台風3号が発生し、予想進路が日本列島を縦断しそうってことで話題に。
都心に最接近する頃は、終電がアウトなタイミングなので、会社に泊まり込むハメになりそう。
「じゃあ明日の分もできるね^^」
といわれかねません。
台風は予測可能な自然災害です。
今回は太平洋沿岸を沿う進路で、「なぜそうなるのか」などを説明するに、現在の気圧配置がかなり適していると思った。
天気図を感覚的に読んで、未来を予測する能力を身につけてみよう(誇大)。
スーパーコンピューターの計算に勝てるのは人間の「感覚」だから
気象予測には、スーパーコンピューター(スパコン)が使われています。
人間がコンピューターに勝てるのは「感」と「勘」。
気象予測でも、コンピューターが判断しきれない最後の詰めは、「長年の勘」を使っている。
それだけ人間が蓄積してきた「経験」と「勘」のデータは、馬鹿にできないわけ。
誰だって気象コンピューターに勝てる可能性はゼロではないってことです。
適当だからこそ読みやすくなる天気図
これは台風が長崎に上陸した直後の天気図。
「なんで台風が列島を散歩するの?」の答えはこんな感じ(↓)。
ユーラシアからの空気と、太平洋からの空気が均衡している境界線が「梅雨前線」で、画像だと赤の部分。
この気圧配置のままなら、台風の上部は梅雨前線の下を通ることになりやすい。
ようは、赤いラインが台風にとっての「壁」であり、「道」みたいなものです。
台風が900hpa以下クラスで質量がヤバイと、高気圧など若干ぶち壊して進みます。
それでも気圧の谷は存在し、そこへ気流が流れるため、壁に沿って移動するのは違いません。
そのいい例が、2016年に東北や北海道に直接台風が乗り込んだケース。
http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/data/hibiten/2016/1608.pdf
この時の高気圧は、夏期にしては珍しい位置。
東北沖に沿いつつ、北海道の釧路沖だけちょっと張り出すようになっていた。
太平洋高気圧としては勢力が弱いてこと。
高気圧が張り出してないため沖縄・四国にも寄らず、東北沿岸に高気圧が花道を敷き、それに沿って台風が進んで北海道に3連続入場──。
ジャガイモが壊滅状態になったし、東北にも直接上陸したりと、観測史上初が多かった。
「なんで台風は沖縄から九州を通るコースが多いの?」
沖縄が餌食となりやすいのは、「気流と高気圧のあわせ技」だからです。
地球の北半球は『反時計回りの気流』が流れており、南半球は『時計回りの気流』が流れています。
これは「地球の自転」によるもの。
それを詳しく知るには、PanasonicのHPにある「台風のふしぎ」が最も参考になるかと。
赤道付近で発生した台風は、日本領海に入るとスピードを上げて斜め上に進んでいきますよね。
これは北半球の気流に乗って進み出すからです。
それに乗らなかったり、大陸の高気圧が弱いなどの理由があれば、日本から逸れて台湾に向かったりします。
停滞するタイプは、進行方向を気圧の壁が阻むから。
四国でぐるぐる周った時は、高気圧がちょうど中国地方から紀伊半島にかかっていたため。
台風は壁がない限り、日本了解から右上に進み出すので、天気図にある気圧の谷をチェックすれば、台風の進路も予測できます。
台風の中心部以外で大雨が降りやすい理由
低気圧が雨を降らせやすいのは、周囲から違う温度の空気を取り込みやすいため。
台風は反時計回りに渦を巻いており、その影響力が高いのが東側の右半分です。
海面温度の高い太平洋からの風を取り込み、中心部ほど下がる気圧で雲が発生しやすく、また山間の高低差も引き金となり、局所的な豪雨になりやすい。
四国で雨が降りやすいのは、ど真ん中に山間部があるため。
海上からの温かい空気が山にぶつかり、上昇して気圧が下がると雨雲が発生しやすく、そのため四国南部では特に降りやすくなります。
うどん県は山の裏側なので、表の高知や徳島で降りきってしまうから、年間降水量が少なかったりします。
東海地方で愛知と静岡の沿岸は、平野のため台風でも雨は降りにくいほうです。
高層ビルが多い都心や、上空に寒暖差のある前線が通る時は、それが雨雲のトリガーとなりえます。
ようは「低気圧に向かって風が流れるから、そこに遮る物があると雨が降りやすい」って感覚でOKです。
スカイツリーのような高層建造物も、周囲に噴水やらプールが多いと、頭頂部で雲が発生しやすくはなりますね。
そのおかげで某花火大会では残念なことになったような……。
天候変化の仕組みを理解すると急激な変化も予測しやすくなる
台風はどんな人でも驚異と捉えています。
いっぽう『春の嵐』や『爆弾低気圧』は該当せず、それと同規模の気象現象であるにかかわらず、驚異があまり知られていません。
そのため、春の嵐が来る時期は、各地の湖でボートが転覆したりなんだりが多いです。
それでライフジャケットの必要性を熱弁する人もいますが、気象庁が「危ない!」って注意してるし、予想してくれているのに、なんで? って話です。
アウトドアレジャーで、天候による続行or退避を最終決定するのは、自身です。
リンク 予想天気図の説明|気象庁
知識として植えるなら、気象庁の説明を丸暗記するくらいが妥当。
記号の意味を知るよりまずは、「等圧線」を理解するようにしましょう。
等圧線は気圧の高低差を表したもので、幅が狭く密集するほど、風が強く吹きます。
台風の等圧線はみっちりで、接近すると急激に気圧が下がるため、動物の体調にも影響を及ぼします。
「本能」として察知するケモノもいますが、人間は予測できる知能があるし、事前の対策を心がけましょう。
気圧計がある腕時計も珍しくないですが、リアルタイムで下がっている場合は、時すでにオスシな気もする。
「気圧の変化=気温の変化」だから、肌で感じやすい現象ではあります。
ただですね、山間部はその予兆を感じる余裕がありません。
なぜなら、今そこにいる場所で変化が起きるからです。
だから「山の天気は読みにくい」といわれるし、渓流アングラーこそ気圧計は持ち歩くべきです。