刺身を愛する人でも、なるべく生食を回避してほしい魚がいる。
それが『サバ』を含む青魚たち。
「生き腐れ」「アニサキス」などの食中毒リスクはご存知でしょう。
リスクを技術で回避した、「生食できるサバ」が、市場に流通する日もそう遠くはない。
九州の新サバブランド「唐津Qサバ」
サバは「刺し身はメチャウマだろうけど、食べることが難しい魚」の代表格。
「生き腐れ」ともいわれ、鮮度がひときわ速く落ちるのが原因。
これを解決するには、注文を受けてから水槽に泳ぐサバを捌いたほうが、手っ取り早いし確実。
アニサキスは海中に卵が漂っており、海に生息する魚なら、感染しないほうがおかしいレベル。
──などの食中毒リスクを回避するには、陸上で養殖するのがひとつの解です。
マサバの完全養殖を実現し、『唐津Qサバ』のブランドを確立したのが、唐津市と九州大学の尽力によるもの。
なんといっても、生食が可能になるのが一番のウリでしょう。
アニサキスの感染源をシャットアウトしているため、身に宿る恐れが一切なく安心なところ。
当たらなければどうということはない理論ですね。
アニサキスが存在せず、活魚で輸送できるため、全国でサバの刺し身が楽しめる時代になった、のかもしれません。
サバブームを支える養殖技術
養殖業のネックは、成長にかけるコストです。
「養殖=安定」と考えがちですが、育ったら捕まえる「漁」に比べると、水揚げ量は施設の大きさ次第。
例えば静岡県のサバ水揚げ量は、年間約45,000トンで全国3位です。
東京ドーム1個分の水槽で、何匹養殖が可能なのだろう──。水揚げの期待値はどれほどか、などを考えると、養殖は楽な選択じゃないと感じる。
天然より高ければ売れないし、自然にまかせて育てるのは難しい。
減税措置はありますが、施設が巨大になるほど、固定資産税もかさんでしまう。
……など、ユーザーの認識よりも養殖業はシビアな世界です。
でも最近は自動化が進んでおり、人件費をかなりカットできるので、参入するケースも多いですね。
川の水でも、科学で海水には近づけるので、土地の安い山麓でも可能になってきたのが大きい。
那須高原みたいな場所が、一大養殖場になるのも、ありえるかもしれないですね。