氷漬けの魚を「かわいそう」といえる釣り人はいるのだろうか

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魚と自然を大切にする釣り人の実写風アイキャッチ

「5000匹の魚と遊べるスケートリンク!」
で物議を醸した某テーマパークの件は、国内のみならず世界にも飛び火した。

いち釣り人としてこの問題に触れないわけにもいかない。

常日頃から、自然と魚に感謝を忘れないアングラー達なら、この問題に真っ向から論じることができるはず。

──でも触れた人はあまりみない、「かわいそう」という人はいるけど。

はる@釣行中
はる@釣行中

でもそれって考えることを放棄してませんかね?

私としては、釣りをしている人がこれに「かわいそう」という資格はないと考えます。

どの視点で何をもって「残酷」とするか

ことの発端は『スペースワールド』の企画した「氷の水族館」から。

5000匹のお魚さんと戯れることのできるスケートリンクは、語感からしても「楽しそう」と感じるかと思う。

集客にも成功し、企画の滑り出しとしては成功を収めたのだが──

軽率だった公式の投稿が、誤解をまねくことで騒動に発展する。

はる@釣行中
はる@釣行中

炎上した要因は、公式がfacebookに投稿した一文。

「おっ・おっ・・・溺れる・・・くっ・くっ・苦しい・・・」

そりゃ荒れるわ。

これで炎上すると予測できないのもアレだが、国外でも話題になったから、ネットは恐ろしい。

事態を収束させるため、催しは中止になったのだが……本当にそれでよかったのか? と。

ご当地ヒーローのキタキュウマンが民衆に問いかける生命の倫理

ヒーローは正義の味方といわれるが、人を導く存在でもある。

キタキュウマンがいっていることを簡素化すると、「叩く材料をみつけて一方的になじるのは正義なの?」的な話。

視点によってはイジメに見えるし、価値観(主観)の押し付けは議論ではなく、内容のない説教にしかならない。

日本人はよっぽど不満が溜まっているのか、アラを見つけたら「それきた!」と袋叩きにする。

漢字の誤読やカップラーメンの値段をいえないくらいで、馬鹿げた理由から一国の首相を辞任に追い込むハッピーな国。

じゃあ君、今まで一度も間違えたことないの? って話。

「ネットは匿名だから何いっても許される」

そう考えていそうな人たちも未だに多い。

先のツイートに対するリプライ(返信)を覗いてもらえば、「生命を冒涜した企画を擁護するヒーローに失望した」ような内容が多い。

「議論するのはそこじゃないだろう? どうすればよかったのか考えて、次に活かそう!」

一方的な「ダメ!」は何も産まない。

「こうすれば良かったのでは?」という意見こそ未来につながっていくのに……。

釣り人の魚や自然に対する生命の倫理観とは?

生命を頂く行為は、「人は何故殺してはいけないのか?」の問いみたいに難しい問題。

釣った魚を丁寧にリリースし釣り場を清掃する実写風イメージ
魚を丁寧に扱い、釣り場を汚さないことは、釣果と同じくらい大切な釣り人の基本です。

「そうしてはいけないから」と説明はできるけれど、「何故そうしてはいけないの?」といわれると口をつぐむでしょう?

それを理論的に説明しているのが宗教だったり、哲学ですね。

『魚釣り』は少なからずも自然に悪影響を与えるし、魚の生命を奪う可能性がある。

釣り人の目線、生命の価値観については正直、おもしろいなと感じています。

例えば大きい魚1匹を写真にとると「すごい!」っていわれるけど、小さい魚1匹を「持ち帰りました」っていうと叩かれる。

また小さい魚を100匹釣ると「すごい!」っていうけど、人によっては「乱獲じゃねーか」と叩かれる。

これらは幾度となく見た事例だけど、条例で決まっているわけでもない(ごく一部を除く)。

意見がバラバラになるのは、価値観の違いがもたらす問題

何をもって「かわいそう」と映り、「残酷」として捉えるのか。

やらない人からすれば、「生命あるものを道具でイジメているだけ」に映るし、対する答えが、「だってそれが釣りだから(真顔)」といえば喧嘩待ったなしでしょう。

釣り人は魚という生命を、ものすっごい下に見ている人が多いと感じている。

「じゃあお前はどうなの?」っていわれるだろうので

私の考えをちょっといわせてもらうと……

「規則やマナー(といわれている)をすべて守ると、何もしないほうがマシじゃない?」と感じている。

  • 根掛かりで海にゴミを残すのは嫌だから、リスクの少ないサーフを選ぶようになった
  • 数日のおかずできればいいから、必要分釣れば終わるし、持ち帰らない
  • 立入禁止や私有地へは近づかないし、無断駐車ダメゼッタイ
  • ゴミは持ち帰るし、なるべく出ないよう家で包装を剥いておく。目についたゴミは半ギレしながらも拾う
  • リリースサイズは「釣り人ルール」ではなく漁業権に則る。
  • 釣れた魚は持ち帰るものだけ写真にとる(小さいのをいちいち撮るのは時間の無駄じゃね?)

それに則って行動しているだけなのに、これすらできない人が世にはいるわけで……。

これだけ守るだけでも、漁師や他人から嫌な目を向けられることもないでしょうに。

すべてのアングラーが、自ら決めた規則やマナーを守りさえしていれば、釣り場が閉鎖されていくここともなかったはず。

皆が守っていれば、その概念すら生まれません。

魚を釣ることに賭けている人ほど、それは守られていないのでは?

氷漬けになった5000匹を「かわいそう」という釣り人は魚を下に見ている

「それをかわいそうというなら、地べたに並べられ、写真に撮られた魚も、かわいそうというべきでは?」

無理して規則やマナーを守らなくてもいいと思いますよ?

でもそれは、他の釣り人の首を締めるし、自分にも応報されるだけです。

「他の奴らもやっている!」と反論しても、それは子供以下の言い訳だからね。

スペースワールドの氷漬けになったお魚さんの補足

あれに「かわいそう」という人は、ここまで読む前に「おこ」になるだろうし、ここまで見ないだろうから擁護を入れときます。

記事の見出しなどで、「氷漬けにした魚を生きたまま──」に捉える人が多いけど、市場には出せないような規格外の魚を使用しているだけです。

すでに息絶えた魚なので、残酷というのはどうだろうと。

生命や食品としても、無駄となるより、有効だと思いますけどね。

はる@釣行中
はる@釣行中

むしろ生きたままは、並べるのに面倒すぎるでしょう。

そもそも「締める」とは何か、なぜわざわざ締めるのか

「氷漬けがかわいそう」という話の前に、そもそも釣り人がなぜ魚を「締める」のかを整理しておきたい。締めるという行為には、大きく二つの目的がある。一つは魚を無駄に苦しませないこと。もう一つは美味しく食べるためだ。どちらも、命をいただく側として向き合うべき部分だと思う。

釣り上げた魚をそのままクーラーに放り込むと、魚は中で激しく暴れ続け、じわじわと弱って死んでいく。これがいちばん時間がかかるし、身にとっても良くない。暴れることで体温が上がり、乳酸がたまって身が傷み、鮮度がガクッと落ちる。締めるというのは、この「暴れて苦しむ時間」を一気に短くしてやる処理でもある。動物福祉的な視点でいえば、釣ったあとに放置するより、サッと締めてやるほうがよほど魚にとってマシなのだ。

味の面でも理屈は通っている。血液は体の中でもっとも腐敗しやすく、生臭さの原因になる成分だ。だから血を抜く。さらに、死んだ魚は時間が経つと死後硬直が始まり、身が硬くなっていくが、神経までしっかり処理すると、この死後硬直が始まるまでの時間を大きく引き延ばせる。早く硬直する=早く鮮度が落ちる、と考えると分かりやすい。「締める」は残酷さの逆で、釣った命をきちんと食べきるための準備なのである。

逆に言えば、締めずに放置された魚ほど、暴れて身を傷め、血も回ったまま生臭くなり、食卓にのぼる頃には味が落ちている。せっかく釣った魚を美味しく食べられないのは、魚にとっても食べる側にとっても、いちばんもったいない結末だ。氷漬けの魚を「かわいそう」と言う感性があるなら、自分が釣った魚を雑に扱って不味くしてしまうことこそ、よほど命に対して失礼ではないかと思う。締めるという一手間は、その失礼を避けるための行為でもある。

氷締め・活け締め・神経締め・血抜きの違いを早見表で整理

ひとくちに「締める」といっても、やり方はいくつかある。名前が似ていてややこしいので、まずは何がどう違うのかをざっくり押さえておこう。手順そのものを細かく追うより、「どういう目的の処理か」をイメージできれば十分だ。

締め方やること主な目的向いている魚
氷締め海水+氷で作った冷たい水(潮氷)に入れ、低温ショックで一気に絶命させる手軽に締めて、そのまま冷やして持ち帰る手のひらサイズの小魚(アジ・イワシ・キス・小サバなど)
血抜き(放血)エラの付け根や血管を切り、海水の中で血を抜く生臭さの元になる血を抜いて品質を上げるサイズを問わず有効、特に中型以上
活け締め(脳締め+血抜き)刃物やピックで即死させ、血抜きまで行う処理全般暴れさせず即殺し、鮮度を保つ20cmを超える中型〜大型魚
神経締め専用ワイヤーを背骨沿いの神経(脊髄)に通して破壊する死後硬直を遅らせ、鮮度を長持ちさせるこだわるなら中型〜大型、特に持ち帰りに時間がかかる時

使い分けの考え方はシンプルだ。小さい魚は氷締めだけで十分。手のひらに収まるアジやキスをいちいち血抜きしていたら日が暮れる。一方、サイズが上がってくるほど血の量が多くなり、血抜きの効果が大きくなる。20cmを超えるアジ、30cm前後の良型、青物のような大型になってくると、サッと血抜きしてから冷やす、さらにこだわるなら脳締めや神経締めまでやる、という順にステップアップしていくイメージでいい。最高の鮮度と食感を狙う大型魚ほど、手間をかける価値が出てくる。

正しい「氷締め」のやり方の要点 — 真水の氷だけはNG

いちばん手軽で、釣り場でもっとも使う頻度が高いのが氷締めだ。ところが「クーラーに氷を入れて魚をのせるだけ」と思っている人が意外と多い。これ、実は半分間違っている。氷締めには外せないポイントがいくつかある。

  • 潮氷を作る:氷だけではなく、海水を加えて「潮氷(しおごおり)」にする。クーラーに氷をたっぷり入れ、魚の全身がつかる程度の海水を入れればできあがり。冷たい液体にしっかり浸すことで、全身がムラなく一気に冷える。
  • 真水の氷に直接当てない:真水だけで冷やすと、浸透圧の関係で塩分濃度の高い魚の身に水が染み込み、身が水っぽくぼやけた味になってしまう。海水(と同じ塩分濃度の液体)で冷やすのが鉄則。氷がとけても海水の塩分が残るので、ここが効いてくる。
  • 氷に直接のせない:板氷の上に魚を直置きすると、接地した片面しか冷えず、反対側は冷え切らない。これでは鮮度保持としては不十分。あくまで「冷たい液体に浸す」のが基本だ。
  • サイズで線引きする:小魚はそのまま潮氷へ。20〜30cmを超える良型がきたら、潮氷に入れる前にひと手間、血抜きをしてやると仕上がりが変わる。
  • 氷と海水はたっぷり用意する:魚を入れると水温は上がる。途中で氷が溶けきってぬるくなると意味がないので、釣行時間に見合った量の氷をケチらないことが地味に効く。

氷締めが小魚向きなのは、もともと血の量が少なく、血抜きをしなくても食味にそれほど影響が出にくいからだ。アジ・キス・メバル・カサゴといった小型魚は、潮氷にポンと入れてしまうのがいちばん手軽で確実。逆に血の多い大きな魚を氷締めだけで済ませると、抜けきらなかった血が残って生臭さの原因になりやすい。だからサイズが上がるほど血抜きの優先度が上がる、という流れになる。手軽さと仕上がりのバランスを、魚の大きさで見極めるのがコツだ。

このあたりの「冷やす」処理は、氷締めに限らず締めた魚すべての持ち帰りに共通する基本でもある。脳締め・神経締め・血抜きの具体的な手順や、魚種ごとのおすすめのやり方、クーラーの保冷術まで通しで知りたい人は、魚の締め方・血抜き・持ち帰り方の完全ガイドにまとめてあるので、そちらを合わせて読んでほしい。本記事はあくまで「なぜやるのか」の話に絞っている。

リリースと持ち帰りの線引き — 釣った以上は食べきる責任

締め方の話をすると、結局のところ「持ち帰る魚をどう扱うか」という線引きに行き着く。氷漬けの魚を「かわいそう」と言う前に、自分が地べたに並べて写真を撮ったあの魚を、ちゃんと食べきっているか。ここが問われていると思う。

個人的なルールはこうだ。持ち帰るのは、自分で食べきれる分だけ。数日のおかずになればいいので、必要な分だけ釣れたら、あとはリリースするか釣りを終える。リリースサイズは「釣り人ルール」の気分ではなく、その地域の漁業権やルールに則って判断する。小さい魚を無理に持ち帰って、結局冷蔵庫の隅で干からびさせるくらいなら、最初から海に返したほうが命に対して誠実だと思う。

締めるという行為は、裏を返せば「この魚は責任を持って食べます」という意思表示だ。だからこそ、適当に締めて、適当に持ち帰って、適当に余らせる――これがいちばん良くない。氷漬けの規格外魚を無駄なく使う企画を笑えないくらい、自分の手元の魚を無駄にしている釣り人は少なくない。締め方を覚えることは、テクニックである以前に、命をいただく側の最低限のマナーなのだと思う。

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