そして、今回は日本で古くから親しまれてきた猛禽類・オオタカの特徴や生息地などについての情報発信です。
見た目も野生の姿もカッコいいオオタカについて少しでも知っていただけたら幸いです。
このブログでは、アウトドアの1つで鳥類の自然な姿を観察し愛でる「バードウォッチング」と野鳥達についてを皆様にご紹介させていただきます。
1,カッコいい系野鳥・オオタカの特徴について
①オオタカの分類は?
オオタカは「タカ目タカ科ハイタカ属」に分類されている鳥類で、その中でも他の野鳥や野鼠などの小動物などを狩猟・捕食する「猛禽類」の一種です。
日本には他にもタカの仲間が生息していますが、一般的に鳥類で「タカ」という名称はオオタカの事を指しています。
②大きさはどのくらい?
オオタカの大きさは雌雄で若干の違いがあります。
オスの大きさは約45〜50cm、メスの大きさは約53〜60cmでメスの方が少し大きいです。
これには卵を産んだり巣を守る役目のある方が体が大きいと有利になるのではと考えられています。
この大きさは街中や公園などで見かけやすいカラスとほぼ変わらない大きさですが、オオタカは翼を広げると1〜1.3mにもなり、飛んでいる姿を見るとカラスより多く見えます。
一昔前までの図鑑では、タカの仲間は「ワシタカ科」と記載されていたりします。
この事から、イヌワシやオオタカは同じグループに属している事が分かりますが、それ呼び分けるのは猛禽類達の『大きさ』です。
例えば、イヌワシやオオワシなどの大きな種類は「ワシ」、オオタカやノスリなどの少し小さめの種類は「タカ」とされています。
しかし、不明瞭な部分もあり、「クマタカ」という種類は名前に「タカ」と付いていながら大きさ的には「ワシ」ですし、ワシと名前に付いている「カンムリワシ」は大きさ的に「タカ」だったりします。
ちなみに大きい順で並べると『ワシ>トビ(ノスリ)>タカ>ハヤブサ』となるため、オオタカのサイズ感を覚えておくと大体の猛禽類の見分けが付きやすくなるので観察の際は是非参考にしてみてください。
③オオタカの見た目は?
オオタカの成鳥は頭から尾羽にかけて黒〜濃灰色に染まり、お腹側は淡灰〜白色に黒〜濃灰色のシマ模様がいくつも入ります。一方でお尻側の羽は真っ白です。
特にオレンジ色の目の囲むように入る黒い羽は「眼帯」にも例えられており、オオタカの鋭い眼光を強調しています。
また、『鷹斑(たかふ)』と呼ばれるシマ模様の入った尾羽は畳んでいる時は笏のような形をしていますが、方向転換やブレーキをかける時は扇のような形に広がるのが特徴です。
猛禽類という事もあって、先がカギ状に曲がった鋭い嘴と爪を持っており、成鳥の嘴は根元は黄色く先にいく程黒くなります。また、脚も黄色くカギ爪は黒色をしています。
濃灰色の頭部や背中にお腹側の白と細かい模様が特徴的な成鳥は一目で「オオタカ」と分かるほど主張が強い見た目をしています。
しかし、幼鳥やまだまだ若い個体はこのような体色ではなく茶色い羽になっているため、近くに親がいなければ別の鳥に見えてしまうほどです。
成長するにつれて茶色い羽は次第に抜け落ち、濃灰色の大人の色へと変わっていくのです。
漢字でも「大鷹」と表記される事が多いオオタカですが、名前の由来は全く別の所から来ています。
それは濃灰色の体色で、陽光を受けて輝く羽色が蒼く見えたため「蒼鷹」と元々呼んでいたのが永い年月の中で変わっていき、今に至るのだそうです。
④主な食糧とその狩猟方法は?
オオタカは頂点捕食者として君臨している鳥類の一種であり、小回りの効く小柄な体と巧みに尾羽を使って森林地帯の木々をすり抜け、獲物を追い詰めます。
主な獲物にしているのはキジバトやカモ、ムクドリなどの小〜中型の鳥類やネズミ、ウサギといった草食動物ですが、時にはオコジョやイイズナといったイタチの仲間や体格がほとんど変わらないカラスも仕留める勇猛さもあります。
獲物を仕留める武器は鋭いカギ爪のある脚によるキックと締め付けです。しかもただ蹴るだけではなくスピードと体重を全乗せした超強力な一撃となっています。
速い鳥と聞かれてよく名前が出てくるのが「ハヤブサ」と「アマツバメ」ですが、オオタカのスピードもなかなかのものです。
オオタカが獲物を探している時やちょっとした移動の時のスピードは時速約80km。この時点で高速道路を走る車に匹敵します。
しかし、狩りの時を迎え、獲物に対して急降下している時のスピードは何と時速約130km!
これは自然界であればチーターの全速力をも軽く凌駕し、高速道路を走る車でも追い付けない速度です。
このスピードを乗せた一撃に耐えられる獲物はそうそうおらず、文字通りの一撃必殺の蹴りとなります。
2,オオタカの生息地について
オオタカは世界にも広く分布していますが、日本では南西諸島などの九州地方より北の方に生息しているようで、北海道から本州にかけて分布しています。
ここで「九州では見られないのか…」と落胆してしまった方もいらっしゃるかも知れませんが、まだ希望を捨ててはいけません。
オオタカは越冬のために、南の方に渡る『鷹の渡り』を行う個体もいるのでタイミングさえ合えば、堂々と力強く羽ばたき風を切っていくオオタカの姿を観察する事も夢ではないのです。実際に熊本県ではオオタカが確認されています。
また、オオタカは平野や山岳地帯、森林など幅広く生息しており、近年はドバトやムクドリなどを食糧にできるという利点から都市部に居を構えるオオタカまでいます。
3,実際にオオタカを観察してみよう!
オオタカは渡りを行う個体もいますが、基本的には留鳥なので生息地であれば一年を通して観察するチャンスが多い猛禽類でもあります。
特に観察しやすいとされる季節は冬と言われており、木々に囲まれた池や湖のある所でカモなどの水鳥を狙っている姿を観察できます。
また、タイミングが良ければ狩りの様子を観察でき、カモなどの水鳥が一斉に飛び立った時にその反対側を確認すると猛スピードで水鳥の群れに飛び込んでいく姿も観察できる事でしょう。
オオタカは人目が付かない場所にいるイメージがあるかも知れませんが、意外と池のある公園でも観察する事ができます。
観察しやすい有名な場所として、「新宿御苑」や「高尾山」もあります。
オオタカは「キィーッ キィッキッキッ」と金切り声にも似た鋭い鳴き方をするため、この鳴き声が聞こえたらすぐ近くで観察できる可能性が高いです。
自然公園や都市部でも観察しやすい猛禽類・オオタカですが、ある場所で子育てをしている様子が撮影された事で注目を集めた事があります。
その場所は何と「皇居」&「赤坂御用地」!
とんでもなく高貴な場所で営巣と子育てをしている様子を国立科学博物館の鳥類調査班が山階鳥類研究所と共に調査をした結果明らかとなったのです。
撮影されたその写真には、生まれて間もない白くてフワフワの羽毛に包まれた可愛らしいヒナと甲斐甲斐しく世話をする親鳥の姿が写っており、その様子は外敵がほとんどおらず、イタズラする人間もいないせいか落ち着いているようにも見えます。
他にもフクロウも営巣しているらしく、いかにこの場所が巣作りにおいて肩身の狭い猛禽類達にとって子育てに向いているかが分かる一枚です。
4,オオタカを観察する時にオススメのアイテムについて
この項目では、オオタカに限らずバードウォッチングに必要なアイテムやオススメのアイテムについてご紹介させていただきます。
①双眼鏡
バードウォッチングのマストアイテムです。様々な種類が販売されているため、自分好みのデザインや機能の双眼鏡を選びましょう。
ご参考までに、バードウォッチングの世界では7〜10倍率の双眼鏡が扱いやすいとされています。
②ジップロック&手袋
バードウォッチングでは野鳥達が落としていった羽をコレクションするのも隠れた楽しみとなっています。
そのまま落ちている羽に触るのにちょっと抵抗がある場合は、手袋をして羽を回収し、ジップロックなどに入れて保管すると良いでしょう。
③長靴
野鳥達を観察するために自然公園や山、池などの水場に行く事もあると思います。その時に重宝するのが長靴です。
雨の日はもちろん、草葉の多い所から足を守ってくれます。
④野鳥図鑑
このブログでも野鳥についてご紹介しますが、フィールドに出た時にふと見た野鳥が気になった時に手元に図鑑があれば種類を調べる事ができます。
アプリバージョンもありますが、写真やイラストタイプの図鑑もオススメで、プロが撮影した美しい写真を見ながら種類を探せばきっと野鳥に対する気持ちも深まる事でしょう。
⑤カメラ
バードウォッチングが気になる方の中には、大自然の中でありのままに生きる野鳥の姿を写真に納めたいという方も少なくないと思います。
そんな時のためにカメラを用意すると良いでしょう。
最近のデジカメは光学ズーム倍率がかなり高くなっているため、ズームすれば遠くの木の枝に止まっている小鳥やオオタカも美しく撮影する事ができます。
また、手ぶれが気になる方は三脚を使うのもオススメです。
5,観察する時の注意点について
近年アウトドアが人気を集めている中、野生動物を動物園の動物と同じように見ているのか、はたまたお腹が空いているだろうと気遣っているのかは不明ですが、人間の食べ物を与えている事が問題になっています。
このような注意すべきポイントについてご紹介させていただきます。
①餌をあげるのはダメ!絶対!
この記事はオオタカについてなので、まさか野生のオオタカに餌を与えようとする人はいないとは思いますが、一応注意点として挙げておきます。
「獲物を獲るの大変そうだから」「カッコいい」からと肉やネズミなどを置いて帰ってもオオタカが食い付くような事はまずありません。
しかし、これが巣立ったばかりの若鳥だったとしたら拾って食べてしまう可能性があります。
そうなると人間を見るたびに「餌を置いていってくれる」と思ってしまい狩猟能力や生存能力が下がり、結果的に生きられなくなってしまう可能性があります。
他にも、置いていった餌に誘き寄せられキツネやタヌキ、クマなどが来てしまうかも知れません。そうなると地域の方々にとって非常に迷惑です。決して餌は与えないようにしましょう。
②あまりにもガン見するのはNG!
野生動物というものは本来は他者の視線を嫌がるものです。
特に野鳥は巣作りや子育ての時期は拠点を変える事もできないので注目の的になりやすく、多くの視線に晒されてしまいます。
自分の私生活や子育てをジロジロ見られ続けたら皆様も非常にストレスを感じる事でしょう。筆者だってそうです。
観察しやすい場所にいるからといって、いつまでも近い距離で観察し続けないようにしましょう。
オオタカは山岳地帯や田園地域だけではなく、都市部でも観察する事ができます。
その際巣を作った場所が人目に触れやすい場所になる事もあり、子育ての様子を多くの人に見られたり、中には声をかけられたり、さらにはイタズラされてしまう事だってあるのです。
そのストレスはかなりのもので、ある研究では都市部で子育てするオオタカと自然で子育てをするオオタカの巣立ちにかかる期間が3ヶ月も差が出てしまうという結果があります。
これは都市部のオオタカは子育てに集中できないためヒナの育ちも悪くなり、育成に時間がかかってしまっている事を表しています。
どんなに珍しくても、彼らのプライバシーも考慮してあげる事が大切だと思います。
③フラッシュは使わない事!
強烈な閃光というものは、自然界では雷くらいしかありません。
そんな野鳥達の写真を撮るためにフラッシュを使うのはNGです。
鳥達の目は人間よりずっと良いのでフラッシュの強烈な光は大ダメージになってしまいます。
また、臆病な性格の野鳥だったりするとフラッシュの光で気絶してしまう場合もあるため、距離関係なく使わないようにした方が無難です。
せっかく姿を写させてくれたのですから、敬意と感謝を込めて野鳥達に優しい撮影の方法をとっても良いのではないでしょうか。
④フィールドでは静かにする事
中には人に慣れてしまって、ある程度騒いでいても気にしない野鳥もいます。
しかし、オオタカは獲物を狙っている場合が多く、フィールドで騒いでいると集中できず、仕舞いにはどこかにいなくなってしまいます。
彼らの生活を邪魔しないように、あまり騒がないようにしましょう。
⑤意外な盲点!服装にも注意しよう!
バードウォッチングでは赴くフィールドによって服装を変えますが、基本的には環境に合わせているならどんな服装でも良いとされています。
しかし、衣擦れしてやたらとガシャガシャ鳴ってしまう服装や、反射素材がたくさん付いている服装は控えるようにしましょう。
反射した光や聞き慣れない音に野鳥達が驚いて逃げてしまい、バードウォッチング自体ができなくなってしまいます。
6,もっと鷹が好きになる!?鷹にまつわる豆知識について!
鷹は古くから愛されている鳥であり、今はそこまでではなくても人々の暮らしに関わってきた鳥でもあります。
ここではそんな鷹を題材にした作品や豆知識などについてご紹介させていただきます。
①鷹狩りで愛されていた!
かつて貴族や大名、将軍家では訓練した鷹を野に放ってカモやウサギを狩る「鷹狩り」が嗜みの1つとして愛されていました。
初期の鷹狩りではハヤブサやハイタカを使っていたようですが、16世紀あたりに入るとより大きな獲物であるツルやサギ、ヤマドリなどを狩るためにオオタカを使うようになったそうです。
しかし、オオタカは猛禽類の中では神経質な性格のため、非常に優れたハンターでありながらその力を存分に出させるための訓練の難易度は高かいとされており、それ故に訓練を行き届いたオオタカに育てた鷹匠はとても重宝されたという話もあります。
②有名絵師も描いた!
オオタカの堂々とした佇まいや鋭い目付きは昔から多くの絵師に愛され、絵の題材として度々取り上げられてきました。
中でも有名なのが葛飾北斎が描いた作品「肉筆画帖 鷹」です。
そこには豪華な止まり場所に赤い紐で留められた鋭い目付きのオオタカが描かれています。
また、歌川広重も空から地上を見下ろす鷹の姿を描いており、「名所江戸百景 深川洲崎十万坪」という作品で見る事ができます。
③「根掘り葉掘り」に近い言葉がある
「根掘り葉掘り」には簡単に説明すると物事をこと細かく調査する事を意味していますが、鷹を用いた慣用句にはニュアンス的に近い意味の言葉があります。
それが「鵜の目鷹の目」です。
この慣用句は、共に捕食者である鵜や鷹が獲物を探すように、少しも見逃さず探し求める事や集中して探している時の鋭い目付きを意味しています。
あまり使う場面は少ないかも知れませんが、鳥好きなら覚えていても損はないと思います。
④悲しい伝説と共に「ある植物」と関係あり!?
先ほど鷹狩りについて触れましたが、この話も鷹狩りに関係しています。
鷹と関係している植物というのは「弟切草」の事であり、切り傷や止血、かぶれなどにも効果のある薬草の1つです。
この弟切草には「タカノキズグスリ」という別名があり、悲しい伝説も残っています。
昔、とある鷹狩り好きな大名が最も優れた鷹匠を決めるための大会を開いたそうです。そこには多くの鷹匠達が自慢の鷹を持ち寄って参加しましたが、そこには鷹匠の名門の兄弟も参加していました。
その兄弟には代々伝わる門外不出の秘薬があり、ケガを負った鷹に塗ればたちまち良くなるというものです。
しかし、大会が始まって間もなく空からは大量の雹が降り注ぎ、多くの鷹がケガを負ってしまいました。皆が悲嘆する中、兄弟は秘薬を使って自分の鷹を治しました。
そんな日の夜、兄弟の弟は川で入水自殺をしようとする1人の娘を助けます。理由を聞くと、このままでは鷹狩りの大会に出られず、一家で死ぬしかないというのです。
これに心を痛めた弟は秘薬を娘に渡してしまいます。
翌日。大会に出られたのは兄弟と助けた娘家族だけで、しかも娘家族が優勝するという自体に陥ってしまいます。
納得のいかない兄が弟を問いただすと秘薬を分けた事を白状したため、そのまま弟を怒りに任せて切り殺してしまった、という伝説があります。
この時飛び散った血が薬草にかかったため弟切草には赤茶色の細かい模様があるとも言われており、これらの伝説から弟切草の花言葉は「裏切り」や「怨念」という不吉なものとなっています。
まとめ
今回はカッコいい猛禽類・オオタカについて皆様にご紹介させていただきました。
オオタカは日本に広く生息しているため、自然公園や山、田園地域でも観察する事ができます。
また、タイミングが良ければ狩りをする姿も見られるため、野鳥の中でも人気が高めの種類となっています。
鋭い目付きと美しい見た目は今も昔も変わる事なく愛されるオオタカを是非観察してみてください。