「小名浜港は今どこで釣りができるのか」——結論から言えば、合法的に竿を出せるのは国土交通省の釣り文化振興モデル港に指定された2号ふ頭の釣り指定区域(アクアマリンふくしま前のウッドデッキ)と大剣緑地釣り桟橋(いわきサンマリーナに隣接)が中心です。かつて車横付けで人気だった魚市場前のT字堤防や、ら・ら・ミュウ周辺は釣り禁止が広がり、沖堤防への渡船も休止方向に進んでいます。この記事では、開放区域の使い方・藤原川河口のシーバス・四倉/江名/中之作といった周辺漁港・魚種別のシーズン、そして最新の立入禁止情報までを、公式マップと地元釣具店・公開釣果をもとに整理しました(2026年7月時点の公開情報)。浜松からは新東名・首都圏・常磐自動車道を乗り継いで約6〜7時間(およそ500km)の遠征先です。
いわき・小名浜エリアの釣り場概要|福島県浜通り最大の港と好漁場
小名浜港(おなはまこう)は福島県いわき市小名浜にある、浜通り最大級の港です。国際バルク戦略港湾にも位置づけられる大型の工業港であると同時に、東北屈指の水揚げを誇る漁港でもあり、水族館「アクアマリンふくしま」や観光物産館「ら・ら・ミュウ」を核としたアクアマリンパークを中心に、家族連れでにぎわうウォーターフロントとして再生してきました。震災の被災地というイメージが先行しがちですが、現在は復興が進み、港湾機能・観光ともに活発なエリアです。
釣り場としての小名浜港の強みは、外洋(太平洋)に面した好漁場に隣接しながら、港内は比較的波が穏やかという点にあります。黒潮と親潮がぶつかる潮目に近く、回遊魚から根魚、河口のシーバスまでターゲットの幅が広いのが特徴です。地元釣具店の釣果報告でも、アジ・サバ・イワシ・サヨリ・イシモチ(ニベ)・カレイ・アイナメ・クロダイ・スズキ・イナダなど多彩な魚種が挙がっています。
ただし、工業港ゆえにSOLAS条約(国際的な港湾保安の枠組み)の影響で港湾の大部分が立入制限区域になっており、「どこでも自由に釣れる港」ではありません。だからこそ、後述する公式に開放された指定区域を正しく把握することが、この港で釣りをするうえでの出発点になります。浜松や東海圏の釣り人にとっては気軽に通える距離ではありませんが、伊豆や遠州灘とはまったく違う「北の潮」に生きる魚と出会える、一度は訪れる価値のある遠征先です。
小名浜港の釣り開放区域ガイド|2号ふ頭釣り指定区域と大剣緑地釣り桟橋
小名浜港は平成31年(2019年)3月29日に、国土交通省港湾局から地方創生・釣り文化振興を目的とした「釣り文化振興モデル港」に指定されました。全国でも数少ないこの制度により、港湾管理者が正式に「ここは釣ってよい」と示している区域が2か所あります。
(1)2号ふ頭の釣り指定区域(アクアマリンふくしま前)
アクアマリンふくしまがある2号ふ頭には、海側に張り出したウッドデッキが整備され、釣りが公認されています。足場が良くフェンス寄りで柵もあるため、小さな子ども連れやビギナーでも比較的安心して竿を出せるのが魅力です。公開釣果では、サビキでアジ・サバ・イワシ、投げでイシモチ・カレイ、ルアーでスズキ・イナダ、さらにメバル・タコ・イカなどが確認されています。アクアマリンパークの駐車場やトイレが近く、ファミリーフィッシングの入口として使いやすい区域です。
(2)大剣緑地釣り桟橋(いわきサンマリーナ隣接)
もう一つのモデル港指定区域が、国交省の呼称で「大剣緑地釣り桟橋」と記載される釣り桟橋です。地元では隣接する海洋レクリエーション基地「いわきサンマリーナ」や剣浜緑地の名で呼ばれることも多く、テーマによっては「サンマリーナの釣り桟橋」と案内されている場合もありますが、公式マップ上の名称は大剣緑地釣り桟橋である点に注意してください。前面にフェンスの付いた釣り公園スタイルで、大型駐車場を備え、アジ・サバ・イワシ・アイナメなどが狙えます。ビギナーやファミリーが安全に楽しめるよう整備された、この港でもっとも「釣り公園らしい」ポイントです。
いずれの区域も、ライフジャケットの着用とごみの持ち帰りがモデル港のルールとして明記されています。開放の可否・時間帯・利用条件は年ごとに更新されるため、釣行前に必ず国交省小名浜港湾事務所の「釣り開放情報」ページと、現地の掲示を確認してください。
藤原川河口・周辺|シーバス・ハゼ・アジのポイントと車横付けの可否
小名浜港のほぼ中央に流れ込むのが藤原川(ふじわらがわ)です。その河口部は、いわきを代表するシーバス(スズキ)の好ポイントとして知られています。公開情報によれば、河口の東岸から竿を出すアングラーが多く、シーズンには昼夜を問わずルアーマンが集まり、ランカークラス(80cm超)の実績も報告されています。
この河口が一年を通して有望とされる大きな理由が、上流のいわき湯本温泉の影響で水温が下がりにくいとされる点です。真冬でもベイト(小魚)とシーバスが残りやすく、ほぼ通年で狙えるとされます。加えて、夏から秋にかけてはマゴチやヒラメといったフラットフィッシュ、ハゼのちょい投げも楽しめる、懐の深いフィールドです。河口のシーバスをルアーで攻略する基本は、春シーバス攻略2026|ルアーゲーム完全ガイドのパターン論がそのまま応用できます。
車横付けについては注意が必要です。かつては港内の岸壁や河口周辺で車を横付けして釣りができる場所が多くありましたが、マナー問題やSOLAS対応の強化で、横付け可能だった場所の多くが順次釣り禁止・立入禁止に切り替わっています。2026年前半時点の公開情報では、確実に釣りができるのは前述の開放指定区域が中心で、河口部で竿を出す際も駐停車の可否・私有地や漁業関係施設への立ち入りを現地表示でよく確認することが前提になります。
四倉・江名・中之作など周辺港|いわき市内の穴場漁港とターゲット
小名浜港の開放区域が混雑していたり、状況が思わしくないときは、いわき市内に点在する中小漁港に足を延ばすのも有効です。ここでは代表的な3港を紹介します(各港とも漁業関係者の作業と係留ロープ、駐停車ルールに配慮してください)。
四倉漁港(よつくらぎょこう)
いわき北部にある漁港で、北側にゴロタ・磯場、南側に広いサーフが広がる変化に富んだ地形が魅力です。港内はサビキやちょい投げのファミリー向け、外側はロックフィッシュや投げのカレイ、サーフはシロギスやヒラメと、遊び方の幅が広いのが特徴とされています。
江名港(えなこう)
岩礁の上に築かれた漁港で、西防波堤ではカレイや根魚(アイナメ・ソイ・メバル)が狙えると案内されています。港内は足場が良く、条件が合えば車を横付けして釣りができる区画もあるとされますが、こちらも表示に従うことが前提です。
中之作港(なかのさくこう)
中規模ながら水深があるのが持ち味の港で、アオリイカや根魚をはじめ、さまざまな釣り方が楽しめると紹介されています。トイレ・駐車スペース・近隣の釣具店といった設備面でも比較的使いやすく、初めての遠征でも取り回しやすい漁港です。
いずれの港も、いわき湯本温泉郷や小名浜の市街から近く、開放区域と組み合わせて「本命ポイントが混んでいたら移動する」ランガン的な使い方ができます。特にアオリイカのシーズンは、小名浜港の指定区域よりも水深とストラクチャーに恵まれた中之作・江名のほうが実績を聞くことが多く、エギングメインなら周辺港を軸に組み立てるのも一手です。
これらの周辺港も、震災後の復旧・整備状況や漁協の方針で釣りの可否が変わることがあります。単独の情報を鵜呑みにせず、直近の釣果と現地掲示の両方で判断してください。漁港はあくまで漁業者の仕事場であり、係留ロープ・網・スロープの周辺では竿を出さない、駐車は邪魔にならない場所に停めるといった基本を徹底することが、釣り場を長く使わせてもらうための最低条件です。
狙える魚とシーズンカレンダー|シーバス・アジ・青物・カレイ・アオリイカの時期
小名浜港とその周辺で狙える主なターゲットを、季節ごとの目安としてまとめました。あくまで公開釣果と一般的な傾向にもとづく参考値で、その年の水温や回遊で前後します。表の記号は ● がハイシーズン、○ が狙える時期の目安です。
| ターゲット | 1〜2月 | 3〜4月 | 5〜6月 | 7〜8月 | 9〜10月 | 11〜12月 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| アジ(サビキ) | - | ○ | ● | ● | ● | ○ |
| サバ・イワシ・イナダ(青物) | - | - | ○ | ● | ● | ○ |
| シロギス(ちょい投げ) | - | ○ | ● | ● | ● | ○ |
| カマス | - | - | - | ○ | ● | ● |
| マコガレイ(投げ) | ● | ● | ○ | - | - | ● |
| 根魚(メバル・アイナメ・ソイ) | ● | ● | ○ | ○ | ○ | ● |
| アオリイカ(エギング) | - | ○ | ● | - | ● | ○ |
| シーバス(藤原川河口) | ○ | ● | ● | ○ | ● | ● |
ポイントは、アジ・シロギスの夏、青物の夏〜秋、カマスの秋、カレイと根魚の晩秋〜春という流れで、一年を通してほぼ切れ目なく何かが狙えることです。アオリイカは春の親イカ(4〜6月)が大型狙い、秋の新子(9〜11月)が数釣りと、年2回の山があります。シーバスは藤原川河口の高水温効果で通年チャンスがありますが、ベイトが濃くなる春と秋が特に本命シーズンです。
仕掛けと釣り方|サビキ・ちょい投げ・ルアー・エギングの基本
小名浜港の開放区域と周辺漁港で通用する、代表的な4つの釣り方の基本を押さえておきましょう。どれも堤防・桟橋から手軽に始められるものばかりです。
サビキ釣り(アジ・サバ・イワシ)
ファミリーと数釣りの王道。2号ふ頭のウッドデッキや大剣緑地釣り桟橋のように足場が良い場所で、アミコマセと市販のサビキ仕掛けがあれば十分に楽しめます。回遊のタイミングを外さないことが釣果の分かれ目で、朝夕のマヅメが狙い目です。基本の組み方はサビキ釣り完全ガイド|アジ・サバ・イワシを数釣りする方法で詳しく解説しています。
ちょい投げ(シロギス・イシモチ・ハゼ)
天秤にジェット天秤や小型オモリ、キス用の投げ仕掛けを組み、砂地に向けて軽く投げてゆっくり引くだけの入門向けの釣りです。夏はシロギス、藤原川河口周りではハゼも交じります。エサはイシゴカイ(ジャリメ)が扱いやすくおすすめです。
投げ釣り(カレイ・アイナメ)
晩秋から春にかけての本命がカレイです。小名浜港は昔から座布団級マコガレイの実績が語られる釣り場で、アオイソメを房掛けにしてブッ込み、置き竿でアタリを待ちます。寒い時期の攻略は冬のカレイ投げ釣り完全攻略の仕掛け・誘い方が参考になります。
ルアー・エギング(シーバス・青物・アオリイカ)
藤原川河口のシーバスはミノーやバイブレーション、港内のイナダ・サバはメタルジグやジグサビキが定番です。アオリイカは春が3.5号中心の大型狙い、秋は2.5〜3号で数を伸ばすのがセオリーで、公開釣果では胴長25〜30cmクラスも見られます。エギング全体の基礎はエギング入門〜中級完全マスターにまとめています。
安全・規制・マナー|立入禁止/釣り禁止区域の最新情報
この港で釣りをするうえで、もっとも重要なのがこのセクションです。小名浜港は「全面禁止」ではありませんが、開放されているのは指定区域のみで、それ以外は釣り禁止・立入禁止が広がっています。2025年以降に確認されている主な規制状況を整理します。
- 魚市場前のT字堤防:かつて車横付けで人気でしたが、立入禁止となっています。
- ら・ら・ミュウ周辺:2025年に釣り禁止が拡大した区域です。観光施設前のため、釣りは行わないでください。
- 港湾内の多くの岸壁・ふ頭:SOLAS条約(港湾保安)対応で立入制限区域が大部分を占めます。2026年前半時点の公開情報では、車横付けができた場所の多くが釣り禁止に切り替わり、確実に釣りができるのは2号ふ頭の指定区域と大剣緑地釣り桟橋が中心とされています。
- 沖堤防への渡船:遊漁船業に関する法改正(2023年成立・2024年4月施行)の影響で、小名浜沖の西防波堤などへの渡船は禁止方向に進み、暫定的な緩和期間を経て、小名浜の渡船営業は休止しているとされます。沖堤防は原則として現状「行けない」前提で計画してください。
最新の可否は、必ず福島県公式の「港湾・漁港防波堤立入禁止マップ」「海岸危険箇所マップ」(2025年秋に更新)と、国交省小名浜港湾事務所の「釣り開放情報」で確認してください。ここに書いた内容は執筆時点の公開情報にもとづく整理であり、現地の表示看板と、自治体・港湾管理者・漁協の最新の公式情報が常に最優先です。区域の境界はわかりにくい場所もあるため、少しでも迷ったら竿を出さないのが安全です。
安全面では、堤防・桟橋であってもライフジャケットは必ず着用してください(小型船舶と同様、着用義務・マナーの両面から強く推奨されます)。テトラや高い岸壁での単独夜釣りは避け、ごみは必ず持ち帰りましょう。モデル港の指定は「釣り人がマナーを守れる限り開放が続く」制度でもあります。一人ひとりの行動が、この貴重な開放区域を将来に残せるかどうかを左右します。
アクセス・駐車場・トイレ・釣具店
以下は2026年7月時点の公開情報です。料金・営業時間・開放状況は変わることがあるため、出発前に各施設の最新情報をご確認ください。
アクセス
車の場合、常磐自動車道のいわき湯本ICまたはいわき小名浜ICから小名浜道路(自動車専用道路)を経由し、いわき泉IC方面から約10分でアクアマリンパークに到着します。浜松からは新東名・首都圏・常磐自動車道を乗り継いで約6〜7時間(およそ500km)が地図上の目安です。公共交通機関では、JR常磐線の泉駅(特急停車駅)から小名浜・江名方面の路線バスに乗り、「イオンモールいわき小名浜」バス停で下車、徒歩約5分でアクアマリンパークに着きます。
駐車場・トイレ
2号ふ頭の指定区域周辺は、アクアマリンパークの大型駐車場(公開情報では収容282台の施設駐車場のほか、公共駐車場や混雑時開放の駐車場を含め合計で数百台規模)が利用しやすく、トイレも観光施設周りに複数あります。大剣緑地釣り桟橋も大型駐車場を備えた釣り公園スタイルで、家族連れでも安心です。駐車場の利用時間・料金は施設ごとに異なり、水族館営業に合わせて時間が区切られる場合があるため、早朝・夜間に釣行する際は事前確認をおすすめします。
釣具店
エサ・仕掛けの調達には、2024年秋に開店した「つり具の上州屋 いわき泉店」(リバーシーバスやオフショアルアーの品ぞろえが手厚いと案内)や、「釣具のキャスティング いわき鹿島店」が便利です。地元店の釣果ボードや店頭情報は、その日の回遊・ヒット情報を知るうえで公式マップと並ぶ強い味方になります。現地の最新状況を一本電話で確認してから向かうと、遠征の空振りを減らせます。とくに遠方から向かう場合は、開放区域が想定どおり開いているか、直近でどの魚が上がっているかを事前に押さえておくと、限られた釣行時間を無駄にせずにすみます。
小名浜港は、震災を乗り越えて「合法的に、安全に、家族で釣りを楽しめる港」として再生してきた稀有なフィールドです。開放区域のルールを守り、藤原川河口や周辺漁港も上手に組み合わせれば、浜通り遠征を一年中楽しめます。まずは公式マップで「今どこが開いているか」を確かめることから始めてください。


