先日の台風21号で、東海地方の港では高潮被害が相次ぎました。
そうなった要因として、「秋特有の高潮位」と「黒潮大蛇行による潮位上昇」がメディアで取り上げられました。
「何故黒潮が蛇行すると潮位があがるの……?」の悩みが残る。
どこもそうなるメカニズムを説明してくれず、もしかして記者も知らない可能性が微レ存だから、このモヤモヤをぐーぐる先生に聞いてみました。
そしたら、意外と単純な答えが返ってきたのです。
黒潮大蛇行で潮位が上昇するメカニズム
答えから先にいうと、「沿岸部の海水温が上昇しやすいため」です。
とある上条さんの迷セリフ「熱膨張って知ってるか?」(とある魔術の禁書目録:第17巻)でもあるように、物質は温めると膨張します。
それは空気でも液体でも同じことで、誰もが科学の基礎教養のレベルで学んでいることでしょうし、男性は体の一部分で実感することもできます(意味深)。
つまり、東海地方の沿岸部は、平年より海水温が高めの状況を黒潮大蛇行が演出している……ということになります。
それに関して解りやすい解説がコチラ
ということで、比較的平年並みだった前年と今年を比べてみましょう。
2016年10月27日(去年)
2017年10月25日(今年)
今年は沿岸に黒潮の暖流が流れこんでいることがわかるかと思います。
大きく蛇行することで、「伊豆諸島を軒並み暖めてやるぜ!」の気概を感じる。
その先から分かれた暖流が、東海地方の沿岸に流れ込んでいるのは、画像でもわかるかと。
この暖流が隣接する部分の海水温を上げ、潮位の異常上昇の一因となります。
黒潮大蛇行から潮位上昇までの解説としては、以下の記事が画像もあるしわかりやすいかと。
この説明をTVのニュースでも取り上げていれば、何人かの子供が化学に興味を持ったかもしれないのに……。
ちなみに「秋の潮位が高いのは何故か?」については、年間で最も高水温になりやすいのが9~11月だから。
陸上で猛暑が続くのは8~9月が多いけど、素直に水温が上昇することはありません。
海流で深部からの影響を受ける外洋に面している箇所は、気象による水温の変化は微々たるもの。
感覚としては、猛暑が続いた翌月に水温が上昇するかもしれない──程度です。
んで台風など「低気圧」の特徴として、上昇気流で海面を持ち上げる性質があります。反対に高気圧は押し下げます。
波高は風の影響もありますが、低気圧としての性質もあるわけです。
色々と潮位が上昇する要因が絡みすぎた不運が、予想を上回る高潮に繋がったこととなります。
今回の台風による高潮被害の原因をまとめると──
- 台風通過時に満潮が重なる最悪のタイミングだった
- ン年振りの黒潮大蛇行で沿岸部の海水温が上昇していた
- 勢力の強い台風が海面を引っ張り上げすぎた
ということになります。細かい説明は先にしたとおり。
満潮付近が重なったのも不運ですが、大潮からの中潮も重なったのが最大の不運ですね。
後は沿岸部に流れこんでいる暖流を、台風が沿岸に寄せてきたのがトドメみたいなもの。
簡単にいえば、「熱膨張プラス驚きの吸引力──そら溢れるやろ?」てことです(曖昧)。
「気象予報士に俺はなる!!(ドン)」
とまでは行かなくとも、気圧配置図の読み方や、低気圧と高気圧の特徴と性質くらいは覚えて損はありません。
むしろ配置図より気象衛星の動画を見るほうが、直感でもなんとなくで理解していくかもしれない。