「全国の新鮮な魚介類をいつでも食べたい!」
その願いを叶えるには、地産地消か羽田市場の輸送システムを真似するしかないと思う。これが当たり前になれば消費者は喜ぶけど……。
圧倒的速さを実現する羽田市場の輸送システム
『羽田市場(はねだいちば)』は、全国から集めた新鮮な魚介類を、最短最速の方法で都内の店舗に届けるサービス。ようは業者向けの生鮮宅配をしている企業。
最大の強みは”最短かつ最速配送”。それを実現するのが、空の玄関口である羽田空港を中継所にしているから。北海道から約2時間で空港に届けることができるため、鮮度が落ちる前に飲食店へ届けることが可能となっている。
朝水揚げされた生鮮が、夕方には都内近隣店舗へ届くほどの速さ。
取引は「漁師⇔羽田市場」だけで行われているから、従来通りの競りスタイルより削減できるメリットも。コスト減した分を”魚の価値”にのせることで、生産者の利益が(従来より)増えるメリットもある。
従来の輸送と羽田市場を比較すると、こんな感じ。
どちらにもメリットとデメリットはある。
仲買人に頼めば本当に欲しい魚が手に入るけど、羽田市場は”○kgの詰め合わせ”が商品だから、魚は新鮮だけど欲しい物があるかはわからない。
それでも売れるのは、「採れたて新鮮!」が強いからでしょう。
コロナ禍で飲食店の消費が落ちたことで、羽田市場は家庭への可能性を見出す
人口1千万都市が眠りについたことで、都内の飲食店消費はほぼゼロに。
生産者は商品は確保できても、売り先がなくなってしまったため、在庫を持て余して負債を抱えてしまう事態に。どちらも倒れてしまう可能性がある中、唯一の手段ともいえるのが、家庭への直接配送。
羽田市場はECサイト作成サービスの「BASE」で通販サイトを立ち上げ、これが大ヒット!
普段は飲食店に回すワンランク上の品が手に入るのも強みだし、なにより割安! 魚介類の業務スーパーみたいな感じ。
特殊な冷凍技術で鮮度を維持したまま配送してくれるし、全国にちらばる本当に美味しい食材に出会えることがITで実現した瞬間。これが商売モデルとして確立すれば、漁業の流通に変化が生まれるはず。
この世にマズイ魚なんて、そうそう居ないことに気付くのではないかな、と。
それでも漁師と魚釣りに鮮度はかなわない
最高鮮度を食べるなら、やっぱり水揚げ直後か魚釣りですよね。
羽田市場の「北海道→東京を半日」輸送ルートだと、日中の釣りと同じくらいの鮮度で届くことになるかな。8時頃に釣って、血抜きしてクーラーボックスに入れて、夕方に捌いて食卓──くらいになるしね。
当日に消費するなら、神経締めをしても”誤差”の範囲に収まる。でも1日以上を経過する場合は、活け締めからの神経締めをしておけば、5日くらい経過しても”釣りたて”と遜色ないくらいに。
生鮮の流通は時間経過とともに鮮度が落ちてしまうため、従来モデルだと「最低値」で食卓に届く感じ。活け締めがロボットで自動化すれば、この様相も変わる予感はします。
※参考 TV東京「カンブリア宮殿2020/7.30放送分」
緊急事態宣言解除からは、様々なビジネスの変遷を特集することが多くなっています。
立ち止まればそのまま倒れるし、前に進もうとすれば変革を求められる。2020年を生き抜いた企業はどこも、”変化”を受け入れて、新たな当たり前を確立したところが多いでしょうね。
6月頃までは「毎日マスクはたりーな」と思ってたけど、さすがに半年過ぎると体の一部と化してきました。夏は地獄だったけどね……。