日付が変わる頃にRSSで一日のニュースチェックをしているんですが、とても気になるタイトルを見かけました。
「アユのトントン釣り 和歌山県古座川で解禁」
…………トントン釣り? 聞いたこともないし想像もできない。
一体どんな釣りなんだろう。教えろグーグル先生ェ!
ネタバレ:アユのトントン釣りとは、
和歌山県にある古座川の観光名所、「滝の拝」だけの釣り方を指し、
糸に錨状の針を2~3本、一番下にオモリをつけ、
それを水底で”トントン”やるからトントン釣りと呼びます。
アユのトントン釣りとは?
そんなわけで、「アユのトントン釣り」に興味津々のまま検索してみましたが、……釣法に関しての情報がない。
釣法に関する記事がないってことは、アユ釣りの中でもドマイナーであることがうかがえます。後継者不足とかそんなレベルじゃない。
唯一拾えた(マシそうな)情報は下の記事。
……とりあえず記事本文と画像を見て欲しい。「────は?」ってなるから。
こんな場所で釣りができるの? って思うけど、水辺があれば釣り人は必ず居るもの。
ここでアユを釣ろうと考えた人は、いったいどんなヒラメキがあったのだろう。
トントン釣りは和歌山県古座川町の「滝の拝」だけの釣法
アユのトントン釣りは、和歌山県にある古座川の観光名所、「滝の拝」だけの釣り方。
少ない情報をまとめると……
- 古座川の「滝の拝」だけしかできない
- 現地漁協組合員だけしか釣りができない
- 条件も場所も限定すぎる
- なら全国に広めなくてもいいよね?
情報がほとんどないのも納得。全国でも一箇所だけで行われている儀式みたいなものだし、釣法に関して広まっている気配がないのも頷けます。
トントン釣りが気になったとしても、場所と条件が限定的すぎるし、どんな釣りかを知るほど、無理してやれるものじゃないから敬遠したくなる。
いやだって、こんな岩場でアユ釣ろうとか思わないやん。
滝の拝は川が削った奇岩がボコボコしている観光名所。足場がとても高く、釣座から水面までは約8mと、外洋の磯でもあまりない高さ。
アユの友釣りやエサ釣りをするに向いてません。だからこそ、この条件で釣るための方法が産まれたのでしょう。
アユのトントン釣りはこんな仕掛け
アユのトントン釣りは、糸に錨状の針を2~3本つけて、一番下にオモリがあります。
それを水底で”トントン”やるからトントン釣り──。絵にするとこんな仕掛け。
- Q:これでどうやって釣るの?
- A:友釣りみたいに引っかけるんですよ。
古座川にあるこの地域は、一時的に川幅が狭く落差があるため、滝壺が多くアユの遡上がストップしやすいポイントであります。ようは”アユの溜まり場(つかみ取りパラダイス)”になりやすいわけです。
しかし落差8mもあると、降りて素手で捕まえても登れる保証がないし、網も高すぎるから向いていない。一体どうすればいいんだ……。
「ここにアユが溜まってるやん、なら針をぶら下げれば簡単に引っかかるのでは?」
──を実現したのがトントン釣りです。だから上下に仕掛けを動かすわけですね。
フグのカットウ釣りに近いですね。(参考に→ショウサイフグのカットウ釣り)
「ここじゃなくて広い場所でやったら?」というツッコミは野暮です。この地域に住む人が、近くの川で魚を捕まえる方法を、考えに考え抜いて、最適かつ最善の発想で解決した釣法だと思います。
これは”文化”ですし、誇れますよ。
危ない釣りだから現地の協会員しか釣りできないよ!
滝の拝は水面までが高く、こんな場所でする釣りが安全であるはずがありません。なのでトントン釣りは、地元漁協の協会員のみすることができます。
どうしてもやりたい危篤なアングラーは、移住して漁協に入るのも手ですね。
古座川のトントン釣りは、毎年6月の中頃に解禁されるよう。解禁しているタイミングなら、滝の拝へ観光するついでに見学するのもいいかもしれません。奇岩の上で釣り人が奇妙な釣りをしているでしょうから。