メンダコはとにかく弱い。
お触りはNG。カメラを向け続けるだけで死ぬ。
ドッキリに弱く、音や光、水流で死んでしまうことも……。メンダコは体とメンタルの弱さでは随一を誇る一方、姿の愛らしさで莫大な人気を集めている──。気弱でステージに上がると死んじゃうかも~な設定のアイドルはいそうだが、メンダコはマジで死ぬから困る。そんな存在。
俺はせめて、メンダコより強いメンタルでありたい。
ポチップ
この記事のまとめ
メンダコは非常にデリケートで、触れたりカメラを向け続けたりするだけで死んでしまうほど弱い生物です。音や光、水流でも簡単に命を落としますが、その愛らしい姿で人気を集めています。メンダコを飼育するのは難しく、深海生物であるため地上に出た時点で昇天することも多いです。それでも水族館は集客効果を狙って飼育に挑戦しています。
メンダコが見られる水族館は限られており、飼育記録があるのは沼津港深海水族館などです。訪れる際は事前にメンダコが展示されているか確認しましょう。メンダコは弱い生き物ですが、その存在は貴重であり、見ているだけで価値があります。私たちもメンダコより強いメンタルを持ち、ストレス社会を乗り切りましょう。
メンダコより強いメンタルでありたい
ポチップ
ストレス社会だの、地上は些細なことで騒いでいる。
だが水中生物にもストレスが存在するのは確かである。
メンダコは厳密にいうと”メンタル”が弱いわけでなく、体そのものが弱い貧弱キャラ。冒頭でいったように、外部刺激でコロッといく弱さなのだが、その愛らしい見た目で水族館の人気者だし、グッズの売上も上々──だと思う。
展示されているメンダコは非常にデリケートなのだが、どのようにして採取しているのだろう……?
底曳網で普通に採ってた。私が思っていたより貧弱ではなさそう。
飼育すると弱さが目立つメンダコ
底曳網で他の仲間達とともにサルベージされたメンダコは、飼育するのが非常に難しいらしい。
もともと深海生物であるため、普通に考えれば地上に出た時点で昇天するのもやむなし。それでもなぜ飼育に挑戦するのは何故か? それは……メンダコは集客効果が高いためである。
その希少価値から、過酷な地上に降り立った瞬間から「お前がこの水族館のアイドルになるんやで」の宿命を背負い、むしろ君が体で稼げとエロ同人誌みたいな展開に進む。つまりメンダコは、”生きているだけで価値がある”のである。(ゲスい顔で)はぁ尊い。
その飼育の難しさは、とある水族館の飼育日記で知ることができる。
「えのすいトリーター日誌」では、メンダコの死因に”エサのゴカイに体を食い破られた”とある。これが……弱肉……強食……っ! ルームメイトは敵……っ!!
私がはじめて見た「沼津港深海水族館」でも、『撮影禁止』『大きな音は立てないでね』との注意書きがあった。こいつら水中でどう生きているんだ? メンダコが自然界で『しんかい6500』と出会うとどうなるのだろう。スクリューの影響で「うわーっ」と飛ばされ、それを追うカメラ──! どうしよう、ちょっと見てみたい。
メンダコが見れる(かもしれない)水族館
沼津港深海水族館はメンダコ飼育の世界記録を保持しており、”居れば”基本的に展示しています(2019年11月13日現在展示中)。
飼育・展示記録がある水族館はそこそこ多い。でも数日で終わることが多いため(察して)、事前に「今日はメンダコちゃん出勤してる?」と確認しましょう。
ちなみに記録があるのは、「名古屋港水族館」「鳥羽水族館」「サンシャイン水族館」「葛西臨海水族館」「アクアワールド茨城県大洗水族館」「新江ノ島水族館」など。つまり、深海のアイドルちゃんと高確率で出会えるのは沼津港深海水族館だけ!
もし居なくても、干物と出会うことはできるから(真顔)。
メンダコより強い君であれ
2019年に新卒で入社したメンツも、半年を過ぎて(普通なら)有給という「武器」を手にし、(あれば)冬のボーナスに長期休暇が待っている。
近頃は展示物による”環境型セクハラ”が話題です。直近だと秋葉原のエロゲー広告が議論の対象になりました。……まぁあれは視界に入れても「ウホホッ!」となる思春期は越えていますが、アキバの特性があるとはいえ、公共の場にドーンと置くのはいかがなものかと──は理解できる。
”環境型”の厄介なところは、マイノリティな意見でも通るところです。それだけ「セクシャルハラスメントの定義と認識」が広がっている背景もあり、住みやすい社会を造るには必要なことですけどね。
アングラーの世界で例えると──
- 管理釣り場で同じ条件下で釣りをしている
- 周りはポコポコ釣るのに自分1人だけ釣れない
- 俺だけ釣れないのはパワハラでは?
これも環境型パワハラと認定される可能性はあります。
わざと音を立てたり横入りして、釣れないよう意図的に仕組んだと証明できれば該当します。ただし”意図的”を立証することが難しい。映像がなければ自白させないとほぼ無理だし、法律として裁くのが難しい分野であります。痴漢の冤罪と同様に、いわれもない訴えが今後増えると予想できます。
その”もしも”に備えるために、メンダコより強いメンタルを持ち、自分が正しいことを立証できる冷静さを身に着けましょう。
全然関係ないけどこれ↓↓↓マジさわり心地よかった。
ポチップ
そもそもメンダコってどんなタコ?基本データと生態
「弱い」「かわいい」のイメージが先行しがちなメンダコですが、図鑑的に見るとなかなかユニークな深海性のタコです。原文の愛らしさ語りに、ここでは正体の部分をきちんと足しておきます。学名・水深・体のつくりを押さえると、なぜあんなにデリケートなのかも腑に落ちますよ。
メンダコは学名を Opisthoteuthis depressa といい、八腕形目のメンダコ科(ヒゲダコ亜目)に属します。1895年に飯島魁(いいじまいさお)と池田作次郎によって記載された、日本ゆかりの種です。スーパーで見るマダコやイイダコとは「同じタコ」とはいえかなり遠い、深海に特化した一群だと思ってください。
体のつくり:円盤状でゼラチン質、傘膜で泳ぐ
体長はおよそ20cmと比較的小ぶりで、上から押しつぶしたように著しく扁平な円盤状。体はやわらかく、水分が多くてゼラチン質という、いわば水風船のような頼りない質感です。8本ある腕は半分以上が傘のような膜(傘膜)でつながっていて、腕の先だけが膜からのぞきます。このため普通のタコのように腕を自由に動かすのは苦手で、吸盤も普通のタコの2列に対して1列だけという違いがあります。
頭の両脇にちょこんと付いた「耳」のように見える部分は、実はヒレです。このヒレをパタパタ動かし、傘膜を広げて水中をふわりと漂うように泳ぎます。ヒレ自体は体に対して小さく、舵(スタビライザー)のように向きを変える役割が中心。海底に座っているか、そのすぐ上をゆったり移動する暮らしぶりだと考えられています。
食べ物と、墨を吐けない事情
食性は主にヨコエビなどの小型甲殻類。海底の小さな生き物をついばむ、つつましい暮らしです。そしてメンダコ最大のトリビアが、墨袋を持たない=墨を吐けないこと。光のほとんど届かない深海では墨で目くらましをする意味が薄いため、進化の過程で墨袋を失ったと考えられています。「タコ=墨」のイメージが裏切られる、深海ならではの仕様です。
| 項目 | メンダコの基本データ |
|---|---|
| 学名 | Opisthoteuthis depressa(1895年記載) |
| 分類 | 八腕形目 ヒゲダコ亜目 メンダコ科 メンダコ属 |
| 分布 | 相模湾から東シナ海・九州など日本近海 |
| 生息水深 | およそ水深100〜1000mの海底付近(資料により幅あり・目安) |
| 体長 | 20cmほど(扁平な円盤状) |
| 体のつくり | やわらかいゼラチン質/腕の半分以上が傘膜/吸盤は1列 |
| ヒレ(耳) | 頭の両脇に小さく、舵のように使う |
| 食性 | ヨコエビなど小型甲殻類 |
| 墨袋 | なし(墨を吐けない) |
※生息水深は調査資料によって100〜400m、150〜600m、200〜1000mなど幅があります。深海生物は採集機会が限られるため、あくまで目安として捉えてください。
なぜ飼育が極めて難しいのか、理由を分解する
原文では「地上に出た時点で昇天」「エサのゴカイに食い破られた」と笑いに包んでいましたが、ここは少しだけ真面目に、飼育難易度の高さを要因ごとに整理します。理由が分かると、水族館で数日でも会えること自体がいかにスゴいかが伝わるはずです。
1. 採集の時点ですでに弱っている
メンダコは深海から船上へ揚げてくる途中、急激な水圧と水温の変化でショックを受けます。やわらかいゼラチン質の体は物理的なダメージにも弱く、状態良く水揚げされること自体がまれ。「飼育のスタートラインに立つ前に消耗している」のが大きな壁です。
2. 深海環境の再現が難しい
メンダコが暮らす深海は、水温がおおむね数℃と低く、水圧は地上の数十倍、そして光がほとんど届きません。この三拍子を水槽で安定して再現するのは至難の業で、水質・水温・光・音といった条件がわずかに変わるだけでも弱ってしまうほど繊細です。
3. 生態が未解明で、エサのノウハウが乏しい
深海での暮らしぶりは分かっていないことが多く、何を・どれくらい・どう与えれば食べてくれるのかという給餌のノウハウが確立していません。原文の「エサのゴカイに体を食い破られた」エピソードは、まさに与えたエサとの相性という難所を象徴しています。
4. そもそも刺激にめっぽう弱い
採集と環境の壁を越えても、メンダコはカメラを向け続けられるだけでもストレスで弱るほど繊細です。だからこそ展示水槽には「撮影禁止」「大きな音を立てないで」の注意書きが添えられます。これらが重なり、長期飼育はとても難しく、数日から数週間で力尽きてしまうことが多いのが現実です。それでも国内では孵化や、数十日規模の展示記録に挑む水族館が現れており、飼育技術は少しずつ前進しています。
世界のメンダコと近縁種|ダンボオクトパスとの関係
「メンダコの仲間って海外にもいるの?」という疑問に答えておきます。実はメンダコは、ネットで人気のダンボオクトパスとごく近い親戚。並べて知ると、あの耳パタパタ系のタコたちの世界がぐっと面白くなります。
メンダコが属するヒゲダコ亜目には、頭の両脇に大きなヒレ(耳)を持つタコがまとまっています。その代表格が Grimpoteuthis 属、通称ダンボオクトパスです。耳のようなヒレが、ディズニー映画の空飛ぶ子ゾウ「ダンボ」を思わせることからこの愛称が付きました。世界の深海に13種以上が知られているグループです。
メンダコとダンボオクトパスの違い
同じ亜目でも、両者は体つきと泳ぎ方に個性があります。メンダコは体が極端に平たく、海底に張り付くか、すぐ上を腕と傘膜を使ってふわりと移動するのが得意。一方のダンボオクトパスは上下方向の扁平が弱く、ヒレが大きいぶん、その強力なヒレを羽ばたかせて中層を泳ぐのが上手とされます。「平たくて底べったりがメンダコ、ヒレ大きめで泳ぎ上手がダンボ」と覚えると分かりやすいです。
| 比較項目 | メンダコ | ダンボオクトパス(Grimpoteuthis) |
|---|---|---|
| 分類 | メンダコ科 メンダコ属 | 同じヒゲダコ亜目の別グループ |
| 体型 | 極端に扁平な円盤状 | 扁平は弱め、ヒレが大きい |
| 泳ぎ方 | 傘膜と腕で底付近をふわり | 大きなヒレで中層を遊泳 |
| 生息水深の目安 | およそ100〜1000m | 数千m級まで(より深い) |
ダンボオクトパスのすごさは、その生息する深さ。水深7000m前後という記録もあり、知られているなかで最も深い場所に暮らすタコの仲間のひとつとされています。メンダコの「弱さ」を入り口に、こうした近縁種までたどると、深海ダコの奥行きがぐっと広がります。
「メンダコって食べられるの?」と底引き網のはなし
原文の最後で干物がチラッと登場しましたが、ここで「食材としてどうなのか」と「そもそもどうやって人の目に触れるのか」を真面目に補足します。結論から言うと、食材としては期待しないほうがいいタコです。
基本は食用に向かない
市場魚貝類図鑑(ぼうずコンニャク)によると、メンダコはほとんどが水分でできており、食べておいしいものではないとされ、食材としての重要度も最低評価。味は海水のようで、さらにシンナー系の薬品のような独特の匂いを放つとも記されています。やわらかくて水っぽい体は、タコらしいコリコリ食感とは無縁。流通もまずしないため、基本は「食べるより眺めて愛でる」タコだと考えてよいでしょう。
底引き網と深海生物の関係
では展示個体やあの干物は、いったいどこから来るのか。答えは深海の底引き網(底曳網)です。たとえば日本一深い駿河湾では、戸田や沼津を拠点に、アカザエビやメヒカリ、ヤメカサゴ(ユメカサゴ)といった深海魚を狙うトロール漁が行われています。網を海底まで沈め、ゆっくり曳いて引き揚げるこの漁で、メンダコは狙った魚ではない「混獲(外道)」として一緒に揚がってくるのです。
ここで前述の匂いが効いてきます。メンダコの異臭がほかの魚に移るのを嫌い、網に入っても漁師にすぐ捨てられてしまうことが多いのです。深海生物の採集に挑む水族館は、こうした漁にうまく同行・連携して、弱りやすいメンダコを最優先で確保します。なお駿河湾のトロール漁は春から初秋がおおむね禁漁、操業は寒い時期が中心。水温が低いほど深海生物への負担が小さいため、メンダコと出会いやすいのもこの冬場というわけです。水族館でメンダコの展示が冬に増えがちなのは、こうした漁期とも結びついています。





