サーファーがサメに襲われ、磐田~湖西の遠州灘沿岸では目撃情報もあり、警戒態勢が敷かれている。
古来より海中で人を見敵必殺してくるのはサメであるし、奴がメガシンカせずとも恐ろしい存在であることは、遺伝レベルで学習しているはず。
とはいえ、サメも人間を好んで襲うわけじゃないです。
報道するにも、「サメが現れた! 危ない!」だけでなく、「こうこうでアレだから危ないんだよ?」で広めて頂きたい。
なぜ人が襲われるのかを知るついでに、サメさんに触れてみましょう。
水中の強キャラであるサメの話しようぜ!
去年は駿河湾沿岸で、シュモクザメ(ハンマーヘッド)くんが存在をアピールしていました。
静岡沿岸にやってきたといわれる3種内では、アオザメが事故例もあることで危険なサメと知られています。
──とはいえ、「サメは全て危険なのか?」と覚えるのは早計。
アオザメはフカヒレの原料ともなるので、人間に屠られた数のほうが多い。
マグロをバックリ噛み切る歯を持つサメも、全体でいえば半数以下かもしれない。
全てが肉食であると思われがちだが、貝類や甲殻類だけを食べる種もいる。
ネコザメは港でも虫餌で釣れることもあるし、愛らしい姿と凶悪じゃない歯を持つ。
浅瀬から深海まで、幅広い生息域と種が存在するのがサメさん達。その中でもオールラウンダーなのが、人喰鮫とも呼ばれるヤバイサメ達。
餌を求めて生息域を離れることができ、深い場所から人が立てる程度の水深にも対応するのがヤツらなので、魚類としてはある意味完成形かもしれない。
サメの捕獲例が多いのは、実のところ釣り人だったりする(記録的な大きさも含めて)。
水中では無敵キャラぽいサメですが、釣具で釣れちゃうし、それなりに弱点は存在します。
サメさんの弱点
サメさんは基本的に臆病な生物。正しくは慎重というべきかも。
自然界に生息する生物は総じて臆病です。それは見慣れない物に対する不信感からくるもの。
「あいつ危なそうだな……食ったろ!」の精神では、ハリセンボンの反逆で痛い目を見るでしょうし、ヤバイ色の魚でトブかもしれません。
サメは軟骨魚類で、わりと古い魚の形をしている。
硬い骨は頭部と脊椎くらい。骨格標本になれば、図体のわりにサンマより骨が少ないイメージを受けるでしょう。
浮袋を持たず肝臓の脂で浮力を調整するため、小型になるほど底を泳ぐ傾向があります。大型になるほど、底から海面付近まで幅広い生息域を持ちます。
一部を除いて遊泳力は弱い部類。速い相手には振り切られちゃいます。
魚類としては弱点だらけなサメさん……。
その代わりに、一撃必殺(ワンパン)の歯を持ったのかもしれません。
それは生きるための権能ともいえる。
ヤバイサメに共通しているヤバみのある武器
・とりあえず噛み付く好奇心がある
・泳ぎが無駄に達者
・大きく育つ(3~6m)
・浅瀬に対応するので川へ遡上するケースも
・歯が裁断機よりヤバイ
「ヤバイサメ」を要約すると──、でかくて速くてワンパンしてくる強キャラです(地形効果アリ)。
RPG的にいうと、逃走不可で1ターン目に全体即死技を放ってくるようもんです。
人喰鮫と知られる「ホオジロザメ」は、捕獲例でいえば1トンを超える物もいる。それより小さめな「イタチザメ」でも、3mで800kgもザラ。
こいつらはずんぐりと育つし、顎のパワーは鉄製の檻もひん曲げるので、事故例は世界で最も多いとされている。
1m程度の小型でも、歯の鋭さは魚類トップクラスのため、肉を削ぐくらいは余裕。
なので一噛みが人間にとって致命傷となるケースが多く、それが「人喰い」と云われる由縁でもあるでしょう。
……つっても陸上に居る限り、シャークトルネードしてこなければ、絶対安全なんですけどね。
水中での事故は彼らより離岸流の方が多いだろうし、陸上では交通事故で命を落とすほうがよっぽど多いです。
そんな凶暴であるサメさん達にも弱点は存在するようで。
対処法もシチュエーションによって可能であったり、なかったり。
サメさんから身を守る術
沿岸に来るサメはもともと肉食タイプが多い。
それが人喰鮫であろうがなかろうが、人が襲われる可能性は高い。
外洋から沿岸に寄るならば、普段生息する地域に餌がなくて漂浪してきた可能性が高く、もともと血の臭いがすれば寄ってくるし、バタバタ動けば弱った魚と誤認して襲ってくる。
人が襲われるのは、可能性として高いだけ。
サメに噛まれた場合、人間の力で撃退するには、いくつかの選択は残されている。
1.一瞬の放電でびびらせる
2.大勢で音を立てて脅す
3.鼻っ面にカラテパンチを叩き込む
(1)は乾電池が有効とされている。水中に単一でも放り込めば瞬時に放電するため、それに驚いた魚は逃げていく。
とはいえ”濡れずに”乾電池を持ちながら、サメに襲われた時に「くっ……! これでも喰らえ!」とグレネードを投げるような余裕があるのかが疑問である。
定期的に放電するウェットスーツがあれば可能だけど、それが流行れば流行ったで、その水域から魚が居なくなるか、それに慣れてしまうか、自分が感電するかのどれかでしょう。
(2)は単独では効果が薄く、波待ちしているサーファー達が全力で海面をバンバンすれば対策にはなる。……けど、サメがいるなら速やかに海から上がるべきだと思う。
(3)は腕を噛まれた場合に、水上へ出た刹那に叩き込むことが有効とされる。水中でマッハパンチを繰り出すのは、ボクサーでも難しいものです。
ようするに、「水中でサメに勝てるわけないから海からあがろ……?」が確実な防衛手段なわけです。
「禁止」には必ず理由があるし、それを理解して受け入れるべき
夏を過ぎたと感じるこの時期でも、「遊泳禁止区域」で溺れるニュースは後をたちません。
別に”そこ”でも泳ぐことは可能ですが、人力ではどうしようもない流れが発生しやすかったり、急に深くなったりする場所が主となります。
近い場所に住むならそういう性質や理由を知るでしょうけど、外部から来たらそれを知らない人も居るでしょう。
けれど、原理を知っていれば「危ないかもしれない」てのはわかるわけです。
ちなみに”速い流れ”は大体2ノット以上で、これは時速でいうと「約4km/h」。人の歩く速度と同じくらいですね。
競泳の世界記録で時速8kmですが、離岸流など極速い流れとなれば5ノット以上は行くので、金メダリストでも流れに逆らって泳ぎきるのは無理ってわけです。
船舶免許が不要な2馬力のエンジン付きボートでも、この流れに逆らうのは厳しかったりします。
外洋に面した沿岸はほとんど遊泳禁止です。
遊泳できるのは、堤防で流れを弱めてそう整備していたり、湾内で流れがほぼなく浅かったり……など。
有り体にいえば、ほぼ泳ぐ必要のない場所がそうなっています。
水中にサメがいても、地域ぐるみなら対処できないことはないですが、最もたる理由は「人間を餌を覚えさせないため」でしょう。それはクマも同じこと。
「そこに行けばいつも腹いっぱい食わしてくれる」と覚えたら、足繁く通うのは人間も同じこと。
野生に人が餌を与えることは、そういうリスクがあるわけです。
サメさんをもっと知るには水族館へGO!
凶悪なイメージしかないですが、生物のフォルムとして魅力的なのがサメさん。
生身で観察すればワンパンされる恐れがあるが、絶対的安全防御が約束された水族館では、じっくりと愛らしい目を見ることも可能です。
他の魚と同じ水槽で共存している姿を見れば、「あいつも普段はワルじゃないんだな」と、考えを改めるかもしれません。
八景島シーパラダイスのエイが、展示されてるアオリイカを捕食してて唖然 (;;°;ё;°;;) こわいよ! pic.twitter.com/nNf1a5U4YQ
— 真 奈 実 (@Eternalshm) 2017年8月7日
……まあたまには、こんな光景もあるでしょうけど。