イスズミ(伊寿墨)は、メジナ釣りの「外道の代表格」と呼ばれる磯魚。30〜60cmと大型化し、引きも強烈ですが、強い磯臭さのため「持ち帰らない」と決めている釣り人も多い厄介者です。しかし正しい処理と調理法を知れば、イスズミは絶品の磯魚に変身します。今回は料理之進が「磯臭さ消しの全技術」を公開します。
イスズミの基本情報
- 和名:イスズミ(伊寿墨)/ 別名:ババタレ、ウンコタレ(不名誉な別名)
- 学名:Kyphosus vaigiensis
- 全長:30〜60cm(最大70cm)
- 特徴:メジナに似た体型、黄色味がかった大型、特有の磯臭さ
- 分布:本州中部以南の磯
- 釣れる場所:伊豆磯・御前崎・遠州灘磯
なぜイスズミは磯臭いのか?
イスズミは雑食性で、海藻を多く食べます。これが磯臭さの主因。さらに排泄物が体表に付着しやすい習性があり、別名「ババタレ」と呼ばれる所以です。しかし正しい下処理を行えば、白身魚として上品な食味に変わります。
磯臭さを消す下処理 5ステップ
ステップ① 釣り場で即活け締め&血抜き
イスズミは「鮮度が落ちると磯臭さが強くなる」魚種。釣り上げたらすぐにエラに包丁を入れて血抜き、海水で洗う。これだけで臭みが3割減ります。
ステップ② 内臓を素早く取り出す
釣り場でできれば内臓・エラを取り出し、腹腔を海水でしっかり洗う。内臓に蓄積された海藻由来の臭み成分を、なるべく早く除去することがポイント。
ステップ③ 持ち帰り時の氷締め
クーラーボックスに氷を多めに入れ、塩水氷で持ち帰る。常温放置はNG。氷締めで臭みの進行を止める。
ステップ④ 自宅での3枚おろし&塩振り
- 三枚おろしにする
- 身に塩を多めに振り、20〜30分置く
- 余分な水分(臭み成分含む)が浮いてくる
- 水で洗い流し、キッチンペーパーで水気を拭く
ステップ⑤ 酢洗い or 牛乳浸け(最終仕上げ)
身を酢水(水1リットルに酢大さじ2)で洗うか、牛乳に20〜30分浸けることで、残った臭みを完全に除去できる。これでイスズミは「磯臭くない白身魚」に大変身。
レシピ① イスズミの刺身・薄造り
下処理が完璧であれば、新鮮なイスズミは刺身で食べられる絶品白身。コリコリとした食感と上品な甘み。
- 3枚おろし→塩振り→酢洗いまでの下処理を完璧に行う
- 皮を引いて、薄造りに切る(ふぐ刺し風)
- ポン酢醤油+紅葉おろし+ねぎで食べる
- 白身の甘さとコリコリ食感が楽しめる
レシピ② イスズミの煮付け
磯臭さが少し残る個体でも、しっかり味付けの煮付けにすれば絶品に変身。生姜をたっぷり使うのがコツ。
- イスズミを切り身(4〜5cm)にカット
- 軽く塩を振って10分置き、熱湯をかけて霜降り
- 鍋に水200ml・酒100ml・醤油大さじ3・みりん大さじ3・砂糖大さじ2・生姜薄切り5枚を入れて煮立てる
- イスズミを加えて落とし蓋で15〜20分煮る
- 味が染み込んだら完成
レシピ③ イスズミのフライ・唐揚げ
揚げ物にすれば臭みが完全に飛ぶ。子供から大人まで人気の家庭料理。
イスズミフライ:
- 下処理済みのイスズミを切り身に
- 塩コショウ→小麦粉→卵→パン粉
- 180℃の油で3〜4分揚げる
- タルタルソース+レモンで
イスズミ唐揚げ:
- 醤油・酒・生姜・にんにくに15分漬ける
- 片栗粉をまぶす
- 180℃の油で2〜3分揚げる
- レモン+塩でいただく
レシピ④ イスズミの南蛮漬け
揚げたイスズミを南蛮酢に漬け込む。冷蔵で3〜4日保存可能。お弁当・お酒のアテにも最高。
- 下処理済みのイスズミを小さめの切り身に
- 小麦粉をまぶして170℃の油で2〜3分揚げる
- 南蛮酢(酢大さじ4+醤油大さじ2+砂糖大さじ2+赤唐辛子1本)を作る
- 玉ねぎ薄切り・人参千切りと一緒に南蛮酢に漬ける
- 30分以上漬けると味が馴染む
レシピ⑤ イスズミの炙り寿司
表面を炙ることで臭みが飛び、香ばしさが加わる。寿司ネタとして絶品。
- 下処理済みのイスズミの皮目を炙る(バーナー or 魚焼きグリル)
- 軽く塩を振って冷ます
- 5mm幅にスライスしてシャリの上に
- もみじおろし+ポン酢+ねぎを乗せる
料理之進のイスズミ料理3か条
- 釣り場での即処理が9割 ─ 血抜き・内臓除去・氷締めをサボるな
- 酢洗い or 牛乳浸けで仕上げ ─ 臭みを完全に消す決め手
- 濃い味付け料理が安全策 ─ 刺身に自信がない場合は煮付け・揚げ物で美味しく
イスズミは「外道」と捨てるにはあまりにも勿体無い、白身の旨味豊富な磯魚です。正しい下処理と調理法を知れば、伊豆磯・遠州灘磯のフカセ釣りで掛かったイスズミも、絶品の食材になります。次回イスズミが掛かったら、迷わず持ち帰って試してみてください。料理之進のテクニックで、磯臭い厄介者が美味しい家庭料理に変身します。



