アングラーは、一年中、釣れる魚を追うことが生態。
釣れやすい時期は産卵期(繁殖期)に該当することがほとんど。
釣れるだけ釣りたいけど、釣りすぎては数が減ってしまうジレンマに悩まされます。
釣りすぎを抑制するのが「マナー」であり、種の保存は「共同漁業権」という法律でも定められています。
この記事のまとめ
アングラーが一年中魚を追う中で、釣れやすいのは繁殖期が多いです。しかし、釣りすぎは魚の数を減らし、その対策としてマナーや法律(共同漁業権)が重要です。日本の漁業は厳格な漁業権に縛られていますが、遊漁(レジャー釣り)は緩やかな規則で楽しめます。例えば、冬季に人気のロックフィッシュは成長が遅く、釣りシーズンと産卵期が重なるため、リリース推奨というマナーがあり、法律ではありませんが重要です。
宮崎県や山口県などでは、具体的な漁業権に基づくルールがあり、違反すれば罰則もあります。例えば、宮崎県では18cm以下のカサゴは再放流が義務付けられています。このような資源管理はSDGsや食文化の保護にも関連し、持続可能な釣りのために必要です。
釣りすぎ問題は、遊漁者が漁獲量を把握しづらいことからも発生しています。管理釣り場ではリリースサイズや持ち帰り数のルールがありますが、海での釣りは自由度が高く、一部のアングラーは自制しています。多く釣って楽しい反面、全体の資源に影響を与えることを意識し、必要な分だけ釣ることが大切です。
法に縛られる漁業、無知でも出来る魚釣り
日本の漁業は近年、水揚げ不足で悩んでいます。
一方魚釣りでは、それが顕在化していない……。
実はお互い対等なわけではなく、”魚を捕る”に関しては、漁業の方が厳格なルール(法律)が敷かれています。それが「漁業権」。
魚釣りは「遊漁」に該当しますが、漁業よりはゆるゆるな内容で、遊びの範疇なら魚を捕まえてもいいよって法律。
魚釣りの釣りすぎ問題が耐えないのは、魚釣りをするために遊漁規則は必須な知識ではないこと。
釣具屋で道具なりエサを購入し、水辺に行けば、誰でも魚釣りは出来ます。この自由度がレジャー(遊漁)たるゆえん。
一部では漁協や地域自治体が定めたルールもあります。破った場合は罰則がありますけど、法律よりは厳しく感じないのではないでしょうか?
ルールはマナーの延長上にあるだけで、ざっくりいえば、「あらゆる人が不快に思わない決まりごと」なだけです。
当記事は、魚釣りでたびたび意見がふつかりあう「ルール(法律)」と「マナー」について、どう違うのかを簡単ながら説明します。
ロックフィッシュで考える「リリースはルールorマナー?」問題
「ロックフィッシュ(根魚)」は冬季のメインターゲットです。まあ年中釣れますけど……。
ロックフィッシュはリリース問題がよく発生します。その起因は、成長が遅いことと、産卵期が釣りシーズンに当たることのふたつ。
定着性があり回遊をしません。つまり、一箇所で釣れるだけ釣ってしまうと、その場から根魚は姿を数年消すことになります。
これらの理由から、冬季のロックフィッシュゲームでは「リリース推奨」とされているわけです。イシグロのHPに詳しく書かれているので参考にしてください。
ちなみに、「リリース推奨」は釣り人が決めた独自ルールです。
それはマナーの範疇であり、守っても破っても、法的拘束力はありません。リリースサイズに厳格な規定もなく、個人の裁量によって決められています。う~んガバガバ。
でも根魚は、漁業権で守られている地域もあるんですよ。
あなたはもしかしたら……法律違反をしていたかも?
ロックフィッシュに資源管理措置が施されている県の例(宮崎・山口)
瀬戸内海は地磯が多く、ロックフィッシュの聖地と呼ばれることもあります。漁業も盛んで、捕りすぎによる個体減少を防ぐために、漁業権で明確なルールが敷かれています。
宮崎県はカサゴの資源回復計画のため、地区別の漁獲量制限と、小型魚を再放流するサイズの規定があります。それは”18cm以下”ですから、比較的厳しい基準ですね。
これは共同漁業権で決められたことなので、カサゴを捕る人たち全てに当てはまり、遊漁も含まれます。宮崎で18cm以下のカサゴを持ち帰ると、法律違反(もしくは条例違反)となり、罰金刑が課せられることもあります。
山口県はキジハタ(アコウ)に制限がかけられています。
該当水域で釣れた30cm以下のキジハタはリリースしましょう。ロックフィッシュゲームでも人気なので、雑誌の特集で知った方もそれなりに居るのではないでしょうか。
釣り人が釣る量はブラックボックス状態
宮崎県の引用元の最後に、この一文があります。
併せて、当計画の終了後、カサゴを自立した資源として、維持管理していくためには、カサゴ資源を利用する遊漁者の協力も不可欠である。今回、かさご延縄漁業者の主導により、資源管理協定の作成が進められることから、遊漁者においても、水産資源の保護、漁場の円滑な利用の観点に基づき、漁業者の定めた禁漁区の遵守等の協力を求め、定着性の高い資源管理体制の構築を目指す。
宮崎海域カサゴ資源回復計画が改正されました
近年はSDGsの取り組みや、食文化に対する危機感があったり、資源管理に関する国民の注目度は高くなっています。
資源管理をするために必要なのは以下の事柄。
- 現存する最大資源量を把握すること
- 一定の資源量があることで回復する見込み量を算出すること
- 年間で水揚げされる資源量の見込みを把握すること
(1)は1匹ずつ数えるのは無理なので、水域のとある範囲に生息する個体数から、概算を統計で割り出します。なので見込み量と変わりません。
特に問題なのは(2)と(3)です。生態がハッキリと解明されている魚は(養殖でも)少なく、抱卵の確認から産卵数が分かっても、孵化してから成魚になるまでの期待値はバラバラ。
そして(3)は各水域の漁業組合が申請するので、その数字を丸々信用していいか? が疑問です。
……資源管理計画において、確実な数字が出せないのは、遊漁に釣られる分を計上できてないから。
例えばとある漁港でアジが爆釣になり、多くのアングラーが1人当たり100匹とか釣ったとします。50人が達成したと仮定すれば、5000匹の水揚げがあったわけですね。1匹が100gとすれば、0.5トンも遊漁で水揚げされた事実が抹消されていることになります。
食べる目的で釣るなら、欲しい数だけを釣って帰ろう
管理釣り場は持ち帰り数やリリースサイズをルールで定めていますが、無料で遊びやすい海の釣りは、無法地帯のようなもの。
一応アングラーは独自のルールで自制しています。だけど全てじゃない。
たくさん釣れると楽しいのはわかりますが、際限なく釣り続けることは、やがて自分だけじゃなく全体の首を締める結果になることを、頭の片隅に置いていただけると幸いです。
「100匹釣ったどー!」とか数釣りして持ち帰る爺ほど、自分は食べずに近所に配るとか、よくわかんねぇ行動をするタイプが多い気がする。