「グローバル・フィッシング・ウォッチ」を耳にして、最初に思い浮かんだのは、地球規模のフィッシング詐欺監視システムかなって……。
実際は米Googleが管理する密漁監視システムでした。
グローバル・フィッシング・ウォッチの役割
「グローバル・フィッシング・ウォッチ(以下GFW)」とは何か?
簡単にいえば、違法漁船を監視するオンラインツールであり、手動するのはNPO(OPRI)です。
洋上を航行する船舶は、自分の位置を衛生に送る信号を発しています。安全航行と自動航行のために必要なシステムですが、それを利用してマップ上に表示させるのがGFWの仕組み。
これにより、洋上で操業する漁船の位置がわかるため、範囲外で航行している船を知ることができます。
GFWのメリットは誰でも利用できること。「利用者=監視者」の構図になるため、管理団体以上のマンパワーを確保できます。
ツールを提供しているのが米Google。漁業関連機関に環境保護団体が共同運営として名を連ねています。
GFWの実績
日本における活動実績は、イカ漁の違法操業(主に他国)を証明する役割として。
イカの水揚げ減の原因は、某国の獲りすぎが原因といわれているけど、それを証明することは難しい。だって実際目にした人にしか、違法操業の存在は証明できないから。
ならデータで可視化すればいんじゃね? ──で、GFWが役立つわけです。
ただ問題があって、AISデータを送信しない(位置情報がない)船舶は追跡できません。
違法するつもりの船が、わざわざ自分の位置を知らせる理由はないでしょ? だから完全な把握は不可能です。
あとは漁船の活動実績と水揚げ量(経済指数)をデータ化するとか、監視だけではなく、行動データとしても有能なのがGFWの利点といえます。
漁業の透明性と持続性を得るために
GFWは監視ツールだけではなく、漁業の透明性を保つのにも役立っています。
例えば「原産地」を証明する手段として。
水産物の産地偽装は根深い問題。スーパーで並ぶ物は記載されている地名だけが頼り。……でも、QRコードで「実際ここで獲りましたよ」とGFWのデータを参照できれば、信頼感は増すでしょう。
これは違法漁業を抑止する効果もあるし、顧客への信頼性にも繋がり、透明性の確保になります。
AISデータで海上の船を全て追えるなら、違法をわざわざ巡視しなくても、帰ってきたところ拿捕すればいいだけの話に。
操業する船をコントロールすることで、獲りすぎを防ぐことができるし、漁業仲間を出し抜くヒントになるやもしれません。