魚介類国・日本では、海や河川から様々な魚介類をいただいています。
あっさりとした旨味と爽やかな香りのアユや、体力の回復に良いとされるシジミは河川や湖からの贈り物ですし、焼いても煮ても美味しいホッキ貝や繊細な肉質と上品な旨味のサワラ、濃厚な肝やプリっとした肉質のアンコウなどは海からの贈り物です。
そんな旨味たっぷりな魚介類から、今回は「カワハギ」について皆様にご紹介させていただきます。
カワハギは食材としてとてもポピュラーな魚で、食べ方も様々ある美味しい魚です。
しかし、いざ釣り上げるとなると餌泥棒の一面を見せ、なかなか連れない事もしばしば。そんな彼らの生態や一面を是非覗いていってください。
1,おちょぼ口の美味しい魚・カワハギの特徴について
①分類
カワハギは生物学上、「フグ目カワハギ科カワハギ属」に分類されている種類です。
特徴的なおちょぼ口や泳ぎ方などから何となく察する方もいらっしゃると思いますが、フグの親戚のような立ち位置でもあります。
②どのくらいの大きさなの?
成魚になると約30cm前後のいわゆる「尺ハギ」になりますが、日本で記録されている最も大きな個体は44.3cmという型破りな大きさをしています。
この最大サイズのカワハギは高知県大月町一切で釣り上げられており、大物というロマンを追い求めたくなってしまいます。
③どんな見た目をしているの?
カワハギは平べったい菱形の体型をしており、背ビレは2つに分かれています。
この内「第一背ビレ」は太くて丈夫な一本の棘になっており、第二背ビレは尻ビレと同じくらい長く連なり、泳ぐ際は尾ビレと背ビレ、尻ビレ、胸ビレを細かくはためかしながら泳ぎます。
一見可愛らしいおちょぼ口には鋭い歯が隠されており噛む力が強く、これで獲物を啄むように食べる他、釣りの際には餌だけキレイに食べ尽くしたり、ラインを噛み切ったり針を曲げてしまう事もあります。
体表にはウロコがなく、ザラザラとした皮になっている事もカワハギの大きな特徴です。体色は青灰色や褐色で、個体によってはさらに縞模様や斑模様が入るため、まるで別種のように見える事があります。
カワハギは雌雄判別がしやすい魚の一種でもあり、それは成魚を見比べるととても分かりやすいです。
何故ならカワハギのオス個体は、成魚になり繁殖できるようになると、背ビレの第二軟条が糸のようにピローンと伸びるからです。
これはオスのみの特徴であるため、簡単に雌雄を見分ける事ができます。
とはいえ、雌雄で大きな味の違いがある訳ではないのでピローンが付いたカワハギは立派に育ったオスであり別種ではない、と言った具合に覚えていただければ幸いです。
カワハギ釣りの際に、最初はスムーズにリールを巻けていたのに、急にビタッと巻けなくなってしまう事があります。
「あれ?根掛かりかな?」と思うかも知れませんが、実は海底でカワハギが踏ん張っている場合が少なくありません。
カワハギは外敵に襲われたり仕掛けにヒットしたりすると、岩礁の狭い根に潜り籠城戦に持ち込もうとします。
その際は第一背ビレの太い棘と腹部に隠された硬い骨を張り、岩に引っ掛ける事で根から抜けないようにしているのです。
この籠城戦法は、カワハギ以外にも「ギマ」などの背ビレや腹ビレが太い棘のようになっている種類が使うため、根掛かりだと勘違いして「根負け」しないようにしましょう。
④生息分布について
日本列島では北海道以南から東シナ海まで広い範囲で分布しており、南の暖かい海ほど生息数が多くなります。
また、水深約100mほどの砂底や岩礁が入り交じった環境を好んでおり、カワハギの体色はこれらの環境に擬態する事ができるようになっています。
⑤何を食べているの?
釣り上げる上でも彼らの好物を知る事は重要な事と言えるでしょう。
カワハギは肉食性で、ゴカイや貝類、ウニやタコ、イカ、エビやカニなどの甲殻類を主に捕食しています。
海底や岩礁から這い出た獲物をそのまま啄むように捕食しますが、噛む力が強いため、甲殻類や貝類などの硬い殻やイカ、タコなどの強靭な筋肉もカワハギの前では役に立ちません。
カワハギは捕食者の中でも餌を見つけるのはかなり得意な種類でもあります。
特に、砂底で獲物を探す際には水を勢い良く砂に吹き付けて巻き上げ、ゴカイやエビなどの獲物を上手に見つけて捕食するのです。
⑥活動時間帯は?
カワハギは昼行性の魚なので、狙う場合は朝や昼などの明るい時間帯にすると良いでしょう。
夜は眠っているため、夜釣りでヒットする事はほとんどありません。
⑦繁殖期と旬について
カワハギの繁殖期は夏で、砂底に産卵する事が知られています。
また、旬は夏とされていますが秋〜冬にかけても第二の旬があり、年中を通してほぼ美味しい魚となっています。
⑧名前の由来は?
カワハギの名前は料理の際に皮を剥がす事が由来となっており、皮を引っ張れば簡単に剥がす事ができるため調理難易度が低い良心的な魚です。
この名前は地方名でも特徴が似通っており、「ハゲ」や皮を剥がされた様子から「バクチ(身ぐるみを剥がされた状態)」と呼ばれる事もあります。
2,カワハギの釣り方について
おちょぼ口にホバリング泳ぎができる彼らは釣りの世界では「餌泥棒」と名高い魚でもあり、針に仕掛けた餌をちょっとずつ齧って食べ尽くしてしまいます。
ですが、味も良く釣り難易度が高いカワハギを釣り上げるための技術や道具は日々進化を続けており、今この瞬間も新たな方法が考えられています。
ここではそんなカワハギ釣りの方法やオススメのアイテムについてご紹介させていただきます。
①釣り竿について
竿はカーボンファイバー製の専用竿が軽くて扱いやすいため主流ですが、中には昔ながらの竿である竹製の「和竿」を使う方もいます。
和竿は穂先部分にクジラの髭を使っており、柔軟性に優れています。
とても人気の高い竿ではありますが大変貴重で高価な竿であるため、シンプルにカワハギ釣りを楽しみたい方は前者、カワハギ釣りを極めたい方は後者の竿がオススメです。
②リールについて
カワハギはマグロやアジのように引きが強い種類ではないため、リールは巻き上げるスピードが早い小型で軽量なタイプが主流となっています。
③ラインについて
現在では「PEライン(ポリエチレン繊維を編んだ物)」が使われています。
また、カワハギ釣りでは細いラインが主力であり、0.8〜1.5号の太さがオススメです。
④餌について
関東と関西で違いが見られる部分でもあります。
カワハギ釣りの発祥の地と言われている三浦半島ではアサリの剥き身が定番の餌となっており、関西や九州などの暖かい海ではエビの剥き身が定番のようです。
しかし、カワハギ自体は肉食性なのでオキアミやタコ、イカ、ゴカイなどを餌として使っても有効な選択肢と言えます。
⑤仕掛けについて
カワハギ釣りは胴突式の仕掛けが主流となっています。3〜4本針が基本で、仕掛けの長さも比較的短い約50cmほどとなります。
また、針の間隔は15〜20cm空けており、カワハギの海底付近を回遊するという特徴に合わせ、重りは25〜40号くらいがオススメです。
また、カワハギが釣れる可能性を高めるために、仕掛けの上部に「集魚板」を取り付ける場合もあります。
集魚板は海中でキラキラと光を反射する事で魚にアピールする効果が期待でき、好奇心が強いカワハギに対してもかなり有効です。
⑥釣り方について
カワハギやウスバハギなどは堤防でも釣れる事がありますが、一番確率が高いのは釣り船を利用して沖合いで釣る事です。
釣り船は「乗り合い船」という予約すれば乗れるタイプや団体で一隻借りきる「仕立て船」などがあります。
最近では遊漁船を持つ方も増えているため利用してみると良いでしょう。
3,何が違うの?カワハギとモンガラカワハギの違いについて
カワハギは釣って楽しい食べて美味しいというナイスフィッシュですが、名前が良く似た種類に「モンガラカワハギ」がいます。
このモンガラカワハギは見た目で間違う事はほとんどありませんが、カワハギとは違い力が強く、気性が荒いため注意が必要です。
ここでは、そんなカワハギとモンガラカワハギの違いについてもご紹介させていただきます。
①分類の違いについて
モンガラカワハギは生物学上「フグ目モンガラカワハギ科」に分類されており、カワハギとは別の魚とされています。
②生息分布の違いについて
カワハギと同様に暖かい海を好んでいますが、モンガラカワハギの場合はインド洋や西太平洋が主な生息分布となっています。
日本ではサンゴ礁や岩礁のある場所を好んでおり、沖縄でも釣れる事があります。
③生態の違いについて
体型が平たいのは同じですが、モンガラカワハギの仲間はどちらかと言うと楕円形に近い体型をしています。
また、モンガラカワハギの仲間の多くはかなり派手な体色をしており、カワハギと比較するとトロピカルな印象を受けます。
カワハギは基本的には群れで行動するのに対し、モンガラカワハギの仲間は単独、またはペアで行動する特徴があります。これは、モンガラカワハギの気性の荒らさが分かる部分です。
④体表の違いについて
見た目がトロピカルなので基本的にモンガラカワハギとカワハギは間違う事はありませんが、体表にも違いがあります。
カワハギはウロコがなく皮のようになっていますが、モンガラカワハギの場合は大きくて丈夫なウロコが幾重にも重なって鎧のような頑強さを誇ります。
そのためカワハギのようにビリビリと剥く事ができず、良い包丁でなければ太刀打ちできない事も少なくありません。
⑤食性の違いについて
エビや貝といった肉類が大好きなカワハギと違い、モンガラカワハギは「雑食性」です。
そのためエビやカニ、貝類、ウニなどの他に海藻などの植物質も食べます。
捕食する際は鋭い歯が生えた口で獲物をバリバリと噛み砕いたり食い千切るようにして食べます。
⑥食べた時の危険度の違いについて
カワハギは身も肝も美味しく食べられる魚ですが、モンガラカワハギとなると話は変わってきます。
モンガラカワハギの内臓には「シガテラ毒」という毒素が溜まっているとされており、肝は食用にされません。
しかし、身は刺身や焼き物で食べている地域があります。
⑦気性の違いについて
カワハギは群れを作って回遊するほど強調性が高く、キラキラした物などに興味を持つくらい好奇心が旺盛です。
しかし、モンガラカワハギの場合は非常に気性が荒く、同種他種問わず縄張りに近付く者には容赦がありません。
相手を撃退する武器としても噛みつき攻撃を繰り出しますが、その威力はカワハギと比べ物にならないくらい強力です。
実際にダイバーが襲われて水中眼鏡を割られたり骨折するほどのダメージを負わされる他、太い釣り針も噛み切ってしまうほどです。
先述した通り、気性の荒らさと攻撃力の高さが危険なモンガラカワハギですが、繁殖期には更なる理不尽アタックが待ち構えています。
最近では「スピアフィッシング(銛突き)」や水中で魚釣りをするという手法も注目を集めていますが、この時モンガラカワハギの産卵場所、ひいては縄張りに侵入してしまい襲われかけた方もいます。
彼らは海底の砂に産卵し、それを親魚が守っているのですが、この産卵場所がなかなか分かりにくいため謝って侵入してしまった場合、正しい方法で逃げなければ直ぐ様襲われてしまいます。
この正しい逃げ方とは「通りすぎたり急浮上せず、静かに後退する事」です。
実はモンガラカワハギの産卵場所を中心とした縄張りは「すり鉢状」になっているため通り過ぎるのもアウトですが、浮上してしまうと上に広がった縄張りに入ってしまい攻撃対象にされてしまうのです。
この理不尽極まりない縄張りと性質ですが、モンガラカワハギ自体はカワハギより重く、かなり粘るため釣り上げてみたい方はわざと狙ってみるのも良いと思います。
⑧大きさの違いについて
モンガラカワハギの大きさは約30cm前後なので尺ハギと変わらないように思えますが、ゴマモンガラやアカモンガラなどは40cmを超えてくるためヒットするとその巨体と粘り強さに度肝を抜かれてしまう釣り人も少なくありません。
⑨人間との関わりの違いについて
両者ともに食用にされる種類ではありますが、カワハギの方が美味しく需要があるためゲームフィッシングの対象となったり養殖されたりしています。
一方でモンガラカワハギの場合は気性が荒く、餌に気を遣わなければならないものの、体色の美しさからマリンアクアリウムでペットとして飼育される事があります。
カワハギもマリンアクアリウムで飼育される事がありますが、体色の美しさや積極的に姿を見せる性格からモンガラカワハギに軍配が上がっています。
4,旨味たっぷり!カワハギ料理について
魚釣りで肝がパンパンに詰まった尺ハギを釣り上げたら、その日は食べるのが楽しみ過ぎて終始テンションが高まっている事でしょう。
カワハギは旬が2回もあり、相当外れな時期でもない限りは美味しい魚です。
ここではそんなカワハギの捌き方や料理などについてご紹介させていただきます。
①カワハギの捌き方について
釣り上げた際に、頭部の後ろを背中側から切って締めていると思います。大事なのは、頭部を切り落とさない事です。
そんな締められたカワハギのカマにあたる部分に包丁で皮に切れ込みを入れたら頭をお腹側に引っ張るようにすると、肝を傷付けずに内臓をキレイに取り出す事ができます。
なかなか難しい場合は、肛門から包丁を入れて内臓を傷付けないように慎重に開くか腹の横側に切れ込みを入れて内臓を取り出す方法があります。
内臓が取れたら皮を掴んで一気に剥がします。カワハギの皮は丈夫なので、しっかり掴んで大丈夫です。むしろしっかり掴みましょう。
皮を剥いだカワハギの処理は簡単で、頭を落としたら腹部に残った血を洗い流し、表面にある薄皮を剥がせば他の魚と同じように捌く事ができます。
カワハギのお刺身を作る時にどうしても捨てられがちなのがエンガワ部分です。
理由としては、カワハギがよく動かす部分なだけあって、他の部位より肉に赤みがあって見栄えが悪いからと言われています。
しかし、歯応えがある魚が好きな方は捨ててはならない部分だと敢えて筆者はお伝えします。
確かに色味は赤みがかってしまっていますが、カワハギがよく動かす部分故に身がかなりしっかりしている希少部位でもあります。カワハギの旨味をダイレクトに味わえる部位なので是非一度食べてみてください。
②カワハギ料理の種類について
カワハギは美味しい魚なので日本で広く食べられており、とても愛されています。
そんなカワハギ料理をいくつかピックアップしてみました。
・刺身
カワハギの定番料理です。脂の少ない歯応えのある白身は噛むほど上品な旨味があります。
肝の少ない時期ではそのまま身だけ食べる場合がありますが、肝がパンパンの時期だと肝の刺身が添えられていたり、肝醤油になっていたりと贅沢な1皿になります。
肝は脂が乗っていて濃厚でこってりとした旨味からあん肝と同じように「海のフォアグラ」と呼ばれる事があります。
刺身で肝を巻いて食べるか、肝醤油にして刺身を食べるかは好みが分かれるところです。
カワハギの肝がたっぷりの脂や栄養価を含んでいるのは冬に備えている説や繁殖期に備えている説があります。
ただし、肝が発達する時期は筋肉組織の栄養も肝に蓄えてしまうためか、身が痩せる傾向にあります。
カワハギの身はクセのない旨味と歯応えが堪らない逸品なので、もしシンプルに身を味わいたいという方は、肝が発達していない夏のカワハギがオススメです。
肝に栄養を蓄えていない分、身に脂や栄養があるため肉厚で旨味が強くなっています。
・寿司
旬を迎えたカワハギはお寿司屋さんで食べる事もできます。
お店によって握り方は違いますが、握りの上に肝が乗せられていたり、シンプルに身だけで勝負していたりと見ても食べても素晴らしいです。
・煮付け
生食がポピュラーなカワハギですが、煮付けもメジャーな食べ方であり、無駄なく食べる事ができる料理でもあります。
甘辛いタレで煮込んだ身はフワフワ、肝はこってり、頭部に隠れていた頬肉やカマはとろけるような旨味があります。余す事なくカワハギを堪能したい方は是非一度ご賞味あれ。
・フライ、天ぷら
意外かも知れませんが、カワハギの身は油とも相性が良いためフライや天ぷらにも向いています。
衣のサクサク感とカワハギのふんわりとした身がクセになる一皿です。
筆者は天つゆか塩で食べるのが好きですが、ソースやタルタル、肝醤油も合いそうです。
・干物
よく魚市場やスーパーなどでも見かける日本の飲兵衛達のお友達です。
干物に加工された事によって、身の余分な水分が抜け、カワハギ本来の旨味が凝縮されています。
商品によっては味醂や特製ダレで味付けされた物もありますが、噛めば噛むほど味が出る最高のおつまみの1つです。
これは筆者の体験談です。筆者にはお酒好きな友人が多いのですが、その中でも特にお酒好きの友人がタバコを吸わないのにライターを持ち歩いていました。
人が少ない公園で飲むついでに小腹満たしをしようと子アジの味醂干しやカワハギの干物を持ち寄ったのですが、友人は何と、干物を次々とライターの火で炙り始めたのです。
食べ方に文句は言いませんが、突然の事で開いた口が塞がらない私に対して友人は美味しそうに炙った干物を食べながらビールで流し込み幸せそうでした。
友人のライターは干物を炙るために持っていた物で、干物専用ライターだったのです。
確かに炙られた干物は美味しかったのですが、何度もライターを買いに行く友人のためにチャッカマンをプレゼントしたのは、また別のお話です。
・なめろう
個人的には究極の漁師飯と思っている「なめろう」。
アジやカンパチなどの青物のイメージが強いかも知れませんが、カワハギのなめろうもとても美味しい料理です。
味噌と肝、カワハギの身にネギを叩いただけでできてしまう料理ですが、味噌のしょっぱさに肝の甘味とコク、身の歯応え、ネギの香りが調和しています。
そのままチビチビ食べるも良し、ご飯に乗せたり出汁茶漬けにしても良しの逸品です。
・バターソテー
こちらは焼き物です。小麦粉をまぶしたカワハギの身をバターとオリーブオイルでこんがりと焼いた一品です。
カワハギの身はバターとも相性が良く、バターの香りとコク、カワハギの身の柔らかな食感と旨味がマッチしています。
サッパリと食べたい方はバターソースにレモン果汁を入れると爽やかになるのでオススメです。
・カワハギの雪鍋(霙鍋)
様々な食べ方があるカワハギですが、満を持して鍋物の登場です。
作り方は好みによりますが、濃いめの汁にしてたっぷりの大根や蕪のおろしを入れてそのまま食べるか、出汁を薄くしてポン酢でサッパリいただくなどがあります。
鍋にする事でカワハギの旨味が出汁に溶け込み、身も心も温まります。
5,カワハギの意外な一面について
食べて良し、釣って楽しいカワハギですが、それ以外にも知られていない素顔があったりもします。
ここでは意外と知られていないカワハギの一面について皆様にご紹介させていただきます。
①眠り方が独特!
昼行性であるカワハギは、夜になるとスヤスヤと眠ってしまいます。
しかし、向きによっては海流の影響をモロに受けやすい体をしている彼らは、寝てる間に流されてしまわないように工夫をしています。
その方法とは、海藻などを咥えて眠るという方法です。これで流されたり仲間とはぐれないように対処しているのです。
夜間に海藻を咥えたまま波に揺られるその様子はラッコのような可愛さもありますが、寝たままずっと噛んでいられるというカワハギのガッツに驚きを隠せません。
②厄介なアイツを群れで捕食!
厄介な生き物は色んな所に生息し、人の営みに大ダメージを与える事も少なくありません。
中でも「エチゼンクラゲ」は巨体や毒の触手によって漁獲された魚を殺してしまったり漁具をダメにしてしまったりと、漁師さん達を悩ませて来ました。
そんなエチゼンクラゲは最近保水材として注目されるようになり利用方法が見えてきた所ですが、実は彼らの天敵こそがカワハギなのです。
カワハギはエチゼンクラゲを見つけると群れで遅いかかり、その体を次々と食い千切っていきます。
一説によると、カワハギ達は砂中に潜むゴカイやエビ、カニなどより動きが遅くて食べやすいクラゲを好物にしている事も確認されているそうで、彼らの生息数が安定していればクラゲの害に悩む事も減りそうです。
③第一背ビレが厄介!
カワハギの第一背ビレは太くて丈夫な棘になっており、これを身を守るための武器にしている事が分かっています。
しかし、巻き網漁では嬉しい反面厄介な事もあるそうです。
カワハギは群れで回遊しているため、網に入れば一気に獲れる事がありますが、その際に、第一背ビレの棘が網に絡まってしまい外しにくい事も少なくありません。
どんどん網を回収しないと仕事になりませんし、魚の鮮度が落ちてしまう事を防ぐため、第一背ビレが絡まっている場合はこの棘をパキッと折って網から外すのがセオリーとなっています。
魚市場などで第一背ビレが折れているカワハギを見つけたら、網に絡まったんだなぁと思っておきましょう。
まとめ
今回は餌泥棒だけど美味しい魚・カワハギについて皆様にご紹介させていただきました。
カワハギは啄むように餌を食べるため当たりが分かりにくく、気付いた餌がなくなっていたという事が多い魚です。
しかし、そんな餌泥棒カワハギを如何にして釣り上げるかが日々試行錯誤されているため、初心者から熟練者まで幅広く釣りを楽しまれています。
また、肝と身にそれぞれ異なる旨味を持ち、一年通してほぼ美味しい魚なので食材としても一級品です。
紹介しきれないくらいの様々な料理があり、肝と身を合えたものや、洋風煮付けなど、こちらも日々新たな料理が生まれています。
そんなカワハギ、是非釣り上げて堪能してみてはいかがでしょうか。