大豆イソフラボンを使って、水槽内のナマズを全てメスに性転換できることを、近畿大学が実用化したらしい。
まーたよくわからない研究結果を出してるよ……。
と思うことなかれ。養殖業にとっては生産効率が上がり、収益にも関わることなのだ!
ナマズの全メス化は何に役立つのか
ナマズはオスとメスで成長速度が違います。
1年間の養殖期間で、メスは出荷サイズまで成長するものの、オスはその前に成長が停滞しだすとのこと。これでは水槽内のサイズ感にバラつきがあるため、品質が安定しません。
もし全てメスにすることができたら……?
オスメスの選別に、大きさの個体選別をする手間も省けるため、生産効率が断然アップするわけです。
どうやってメスになってもらうのか──。
大豆イソフラボンを使って、安全安心に100%メス化にすることができるらしい。
大豆イソフラボンは女性ホルモンと同様の作用をもつ
ナマズの養殖は、普通の飼育環境ならメスの割合は68%ほど。
そこに大豆イソフラボンの成分である「ゲニステイン」を一定量入れると、濃度が濃くなるほどメスの割合が増えていき、100%になる数値を探り当てたのが近大の研究結果。
女性ホルモンを使っても総メス化は可能ですが、自然由来の成分を使うことで、より安全なメス化が実現したのが最大のメリット。
他(養殖)にも流用の可能性がある技術であり、メスのほうが成長が早いとか、大型になりやすいタイプだと、養殖の生産効率が上がる画期的な技術といえます。
……文脈だけだと、薄い本が大好きな人たちがガタッと立ち上がりそうですが、センシティブじゃありません。
魚類はほとんど雌雄同体
釣りターゲットとして人気のクロダイは、雌雄同体として知られています。
産まれた時は全てオスで、2歳時ほどになると精巣と卵巣を同時に持つようになり、3歳になるとどちらかを選んで、5歳時にはオスかメスに分かれます。
魚の中にはオスの方が多かったり、メスのほうが少ない個体もいます。
なぜ性転換するのかといえば、種の存続を優先させるためのもの。
ナマズの話で例えるなら、オスを選んで水槽を100%満たしても、「このままじゃ生き残れなくね?」と誰かが考え、じゃあメスになりますといい、実際なっちゃうようなもの。
ちなみに身近なマグロやカツオ、サンマにサメなども雌雄同体です。中には1日に20回も性転換をするチョークバスもいるらしい。
人間の男女比率は、世界で見ればほぼ1対1ですが、国別で見ると、男性のほうが多いとか、女性のほうが多いなどの偏りもあります。
その要因は、性別による寿命なり文化風習が関係しており、データを紐解いていくと、新たな気づきを得ることができるでしょう。