遠州灘サーフや御前崎沖でショアジギングやオフショアジギングをしていると、ヒットする頻度が高い魚——ブリの仲間(出世魚)。ワカシ・イナダ・ワラサ・ブリとサイズごとに名前が変わるこの「出世魚」は、大きさによって脂のりと味が全く異なり、食べ方もサイズに合わせて変えるのが正解です。
「大きすぎて食べきれない」「刺身にしたら生臭かった」——そんな失敗をしてしまった方は、下処理と料理法に問題がある可能性大。本記事では、料理之進がサイズ別の食べ方から定番レシピ・アラ活用法まで完全解説します。
1. ブリの出世魚サイズと食べ方の基本
出世魚の名前とサイズ(関東〜東海圏の呼び方)
| 名前 | サイズ目安 | 脂のり | おすすめ料理 |
|---|---|---|---|
| ワカシ(モジャコ) | 体長〜35cm・400g未満 | 少ない(淡白) | 唐揚げ・塩焼き・南蛮漬け |
| イナダ | 35〜60cm・400g〜1kg | やや少ない(サッパリ) | 刺身・なめろう・竜田揚げ・照り焼き |
| ワラサ | 60〜80cm・1〜3kg | 多い(中程度) | 刺身・照り焼き・しゃぶしゃぶ・鍋 |
| ブリ(寒ブリ) | 80cm以上・3kg以上 | 豊富(最高) | 刺身・ぶりしゃぶ・照り焼き・アラ鍋 |
基本原則:小さいほどサッパリ→揚げ物・南蛮漬け。大きいほど脂が乗る→刺身・照り焼き・しゃぶしゃぶ。
2. 重要!下処理——「臭みなし」の秘訣
釣りたての血抜き(現場でやること)
- 必ず釣れた直後に血抜き:エラの付け根を包丁またはハサミで切断し、海水を入れたバケツに3〜5分入れる
- 血抜きが不十分だと生臭さの原因になる
- その後、内臓を取り出す(大型は現場で処理。小型は持ち帰ってからでもOK)
持ち帰り後の下処理
- ウロコ取り:全身のウロコを包丁の背またはウロコ取りで剥ぐ
- 三枚おろし:頭を落とし、中骨を境に上身・下身に分ける
- 腹骨の除去:刺身にする場合、腹骨をそぎ落とす
- 皮引き(刺身用):皮と身の間に包丁を入れて皮を引く
- 血合いの除去:中骨沿いの赤黒い血合い部分は取り除くと臭みが激減
3. レシピ①:ブリの照り焼き(定番・全サイズOK)
和食の王道。どのサイズでも絶品に仕上がる基本レシピ。
材料(2人分)
- ブリ(またはワラサ・イナダ)の切り身:2切れ(各150g程度)
- 醤油:大さじ3
- みりん:大さじ3
- 砂糖:大さじ1
- 酒:大さじ2
作り方
- 切り身に軽く塩をふって10分置き、出てきた水分をキッチンペーパーで拭き取る
- フライパンに油を熱し、皮面を下にして中火で3〜4分焼く
- 返して身側を2分焼く
- 余分な油を拭き取り、醤油・みりん・砂糖・酒を合わせたタレを加える
- 弱火でタレを煮絡めて照りを出す
ポイント:照り焼きのタレは「焦げやすい」ので弱火でゆっくり絡める。大型ブリほど脂が多いのでタレが絡みやすく旨みが出やすい。
4. レシピ②:イナダのなめろう(釣りたて限定の絶品)
千葉・房総の漁師料理として有名な「なめろう」。新鮮なイナダで作ると絶品。
材料(2人分)
- イナダの刺身:150〜200g
- 長ネギ:1/2本(みじん切り)
- 生姜:1片(すりおろし)
- みそ:大さじ1〜1.5
- 大葉(青しそ):5枚(みじん切り)
作り方
- イナダの刺身を大きめのまな板の上に並べる
- ネギ・生姜・大葉・みそをのせて包丁で粗みじんに切りながら混ぜる
- ネギと身が一体化するまで叩き続ける(「なめろう」はこの「叩き」が核心)
- お皿に盛り、大葉を添えて完成
アレンジ:なめろうを丸めてフライパンで焼いた「さんが焼き」も美味しい。
5. レシピ③:ブリしゃぶ(ワラサ〜大型ブリ向け)
脂ののったワラサ〜ブリを薄切りにして出汁でさっとしゃぶしゃぶ。脂が出汁に広がって絶品。
材料(3〜4人分)
- ブリ(またはワラサ)の刺身用サク:300〜400g
- 出汁(昆布だし):1L
- ポン酢:適量
- 薬味:大根おろし・ネギ・ゆず皮
作り方
- ブリのサクを冷蔵庫で少し冷やし、半冷凍状態にすると薄切りしやすい(冷凍庫で15分)
- できるだけ薄く(2〜3mm)そぎ切りにする
- 昆布だしを鍋で65〜70℃に温める(沸騰させない)
- 薄切りブリを菜箸で持ち、出汁にくぐらせる(3〜5秒。白くなったらOK)
- ポン酢に大根おろし・ネギを添えて食べる
ポイント:出汁は沸騰させない(高温だと肉が縮んで固くなる)。65〜70℃の「しゃぶしゃぶ温度」がベスト。
6. レシピ④:アラ汁(頭部・骨を余すところなく使う)
大型ブリ・ワラサのアラ(頭・骨・カマ)で作るアラ汁は、濃厚な出汁が出て別格の旨さ。
材料
- アラ(頭・骨・カマ):ブリ1匹分
- 水:1.5L
- 酒:大さじ3
- みそ:大さじ2〜3
- 生姜(薄切り):3〜4枚
- 長ネギ:1本
作り方
- アラを熱湯でさっとくぐらせて「霜降り」にする(臭み取りに重要)
- 冷水で洗い、血・ウロコを丁寧に取り除く
- 水・酒・生姜でアラを中火で15〜20分煮る(アクを取りながら)
- みそを溶き入れ、ネギを加えて完成
コツ:「霜降り」処理(熱湯にくぐらせる)を丁寧に行うと臭みが全く出ない。アラから出る出汁の旨みは刺身より勝ることも。
7. レシピ⑤:ワカシ・イナダの竜田揚げ
小さいブリ(ワカシ・イナダ)は刺身より揚げ物が向いています。
作り方
- 3cm角に切ったイナダを醤油・生姜・酒で30分漬け込む
- 水気を切って片栗粉をまぶす
- 170℃の油で4〜5分揚げる
- 二度揚げ(油から出して2分休ませ、再度1〜2分揚げる)でカリカリに
8. ブリ系の保存方法
- 冷蔵保存:三枚おろし後、ラップで包んで2〜3日以内に消費
- 冷凍保存:サク状にしてラップで密閉→ジップロック。1ヶ月以内に消費推奨
- 解凍方法:冷蔵庫で自然解凍(12〜16時間)。電子レンジ解凍は水分が抜けてNGP
まとめ——「出世魚は全サイズ美味しい。食べ方を変えるだけ」
遠州灘で釣ったイナダもワラサも、正しい下処理と料理法で家族みんなが喜ぶ絶品料理に変わります。大型ブリが釣れたら照り焼き・しゃぶしゃぶ・アラ汁の三種盛りで一晩豪華な食卓に。小型のイナダなら竜田揚げとなめろうで完食。出世魚を「釣って・作って・食べる」完全サイクルを楽しんでください。
※魚のアレルギーをお持ちの方はご注意ください。ブリは「ヒスタミン食中毒」の原因になることがあります(特に鮮度が落ちた個体)。釣れたら必ず速やかに血抜き・冷却してください。



