毎日新聞が掲載したニュースを知り、「バス釣りクラスタは激おこやろなぁ」と傍観して数日。
反応が薄いというか……、むしろ知られていない感じ。
記事の見出しは「琵琶湖 外来魚釣りの有料化検討 知事、導入を調査 /滋賀」で、有料化だけに反応してプンスカしている人が少なからず存在する。
遊漁税(有料化)に関しては、「そうしなければならない理由」が存在するわけです。
反対意見もチラホラ見ますけど、本気で阻止したいのなら、対案を考えるべきです。
というわけで、たまにはそっちのアシストをしてみようと思いました。
琵琶湖の外来魚釣りはなぜ無料だったのか?
とりあえず毎日新聞の短い記事を読んでもらい、賛成か反対かの考えを持ってから、当記事を読み進めたほうがよろしいかと。
念を押しますが、まだ「検討段階」ですからね。決まったわけじゃないから。
琵琶湖の外来魚釣りは現在のところ無料。他には霞ヶ浦も。
遊漁券は釣り人が漁協にお金を支払う形で、生息生物など水域全体の保護に一役買っています。
琵琶湖と霞ヶ浦にソレがないのはなぜか?
その理由を調べたら──
「湖面が広すぎて管理(監視)が無理すぎるから、もう海扱いで、自由にさせてもええんちゃう?」
という意味合いだった。
てことで、この二箇所に関しては海と同様の遊漁権が釣り人に与えられているため、実質無料で楽しむことができるわけです。
無料の湖面に釣り人は対価を支払っているのか?
「海と同様の権利なら、どうやって管理と維持をしているの?」と誰もが謎を感じるはずですし、感じて欲しいです。
これは税金と漁協です。一括りにすれば管理団体です。
税金は全体を県知事が総括して、湖に隣接する自治体(市町村)が各々で捻出する形。
釣りをするに無料であれば、事実上は国民と漁業従事者が共同出資して、釣りをさせてもらっているようなものです。
てことは、「(無料なら)税金と漁協のどこに貢献しているの?」って話になります。
広義でいえば、税金は支払っています。
何かを購入すると「消費税」があるし、その一部は地方税に使われています。
量販店や企業は法人税があるし、消費者はその一部に貢献はしている。
「お前ら一切支払っていないじゃないか!」という反論をされたなら、「こうこうで払っているから(震え声)」と弁論する余地はありますね。
ですが、説得力は今ひとつです。
漁師からすれば、「俺らなんて倍払ってるようなもんやで」と、ツッコミが来ることでしょう。
そういわれると、何も言い返せません。
「釣り人だけじゃなく観光客もゴミを捨てるやん?」の反論について
釣り場の有料化に至る問題として、ゴミ問題が必ず提起されます。
海水だろうが淡水だろうが、地表に落とすのは訪れた人。
釣具を水中に入れて、不本意ながら投棄してしまうのは、釣り人だけです。
水辺に訪れる人たちは総じて「観光客」で扱われる。
なので釣り人が「観光客が捨てた!」と言い訳するのは、他所から見ると「アイツ自分で自分のことをいってるけど(困惑)」となるわけです。
観光だけで訪れた人にとっては、「誰もが水辺に行くわけじゃないし」といいたくなるでしょう。
第三者から見れば、水辺に必ず寄る観光客といえば釣り人の認識でしょう。
これからも釣りポイントを「無料」で在り続けたいのであれば
外来魚はすでに法律で、「これ以上増やしたらダメやで」と釘を刺されている状況。
有料に至る問題としては、「生態系の維持、よりも改善方向に」と「ゴミを減らすし出さない努力をする」ことが挙げられます。
ということは──答えは簡単ですね。
「俺らで外来魚の生息数は管理するし(増やさない。拡散しない)、水辺のゴミは誰が捨てようが責任持って片付けるで。もちろん水中もな! 俺らで自然のまま水域を綺麗に維持していこうな?」
と、訪れる釣り人の100%に同意してもらい、実行すればいいだけ。
……理屈では簡単でしょう?
つまり釣り人だけで生態系を維持、もしくは改善できれば、誰もが納得する話。
意識高い人達が好きなボランティアを、訪れた釣り人全員が、進んでやるだけで維持が可能ですし、その活動報告を広報すりゃいいだけ。
簡単には感じるけど、実行は面倒でしょう?。
ボランティアも強制すりゃタダ働き
- ゴミを回収するならゴミ袋が必要。ゴミが詰まった袋を回収してくれる業者も必要。
- 外来魚を駆除するのなら、その証拠として数値が必要。それをどのように集計するか、自己申告? 回収ボックスに入っただけを数えるの? 回収された外来魚はどこに処分してもらう?
- 行政に提出する活動報告は誰がまとめようか、それと広報活動はどうしようか。んで誰が行くの?
とまあ個人ではとても無理な作業量になるわけで……、ならば組織を作るほうが手っ取り早い。
仮に琵琶湖に近い釣り人同士で、組織を作ったとします。
活動費をどう捻出しましょう。
共同出資にすりゃいいと思うでしょうけど、継続するにしたがって「この活動に意味はあるのか?」と感じはじめると思う。
同じ釣り人でもゴミを捨てられれば仕事は増えますし、関係のない観光客であればなおさら。
「無料でもなんとかしたい」は、すでに行政と漁協が通った道です。
それが無理だったから、「もう有料化でその費用を賄うしか──」て話になっているわけ。
そして誰の目にも関係者であることが明らかな釣り人に、その一翼を担ってもらおうって話。
遊漁税の先駆けである「河口湖」から知る効果
河口湖はバス釣り大会も開催され、国内ではメッカなエリア。
遊漁税が導入されたのは平成13年7月のこと。
遊漁税は「法定外税」であり、地方税の税制改正で導入ができるようになりました。
河口湖でこの税金がどのように使われているのかというと、環境の保全と整備のためです。
「有料化にすると釣りに来る人も減るだろうし、これは愚策じゃね?」
と思う人は多いだろうので、税収の推移を簡易にグラフにするとこんな感じ。
参考:遊漁税収入額の集計|富士河口湖町
HPに導入初期からのデータがあるけど、正確な数値がわからないので、H20年からにしました。
確認できるH13年の導入から現在まで、来訪人数の減少は継続しており、税収額も同様。
ガクッと下がったH25年は、関係あるかはわからないけれど、富士山が世界遺産登録された年ですね。
最も税収が多かったのはH14年の約4000万。
それから減少を続け、H21年が最後の1000万台。
「ホラ見ろ! 有料になったことで釣り客は減少して、施策の意味はなかったじゃないか!」、と喚く人は多いでしょう。
でもね──日本の人口は減少傾向だし、釣り人口も減少しているからね?
一度は廃止も検討された遊漁税
河口湖で遊漁税が導入されてから10年──、H23年に一度廃止が検討されました。
節目ってこともあるでしょうけど、「一定の環境整備が完了したため」がその理由。
環境整備の恩恵を感じている釣り人の声は、見かけないレベルでした。
観光客からは「トイレが綺麗になった」など、違う視点で改善されたポイントもあります。
導入後に設備増強が完了できたことに、関係者は手応えを感じたようで、他の湖沼でも導入したらどうかの提案もあったくらい。
財源確保としては成功例だったみたい。
釣り人に恩恵はなかったかのように書きましたけど、まあそれもそのはず。
その中でも「環境への配慮をしろ」と喚起したのは、業界全体でも一部くらい。
全体ではなく個人がバラバラにひっそりと、誰に向かってかわからず注意していたわけです。
これは海にしろ湖沼や河川でも同じこと。
釣り人同士がいつもあーだこーだしている「マナー」を、100%の人が守っていれば、悪くても現状維持くらいで、ひどく悪化することはありません。
マナーから外れた人はごく一部とされていますが、そもそも居なければ問題も浮上するわけもないけどね。
琵琶湖の有料化が決定すれば次は海かもね
近年は不景気による収入源や、公務に携わる人の不祥事なりで、「税金の使い道」がよく話題にあがります。
リンク 税の意義と役割(税のしくみ)|国税庁
税金は国民の寄付が集まったようなもの。それを糧に生きる方々もいます。
地方税の一部となる法定外税(遊漁税)は、足りない財源を利用者からピンポイントに集めることで、予算(財源)を確保し、潤沢にあてることができます。
「行政のサービスを良くしろ」とは聞きますが、税金を節約されるとなんにもできないんですよね。
税収がなければ公的整備や投資もできません。
仮の話で、琵琶湖に限らず、無料の釣り場の有料化を防ぎたい場合なら……。
釣り人同士が小銭を出し合って、寄付の形でも出資すりゃいいわけです。
今はその形が存在しないせいもあります。
釣りをする免許(ライセンス制)が必須となり、その一部が税金として徴収されるでもマシになるはずです。
今まで普通にできていたことが、第三者によって制限されることは、当事者達にはわからない問題を、それだけ抱えこんでいるわけ。
自分には関係ないとか、自分だけがといってるだけじゃ、結局のところ、自分本位なだけ。
「なぜ此処で釣りができるのか?」を、釣りをしながらでも考えてみましょう。
その答えがあるならば、どこかしらで意見もいえるでしょう。
バス釣りブームが終焉し、バブル後から釣り人口は減少の一途でした。
近年は景気回復もり、釣り人口は若干ながら増えてはいるよう。
人口は減少しているのに、おもしろい推移。
リンク グローブライド株式会社の企業データ|DODA
釣具のみの売上高では業界トップのグローブライド(ダイワ)の推移を見れば、売上高も上昇傾向です。
経常利益を見たほうが本質はわかりやすく、記事中でも言及されているように、物価高による値上げが響いていますね。
株価を見れば、年明けにはフィッシングショーでどこも上昇しますけど、年度明けの値上げでどこも煽りを喰らっている感じ。
釣り業界の売れ筋として、近年だと高値のハイエンドモデルが売れているとのこと。
売上を維持もしくは右肩上できるのは、客単価が上昇している点もあるし、釣り人口が減ってはいないことも挙げられる。
しかしながら、ひとつのジャンルに人が増えることは、新規と旧来のマナー対立が加速するのもあり不具合も発生しやすい。
とっとと法令でライセンス制にし、「決まりごと」を作ればいいのに──と常々思っています。