冬将軍が忘年会でべろべろに酔い、威厳をなくしたバブい言葉で絡んでくるような暖かい日が続く初冬。
「天気が良ければ釣りに行けばいいじゃない」
てことで、おそらく今年最初で最後だろうベストな天候の夜釣りができたわけですが……。
そう簡単に状況がデレてくれるわけではなかった。
釣り場に近づくにつれて私への風当たりが強い
静岡の西部が凪なら、中部は風が強いことが多い。その逆もある。
駿河湾付近の月曜夜は北東の風で、湾内はうねりになりやすい風向。予報では5m前後。
釣りをするだけなら障害のない天候だが……。
もともとフライでカマスやメバルを狙おうと考えていたけれど、やる場所が堤防で足場が高いのと、向かい風でどうしようもなさげなので断念。
水面と近いウェーディングならなんとでもなりますが、場所は知っていても明るい時に一度も入水したことはないのでリスクが伴う。
なのでルアーで適当に居そうなヤツを狙いますかスタイルで。
ルアーをやるには申し分ない状況だが…
浜松から焼津に向かう途中、島田市のシンボルぽくうつる某企業の煙突から、いつも風向と風力を参考にしている。
ほぼ真横に流れているのを見て色々察したけど、港内でルアー投げるには良い風だろうなぁ。
ちなみに焼津と用宗で少し遊んだあと、大井川でちょろっとフライ投げて、遠州灘で朝マズの予定でした。釣り充。
こっちの夜釣りはいつも同じような予定を考えていますが、全てが実行されたことはない気もする。
それもこれも、お天道様が私にデレてくれないせいだろう(責任転嫁)。
──というわけで、気温が1桁まで下がりきったところで釣り開始です。
一投目から景気のいいアタックを仕掛けてくる謎の魚
北東の風で適度なうねりをしている港内。
ベッタベタより確実に釣れる状況だが、ライズしている状況でもない。潮位が高いので持っているルアーで攻めきれるかどうかってところ。
とりまいつものシンペンから様子見で、無駄にマッスルすぎるパンチラインから。
「重いルアーを投げるのも久しぶりだなぁ」としみじみ巻いていたら、回収直前に水面がガボンチョされる。
30cmはないくらいだろうけど、ずいぶんやる気に溢れているヤツがいるな。
完全試合は免れそうだ。
それから何個かルアーを通してみて、全てで当たっては来るが乗らない状況。
20cmくらいのカマスならゴスゴス当たってくるだけの可能性はあるけど、トリプルフックでここまで掛からないのが考えにくい。
念のために持ってきていた小型ワームで付近を探ってみても一切当たらず。メバルの可能性はなさそうかな。
釣果情報では見かけたカマスかシーバスの二択だろうけど、さてどうやって釣ったものかねぇ……。
最終兵器のロリベで仕留めるも──
ミノーの動きでは速すぎるようだし、シンペンの巻きでは小突いてくるけど、フォールさせると反応がなくなる。
回収直前に来ることは多いが、岸トロしても小突いてはこない。
……ということは、水深と地形からして、岸壁から2mほど離れた段差から「スッ」と出てきてガボンチョしてくるのだろうと仮定してみる。
となると食い気はある2年生にさしかかりそうなシーバスが相手かなぁ。
1mレンジのミノーでは当たらないので、それより沈める必要はある。
中層以下を通すのに適しているのってなんやろ……ローリングベイトのダートでやってみますか。
2mほど離して着水させて3カウント、「ポーンポーン」とルアーを跳ねるように操作していたら、当たっては来たけど乗り切らない。
じゃあ次はそれよりは沈めるよう、ロッドシェイクを気持ちゆっくりにしてみる。
すると狙い通り「ンゴッ」と魚が乗り、細身が体をぶんぶん振っているような感触が伝わる──カマスだろなぁ。
水面に浮かんできた銀色で細長めの姿を見て、30cmちょいなら余裕で抜けるだろうと思い、そのまま引き抜こうとするが──
……あれ? なんかやけに重くない? 持ち上がらないんだけど、あっあっ暴れてコレやっべ──。
乾いた音を聞いたあと、ロッドにかかった負荷が一気になくなった。
「あの細さでシーバスはないだろうしカマスだろ」
という先入観のもと、ラインをたぐって引き揚げた魚はなんとウグイさんでした。
随分長いこと使っていたロッドだし、ぼちぼち新しくしないとなぁと考えていたので、きっかけのひとつにはなったかもしれない。
でも、これからの釣りをどうしたもんかしら。
とりあえず車に戻ろうとしたら堤防で喧嘩してる奴らがいた
ロッドはもう1本あるけど、へにょへにょスローアクションだから今の状況には向かないし、どうしたものか。
巻くだけならいいけど、ダートさせてようやくだから柔らかすぎるのは……などと悩んでいると、駐車場手前で喧嘩している奴らがいた。
猫でした。
あいつら、なんて所で戦ってやがる……!
下手に驚かせて海ポチャされても困るし、情勢を見守りつつ出歯亀するワイ。
ウグイをこれで掬っていればロッドも折れなかったタモをここで構え、万一に備える。
まあ近づいたら追い詰められたほうが逃げ出したので事なきを得たのですが、追い詰めたほうも「これ以上やったらアイツ落ちるんじゃねぇか?」的な優しさがあったのかもしれない。
…………帰るか。
用宗港の様子を見に行ったら、常夜灯下でカマスは釣れてましたね。
その後はナビを見ながら適当に左上に進んでR1バイパスに向かっていたら、外気温の変化が面白かったです。
牧の原の冷気は染みました。