長崎県の海釣りスポット完全ガイド|対馬・五島列島・佐世保・雲仙の名ポイントと釣れる魚
長崎県は日本で最も海岸線が長い県として知られ、本土の複雑に入り組んだリアス式海岸から、沖合に点在する対馬・五島列島・壱岐など数多くの離島まで、多彩な釣り場を擁している。玄界灘・対馬海流・五島灘・橘湾と、複数の海域が複雑に絡み合うことで生まれる豊かな漁場は、日本を代表する海釣りの聖地といっても過言ではない。
本記事では、長崎県の釣り場を地域別に詳細に解説する。対馬・五島列島の離島磯釣りから、佐世保・平戸・長崎市内の堤防釣りまで、初心者からベテランまで満足できる情報をお届けする。長崎への釣行を計画している方は、ぜひ参考にしてほしい。
長崎県の地理的優位性
長崎県の海岸線の長さは4183km(本土・離島合計)で、北海道に次ぐ全国2位だ。この複雑な海岸線と多数の離島が生み出す多様な環境が、魚種の多さと豊かな魚影につながっている。
長崎を取り巻く海域は大きく分けて4つある。県北部から対馬にかけての「玄界灘」は、日本の南方から北上する対馬海流(黒潮の分流)が流れ込む漁場で、クロ(メジナ)・ヒラマサ・ブリなどの高級魚が豊富だ。五島列島を含む「五島灘」は黒潮の影響を直接受け、大型のマグロ・カツオ・ヒラマサが回遊してくる外洋性が強い海域。長崎市南部から島原半島にかけての「橘湾」は、閉鎖性の強い内湾でクロダイ・アジ・メバルが豊富。そして南島原・口之津から天草へとつながる「有明海・八代海」域は、タイやクロダイの好漁場だ。
対馬海流がもたらす恩恵
長崎の釣りを語る上で欠かせないのが「対馬海流」の存在だ。九州の西側を北上するこの暖流は、黒潮から分岐して日本海を北上する。水温・塩分・栄養分を運ぶこの海流が長崎の海を豊かにし、ヒラスズキ・ブリ・カンパチ・メジナなどの高級魚を年間通じて供給し続けている。
特に冬〜春(1〜5月)は対馬海流の影響が強くなり、越冬のために深場から浅場に移動する大型魚(クロ・マダイ)が磯に接岸してくる「乗っ込み」シーズンだ。この時期の長崎の磯は、日本中から釣り人が集まる「聖地」となる。
2. 対馬の磯釣り|日本最高峰の離島磯釣り場の全容
対馬の地理と釣り環境
対馬は長崎県の最北端に位置する離島で、朝鮮半島まで直線距離で約50kmという国境の島だ。面積は約708km²で、周囲のほぼ全域が磯と沈み瀬に囲まれている。対馬海流と玄界灘の荒波に磨かれた磯は、垂直に切り立った磯壁と激しい潮流が特徴的で、大型魚が好む理想的な環境が整っている。
対馬で最も有名な磯釣りのターゲットは「クロ(メジナ)」だ。40〜50cmを超える大型メジナが釣れることで知られ、「対馬グロ」という言葉が釣り人の間で使われるほど評価が高い。また、ヒラマサ・ブリのジギングや、天然真鯛の磯釣りでも全国的に知られている。
対馬の主な磯釣りポイント
対馬の磯釣りは主に渡船(チャーター・合い乗り)を使って離れ磯・沖磯に上がるスタイルだ。代表的なポイントをエリア別に紹介する。
北部(厳原周辺): 厳原港から出船する渡船で、西海岸の切り立った磯に渡る。水深が急激に落ちる「カケ上がり」の磯が多く、コッパメジナより大型のクロが多い。ヒラスズキもサラシ(白波)の中で釣れることがある。
中部(佐賀周辺): 対馬中部の西岸は特に磯が発達しており、複雑に入り組んだ地形が大型魚の隠れ場所となっている。コンブロ(海藻が生い茂る磯)が多く、大型クロ・イシダイ・マダイが潜む。
南部(豆酘崎・烏帽子島周辺): 対馬最南端エリアは対馬海流の影響が最も強く、ヒラマサのキャスティングゲームで有名。春〜初夏(4〜7月)にはメーター超のヒラマサが回遊し、ショアジギング・キャスティングの聖地となる。
対馬釣行の注意点
対馬の磯は水深が深く、波のサイズが大きい「荒磯」が多い。ライフジャケットの着用は必須で、高さ1.5〜2mを超える磯に上がる際には滑り止めのスパイクシューズも準備すること。渡船利用時には船長のアドバイスを必ず守り、単独での磯釣りは絶対に避けることが鉄則だ。
3. 五島列島の釣りスポット|福江島・奈留島・中通島の名磯
五島列島の釣り環境
長崎県西部に浮かぶ五島列島は、福江島・奈留島・久賀島・中通島・若松島など大小100以上の島々からなる。黒潮の分流である対馬海流が直接流れ込むため、全国でも屈指の透明度を誇る海が広がり、カラフルな魚が生息する豊かな漁場となっている。
五島列島の釣りで特に有名なのが「クロ(メジナ)の磯釣り」と「ヒラマサのショアキャスティング」だ。12月〜4月の寒グロシーズンには、40〜50cmを超える大型メジナが磯に接岸し、全国から多くのフカセ釣り師が訪れる。
福江島の釣りスポット
五島列島最大の島である福江島は、アクセスが最も良く(長崎港〜福江港: フェリー約3時間)、初めての五島釣行に適している。
黒瀬周辺: 福江島の南東部に位置するポイントで、黒潮の影響を受けた澄んだ海が広がる。磯釣りでのクロ・イシダイ、エギングでのアオリイカが人気。秋(9〜11月)のアオリイカシーズンには多くのエギンガーが集まる。
玉之浦: 福江島西部の深い湾で、湾奥の堤防・護岸ではクロダイ・チヌ・メバル・アジが狙える。湾口の磯では大型メジナが釣れることで知られる。風の影響を受けにくいため、荒天時の逃げ場としても機能する。
大瀬崎沖磯: 福江島南西端の大瀬崎灯台周辺の沖磯は、五島列島でも屈指の名磯が集まるエリアだ。渡船で渡った離れ磯では、特に冬〜春(12〜5月)に60cm超の大型メジナ・天然マダイの実績が高い。
中通島・新上五島の釣りスポット
五島列島北部の中通島(新上五島町)は、長崎港からフェリーで約8時間かかるが、手つかずの磯が多く残る「秘境」的な釣り場として知られる。
有川湾: 中通島東部の有川湾は、静かな内湾でアジ・クロダイ・アオリイカが豊富。湾内の各漁港からは気軽に堤防釣りが楽しめる。
北部の沖磯: 中通島北部から北魚目にかけての磯は、五島列島の中でも特に手つかずのエリアが残る。渡船で渡る沖磯では、70cm超のヒラマサや大型メジナの釣果報告がある。
4. 佐世保・平戸・松浦の堤防釣り|アジ・クロダイ・タコが狙える
佐世保の釣り場
長崎県北部の中心都市・佐世保市は、複雑に入り組んだリアス式海岸線を持ち、多数の堤防・護岸・港湾が散在している。市内から車で10〜30分圏内にアクセスしやすい釣り場が多く、手軽な堤防釣りとしても人気が高い。
佐世保港周辺: 港内の護岸や小波止(小さな防波堤)では、アジ・サバのサビキ釣りが定番。特に春〜夏(4〜9月)は20cm前後のアジが群れで入ってくる。夜釣りではメバル・チヌが人気ターゲットだ。
大﨑半島・相浦川河口: 相浦川河口周辺はハゼ・チヌ・キビレが豊富な汽水域の好ポイント。秋のハゼ釣りシーズン(9〜11月)は特に釣果が安定している。
針尾島・江上・鹿子前: 佐世保市街から橋で繋がった針尾島周辺は、クロダイの良型が多い場所として知られる。潮通しの良い場所ではタコも狙え、タコエギングで楽しむ釣り人も多い。
平戸の釣り場
長崎県北西部の平戸市(平戸島)は、かつてポルトガル・オランダとの貿易港として栄えた歴史を持つ。釣り場としては、玄界灘に面した荒磯と、複数の湾・内湾が組み合わさった多様な環境が魅力だ。
平戸港・薬王寺波止: 平戸大橋に近い釣り場で、アジ・サバ・チヌ・アオリイカが揃う。特にエギングでのアオリイカが秋(9〜11月)に人気。駐車スペースもあり、ファミリー向けの釣り場としても機能する。
平戸島西岸の磯: 平戸島の西側は玄界灘に直接面した磯が続き、ヒラスズキのルアー釣りの名所として知られる。特に冬〜春(12〜5月)の荒天後はサラシが広がり、大型ヒラスズキのチャンスが増す。
度島・的山大島: 平戸沖の小離島で、渡船で渡ることができる。的山大島は特にクロ・マダイの磯釣りが盛んで、地元の渡船業者が活躍している。
松浦市の釣り場
長崎県の最北部・松浦市は、松浦党(中世の水軍)の故郷として知られる海の街だ。今山漁港・松浦港周辺はアジ釣りのメッカとして全国的に有名で、「アジフライの聖地」として観光客も多く訪れる。
今山漁港: 松浦を代表する釣り場で、春〜夏(3〜9月)にかけてアジが大量に回遊してくる。サビキ釣りで20〜25cmの中アジが鈴なりになることもある好ポイントだ。
5. 長崎市内・橘湾の釣り場|初心者にもおすすめのファミリー釣り場
長崎市内の釣り場
長崎市内は山が海に迫った独特の地形で、港湾・堤防が市街地のすぐ近くにある。観光と組み合わせて釣りを楽しめる「観光釣り」にも向いた環境だ。
茂木漁港: 長崎市南東部の茂木漁港は、アジ・クロダイ・アオリイカが豊富な港内の釣り場。堤防の先端は潮通しがよく、サビキ・ウキ釣り・エギングで年間を通じて釣れる。アクセスも長崎市街から30〜40分と良好で、初心者でも楽しみやすい。
脇岬漁港(野母崎): 長崎半島の最南端に近い野母崎エリアは、橘湾と外海(東シナ海)を結ぶ潮通しの良い場所だ。脇岬漁港周辺では、アジ・クロダイ・アオリイカに加え、ヒラスズキも釣れることがある。
伊王島・沖之島: 長崎港沖に浮かぶ伊王島は、フェリーで30分程度でアクセスできる小離島だ。島を囲む磯・護岸では、クロ・チヌ・メバルが豊富。整備された護岸もあり、ファミリーで楽しめる環境が整っている。
橘湾の釣り場
長崎半島・島原半島・天草に囲まれた橘湾は、閉鎖性が高く穏やかな内湾だ。水温が比較的安定しており、クロダイ・チヌ・アジ・タイの年中釣れる好漁場となっている。
小江港・口之津港: 島原半島南部の橘湾に面した漁港群で、クロダイのフカセ釣りが盛ん。秋〜冬(10〜3月)のクロダイシーズンに多くの釣り人が集まる。口之津港は天草へのフェリー発着港でもあり、波止(防波堤)での釣りが楽しめる。
6. 長崎で釣れる主な魚種と旬の時期
| 魚種 | 釣れる時期 | 主な釣り方 | おすすめポイント |
|---|---|---|---|
| クロ(メジナ) | 12〜5月(寒グロ最盛) | フカセ釣り | 対馬・五島列島の磯 |
| マダイ | 3〜6月(乗っ込み)・10〜11月 | フカセ・コマセ・タイラバ | 五島列島・対馬の沖磯 |
| ヒラマサ | 4〜9月 | ショアキャスティング・ジギング | 対馬南部・五島北部の磯 |
| アジ | 4〜11月(春〜秋) | サビキ・アジング | 松浦・佐世保の各漁港 |
| クロダイ(チヌ) | 通年(春・秋が最盛) | フカセ・ヘチ釣り | 橘湾・佐世保・茂木港 |
| アオリイカ | 4〜6月(春)・9〜11月(秋) | エギング | 平戸・五島・野母崎 |
| ヒラスズキ | 11〜5月(荒天後) | ルアー(ミノー) | 平戸島西岸・野母崎磯 |
| ブリ・カンパチ | 7〜12月 | ジギング・泳がせ釣り | 五島列島沖・対馬海峡 |
長崎の名物魚「ハタ類」
長崎の磯では「ハタ類(クエ・キジハタ・アカハタ)」も狙えることで知られる。特にクエ(モロコ)は高級魚中の高級魚で、1kg当たり3000〜5000円以上の値がつく最高級魚だ。五島列島の水深30〜60mの根周りには良型のクエが潜んでおり、泳がせ釣りや大型のワームを使ったリグで狙う専門的な釣り人も多い。
7. 長崎の遊漁船・渡船情報|沖磯・沖釣りの名船宿
渡船(磯渡し)の利用方法
対馬・五島列島の沖磯へのアクセスには渡船が不可欠だ。渡船の利用方法を解説する。
- 予約: 事前電話予約が必須。天気予報・潮回りを確認して希望日を伝える。
- 料金: 1人当たり5000〜1万円程度(渡船代のみ)。遠い磯は割増料金になることがある。
- 出船時間: 早朝5〜6時が一般的。前日のうちに港に着いておくか、近くに宿泊するのが通常。
- 釣り座の決め方: 磯によって複数のアングラーが上がる場合があり、釣り座はジャンケンまたは先着順で決めることが多い。
- 回収時間: 夕方17〜18時が標準。延長は船長の判断による。
主な渡船・遊漁船業者(エリア別)
対馬エリア: 「竹内渡船」(厳原)・「対馬釣り倶楽部」など複数の渡船業者が営業。対馬北部・中部・南部と広範囲をカバーしている。
五島列島(福江島)エリア: 「渡辺渡船」「吉岡渡船」など、福江港・玉之浦港・大瀬崎周辺を拠点とする渡船業者が複数ある。
平戸エリア: 「的山大島渡船」など、平戸島沖の離島・沖磯への渡船サービスがある。
遊漁船(船釣り)の特徴
磯釣りではなく船釣りを楽しみたい場合は、遊漁船を利用しよう。長崎では「タイラバ」「ジギング」「落とし込み釣り」「泳がせ釣り」に対応した遊漁船が多い。料金は8000〜1万5000円/人程度(エサ・仕掛け別)が相場だ。釣れた魚は持ち帰りが基本で、クーラーボックスの持参を忘れずに。
8. 長崎釣行のアクセスと周辺情報|交通・宿・釣具店
長崎へのアクセス
長崎へのアクセスは飛行機・鉄道・高速バスが主な手段だ。
飛行機: 東京(羽田)〜長崎空港は約1時間45分。大阪(伊丹)〜長崎は約1時間10分。長崎空港からレンタカーで各釣り場へアクセスするのが最も便利だ。
新幹線・鉄道: 2022年に「西九州新幹線(かもめ)」が長崎〜武雄温泉間で開業。東京からは東海道・山陽・九州新幹線を乗り継いで約5〜6時間。
離島へのフェリー: 対馬へは長崎港〜厳原港でフェリー(約3時間)・ジェットフォイル(約1時間15分)。五島列島(福江)へは長崎港〜福江港でフェリー(約3時間)・高速船(約1時間30分)。各社の運航スケジュールは事前確認が必要だ。
長崎の主な釣具店
| 店名 | エリア | 特徴 |
|---|---|---|
| 上州屋 長崎店 | 長崎市内 | 大型チェーン。品揃えが豊富で価格が安定。 |
| フィッシング遊 長崎店 | 長崎市内 | ルアー・磯釣り用品が充実。最新情報あり。 |
| 大寿釣具店 | 佐世保市 | 佐世保エリアの地元老舗。エサ・消耗品が豊富。 |
| ぎょさん | 対馬・厳原 | 対馬の地元釣具店。現地の釣果情報が最新。 |
宿泊・グルメ情報
長崎での釣行前後の宿泊は、長崎市内のホテルが充実している。離島釣行の場合は、対馬・福江島にも各種ホテル・民宿・ペンションがある。「釣り人歓迎」を謳う宿も多く、釣り道具の洗い場・冷凍庫が用意されている場合もある。
長崎のグルメといえば「ちゃんぽん」「皿うどん」「カステラ」が有名だが、釣り人なら釣った魚をその日のうちに刺身・煮付け・焼き魚にしてくれる民宿料理も格別だ。対馬の「ヒラマサ・クロの刺身」、五島の「旬の天然真鯛の刺身」は、長崎釣行の醍醐味だ。
まとめ|長崎は日本最高峰の海釣りフィールド
長崎県は対馬・五島列島の離島磯釣りから、佐世保・平戸・松浦・長崎市内の堤防釣りまで、日本国内でも随一の多様性を持つ海釣りのフィールドだ。対馬海流が運ぶ豊かな海の恵みは、クロ・マダイ・ヒラマサ・ブリなど最高級魚を年間を通じて供給し続けている。
初めて長崎を訪れる釣り人は、まず佐世保・茂木・松浦などアクセスが良い堤防釣りからスタートし、長崎の海を体感してほしい。そしてステップアップしたら、対馬・五島の沖磯へ。一度でも経験した釣り人が「また来たい」と感じる長崎の釣りの魅力に、きっと虜になるはずだ。



