以前から居るんだよなぁ……。
「熱帯に生息するタコなのに何故浜名湖!?」と騒がれているが、浜松アングラーである私はそれほど驚いてもいない。
居ても不思議じゃなくない要素が盛り盛りだから。
殺人タコとも呼ばれる『ヒョウモンダコ』は、もはや日本の沿岸どこにでもいるレベル。
「触らぬタコに害はなし」
彼の生態を知ればおのずと対策も練れるってものですよ。
浜名湖で次々とヒョウモンダコが見つかる?
ツイッターでもトレンド入りしたヒョウモンダコの発見は、たちまちニュースを席巻した。
蛸壺で漁をしている漁師が発見者で、次々と発見といいながらも、映像では1匹しか見ていないのですが?
ヒョウモンダコに噛まれるとヤバイのは、殆どの人が知っているでしょう。
でも毒を吐くことはあまり知られていない。
毒を持つヤツは何故毒を保有し、それをどう使い攻撃してくるのか──そこまで知ってようやく対策が練られます。
メディアは「ヤバイ、あいつはヤバイ」とだけ伝え、その危険度を周知させることを放棄してませんかね?
みんなヒョウモンダコさんの何を知っているというのだ
ヒョウモンダコは猛毒のテトロドトキシンを、産まれながら保有する攻撃的なヤツである。
成長しても小型のため、姿に気付きにくいし、見た目は綺麗なので触ってしまう被害が多い。
名前の由来である豹紋が出ている時点で、「お? やんのか?」とヒョウモンダコさんは構えています。
あまり知られていませんが、タコはエサを食べる過程で毒を出しています。
これはマダコも同じ。
先のwikipediaの項目を見てもらうとわかるとおり、人をも殺すテトロドトキシンは甲殻類には効きにくいです。
何故かというと、あいつらは元々微量に保有しているため、生まれながらワクチン接種しているようなもの。
自然界には微量な毒がいっぱいあるのです。
フグがテトロドトキシンを保有するのは、それを多く含有しているといわれる「スベスベマンジュウガニ」を好んで食べているため。
養殖で無毒のエサを与え続けると、毒を保有しないことで、それは証明されています。
タコは甲殻類を食べる際、唾液として出すチラミン毒素でマヒさせてからおいしく頂いています。
これはヒョウモンダコも同じです。
マダコは「チラミン毒素」を持ち、もし噛まれると、しばらく無駄に痛い状態が続くだけ。
タンパク毒だから、痛み止めなり投与して自然治癒を待つか、不安なら病院にかけこみましょう。
ヒョウモンダコさんは毒を飛ばす
ヒョウモンダコは唾液として毒素を出すので、攻撃態勢(青い豹紋)に入った時、すでにちょっと漏れています。
ようは「墨の代わりに毒を吐くようなもの」なので、クソ厄介ですね。
だから見つけても触れちゃいけないってわけ。
皮膚に傷がある時や、海水を飲んでしまった場合、微量ながら影響が出る可能性はあるとのこと。
そもそも昔から浜名湖で見つかっているのだが…
もともとタコは熱帯に生息する軟体動物。
マダコやミズダコが生息できる場所で、ヒョウモンダコだけが居ないのは考えにくい。
本来の生息地である西太平洋から、わざわざ旅をして来日したわけだから、居るのが不思議がられるのも無理はない。
では何故ここまで騒がれるのかというと、浜名湖は「汽水湖」のイメージが根強いから。
今は川からの流入が少なくなっているため、汽水域は奥のごくごく一部で、大半は海水です。
タコは真水を嫌うので汽水には生息しません。
現在の浜名湖は塩分濃度が高めなただの海水なので、タコの生息範囲も拡大している。
それでも釣りが盛んなのは、今切口から村櫛辺りまでの、潮汐で太平洋の流入があり、循環が活発な区域がメイン。
なのでヒョウモンダコが見つかるとすれば、せいぜい湖の真ん中辺りまででしょう。
毒を持つ水生生物では厄介このうえないですが、繁殖力は弱いので、爆発的に増えることは考えにくいのが救いですかね。