サバは「生き腐れ」だの「アニサキス」だの、生食リスクは上位の魚。
ですが──食中毒となる原因を理解することで、防止に繋がります。
この記事のまとめ
サバは「生き腐れ」や「アニサキス」といった生食リスクが高い魚です。しかし、食中毒の原因を理解し、適切な対処法を実行することで、リスクを減らすことができます。九州ではサバを生で食べる習慣がありますが、これは脂肪分が少なく、比較的安全なアニサキスが生息しているためです。アニサキスは内臓に寄生し、宿主が死ぬと筋肉に転移しますが、内臓を早期に除去することでリスクを回避できます。
ヒスタミン中毒もサバの生食における大きなリスクです。これは、保存環境が悪いと魚のタンパク質が細菌によって分解され、ヒスタミンが生成されるために起こります。ヒスタミン中毒は加熱しても防げないため、魚を「0度以下」で保存することが推奨されます。釣りの際には、内臓を取り除き、首と尾を切って血抜きを行い、氷水で魚の体温を下げた後、クーラーボックスで保存することが重要です。
アニサキスは-20度以下で24時間以上冷凍することで死滅します。家庭用冷凍庫を使用する際には、2日以上開けないようにして冷凍保存することが有効です。夏期には特に冷蔵庫や冷凍庫の開け閉めを少なくすることで、温度上昇を防ぎ、保存効率を高めることができます。
生食できるサバは本当に大丈夫なの?
九州では昔から、サバは生で食べられています。
流れが速い地域のため、筋肉が発達して脂肪分が少ないおかげ? とされている。
それともうひとつ、比較的安全なアニサキスが生息していることも挙げられる。
九州はなぜ鯖を刺身で食べても大丈夫かの謎が解明。アニサキスは3種類ある(Ap、As、Pd) 。九州鯖はほぼ全てApで、Apは筋肉ではなく内蔵に寄生するため調理過程で捨てられる。九州以外の太平洋側はほぼAsで筋肉に寄生して危ない。 pic.twitter.com/J0Z1iAU2r6
— storm@うつうつします。。。 (@T_T18) 2015年1月25日
アニサキスは魚の内臓である「腸管」に潜み、宿主が死ぬと腸を食い破り、筋肉に転移します。
人間でも同じことが起こっているため、腹部に激痛が走るわけです。
このリスクを回避するには、転移する前に内臓を除去してしまえばいいわけ。
詳しい話はこちらで書いているので参考に。
ツイートを鵜呑みにするならば、西日本以外のサバは、生存中でも筋肉にアニサキスが転移しているケースが多い、てことになりますね。
多くの人が誤解する「魚に当たる原因」はアニサキスだけではない
よく「釣ってすぐ〆れば大丈夫」とかいわれます。
でも内臓を取っただけで対処できるのは、先の項目で九州近海が最適だと判断できるでしょう。
魚に宿る寄生虫の種類は多いですが、本当に有害なのは少ない。それは人に寄生する虫がいないから。
なので寄生虫を食べることも可能だけど、見た目が悪いので敬遠されるだけ。
アニサキスも人に寄生することはできず、自然に死滅しますけど、胃や腸壁を食い破られるのは明らかにヤバイので、特に有害とされています。
寄生虫は加熱処理でリスク回避することができます。
でも食中毒はそうもいきません。その中でも厄介なのがヒスタミン中毒です。
サバの食あたりで代表されるヒスタミン中毒
魚の食あたりで多いのが『ヒスタミン中毒』
保存環境が悪いと起こりやすく、厄介なのは「加熱しても対処できない」ところ。
ただし、魚がヒスタミンをもともと多く含んでいるわけではありません。
もともと在る『ヒスチジン』が、タンパク質に含まれる細菌によって分解されて、ヒスタミンへと変化します。
これが「生き腐れ」の原因ですね。
ヒスタミンを一定量摂取すると、中毒症状が起きます。
アレルギーに似た症状ですけど、そもそもアレルギーじゃない人には判別できないので、参考サイトをご覧ください。
サバはヒスタミンの生成速度が、他の魚よりも早いため、“生き腐れ”といわれます。
ちなみにヒスチジンが多く含むのは赤身が多い魚で、青魚(マグロ・カツオ・サバ・アジ・イワシ・サンマなど)が特に多いです。
ヒスタミン中毒を予防するには?
ヒスタミンは「0度以下」で保存すると、生成を抑えることができます。
釣りで即0度以下の保存は難しいですが、せめて10度以下での保存を推奨されています。
ベストな手順としては──
- 魚の内臓を取り首と尾を切り血抜きをする
- 氷水に入れて血抜きしつつ魚の体温を下げる
- クーラーボックスに投入(頻繁に開けないこと)
青物だと基本の「締める手順」ですね。これは全ての魚にも当てはまります。
ようは「ソッコーで三枚におろして冷蔵する」考えで大丈夫。
一度生成されたヒスタミンは少なくなることがないので、保存方法には細心の注意を。
高温多湿の時期は危険度が増すため、クーラーボックスの性能もバカにできません。
特に1万以上の保冷力は、5000円以下に比べて段違い。
氷点下の保冷剤を使えば、魚を凍らせることもできたりする。
クーラーBOXの蓋を開ける行為が保冷効果を下げるため、魚と飲み物を別にするほうが保存効率としては良くなります。
アニサキスを退治しつつ刺し身にしたいなら冷凍庫で2日以上置くこと
アニサキスは-20度以下を継続させることにより24時間で死滅します。
家庭用冷凍庫は「-18度以下であること」が条件のため、-20度以下は機種性能を調べる必要があったり。
一切開け閉めしない条件なら、-20度になることも可能です。
なので、アニサキスのリスクを回避しつつ、刺身にしたいなら、「2日は冷凍庫を開けない」という気概が欲しい。
冷蔵庫もそうですが、開け閉めするだけで数度は上昇します。
気温があがる夏期は、冷蔵庫の開け閉めを極力少なくすることで、節電にも繋がりますよ。