6月・7月の梅雨時期の海釣り完全ガイド——雨でも楽しめる釣り場と狙い方
「梅雨時期は釣りに向かない」と思っている方は多いかもしれません。しかし実際は、梅雨の時期こそ特定の魚が爆釣するチャンスタイムです。雨が降ることで海の条件が変わり、普段は口を使わない魚が活性化することがあります。本記事では6月・7月の梅雨シーズンに海釣りを楽しむための完全ガイドをお届けします。梅雨の海の特徴から狙い目の魚種、雨装備・安全対策まで徹底解説します。
1. 濁り(にごり)——視界が遮られる水中世界
梅雨時期に雨が降ると、河川から大量の淡水が流れ込み、土砂や有機物が混じった濁った水が海に流れ出します。この現象を「雨濁り(あめにごり)」と言います。濁りは釣り人にとってマイナスのイメージがありますが、実は戦略的に活用できます。
濁りが釣りに与えるプラスの影響:
- 魚からの視認性が下がるため、釣り人の姿・影を気にしない(ヒトへの警戒が下がる)
- 釣り糸(ライン)が見えにくくなるため、喰いが渋い魚も口を使いやすくなる
- チヌ(クロダイ)は濁りに強く、濁りが入ると積極的に浅場に上がってくる習性がある
一方、濁りのマイナス面:
- 視覚でエサを探す魚(ルアーゲームのターゲット等)には不向きなことがある
- 極端な白濁・赤潮になると魚が沖に逃げることがある
- 根掛かりが増えやすい(水底が見えにくいため)
2. 水温変化——冷たい雨水と暖かい海の混合
梅雨の雨は大量の真水(低水温)を海に供給します。表層水温が急激に下がると魚が活性を落とすことがあります。特に表層付近にいる魚(アジ・イワシなど)が一時的に深場に落ちる現象が起きます。
ただし、梅雨が明けるにつれて水温が上昇し、6月末〜7月にかけては20〜24℃台と魚の活性が高まる水温帯になります。この時期は多くの魚が産卵を終えて体力を回復しており、積極的に捕食する個体が多くなります。
3. 流れ(潮流・川の流れ)——豊富な栄養が海に運ばれる
梅雨の大雨は河川の増水をもたらし、大量の栄養塩(窒素・リン等)を海に供給します。これがプランクトンの大量発生を促し、食物連鎖の底辺を豊かにします。河口付近のスポットは特に梅雨時期に栄養豊富になり、それを追ってベイトフィッシュが集まり、さらに大型の捕食魚が集まるという好サイクルが生まれます。
6月に釣れる魚——梅雨のスタートを彩る魚種
アジ——梅雨の夜釣りで手軽に数釣り
6月はアジが港内の常夜灯周辺に集まりやすい時期です。水温が上昇して動きが活発になり、表層〜中層を回遊するアジを夜のサビキ釣りやアジングで楽しめます。梅雨時期の雨の夜は虫も多く飛ぶためプランクトンが豊富で、アジの活性が特に高くなる傾向があります。
6月アジ釣りのポイント:
- 常夜灯のある漁港が最重要ポイント
- 雨の夜は特に明暗境界を意識した位置に仕掛けを入れる
- コマセを少量ずつ打ち続けて同じ場所に魚を集める
- 25〜30cmの良型が混じることも多い時期
イワシ——群れで回遊する梅雨の定番ターゲット
マイワシ・カタクチイワシが6月前後から大群で回遊し始めます。サビキ釣りで入れ食いになることも珍しくなく、ファミリーフィッシングにも最適です。イワシが寄っている場所にはサバも追いかけてきます。
カレイ——6月前後に釣れる「走り」のシーズン
カレイは冬〜春がメインシーズンですが、6月初旬まで砂泥底でコンスタントに釣れます。梅雨入り前後は砂底の浅場に残るカレイが投げ釣りで狙えます。日本海側では6月以降もカレイが釣れる地域もありますが、太平洋岸では6月で一度落ち着く傾向があります。
カワハギ——6月から本格化するアマダイ系の高級魚
カワハギの釣期は意外と長く、6月から底物として本格化します。岩礁混じりの砂底に生息し、ウニ・貝・エビ類を好みます。「エサ取り名人」とも呼ばれるカワハギをきっちり釣るには専用の仕掛けと繊細なサワリ(当たり)を感知する感度が必要です。食べると白身で上品な味わいで、肝醤油は絶品です。
| 魚種 | 釣り方 | 主なエサ・ルアー | おすすめポイント |
|---|---|---|---|
| アジ | サビキ・アジング | アミエビコマセ・ワーム | 常夜灯のある漁港 |
| イワシ | サビキ | アミエビコマセ | 港内・波止 |
| カレイ | 投げ釣り | イソメ・ジャリメ | 砂浜・港の内側 |
| カワハギ | 胴突き仕掛け | アサリ・ムキ身 | 岩礁混じりの砂地 |
7月に狙える魚——梅雨明けが近づく7月の爆釣チャンス
タチウオ——梅雨明けとともに回遊開始
太平洋側では7月になるとタチウオが本格的に接岸し始めます。タチウオは夜行性で夕暮れから夜間に中層〜表層に浮いてきます。テンヤ釣り・電気ウキ釣り・ルアー(ジグ・ワインド)で狙えます。梅雨の濁りが落ち着いた後の澄んだ夜が特によく釣れます。
アオリイカ(新子)——7月から秋の数釣りシーズン開幕
春に産まれたアオリイカの新子が7月後半から胴長7〜10cm程度に成長し、浅場で回遊し始めます。サイズは小さいですが群れで行動するため数釣りができます。2.5号の小さめのエギを使ったエギングや、小型のスッテを使った仕掛けで楽しめます。
シロギス——7月が最盛期のサーフフィッシング
シロギス(キス)は7〜8月が最も活性が高くなる夏の代表魚です。遠浅のサーフ(砂浜)や砂泥底の港の内側でイソメ・ジャリメの投げ釣りで楽しめます。日中でも積極的にエサを追い、複数匹の連掛けが楽しめます。梅雨時期の雨後に河口付近の砂底で特に数釣りができることがあります。
チヌ(クロダイ)——梅雨の濁りで浅場に上がってくる
梅雨の雨濁りはチヌ釣りに絶好の条件です。普段は底付近にいるチヌが、濁りが入ると大胆に浅場・港内に入り込んできます。フカセ釣り・ちょい投げ・ヘチ釣りで狙えます。梅雨のチヌは積極的にエサを追う個体が多く、50cmを超える「年なし(5年以上の大型)」が釣れることもあります。
| 魚種 | 7月のピーク | 釣り方 | 主なポイント |
|---|---|---|---|
| タチウオ | 7月後半〜 | テンヤ・電気ウキ・ルアー | 夜の漁港・防波堤 |
| アオリイカ | 7月後半〜(新子) | エギング(2.5号) | 浅場の藻場・漁港 |
| シロギス | 7〜8月が最盛期 | 投げ釣り | 砂浜・砂地の港内 |
| チヌ | 梅雨時期全般 | フカセ・ヘチ・ルアー | 濁りの入った漁港・河口 |
雨の日の釣りのメリットとデメリット
雨の日釣りのメリット
- 釣り場が空いている:釣り人が少ないため、普段は激戦区になるポイントを独占できる
- 魚の警戒心が下がる:水面がザワザワして釣り人のシルエットが魚から見えにくくなる
- チヌ・スズキの活性が上がる:濁りや流れの変化を好む魚が積極的に動き出す
- 紫外線が少ない:長時間の釣行でも日焼けの心配が少ない
- 夏の暑さが和らぐ:6〜7月の雨は暑さを軽減し、快適に釣りができる
雨の日釣りのデメリット
- 視界が悪い:アタリの視認が難しくなる場合がある
- ラインが滑りやすい:雨で手がぬれるとリールやラインの操作感が変わる
- 雷のリスク:ロッドは金属製のガイドがあり雷が落ちやすい。雷雲が近づいたら即撤退
- 川の増水・急流:河口付近では増水で流れが激変し危険なことがある
- 足元が滑りやすい:磯・堤防のコケが雨で滑りやすくなる
梅雨の濁りを活かした釣り方テクニック
チヌのヘチ釣り・落とし込み釣り
梅雨の濁りの中でヘチ釣りは特に威力を発揮します。堤防の際(壁面)に沿って仕掛けを落とし込む釣りで、濁りが入ると魚の警戒心が低下するためアタリが格段に増えます。エサはカニ・イガイ(ムール貝)・ゴカイが定番です。
シーバス(スズキ)のルアーフィッシング
スズキは濁りを好む魚で、梅雨の雨後が最高の釣り時とも言われます。河口・港湾・サーフで活躍し、ミノー・バイブレーション・ポッパーなどで狙えます。特に大雨翌日の河口付近は、増水した川の淡水と海水の境目(塩分躍層)にシーバスが集まりやすく、爆発的な釣果を記録することがあります。
エサの選択——濁りに合わせた高アピール系
濁り潮での釣りには視覚よりも嗅覚や側線(振動感知)でエサを感知しやすいものを選びましょう。
- 匂いの強いエサ:オキアミ・イワイソメ・サンマの切り身など匂いで誘う
- 動きで誘う生き餌:アオイソメ・ジャリメは水中でよく動き、側線を刺激する
- ルアーカラー:濁り時はアピール系(赤金・チャート・白銀)が有効。暗い水中でも目立つカラーを選ぶ
梅雨の雨装備と安全対策——釣りを安全に楽しむために
必須の雨装備
梅雨の釣りで用意すべき装備リスト:
| 装備品 | 選び方のポイント | 重要度 |
|---|---|---|
| レインウェア(上下) | 防水・透湿素材(ゴアテックス等)。釣り専用品は可動域が広い | 必須 |
| 防水シューズ・長靴 | 滑り止め付きが安全。磯ではスパイク長靴を | 必須 |
| ライフジャケット | 自動膨張式か固形式。雨の日は特に着用を徹底 | 必須 |
| 防水バッグ・ケース | スマホ・財布・タックル類の防水保護に | 強く推奨 |
| タオル(速乾)複数枚 | 手や道具を頻繁に拭くため複数枚持参 | 推奨 |
| 帽子(ブリム付き) | 雨が目に入るのを防ぐ。フードと組み合わせると効果的 | 推奨 |
雨・梅雨時期の安全対策
梅雨の釣りで最も気をつけるべきは落雷と増水です。
- 雷への対策:ロッドは非常に雷を引き寄せやすい。遠くで雷鳴が聞こえたら直ちにロッドを置き、低い場所に避難する
- 河口・港の増水:大雨後は河川の増水で水位・流速が急変する。河口での釣りは大雨中・直後を避ける
- 磯の波:雨後は風が強まり波が高くなりやすい。予報通りでも現地では想定より荒れていることがある
- 足元の滑り:堤防・磯のコケは雨で非常に滑りやすくなる。スパイクシューズの着用を徹底する
- ライフジャケットの着用:雨の日は特に必須。「転落しないから大丈夫」は過信。突然の大波・つまずきに備える
梅雨時期の釣行計画の立て方
梅雨前線の動きをチェックする
梅雨時期は雨の降り方が日によって大きく変わります。釣行前日〜当日に必ず気象情報をチェックし、雷の予報がある日は釣行を延期するか短時間に切り上げる計画を立てましょう。気象庁の雷ナウキャスト(無料)は近くの雷雲の接近をリアルタイムで確認できる便利なツールです。
中潮〜大潮の日を選ぶ
潮の動きが大きい大潮・中潮は魚の活性が高くなる傾向があります。潮が動くことで海中の酸素量が増え、魚が活発に動き出します。梅雨時期でも潮さえ良ければ釣果が期待できます。
梅雨のアジ釣りには専用仕掛けを用意する
よくある質問(FAQ)
Q1. 梅雨の雨の日に釣りに行っても本当に釣れますか?
A. はい、むしろ雨の日が釣れる魚種・状況もあります。特にチヌ・シーバス・アジは雨後の濁りの中でよく釣れます。「雨の日は釣れない」というのは先入観で、適切な魚種と釣法を選べば釣果が期待できます。
Q2. 梅雨時期に最も釣れる魚は何ですか?
A. 梅雨時期全般で安定して釣れるのはアジとイワシです。夜のサビキ釣りで入れ食いを楽しめます。チヌは濁り潮との相性が特によく、雨後の漁港や河口でよく釣れます。
Q3. 雷が鳴ったらどうすればいいですか?
A. 雷鳴が聞こえたらすぐにロッドを置いて低い場所に移動してください。車の中が最も安全です。釣り竿は雷を引き寄せやすいため、遠くに見える稲妻でも油断は禁物です。命には代えられません。
Q4. 梅雨の濁り潮でルアーは効きますか?
A. 効きます。ただしカラーと動きの選択が重要です。濁り時はアピール系カラー(赤金・チャートリューズ・白)や水を押すフラッシングの強いルアーが有効です。またシーバス・チヌ向けのルアーは濁りでも十分に威力を発揮します。
Q5. 梅雨の時期でも磯釣りに行けますか?
A. 天候と波の状況を十分に確認した上で、安全が確保できる場合のみ可能です。梅雨時期は波の変化が激しく、急に高波が来ることがあります。単独での磯釣りは避け、経験者と同行することをおすすめします。
Q6. 梅雨明けに爆釣するのはどんな魚ですか?
A. 梅雨明け直後(7月後半)はシロギスの大爆釣が起きることがあります。また、カツオ・ソウダガツオなどの青物が接岸し、ショアジギングが熱くなります。タチウオも梅雨明けを合図に本格的に接岸します。
Q7. 梅雨時期の釣りで服装のおすすめは?
A. 上下セパレートのレインウェア(透湿素材)が最適です。蒸れにくい素材を選ぶと快適さが大きく変わります。下は長靴かウォーターシューズ、頭は帽子+フードが基本セットです。
Q8. 梅雨の河口付近での釣りはどんな魚が狙えますか?
A. 河口付近はシーバス(スズキ)の一級ポイントです。また、クロダイ・ボラも河口の淡水・海水混在エリアを好みます。雨後の増水時はシーバスが活発になりますが、流れが強いときは安全を最優先にしてください。
Q9. 梅雨時期はPEラインとフロロカーボンどちらがいいですか?
A. 釣法によって異なります。エギング・ルアーフィッシングはPEラインが感度・飛距離で優れています。サビキ・投げ釣りは扱いやすいナイロンラインやフロロカーボンの方が雨の日は取り扱いやすいと感じる方も多いです。
Q10. 梅雨に釣ったアジは脂がのっていますか?
A. 6〜7月のアジは春から夏にかけて栄養を蓄えており、脂がのって美味しい時期です。特に水温上昇後のアジはイワシ・小魚を積極的に捕食しているため、タタキ・塩焼き・フライで食べると格別の味わいです。
まとめ——梅雨の海釣りを楽しむための3か条
梅雨の海釣りは「雨=釣れない」ではありません。正しい準備と戦略があれば、むしろ好釣果を出せるチャンスが多い季節です。最後に梅雨の海釣りを楽しむための3か条をお伝えします。
- 安全最優先——雷・増水・滑りへの対策を徹底し、ライフジャケットを必ず着用すること
- 濁りと潮を活かす魚種を狙う——チヌ・シーバス・アジは梅雨が「旬」の釣り対象。ポジティブに梅雨を活用しよう
- 快適な雨装備で長時間釣行を楽しむ——防水レインウェア・長靴・速乾タオルで雨の不快感を最小限に
梅雨の季節ならではの海釣りの魅力を存分に味わってください。雨に打たれながら上げる1匹は、晴れた日の釣果とは一味違う達成感があります。


