知人に行き先を告知すること。
フィッシングキャンプのSNS活用と発信のコツ
フィッシングキャンプは「映える体験」の宝庫です。適切なSNS活用で自分の体験を記録・発信し、同じ趣味のコミュニティとつながることができます。
高エンゲージメントが狙えるコンテンツ
- 朝マズメの動画:薄明かりの中で釣りをする映像はドラマチックで人気が高い。GoPro系のアクションカメラで撮影すると臨場感が出ます。
- 釣れた魚の「成功ショット」:魚を持ち上げての笑顔写真は定番ですが、エラ・ウロコ・目のクローズアップ写真も「玄人感」が出て好評です。
- 調理動画:釣った魚を捌いて調理するプロセス動画は再生数が伸びやすいジャンルです。手元のアップ映像があるとより視聴者を引き込めます。
- 焚き火・夜空の写真:星空と焚き火の組み合わせ写真はInstagramで安定した人気を誇ります。長時間露光撮影(シャッタースピード20〜30秒)でプロ並みの写真が撮れます。
おすすめのハッシュタグ
#フィッシングキャンプ #釣りキャンプ #釣り飯 #アウトドア釣り #釣り好きな人と繋がりたい #キャンプ飯 #自給自足 #fishing #campfire #outdoorcooking
注意事項|火器・ゴミ・騒音・漁業権のルール
フィッシングキャンプを気持ちよく楽しむためには、ルールとマナーの遵守が不可欠です。特に以下の4点は必ず確認してください。
| 注意事項 | 内容 | 違反した場合のリスク |
|---|---|---|
| 漁業権の確認 | 川・湖で釣る場合は遊漁証(日釣り券)の購入が必要な場合がある | 漁業法違反・罰金・施設利用禁止 |
| 火器の使用ルール | 焚き火禁止のキャンプ場、または直火禁止区域では規定に従う | 退場処分・施設利用禁止 |
| ゴミの持ち帰り | 魚のアラ・内臓・生ゴミはキャンプ場に残さず持ち帰る | 野生動物を引き寄せる・施設への迷惑・利用規約違反 |
| 騒音・消灯ルール | 21〜22時以降の大声・音楽は周囲のキャンパーへの迷惑になる | 他の利用者との摩擦・施設スタッフによる注意 |
よくある質問(FAQ)|フィッシングキャンプ入門
Q: 釣り初心者でもフィッシングキャンプは楽しめますか?
A: 十分に楽しめます。特に管理釣り場(マス釣り場)付きのキャンプ場は、魚が放流されているため初心者でも釣果が安定しています。竿・エサをレンタルできる施設も多く、道具を揃えなくても気軽に体験できます。釣れた魚をその場で焼いて食べる体験は、釣りの経験を問わず感動的です。
Q: フィッシングキャンプに必要な最低限の道具セットを教えてください。
A: 釣り道具は「万能竿(4〜5m)1本+スピニングリール1個+仕掛けセット(サビキまたはちょい投げ)」、キャンプ道具は「テントまたはタープ+寝袋+マット+バーナー+クッカー+クーラーボックス」が最低限です。初回はレンタル品の多い施設を選べば、道具投資なしでフィッシングキャンプを体験できます。
Q: 子どもと一緒に行く場合、何歳から参加できますか?
A: 管理釣り場やファミリー向けキャンプ場なら3〜4歳からでも楽しめます。ただし水辺の安全管理(ライフジャケット着用・大人が常にそばにいる)を徹底することが必須です。5〜6歳以上になると自分でロッドを持って釣りができるようになり、より主体的に楽しめます。
Q: 釣れた魚が食べられなかった場合はどうしますか?
A: リリース(釣った魚を逃がす)が基本ですが、持ち帰る場合はクーラーボックスで適切に保管して自宅で料理しましょう。管理釣り場の場合は施設のルールに従ってください(リリース禁止の施設もあります)。釣れなかった場合の「保険食材」(ソーセージ・缶詰など)を必ず用意しておくと安心です。
Q: フィッシングキャンプで釣りをするためのライセンスは必要ですか?
A: 海釣りの場合は基本的に釣り人個人のライセンスは不要です(一部の特定区域を除く)。ただし川・湖・ダムで釣る場合は、その水域を管理している漁業協同組合の「遊漁証(遊漁券)」が必要な場合があります。釣り場へ行く前に必ず地元の漁業協同組合に確認してください。日釣り券は釣具店または現地売り場で購入でき、相場は500〜1,500円程度です。



