料理をおいしく撮るのはプロでも難しい。
釣り人の刺身は半身を短冊斬りにして、皿に載せただけの物が多く、彩りが乏しい傾向がある。
もともと刺身をキレイに魅せるのは難しく、写真映え難易度は更に上昇。
「どうしてもまずそうに写るんだけど…」
と悩める人は、まず皿に気を使ってみましょう。
ポイントは「コントラスト」です。
刺身は盛り付けより皿にこだわろう
まずは刺身がまずそうに写る最大の理由について。
(ある程度)気軽に釣れる魚は白身が大半です。
近年インテリアショップなどで販売される皿は洋物が多く、それは白色が多いため、血の赤が微妙に残る刺し身が乗ると、血の色だけが強調される。
ようは料理と皿が同化しやすいわけです。
そのため
「なんか汚くない?」
と見えるわけ。
赤身のマグロなら全然気になりませんけどね。
皿は料理にとってのキャンバス
料理に対する皿選びのコツは、「何を乗せるか」を考えること。
絵を描くキャンパスに捉えて、そこに「何色を描こうか」とする感じ。
これは「白い皿には暗色で絵を書く」「黒い皿には明色で絵を書く」かの違い。
つまり、料理と皿の「コントラストを真逆にする」と、見栄えがガラリと変わります。
──白いノートに白の修正ペンで文字を書いても、わかりにくいでしょ?
文字だけでは伝わりかねると思いますので、この前釣れた”キス”を例にして、皿選びの重要性を説いてみましょう。
(※これからの写真は全て同条件(自然光+蛍光灯)をもとにスマホで撮影しています)
白身の魚には黒っぽい皿を選ぼう
これはキスを開いたものですが、白い皿だとこんな感じに写ります。
身に光沢があり「おいしそう」に見えなくもないけれど、血合いが際立ってしまい、「生臭そう」に見えます。
この写真には「白と赤」しか存在せず、血の色が目立ってしまい、鉄の味が連想されてしまいます。
同条件で黒い皿に乗せると……
濁ったように見えた部分が皿と同化して、透き通ったように見えるようになりました。
身の白さが際立ち、先の写真よりは「臭くはなさそう!」と、おいしく写っているかと思います。
白い皿は薬味で彩りを、黒い皿は単品でこそ映える
白い皿に大根のツマを乗せても、「シュレディンガーのダイコン」になるので意味がない。
こういう時に使いたいのが「大葉」「しそ」「細ねぎ」などの緑色。
「笹」を敷くのも効果的で、模造の「タンポポ」を乗せてもいいし、「もみじおろし」もアクセントになります。
コツとしては「一皿に3色」使うよう意識すると、見栄えが良くなります。
黒い皿だと緑色は同化してしまうので、刺身とツマだけで勝負する。
この時に重要なのが、刺身の厚さです。
身の厚さでも皿はこだわるべき
先の写真を見てもらえばわかるとおり、身が薄いと皿が見えてしまい、同化してしまいます。
そういう場合はなるべく厚切りに。すると陰影がボリュームを出し、刺身が映えます。
どうしても薄く造りたい場合にはツマを敷くか、柄物の皿を使うと効果的。
「ふぐ刺し」がいい例です。
薄く造る場合には柄物の皿が役に立ちます。
イラストを写した「痛皿」があっても、おもしろいんじゃないかなと。
料理にフラッシュは厳禁!照明もこだわるとプロっぽくみえる
料理の写真に影が必要なのは「高さ」を表現する時。
山盛りされた具材は、逆から光を当ててテーブルに影を落とすほうが、高さが伝わりやすいでしょう。比較する何かを並べるのもアリです。
ステーキの厚さも同様で、絵を立体的に見せるために、影は欠かせない存在です。
飲食店はテーブルごとに照明が備え付けられており、昼白色の蛍光灯を使っている所は少ない(清潔感を出したいなら昼白色)。
赤みを帯びた「電球色」は、室内に暖かみを持たせる効果があります。
これがあるとないとでは、写真に撮った際の見え方が全然違います。
「照明を用意しても1人じゃ持てない、照明クルーを雇わなきゃ(使命感)」と思うかもしれません。
そんな時に役に立つのが「クリップ型の間接照明」です。
LEDなら肌色のストッキングをかぶせるとか、コンビニの袋をかぶせるとかでも対応できます。
家庭でもダイニングテーブルを置く場所には、赤を帯びた照明が存在するか付けられるようになっているはず。
料理が並ぶテーブルでおいしそうに映らないと、意味がないですから。